貴方はこれを読んでもいいし読まなくてもいい。
可愛い女の子に囲まれたい。それは極めて普通で普遍的な男の願いだ。ひょっとしたら一部の女もだ。
でもそれは実際にはいくつかの注釈がある。例えばその可愛い女の子っていうのは自分好みの、という注釈がついている。
例えば今の俺がそうだ、沢山の注釈が必要だった事を実感させられている。
今俺の右側で騒いでいる女、見た目は美少女だ。赤い髪のツインテ、ツリ目、所謂コテコテのツンデレ。
好きな人は好きだろう。俺はごめんだが。今すぐ離れてほしい。
だがうっかりその性格が原因で陰湿ないじめの対象になっている現場にぶつかってしまい、ついつい仏心を出して助けたのが運の尽き。惚れられてしまった。
恋は盲目。何度もその恋心を打ち砕こうと渾身の嫌がらせを繰り出したが全て妙な勘違いと共に逆効果となってしまった。
もはや彼女の目には俺しか見えていないらしい。毎日手に絆創膏を増やしながらそれなりの味の弁当を作ってきてくれる。勘弁してほしい。俺は自分で自分の弁当を作れるし何なら楽しみにしていたのに。
次に右とくれば左の女、こちらも見た目は美少女だ。無口で無表情でクールな感じだ。しかも青みがかった白髪。
右の子と合わせてどっかの人造人間ロボに乗ってそうだが別にそんなものは無かった。残念だ。いや実際にあの世界を生きるのはよく考えれば喜ばしくないのでそれでよかったのだろう。
問題はこいつ、すさまじく束縛してくる。トイレにまでついてくる。冗談じゃない。
しかも最近私物が消える。掃除をすると見覚えのない電源タップなんかが毎回出て来る。というかモロ隠しカメラを見つけた。誰か助けてくれ。
しかもおまけに一切こいつに惚れられるような事をした覚えはない。なんなんだよ。
まだいる、正面の奴。やっぱり見た目は美少女。ただし不定形の陰キャ。残念ながらピンク色の髪はしてないしギターは得意じゃないらしい。残念。
つまりは例のアレから強みすら奪った存在だ。より濃厚で陰鬱な雰囲気を醸し出している。というかカモされてるのでは?菌類を。ちょっとネタが古いか。
そんな人類かも怪しい存在と付き合える程俺の器はデカくない、むしろ小さい。割と直ぐ切れるタイプだ。
なのにコレにも好かれている、冗談じゃない。
原因に心当たりはない、というのもコレとは幼馴染で、ほおっておいたら死にそうだったので最低限の面倒を見ただけなのだ。
こいつの親御さんは元気なのでこいつの家に行ったこともない、そのぐらい最低限だが粘着(文字通り。人体で可能な動きではないはずなのだが。)する理由には十分だったらしい、助けてくれ。
その正面右側にもいる、金髪ロングの高飛車お嬢様だ。またコテコテだな。想像はたやすいだろう。
俺が受け入れられない理由も想像できるだろう?普通の人間はマウントを取られ続けて嫌にならない訳がないのだ。
遠回しに拒んだ事もある、なんなら直接的に拒んだ、ものすっごい病んだ。
こいつの友人は俺しかいないらしい。俺に見放されたら自殺しかけるらしい(一敗)どうにかしろお付きのジジイ(全身全霊で拒まれた)
流石に知人の死に耐えられる程強くはない、だから何とか距離を離そうとした、全て無駄だった。
最後に正面左側だ、5人目は男勝りのヤンキーだ。クソ怖い。
見方を変えればギャルに見えなくもないが、いずれにせよ俺の好みではない。
たまに服に赤黒い液体が付着してる。お化けなんかよりよっぽど怖い。
怪我をしていたこいつの世話を焼き、ついでに家に一回かくまってしまったのは痛恨のミスだった。俺をまっすぐ優しく育ててくれた親には感謝しているが、同時に的外れな恨みも覚えてしまっている。
ただ純粋に怖い、何とかして距離を置きたい、だが逆らう事なんて出来はしない。
そうだ、不満はそれだけじゃない、こいつら仲が悪いのだ。
全員俺の見えない(と思っている)所でぶつかっている、ツンデレは直接的な暴言を、無口は陰湿な罠を、不定形生物はその肉体を活かして逃げて粘着し(そういう意味では一番マシだが一番見た目がやばい)高飛車は権力を、ヤンキーは暴力だ。
そんな状況の中心に立ちたい奴がいるとすれば、そいつは飛び切りの馬鹿か想像力が無いかとてつもないスパダリなのだろう。
俺はそんな奴じゃない。
むしろ体は虚弱だ、何もない所で躓き、しょっちゅう貧血でふらつき、体育は万年見学で、勉強と料理、そしてゲームが趣味なのだ。
勉強は良い、何かと身を救う、特に勉強に集中したいからという文言は直接的に俺を救ってくれるのだ。もはや進行している、勉強が俺の彼女かもしれない。
......限界が近づいている、日々のストレスはついに臨界点を突破し、最近医者にストレス性胃潰瘍と診断された。
上からも下からも赤い液体が出た事がある。
だから
だから、俺は...
ホモになろうと思うんだ。