天竜人? いいえ天翼種です。   作:ぽぽりんご

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アーロン戦に突入すると思った?
残念、まだでした!

ごめんなさい。
睡眠不足なので変なテンションでお送りしております。
明日になったら前書きを修正しているかもしれません。


あと、ちょっと遅いけど『ノゲノラを知らない人のため』の注釈を第一話に追加しておきました。
知ってる人は、まぁ、見なくていいんじゃないかな。うん。
こっちも変なテンションです。
明日になったら(ry




第10話 この世界で、たった一つの(3)

 さて、島に転移したはいいが。

 これは、どうすべきかな。

 

 眼下に広がる海沿いの町中で、海軍と魚人が戦っているのが見える。

 何故だか、町の建物は全てひっくり返されていた。

 当然住人の気配などなく、町にいるのは争う海兵と魚人のみ。

 

 今はアーロンの元に一直線だとも思ったが、思い直す。

 アーロン倒した後、海軍必要じゃね?

 最悪、他の海賊が来て再びこの島を支配するだけになる可能性だってある。この島には、戦力が必要だ。

 魚人と戦っているという事は、あの海兵達は当然この島を取り戻すために戦っているのだろう。

 魚人を相手に命がけで戦うような奴らだ。島の平和を取り戻すためには、ここで消えてもらっては困る。

 

 でも俺は海賊だし、海軍助けるのもなー。

 ……いやいや、違う。ルフィ達の何を見ていたんだ。言葉の定義に囚われすぎだ。

 何者にも囚われない。それが海賊じゃないか?

 

 それに、俺はこれ以上、我慢できそうにない。怒りゲージは振り切っているのだ。

 ナミを泣かせた野郎共をぶん殴りでもしないと、腹の虫が収まらない。

 どうせアーロンの後に倒すことになるのだ。今やってしまってもいいだろう。

 

 

 

 俺は、戦場のど真ん中に降り立った。

 それと同時に、天にかざした右手を力を込めて振り下ろす。

 その結果、俺の周りにいる魚人達は見えない何かに押しつぶされて地面にめり込んだ。

 

 うん、今の攻撃はいいな。

 ただ押すだけだからイメージを練りやすく放つのに時間が掛からないし、炎や雷と違って効果範囲もきっちり絞れる。 

 

「な、なんだてめぇは!!」

 

 やや離れた位置で海兵と戦っていた魚人が、俺に敵意の篭った眼差しを向けた。

 

「あなた達の敵です」

 

 それだけ言うと、俺はすれ違いざまにその魚人の顎をかちあげて沈黙させる。

 

「速い……!? 囲め。ただし、固まるなよ!」

 

 魚人達が俺に向けて包囲網を敷こうとするが、見よう見まねとはいえクロの動きを練習した俺に対応できるはずもなく。

 瞬きする間に、魚人達はその数を半分以下にまで減らしていた。

 

「ぼさっとするな! 倒れた魚人を取り押さえろ! 敵の退路を塞げ! 体勢を立て直す余裕を与えるな!」

 

 海兵の側も動き始めたようだ。

 どうやら俺の事はスルーする事にしたらしい。

 

 

 俺は次の獲物として、前に出てきたテカテカ光る魚人に狙いを定める。

 先ほど魚人達に指示を出していた奴だ。おそらく幹部クラスだろう。

 魚人は、俺の攻撃に反応すらできていないようだ。

 

「ッッ!? 違うっ」

 

 些細な違和感。

 俺は攻撃を取りやめて相手の脇を通過し、上空に一旦退避する。

 振り返って見ると、俺が攻撃しようとしていた相手は海兵だった。

 

 なんだ? 何が起こった?

 今のシーンを思い返してみる。

 

 俺は、確かに魚人に向かっていた……はずだ。

 だが実際には別の相手に向かっていた。

 

 何かされたのは確かだが、その正体がわからないな。

 俺は、俺に何か仕掛けたであろう魚人を見下ろす。

 

 こんな奴につまずいている場合ではない。

 もう一度だ。

 違和感はあった。その違和感の正体を掴むのは、そんなに難しくないはず。

 

 もう一度敵に向かって進むと、違和感の正体がはっきりした。

 距離だ。

 俺が進んだ距離と、俺の目に映る風景の移動が一致していない。

 

「……鏡、か」

「ほう。こんなに早く気づかれるとはな。そうとも、俺はミラミラの実を食べた、鏡魚人!! 俺が周囲に吐いた霧により、あたり一帯の光は、俺の意のままに屈折・反射する! 俺の敵は、俺の姿を直接見ることすらできずに敗れ去るのだ!!」

 

 バァーンとポーズを取り、ペラペラと自分の能力を暴露するミラーマン。

 おい、それやられ役のセリフだぞ。

 

 だが、魚人が悪魔の実の能力を得ているなんてのは、確かに厄介だ。

 力押しでどうにかできない相手は、俺は苦手なのだ。

 最悪、海兵ごと纏めてぶっ飛ばせばいいと言えばそれまでなんだが。

 

 ……あれ、魚人?

 悪魔の実を食べたら、カナズチになるんだよな?

 

 

 俺がジト目を向けると、ミラーマンは遠い目をして、語る。

 

「おれは、この異形なる能力を得た代償に、故郷を失った……」

 

 フッ、と。悲しげに笑い。

 哀愁を浮かべた瞳で空を見上げるミラーマン。

 

 お前、アホだろ。

 異形とか関係ないわ。

 人がせっかくシリアスモードに入ってるのに、ギャグに引き戻そうとするんじゃない。

 

「ていっ」

 

 俺は、ミラーマンに向けてレーザーを放った。

 

「あっつぁぁぁっぁぁぁぁぁ!?」

 

 火達磨になって絶叫を上げるミラーマン。

 それと同時に、レーザーの熱を受けた霧は完全に蒸発し、周囲の視界がクリアになった。

 

 ふはははは、そこか。見つけたぞ。

 いくら光を屈折させようが、光が屈折した先にお前は居るのだ。

 つまり、光で攻撃したらお前の能力は無意味だ。

 反射されそうでちょっと怖かったけどな!

 

 俺はミラーマンの元まで飛び、そのままの勢いでとび蹴りを食らわせミラーマンを撃破した。

 

 

 

 

 残党の処理を終えると、海兵の指揮官であろう人物が俺に接近してきた。

 

「私は海軍第77支部准将、プリンプリン。まずは、私の部下を救っていただいたお礼を言わせていただきたい」

 

 そういって、頭を下げる准将。

 プリンプリンて。

 人の名前をとやかく言う気はないが、その名前はさすがに……

 

「お礼はいいです。それより、怪我人の手当てを先にしてしまいましょう」

「ああ、そうだな。かたじけない」

 

 俺は手近な海兵を回り、怪我の手当てをする。

 幸いな事に、死者はいないようだ。お前ら頑丈すぎだろ。

 

 しかし、いくら頑丈だといっても魚人達に立ち向かうのはどうなんだろう。

 俺が介入しなければ、こいつらは確実にやられていただろう。

 命を懸けて、分の悪い勝負をする。

 大切な人のためならまだ理解できるが、おそらく見ず知らずの人達のために、この海兵達は戦っているのだ。

 俺にはその気持ちが理解できない。

 

 気になった俺は、腕を怪我した海兵に包帯を巻きながら、戦う理由を問いかけた。

 理由を語るのが恥ずかしいのか、赤面して俺から視線を外しつつではあるが、海兵は俺の問いかけに答えてくれる。

 

「えっと……少し恥ずかしいんですが。結局は、自分のためなんです。俺には、夢がありまして」

「夢?」

「ええ。俺は、船が好きなんですよ。いつか、女房と子供を連れて、のんびり船旅でもして過ごしたいなって……」

「へぇ、いい夢じゃないですか。私も船旅、好きですよ」

 

 俺の言葉を受けて、少し焦ったように海兵が続ける。

 

「で、でもそんなの海が平和じゃないと出来ないじゃないですか。だから、俺は海軍に入ったんです。少しでも、海を平和にしたくて」

 

 なるほどなぁ。

 自分と女房子供のために、この人は戦っているのか。

 なんだ、すごくいい人じゃないか? てっきり、俺最強ォォォなモーガンみたいな人達なのかと思ってたよ。

 でも、女房子供を残して逝くのは、頂けない。

 

「すごく良い夢だとは思いますが、女房子供を残して死んでしまうのは許せませんよ。夢を実現させるためには、あなたは誰にも負けないぐらい強くならなければなりせんね」

 

 残された側も残してきた側も体験してきた俺としては、死を選ぶような行動は許容できない。

 少し説教臭くなってしまうが、注意ぐらいはしておこう。

 

 と、会話を続ける俺達の後ろから、手当てを終えた海兵達が押し寄せてきた。

 夢を語った海兵は首に腕を回され、頭をぐりぐりされて絡まれている。

 

「おいケビン、その夢には致命的な欠陥があるぞ!」

「そうだ。お前にはまだ、女房も子供もいないじゃないか」

「こいつは、絶賛女房募集中なんだよ」

「どこかにいい嫁さんいないかなー。海兵の女房になるんだ、魚人をぶっ飛ばせるぐらいの強さが欲しいよな?」

 

 え、女房子供いないのかよ。まだ見ぬ女房子供のために戦ってたのかよ。

 俺、なんか偉そうに高説垂れてたんですけど。は、恥ずかしぃぃぃ!

 

 夢を語った海兵……ケビンと俺は二人とも顔を赤面させつつ互いの視線を外し、沈黙する。

 勘違いで説教とか、ないわー。

 沈黙は気まずいし、何か話題はないか。てか俺達に絡んでいる奴ら、ニヤニヤこっち見るだけじゃなくてなんか喋れよ。俺の自爆を見てニヤニヤ笑うなんて、お前ら性格わるいぞ。ケビンを見習え。

 

「ごめんなさい」

 

 話題が見つからなかった俺は、とりあえず先程の説教を詫びた。

 すると、ケビンは何故だか項垂れた。

 

 何だ。なぜ落ち込む。

 よくわからないが、とりあえず慰めておくか。

 

 手当てを終えた俺は、ポンとケビンの胸を叩いて立ち上がった。

 

「手当て完了です。素敵な夢なので、ぜひ叶えてください。……あ、その前に素敵な奥さんを探さないといけませんね」

 

 そう言って、俺は次の負傷者の元に向かう。

 後ろでは、振られたなぁとケビンをからかう声が聞こえた。

 うん? 振られたって何のことだ? 俺が振ったのか? 特に何も誘われてなんかなかったが。

 

 

 どういう事だろうと先程のケビンとの会話を思い返していると、ふと唐突に思い出した。

 俺が前世で最後に願った内容も、ケビンと似たようなものだった。

 なんだ、みんな考える事は一緒なんだな。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 負傷者の手当てを終えた頃。

 海のほうから人影が近づいてくるのが見えた。

 それに気づいた准将が人影の方に歩み寄り、海兵達の先頭で立ち止まってその人物を迎える。

 

 

「これはこれは。ネズミ大佐ではありませんか。こんな所まで、どんな御用で?」

 

「……どんな用か、だと? ふざけているのか? 余計な真似をして部下を負傷させるとは、とんだ無能だ。これ以上、この島に手出しはしないで貰おう」

 

 人影……ネズミ大佐の言葉を聞いて、准将の部下が怒りの空気を放つ。

 だが、准将は手を挙げ、部下を制止した。

 

 と思ったら、次の瞬間には准将がネズミ大佐を殴り飛ばしていた。

 海兵達から、喝采が巻き起こる。

 

 おい。

 自分が殴るからいらないって意味かよ。

 

「な、なにをする!!」

「何をする、だと? それはこちらが聞きたいな。お前は、ここで何をしているのだ? この、海賊が支配する島で。海軍支部の大佐が、いったい何をしているというのだ?」

 

 一瞬言いよどむネズミ大佐だが、殴られた頬を押さえて上半身を起こし、再び准将に向かって怒鳴り散らした。

 

「余計な真似をして、余計な面倒を起こすな! ここは我々の管轄だぞっ。他支部の人間がここで、好き勝手にしていいはずがない!!」

「いいや、していいのだ。我々は、この島の住民を救う任務を、本部から直々に承っている。その障害となる貴様を排除するのに、なんの問題がある?」

 

 准将はネズミ大佐の胸倉を掴んで引き起こし、額がくっつくほど顔を近づけて大佐を睨みつける。

 

「お前がアーロン一味と通じ、私腹を肥やしているのは知っている。気づかれないとでも思っていたのか? このことは、本部にも連絡してある」

 

 言葉をなくすネズミ大佐。大佐が再び言葉を発する前に、准将は大佐に頭突きを食らわせて失神させた。

 え、それ自分も痛くない?

 

「連行しろ」

「「ハッ!!」」

 

 海兵達は嬉々として准将の言葉に従い、大佐を縄で縛って魚人達と共に連行する。

 それを見届けていると、准将は俺の前に進み出て、唐突に土下座をかました。

 

 ……え、何ですか? いきなりそんな事されても対応に困るんですけど。

 

「我々には、正義を成す力がない……なさけないことに。だが、正義は成さねばならない。苦しむ人々の声を、我々は見過ごすわけにはいかないのだ。すまないが、たのむ。このとおりだ。アーロンを倒すためにその力、俺たちに貸してくれはくれまいか!」

 

 地面に額を付けたまま、准将が俺に懇願した。

 准将は、本気でこの島の人々を救おうと思っている事が伝わってきた。

 そのためなら、命すら惜しまないだろう。

 

 

 だが断る。

 

 そのうちナミやルフィ達も来るだろうから、悠長にやっている暇は無いのだ。

 この島は、意外とバラティエから近かった。下手をすれば明日を迎える前に着いてしまう。

 

「アーロンは私が一人で倒します。それが、私のやるべき事です。皆さんは住民の手助けをしてください。それが、皆さんが成すべき役割です」

 

 俺の言葉に顔を上げた准将は、その目に涙を浮かべていた。

 断られたからではなく、なんだか感極まったという表情だ。

 

 なんだこいつ。

 断られて喜ぶとか。

 この世界にはドMしかいないの?

 ドMは病気ですよ。早期の治療をお勧めします。

 

 俺は、准将への評価をほんの少しだけ下方修正した。

 少しだけで済ませるとか、俺もドMに対して寛容になったものだ。

 

「お名前は!?」

 

 続いて名前を聞かれたが、答えることはできない。

 一応海賊だし。手配とかされてるかもしれないし。

 名前を答える事はできないと返すと、ドM准将は目をうるうるさせて喜んだ。

 もうやだこいつ。

 怒られたいなら俺じゃなく、上官に怒鳴ってもらえよ。

 俺はもう行く。さらばだ。

 

 海兵達は、なぜか最敬礼をして俺を見送った。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 海兵達と別れて、半刻ほど。

 俺はアーロンを見つけた。

 どうやら、取り巻きを引き連れて小さな漁村の住民達をいびっていたらしい。

 

 くそ、勢いあまってアーロンパークに突撃してしまったじゃないか。

 「アーロン、お前を倒しにきた!」と宣言しつつ突入したら、ほとんど誰もいなかった。

 留守番であろう、一人だけぽつんと佇んでいた魚人に「あ、アーロンさんなら留守です」と普通に返答された時の俺の気持ちは筆舌に尽くしがたい。

 おのれアーロン、ゆるすまじ。

 

 

 思い出しただけでカ~ッと赤面する頬を叩いて気持ちを落ち着かせ、俺は村を見下ろして様子を伺う。

 海に面した森を切り開いてぽつんと作られた漁村の広場に、いかつい魚人達と痩せこけた村人達が集まっていた。

 

「こいつはゴサの町の生き残りだ。俺に逆らったばかりか、海軍までこの島に呼び込みやがった。明確な反逆罪だ!」

 

 アーロンは手に持った中年男性を掲げ、村人達に宣言している。

 

「そして、そいつを匿ったお前達にも、罪がある。よって、罰を与えよう!」

「そ、そんな……」

「無茶苦茶だ……!」

 

 村人達は小さく毒づくが、アーロンに直接抗議はしない。

 

「とはいえ、俺も鬼じゃあない。救いの手を差し伸べようじゃないか。……今この島には、海軍の連中が来ている。そいつらの首一つごとに、お前らの命一つを助けてやろう。なに、難しい話じゃないさ。素直に事情を話せば、首を差し出してくれる海兵だっているかもしれないぞ? あるいは騙まし討ちをするか……それとも、座して死を待つか?」

 

 アーロンは、誰一人動こうとしない村人達を見やりながら続ける。

 

「……ああ、つまらん。まどろっこしい。率直に言おう、くだらねぇ人間共よ! 俺を楽しませてくれたらその命、助けてやろうじゃないか。シャーッハッハッハッハ!!」

 

 歪んでいるな。

 こいつがこんなになってしまったのにも、色々と理由はあるのだろう。

 だがそんなもの、俺には関係が無い。

 むしろ、こうやって突き抜けてくれたほうが倒しやすいというものだ。

 

 アーロンが、その手に持った男性を空高く放り投げた。

 このまま放っておけば死んでしまうだろう。

 俺は男性を空中でキャッチし、恐る恐るありがとうと口にした男をゆっくりと地面に降ろした。

 突然現れた俺に、アーロンは眼を細めて問いかける。

 

「能力者……か? なんだお前は。海兵にゃあ見えねぇが」

「海賊です」

 

 アーロンが俺の方に向き直る。

 

「ほう? で、その海賊が、何の用でここに来た?」

「あなたを、倒しに来ました」

 

 俺の言葉に、アーロンの取り巻き達が動きを見せた。

 だがそれを手で制し、会話を続けるアーロン。

 

「……なんのために?」

「仲間のために。ナミを、助けるために」

 

 剣呑な気配を放っていた魚人達の空気が一気に弛緩し、中には笑い出す者もいた。

 

「シャーッハッハッハッハ!!」

 

 その中でも一際盛大に笑っているのがアーロンだ。

 ひとしきり笑った後、わずかに笑いを漏らしながら再び会話に戻る。

 

「あー、お前、ナミに騙された口か……クク、可愛そうに。だが残念だったな。ナミは自分の意思で俺達に従っているんだ。力のねぇ人間共を見限って俺達に付いたナミは、頭がいい」

「無理やり従わせているだけでしょう」

「それがどうした! 力のねぇ屑共は、自分の生きたいように生きる事もできねぇ。それがこの世界だ。屑共は、力のある奴にすがって生き延びるしかないのさ! 感謝して欲しいくらいだ、俺達の()()にしてやってるんだからな」

 

 アーロンの言葉に、俺の中の何かがビキリと音を立てて崩れたような気がした。

 

「そんなもの、仲間とは呼びません」

 

 俺は、アーロンの元に進み出る。

 

「ナミは、私達の仲間です。だから、助けるんです」

 

 俺は、歩みを止めない。

 

「シャハハハハ!! 助ける、だと!? 笑わせる。群れるしか脳のねぇ下等種族が、たった一人で! 一体どうやって、ナミを助けると言うんだ。言ってみろ!!」

 

 アーロンの顔面が歪む。

 笑ったからではない。

 俺が、アーロンの横っ面をぶん殴ったからだ。

 

 その巨体が村の周囲にある森に激突する。木々が折れる音が、周囲に響き渡った。

 

「ア、アーロンさん!?」

「てめえーーーーッッ!!」

「いきなり何しやがる!」

 

 いきり立った魚人達が襲い掛かってくるが、俺は指先を地面に向けてクンッと押し下げる。

 たったそれだけで、魚人達は地面に押しつぶされ無力化した。

 息を吸い、気合を入れる。

 さぁ、始めようか。

 

 

「さっきも言った。……簡単だ。お前を倒せばいい」

 

 

 俺はアーロンを指差し、そう言った。

 




今更ですが頂上決戦以降は単行本持ってないので、話の確認が出来なかったりします。
デッケンって、「悪魔の実の能力者だけど魚人だから泳げる」なんて事は……なかった、はず。
そもそも、まっとうな能力者ではなかった気もしますが。

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