そんなこんなで、海軍基地のある町に到着したのだ。
……なんだよ。
ひたすら海を行くシーンを描写しろとでもいうのか。
そんな苦行は御免被る。
初めて見る軍艦を横目に見つつ、俺達は小型の船を係留できる桟橋に船を横付けした。
桟橋の脇には船を係留するための設備が多数並んでいるが、泊められている船は数隻のみ。下手をすれば、ここに着く前に経由した村々をも下回る数だ。
これから出航するのだろうか、荷物を積み込んでいる商人の姿が見受けられるが、その表情はあまり芳しくない。この町の景気は、決して良いとはいえないようだ。
若干陰気な町の気配を感じながら、俺は久しぶりの地面に降り立った。
遠くには、威圧感のある建物が密集して立っている場所が見える。
あれが海軍基地だろう。
俺達は(主に俺とコビーは)腹ごしらえをしつつ、今後の行動を整理する事にした。
手近な酒場に入り、適当に腹の膨れそうなものを注文する。
まだ日が高い事もあり、酒を飲んでいる輩はあまりいない。
壁の一面は、ニュースペーパーと賞金首の手配書で埋まっている。
俺が勝手に抱いていたイメージと相違なく、酒場には情報が集まる仕組みとなっているようだ。
さて、この町での目的は、コビーの海軍入り、この町にいるという噂のゾロに会う事、もし良い奴だったら仲間に誘う事、あとは補給である。
最後のが一番大事なはずだが、なぜか忘れそうなので気をつけておこう。
「じゃ、この町でコビーとはお別れだな。立派な海兵になれよ!」
腹ごしらえを終えた後、ルフィがあっさりそういった。
ルフィはこういうところドライだよな。
夢を追うためなら仕方が無い、みたいな。
俺とコビーは少しだけしんみりしつつ、最後になるかもしれないコビーと一緒の食事を終えた。
◇◇◇
さぁ、ゾロを探しに行こう。
俺一人で。
……ルフィは、なんか酒場のおっさんといざこざを起こしていた。
まぁ心配は要らないだろう、一緒に旅をはじめたばかりだが、ルフィの性格は把握している。
喧嘩した後、なぜか仲良くなっているのだ。
酒場の親父と肩を並べて談笑するルフィが目に浮かぶ。
心配するだけ無駄だ。
ちなみにコビーは、酒場のおっさんの一撃を受けて(ルフィが避けたとばっちりだ)、ノックダウンした。
ああでも、喧嘩のきっかけはコビーが海軍を褒め称えたせいだった気がする。
なんだ、自業自得じゃん。
さて、町の上を飛ぶのは初めてだな。
上からみると、その町の性格や成り立ちが推測できていろいろ面白い。
この町は、海軍基地を中心に放射状に道が作られている。
唯一、町の北東部分だけが放射状になっておらず、雑然とした空気を出していた。
他と比べると古臭さを感じる事から、おそらく最初は北東側部分のみに町があったのだろう。
その後、海軍基地ができて一気に町が広がった、と。
北東の町並みと海軍基地が海から少し離れている事や、湾の形状から察するに、高潮がおきやすい場所なのかもしれないな。
もしそうなら、高台へ向かう道も整備しておくべきではないだろうか。
お、ゾロはっけーん。
さすがに空からだとすぐ見つかるね。
海軍基地の一番高い塔に隣接する広場に、
たしか、絶食中なんだっけ。
一月の間耐えたら開放だのなんだの。
いや一月とか無理だろ。
俺は、ゾロの腕を拘束している柱の上にひらりと降り立った。
「なんだてめぇは」
「通りすがりの天使ちゃんです」
あ、なんか今の俺、超キモかった。
この体になって約一週間。
順調に心が毒されていっているようである。
「天使ねぇ……まだ天国に行く気はねぇぞ俺は」
そう言ってこちらを一瞥するゾロ。
うお、こいつ目付き悪っ。超怖ぇぇぇぇ!
こんな奴が天国に居座ったら、天使だって逃げ出すわ。
天国の平和のためにも、こいつは天国に行くべきではない。
地獄に落ちろ。
「喧嘩売ってんのか?」
「いえいえ滅相もない。素直な感想です」
俺は翼をはばたかせてゾロを扇ぎつつ、適当に答える。
砂利の地面は太陽の光に熱せられ、相当熱くなっているようだ。
ここに
「ひでえ言い草だ……俺ほど天国に近い男はそうはいねぇと思うがな。そら、今にも即身仏になっちまいそうだ」
キリスト教なのか仏教なのか……いや、異世界だから宗教も別なのか?
そんな益体も無い事を考えていると(天使なんているわけないし、輪廻転生とかありえないだろう。常識的に考えて……いやだから、鏡なんて持ってないって)、周囲にある門の一つが開き、コビーを進化させたような頭をした人がお供をつれて現れた。
なにこの髪型流行ってんの?
「ひぇっひぇっひぇっ。ロロノア・ゾロォ、調子はどうだい~?」
あ、こいつヘルメッポだ。
すごいわかりやすい。
三次元になってもそのまんまじゃないか。
「七光りの馬鹿息子か……調子は、まぁ悪くはねぇな」
悪くないわけねぇだろ。
俺がこんな所に放置されたら、三日で干上がってしまうわ。
「お~お~、強がるねぇ~。しかし、どうやらもう天からのお迎えがきているようだよ~。まだ九日目でこれじゃ、とても一月は持ちそうにないなぁ~。って何かいるぅ~!? 何だお前は!?」
ズガーンという文字が目に浮かぶようなポーズでこちらを指差すヘルメッポ。
え、それどうやってんの?
どうやって文字を背景に表示させてるの?
この人だけ二次元に生きてるの?
すげぇぞこいつ。役者になるべきだ。
「通りすがりの天使だそうだぜ」
「え、何言ってるんですかこの人。天使とかいるわけないじゃないですか」
「お前が言ったんだろ!」
すまん嘘だ。がはは。
「お前……あとで死なす」
怖っ! 睨むとさらに怖いよこの人。
この人をいじるのは金輪際やめておこうと心に刻んだ。
明日ぐらいまでなら印が残っているだろう。
「おいお前! 俺の仲間になれよ」
どーん!! という文字を背景に背負いつつ、ルフィは唐突に現れた。
ルフィ、お前もか。お前も二次元に生きているのか。
「また変なのが現れた……」
ルフィ……ヘルメッポに変なの呼ばわりされてるぞ。
さすがのルフィも、ヘルメッポに変なの呼ばわりされては浮かばれまい。
……あれ、またって何? ルフィの前の変なのってのはゾロの事? まさか俺の事じゃないよね?
「いや、どう考えてもお前だろう」
ゾロに突っ込みをいれられた。そうか、俺は変なのか……
地面に降りたった俺は、ズーンという文字を背負い、orzの体勢になった。
あ、俺も背景に文字背負えたわ。何事もやればできるんだな。
「お前ら、この看板が読めねぇのか~? "罪人に肩入れした者は同罪とみなす。海軍大佐モーガン"。殺されたくなかったら、さっさとどっか行きな」
解釈の仕方によってはツンデレっぽいなこのセリフ。
ヘルメッポのツンデレ頂きましたー。
誰か要るかい?
ルフィとゾロは要らないようだ。
俺も要らない。
ヘルメッポをスルーして会話を続ける。
「いやだ。俺はこいつを仲間にする。やろうぜ海賊!」
「俺の意思は無視かよ」
ちょ、海軍の前で海賊とかいうんじゃねぇぇぇぇ
幸い、ヘルメッポの発言とかぶっていたからヘルメッポには聞こえてなかったみたいだ。
「知るかっ! 俺はお前を仲間にするって決めた!」
「勝手な事いってんじゃねぇ!」
いくら拒否しようが、ルフィ相手に言葉は意味が無い。
だってルフィだもの。
「お前ら、俺を無視するんじゃねぇ! おい、こいつらつまみ出せ!」
「ハッ!」
あ、ヘルメッポの後ろに控えてたガチムチ海兵達が動き出した。
だが、ルフィ相手に力ずくなんてのは意味が無い。
……あれ、じゃあルフィを止めたい場合どうすればいいんだろう。
そんな事を考えている間に、ルフィは海兵達(と、ついでにヘルメッポ)を殴り倒していた。
早ぇなおい。
「ルフィさんは、町の人達からゾロさんの話を聞いたんです。ゾロさんは、町の人達を助けるために戦っている……でも、海軍は、そんなゾロさんを裏切った!」
いきなり背後から声を掛けられた。
コビー、お前か。
ちょっとビビッてしまったじゃないか。
コビーには忍びの才能があるな。
「ルフィさん! こんな海軍、ぶっ潰してしまいましょう!」
手を振り上げ、ルフィを煽る。
どうしたコビー。ぶち切れすぎだろう。革命の火を目に灯しているぞ。
「ああ、わかった!」
いい笑顔で答えるルフィ。
わかっちゃったのかよ。あ、待てルフィ!
ルフィは、文字通りあっという間に基地の中に姿を消した。
"あ"の時点で既に姿が見えなくなってたよ。
……俺はどうすればいいんだろう。
俺が呆然と立ちつくしている間、コビーはゾロの説得をしていた。
「あなた方三人が力を合わせれば、きっと誰にも負けはしません。
お願いです、ルフィさん達に力を貸してください!」
あれ、俺も勘定に入れられている。
そして自分を勘定に入れてないぞコビー。
「……まぁいい。ここでくたばるぐらいならなってやろうじゃねえか。海賊に!!」
てれれてっててー。ゾロが仲間になった!
コビーは詐欺師……いや、交渉人の才能があるな。
◇◇◇
「んで、お前は何ができるんだ?」
拘束を解かれたゾロは、ゴキゴキ肩を鳴らし、体をほぐしながら問いかけてくる。
ちなみに、コビーはゾロの刀を取りに基地の中に入っていった。
今日のコビーはアグレッシブだ。
やばい方向(主に革命軍とか)に進まなければいいが。
ゾロの拘束解く間くらい待ってくれよ。
「とりあえず飛べるのと、力が強い事でしょうか。大抵の人には負けないかと」
あ、もしかしたら不思議パワーで遠距離攻撃もできるかも。
「不思議パワー?」
擬音語を背景に背負う事もできたんだ。
今の俺ならできるかもしれん。
うおおおおおおおおーーーーッッ!
あ、できた。
空に雷球を発生させる事に成功。
「なるほど、たしかに不思議パワーだ」
さらっと流すゾロ。
え。今、俺超がんばったんだけど。
ちょっとぐらい驚いてくれよ。
そんなやり取りをしていると、海軍基地のほうに動きがあったようだ。
「さぁ、俺の偉大さを世に示すんだ!」
微妙にちっさい内容の号令が辺りに響いた後(偉大さ示したいなら自分で示せよ)、俺が作った雷球のそばにある塔の上に、いかついおっさんの像が掲げられはじめた。
そして、その横にはおっさんの像と同じ姿をしたおっさんが!!!
……え、なにあれ苛め? 苛めなの?
あんな姿晒されるとか罰ゲームとしか思えないんだけど。
お、いかん集中が……
「あっ」
乱れた雷球は、避雷針のごとくそびえ立ったおっさんの像に直撃。
哀れ、おっさんの像はおっさんの偉大さを世に示すことなく、この世から消え去った。
おー。石像を消し飛ばすとは、思ったより威力高いな。
人間相手に使わなくて良かった。
……ああ、あのおっさんがモーガンか。
モーガンは、この町を恐怖で支配している海軍大佐だ。
事あるごとに死刑死刑と叫ぶ、死刑フェチのおっさんである。
つまり、先ほど不幸な事故で消し炭になったのは、モーガン像。
原作でもルフィに壊されてたっけ。
ということは、あれか。
これは歴史の修正力というやつか。
あーそれはどうしようもないわー。
運命には逆らえないわー。
「ああぁぁぁあぁぁあぁぁぁーーーーーーッッッ!!!!」
モーガン怒りの絶叫。
こいつ、涙まで流してやがる。
像にそこまでの思い入れができるってすげぇな。
いや、壊したのは悪かったよ。すまん。
でも何だろう。
他のものを壊したのなら素直に謝れそうだが、あの像は壊しても良心が痛まない。
あの像、無いほうが世界が平和になるんじゃないか。
少なくともこの町にモーガン像は不要だ。
変わりに俺の像を建ててくれ。ほら、天使だぞ。
あ、やっぱ恥ずかしいからいいや。
「あの糞共を殺せぇぇぇぇぇ!!」
モーガンは目を血走らせて塔から身を乗り出し、その腕に埋め込まれた大斧を此方に突きつける。
モーガンの号令に続いて、海軍基地から海兵がわらわらと出てきた。
その顔には、恐怖と焦燥が浮かんでる。
俺達に逃げられでもしたら、代わりに自分達が殺されてしまうような状況だからな。
……あれ、ルフィはどうしたんだろう。
海兵達が今出てきた所から突撃していったはずだが。
ああ、迷子なんですねわかります。
「さて、半分は任せた。俺を仲間にしようってんだから、失望させてくれるなよ?」
パシン、と手のひらを拳で打ち付けつつ、俺の横に並ぶゾロ。
あれ、こいつ素手で戦うつもりか。
「九日間飲まず食わずな上に刀無しで、半分倒せますか?」
「抜かせ。これぐらい屁でもねぇよ」
まぁ、ゾロなら平気か。
わかりましたーと返し、俺はゾロを放置して海兵達のど真ん中に空から突撃する。
敵のど真ん中に陣取れば、飛び道具は使えまい。
たぶん当たっても平気だけど、それでも銃は怖いからね。
いきなり自陣のど真ん中に現れた俺にとっさに対応できず、ばらばらに襲い掛かる海兵達。
普段なら統率の取れた行動も取れたかもしれないが、恐怖で支配された状態では烏合の衆である。
ばらばらに近づいて来る敵を、順番にひたすら殴る。殴る。殴る。
この体のスペックが高すぎて、モグラ叩きやってるのと変わらないな。
殴られた人は結構豪快に吹っ飛んでるけど、痛いんだろうなぁ。
でも結構すぐ復活して立ち上がってくる人も多いな。力が弱すぎたんだろうか。
いやでも数メートルはぶっ飛んでるんだけど……
これ以上力をいれて、スプラッタになっても困るし。
微妙に精神が削られる作業を繰り返していると、ルフィが現れ、塔から降りてきたモーガンと戦闘を開始した。
大斧によるモーガンの苛烈な攻撃をかわし、伸ばした足による回し蹴りで周囲の邪魔な海兵をなぎ払う。
「あいつ……! 一体何者なんだ?」
「あ、ルフィがゴム人間だった事には驚くんですねゾロさん」
俺の不思議パワーには驚かなかったのに。
「ふん。たとえ悪魔の実の能力者だろうと……俺の権力の前には! 無力だ! てめぇらには、俺に逆らう権利すらねぇ。俺は海軍大佐だ!!」
「うるせぇ! 何が海軍だ。コビーの夢みた海軍を汚すんじゃねぇッ!!」
戦闘が続くが、終始ルフィが圧倒的優勢だ。これは勝負あったな。
「ゾロさん!」
と、ゾロの近くに刀が飛んでくる。
「てめぇ、動くなつってんだろ!」
見ると、広場の隅で、コビーがヘルメッポに銃を突きつけられていた。
いつの間に。
ゾロの刀を取って戻ってきたはいいが、復活したヘルメッポに捕まってしまったようである。
銃をこめかみに押し当てられ、体を硬直させるコビー。
「僕は……ルフィさん達の、邪魔はしたくない……」
コビーのメンタルがやばい。
既にレッドゾーンに突入しているようである。
早く救助せねば。
「あん? 何ブツブツ呟いてやがる。おいお前ら!! こいつの命が惜しかったら……は?」
俺は銃を引っ掴み、銃口を空に向ける。
100mを二歩で駆け抜ける俺にとって、目で見える範囲の距離など無いも同然である。
哀れ、ヘルメッポは俺の膝蹴りを受け轟沈した。
刀を手にしたゾロは、モーガンの指示でルフィに群がった海兵達を一掃。
直後、ルフィもモーガンを仕留めたようだ。怒りのモーガンは大地に倒れ伏した。
「ナイス、ゾロ」
「お安い御用だ。キャプテン」
あ、なんか今のやり取りいいな。
この二人がやると絵になる。
俺がやってもコントにしかならないだろうけどな。
……ところで、俺まだ海兵倒し終わってないんだけど。
コビーを守りながら戦うのはさすがにつらい。
モーガン倒したら終わるんじゃないのかよ。
モーガンの支配が終わったーうおおおおってなるんじゃないのかよ。
カリスマが足りないのか、俺が呼びかけても海兵達は止まら無い。
「ルフィさん、ゾロさん! こっち手伝ってください。ヘルプ、ヘールプ!」
◇◇◇
さて、お祭りである。
モーガンの支配から開放された町は見違えるほど活気に溢れ、道には臨時の屋台まで出ていた。
モーガンを倒した俺達を一目見ようというのか、やけに人だかりにぶち当たる。
その中を突っ切って俺達は酒場に入り、食事をとる事にした。
ゾロがもう限界だからな。
「はぁ食った食った……! さすがに九日もくわねぇと極限だった!」
たっぷり五人前の食事を平らげたゾロは、満足そうに腹を押さえた。
そしてその横には、十人前を平らげたルフィの姿が!!
「おめぇは何で俺より食が進んでんだよ」
「それより、お二方が魚を骨ごと平らげている事に突っ込みたいんですが……」
あれ、もしかして俺のほうが異端?
いや、骨は食わないだろ、常識的に考えて……
コビーの皿をちらりと覗くが、こいつパンとスープしか頼んでねぇからわからん。
そんなんじゃ強い男の子になれませんよ。
その後、グランドラインに行くの行かないのでコビーと揉めた後、コビーの旅立ち宣言が始まった。
自分の信念に従って、海軍の一員として海を平和に導くらしい。
よかった、海軍に入るみたいだ。
世界を革命の炎に包み込むとか言い出さなくて、本当に良かった。
「失礼!」
と、海兵が食堂に入ってくる。
町を救ってもらった事に感謝はするが、海賊を名乗るものがこの町にいるのは認められないと通知された。
あれ、俺達が海賊だって何で知ってるの?
ヘルメッポの相手をしている時に少し危なかったが、結局ばれなかったはず。
そう思ったが、海兵に反論する酒場のおっちゃんの話を聞く限り、酒場のおっちゃんですら俺達が海賊だという事を知っているようだ。
ルフィ、お前。自分が海賊だって言いふらしてるな。
なんてことしやがる。
町の人たちの大ブーイングを受けつつも、海兵は姿勢を崩さない。
俺のメンタルなら崩れ落ちちゃうね。
さて、海賊だとばれてしまっては仕方が無い。さっさと出発するか。
港に出ると、コビーや町の人どころか、海軍総出でお見送りである。
ルフィが仲良くなった酒場のおっさんなんか、横断幕まで作ってくれている。
いつのまに作ったんだよ。
町の人の声援と海軍の敬礼を受けながら、俺達は海に出た。
……あ、水と食料の補給わすれてたわ。