はがない性転換-僕は友達が少ないアナザーワールド- 作:トッシー00
星奈ストーリー~生徒会長への道~
激動の夏休みが終わり、九月初頭。
夏の暑さが引き始め、気温の変わり目が夏休みの優雅な毎日と決別させるように、学生たちは制服を身にまとう。
この夏休み、たくさんの生徒がそれぞれの休みを堪能したことだろう。
まだまだ先に余裕のある一年生、来年に向けて準備を開始する二年生、受験勉強と思い出作りにと忙しい三年生。
どれもこれもが素敵な夏休みを過ごしたはずだ。その中で羽瀬川小鷹達が過ごした夏休みの一ヶ月は、それぞれのこれからの道を照らし出す大切な日々となっただろう。
仲間たちと過ごした楽しい思い出と、それぞれの苦悩が入り混じった夏休み。最後の最後であのような事件に巻き込まれてしまった夏休み。
人生は楽しいことだけではないということを教えてくれたような、彼女たちの大きな壁となったその日々を、今乗り越えここまで来た。
小鷹は自身の闇を打ち消すことに成功した。
夜空は心の奥で引っかかっていたかつての親友との約束にけりをつけることに成功した。
星奈は改めて自身の弱さを知り、他人と付き合っていく難しさを知り成長した。
苦難を乗り越えた三人。そして今、三人は新たな一歩を踏み出すことになる。
これが終わりではない。否、ここからが三人の始まりなのかもしれない。
聖クロニカ学園の始業式が終わり、三日ほど経ったある日の事。
放課後が過ぎて外はすっかり夜になっていた。
その日星奈は、宿題をやっておらず補習に追われる日々の夜空を近くのファミレスに呼び出した。
「んだよ肉。俺は教師共の拘束を逃れ疲れ果てて帰る最中なんだぞ。その上で今度はてめぇに拘束されんのかよ」
「そんなもんあんたが宿題やってないのが悪いんでしょ。あんな簡単なものあんたなら軽々とできたはずでしょ? 頭いいくせに」
「この世は質より量が物を言うんだよ。あんな多すぎる宿題やってられるかっつの。理事長に宿題の量を減らすように言っておいてくれ」
と、会って間もなく夜空は文句をだらだらと星奈にぶつけまくっている。
ちなみに星奈は簡単だと軽々言っているが、他の生徒からすれば聖クロニカの宿題はかなり難易度が高く、他の学園に比べても中々骨のある内容となっている。
実際クラスで中のちょっと上くらいという微妙な例えが似合う小鷹の学力でも、宿題は計画的にはいかなかったという。
「そういうクレームはあたしに言わないでちょうだい」
「へぇへぇ。んで、俺を呼び出した理由は? 言っておくが入院してる小鷹にどう謝ればいいかとかは無しな。それは聞き飽きたし元からてめぇ自身が考えることだ」
「ち、違うわよ! その、今日呼び出したのは……それとは違う相談よ」
星奈は夜空に指摘されたことを否定しながら、少し引き目にそう声を出した。
確かに始業式の日、星奈は終わるや否や小鷹にどう顔を合わせればいいかと悩みまくっていた。結果的にお見舞いには行けずじまいである。
小鷹に謝るのは退院してからにすることして、どうやら今日はそれとは違う内容らしい。
「相談ね。ダイエットならおめぇの場合腹の肉じゃなくそのでかいマスクメロンみたいな胸の脂肪を落とさないといけねぇな」
「誰がダイエットの相談って言ったのよ!? 違うわよ、つか余計なお世話よ! それにあたしのプロポーションは完璧だから、ダイエットとか必要ないし~」
「すいません、ビッグチョコパフェ一つおねがいしま~す」
「人の話聞きなさいよ! 勝手に注文しないでよ!!」
星奈のどうでもいい話など軽く受け流し、星奈のおごりなのをいいことに夜空は高いパフェを頼む。
そして数分後、パフェとケーキセットが運ばれてきて、夜空がパフェに手をつける。
お互いに注文したメニューに手をつけながら、星奈は呼び出した本題を話し始めた。
「それでさ、学園祭の前にもうすぐ、うちの学校で生徒会選挙があるでしょ? 三年生と入れ替わりで」
「あぁ、そういやぁそんなのあったな~」
星奈が出した話題。それは一年に一度ある聖クロニカ学園の生徒会選挙の話。
この時期、星奈達の上の学年である三年生は受験シーズンに入る。そのため次の生徒会は一年生と二年生へと受け継がれる。
中でも生徒会で最も地位のある役職。それはまぎれもない――生徒会長である。
それを決める選挙がもう時期行われる。
「実はその、あたし……生徒会長になりたいと思ってるのよ」
その星奈の告白に、夜空は眼を見開いた。
「おめぇが生徒会長に? おいおいお前等々学園支配に王手かける気か?」
「違う! 確かにまぁあたしはご覧の通り男子どもを手駒にして女王気取ったりしてたけど……でもそんなんじゃないの!」
夜空の半分冗談めいたその指摘に星奈は軽く憤慨する。
柏崎星奈といえば、学園内じゃ数多くの男子に崇拝されている。付いた異名は『聖クロニカの女王』。
最近はなりを潜めているが、一年の時は学園中を巻き込むほどの一大勢力であったことは記憶にも新しい。
高等部の生徒はおろか中等部の生徒まで巻き込んだ柏崎星奈ファンクラブは、全体の男子生徒八割が加入したほど。
圧倒的な男子生徒からの信頼を得ていた。だがその半面、大多数の女子生徒からは嫌われ、反感を買っていたのも事実。
この聖クロニカ学園は元々女子校であり、星奈が手駒とした男子生徒全てを持ってしても、彼女を嫌う女子生徒の数の方が多いというのが実態である。
ファンクラブを解散し、あまり男子を連れ回さなくなった今でさえも、彼女を嫌う女子生徒は減っていない。
そんな賛否両論の彼女がこの時期、生徒会長になりたいと言ってきたのだ。
その言葉の真意を、夜空が少し真面目な顔つきで問う。
「……まぁその、急にどうしたんだよ?」
「いやその、あたしこの学校の生徒であることは誇りに思ってるし。あたしの力で、この聖クロニカをより良い学校にしていけたらなと思って……」
「……それは何か? おめぇが学園の理事長の娘だからか? その器にいることへの使命感か何かか?」
そう口にする夜空の顔つきは、以外はほどにまじめそのものだった。
星奈自身、最初は笑われるかと思っていた。だからこそ言うことに戸惑いを感じていた。
だが思い切ってみれば、夜空は普段に比べて真面目に、星奈のその目的を見てくれている。そのことに星奈は喜ぶ半面、少しだけ恐れたりした。
そんな夜空のその問は、星奈にとってとても答えにくいものだった。星奈は少し黙った後、今は答えられないのか軽く誤魔化すように話を続けた。
「と、とにかくあたし、生徒会長になりたいのよ! だからその、あんたに協力してもらいたいなって……」
「そうか。だがおめぇが自分から誰かに物を頼むというのも珍しい話だ。それだけ……本気ってことだな?」
「う、うん……」
あまりにも真剣に迫ってくる夜空を前に、星奈はそうこくんとうなずいた。
それを見た夜空は、頭をぼりぼり掻いて、こう答えた。
「わかった。俺でよかったら協力してやる」
「え? い、いいの!?」
「あぁ、"友達"の頼みだ。断れねぇよな」
「夜空!」
その"友達"という単語を聞いて、星奈の表情がぱぁっと明るくなった。
時々反発し言い争いをする仲である自分も、今となっては友達だと思ってくれているのだと、星奈は素直に歓喜していた。
この時星奈は心から、夜空に頼んでよかったと思った。
こうなったら後は自分次第。生徒会長になれるかは自らの心意気にかかっていた。
今でこそ星奈に反発している生徒は数多い。しかし今の星奈は昔とは違う。
過去の過ちと向き合い、今では他人を見下すことをしなくなった。だから今こそ、自分の真意を他人に伝えられると。
そうすればわかってくれると、星奈は意気込んだ。
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数日後。
星奈は生徒会立候補の募集事項に従い、生徒会長へと立候補した。
その後日、九月の中旬。学園中に生徒会役員への立候補表が学校のあらゆる掲示板の張り出される。
その端にはでかでかと、『生徒会長立候補・柏崎星奈』の名があった。
この出来事に学園中の生徒はざわついた。男子生徒達は一斉に星奈への崇拝心をかかげ、星奈が生徒会長になることを望み一致団結した。
だが彼女を崇拝する者たちとは反対に、女子生徒達はその表を見て嫌な顔を見せた。
所々で、「柏崎が生徒会長とかこの学園終わりじゃね?」「あいつが生徒会長になったらうち学校休みまくるわ」「学校の行事全部あいつ一色になるんでしょ? やってらんないわ」等の悪愚痴が囁かれた。
それだけに彼女が生徒達に与えた影響は大きいということ。当然その矛先を一身に受けている星奈自身、今まで通り軽く受け流すことができずにいた。
「ま、そんなもんだろうなぁ。お前が振りまいた種だ。自業自得だな肉」
「そんくらいわかってるわよ。言いたい奴には言わせとけばいいのよ、今に目に物見せてやるんだから」
「…………」
そう強がる星奈を、夜空は流し目で見ていた。
その夜空の表情は、星奈への心配というものではない。どちらかというと呆れ果てたものだった。
何かを言いたそうな表情をうかべながら、約束してしまったのだから仕方ないと、夜空は星奈を手伝うことに。
「まずはポスターを作って貼り出さないといけないわね」
「そのポスターから作んのか? めんどくせぇな」
「ふふん! めんどくさがり屋のあんたがそう言うと思ってすでに作ってあるわよ」
と、じゃじゃ~んと星奈は作ったというポスターを夜空に提示した。
ポスターはパソコンの画像加工ソフトで丁寧に作られている。
星奈のガッツポーズする全体像の上に、『やる気! 元気!柏崎!』と書かれている。
「……さっぶ」
「う、うるさいわね!」
ポスターに書かれている洒落じみたキャッチコピーを見て、夜空がジト目でそう呟いた。
その態度が気に食わなかったのか星奈は少し怒り顔。
「つかおめぇパソコン得意だったっけ? 簡易的とはいえよく作れたなこんなもん」
「ふふん。そこはちょっとアメリカにいるあんたの従妹に作ってもらったのよ」
「理科に? あいつよくOK出したな。あいつお前の小遣いよりは金持ってるだろうからお金で釣ることはできないだろうし、どうやった?」
「あたしの"マル秘コレクション"を理科に譲ることにしたのよ」
「ふ~ん。あいつ好みのグッズをたまたま所持してたってことか。そりゃあ運が良かったな」
「あたしに不可能はないのよ!(まぁその、あんたを盗撮した写真を三十枚ほど。理科すごい食いついてたわね……)」
そんな裏事情など言えるはずもなく。
星奈は作ったポスターを右端から貼り始める。
「ほらぼさっとしてないで! あんたは左端から貼っていきなさいよ」
「はいはいお肉様よっと」
夜空はだらしなく立ちあがり、左の方からポスターを貼っていく。
「にしても、こういう地道な努力って疲れるわね。今までは下僕の男子どもを使ってたからわからなかったわ」
「だが今回はそいつら使わないんだろ? 組織票で生徒会長になっても意味ないってか?」
「そうよ。不正はなし。正々堂々と生徒会長になるわ」
と、己の意気込みを口にしながら星奈は淡々とポスターを貼っていく。
現在星奈は五枚ほど貼った。だが夜空は二枚目を終えたばかり。
自分に比べてずいぶんとおそいなぁと、星奈が催促するように夜空の方に顔を向けた。
「ちょっと夜空。頼んでおいてあれだけどもう少し早々とやってよ」
と、指摘する夜空の方を見ると。
夜空はポスターを張り終えた後、マジックペンを取り出してポスターに『肉』と書いていた。
「あんたなにやってんのよぉぉぉぉぉぉ!!」
この謎の行為に星奈は怒りをあらわにする。
ただポスターを貼りつづければいいものを、わざわざそこに一つ細工(という名の落書き)をしている夜空。
それを問われ、夜空は涼しげな顔で答えた。
「いやあの、ポスターにちょっとインパクトが足りないかなと」
「インパクトじゃねぇよ! 明らかに馬鹿にしてるじゃないのよ!! わざわざ額部分に書く自体わざとらしさ全快じゃないのよ!!」
「馬鹿になんてしてねぇよ。ほらあれだよ? 今年の漢字一文字見たいな。一字で己を表現するとかかっこいいかなって」
「『肉』で何を表現するつもりだおのれは!!」
明らかにいたずら書きなのだが、夜空はうまいように誤魔化し続ける。
当然そんなポスターなど笑い物にされるだけ。星奈は夜空が貼りつけた二枚のポスターを勢いよく剥がした。
「夜空。あたし今回結構本気なのよ? お願いだからおちょくらないでちょうだい」
「わかってるよ。おめぇの覚悟は伝わってるよ。悪魔超人倒すにはそれくらいの覚悟がねぇと」
「わかってねぇだろ!!」
額に肉の某作品を引き合いに出すあたり、完全に遊び半分で手伝っている夜空。
もしかしたら最初から星奈をからかうために手伝いを了承したのか。あの真面目顔もただのカモフラージュだったのか。
先ほどまで抱いていた彼への大きな信頼を失って、星奈は身体をふるふる震わせて作業に没頭する。
「もういいわよ。あたしをからかうなら手伝わなくていい……」
「んだよそんな怒んなよ? あれか? 激おこスティックファイナリアリティぷんぷんサーロインステーキだっけ?」
「微妙にちげぇし! 適当にあたし風に改造すんな!!」
星奈は段階で言うならムカ着火ファイヤーぐらいの勢いでどなり散らす。
すっかり元気を無くしてしまった星奈。そんな星奈を笑って見ながら夜空は声をかける。
「そんな落ち込むな、だが良く考えてみろ星奈。今のお前は無駄に堅くなりすぎている。そんな急に真面目ぶって生徒会長になっても女子は誰もおめぇを支持してくれねぇぞ」
「というと?」
夜空の言葉の意味が今一つ理解できなかったのか、星奈はそう聞きなおす。
「生徒会長に必要なスキルは真面目さだけじゃねぇ。ユーモアだ。型物だけじゃ人を仕切ることなんざできねぇのよ」
「ユーモア?」
夜空が言いたかったことは、真面目ながらも他の生徒を楽しませることのできる器が必要ということだった。
確かに人の上に立つ人間は、他の人たちの特徴などを良く捕え、時には仲間と笑いながら組織を大きくするものである。
仕事には厳しさと同時に笑いが無くてはならない。夜空にはそのような思いがあった。
「おめぇはプライドが高いからあまりいじられたがらないが、生徒会長っていうのは上手く相手をいじったり、いじられることへの態勢も必要だ。TV番組の司会者なんかもそれだな。他人を扱うならまずは自分をさらけ出せということだ」
「な、なるほど。あんたにしてはずいぶんと全うな意見ね」
「ってことでほら、なんか一発芸やってみろよ」
急にそう振られ、星奈は困惑する。
いきなり一発芸をやれと言われてできるほど、星奈は芸人していなかった。
だがどうにか考えて、星奈は知っている範囲でのお笑い芸人のネタを披露する。
「る……ルネッサ~ンス!」
「……ふる」
「う……ううううるっさいわね!!」
そのネタの古さ、そして思いっきり滑ってしまい。星奈は顔を真っ赤にする。
夜空はずいぶんと久しぶりに聞いたなと、懐かしながらにそう口にした。
星奈自身あまりテレビは見ない。なので知っているのは少し昔のネタくらいである。
「せめてそこはかしわざきカッターのほうがよかったんじゃねぇか?」
「そんなこと言われても……」
「ったくこれだから庶民に興味のないブルジョアは。もっとこう、『星奈の最近は~、※※※ばっか~』とか」
「あんたの方が古いわよ!! つかそんなこと言えるか!! めんまでさえ言わないわよ!!」
そう指摘した夜空の方も、あまりテレビ番組には関心が無かった。
おまけに最低な下ネタに改造する始末。どうやらユーモアの件は二人では無理そうだった。
「お笑いは駄目だな。まぁ型物のお前にユーモアどったら言ってた俺がバカだった」
「そこまで言われるのあたし……」
「ま、俺の知ってる生徒会長が化け物すぎるだけかもな。あいつと他を比べたら価値観がおかしくなりそうだ」
夜空がその生徒会長の単語を出した途端、急に星奈の顔色が変わった。
その単語に記された人物を、星奈は良く知っていたからである。
「……その生徒会長って、"日高日向"のこと?」
「そうだよ」
「……気に食わないわね」
「どうした急に?」
星奈はその人物のことを、良く思ってはいなかった。
というのも、こんないきさつがあっての事である。
「去年、そして今年と。この地区の全学年模試であいつに負けてるのよ。900点中895点であたしは二位。だけどその日向は満点の900点で堂々の一位」
「ふっ。当然だな」
夜空のその発言に、星奈はさらに顔をしかめた。
「何が当然なのよ? このあたしを超えておいて当然で済ますわけにはいかないのよ」
「なんだお前? その言い方だといずれ日向に勝てるとでも言うつもりか?」
「当たり前でしょ。あんなやつすぐにでも……」
「軽々しく日高日向に勝てるなんて言うな、バカが」
急に、真剣な口調でそう発言する夜空。
その言葉に、思わず後ずさりする星奈。
どうしてそんなことを言うのか、そして何をそこまで彼に言わせるのか。
それが星奈にはわからなかった。
「な、なによ急に?」
「模試の点数だけ見ればたかが五点。それだけだとあとほんの少しで勝てると思うのも無理はねぇ。だが……」
「だ、だが?」
「もう少しで勝てるとか、そんなんじゃねぇ。おめぇと日向じゃ"勝負にすらならない"んだ」
それを聞いて、星奈は心から心外だと、表情を強張らせる。
だがそれ以上に、夜空のその言葉の説得力の高さが、彼女を恐怖させる。
他の誰かが言っているならば口だけだろう。だがそれを、あの三日月夜空に言わせること自体が彼女にとって大きすぎる武器と感じた。
「……いったい何者よ? 日高日向って」
「う~ん。お前が超人とするなら、日向は人外。人を超えたお前でも、人から外れた日向には勝てねぇのよ」
「あんたがそこまで言うってことは、よっぽどってこと?」
「まぁ……あいつは"人間じゃない"から、俺たち人間が到達できる範囲は余裕で超えてみせる。人間の俺らじゃ勝てるはずがないってことだな」
「……夜空、小鷹の妹みたいなこと言って誤魔化さないでよ」
「ははは。"本当の話"……なんだけどな」
そう言い終わると、夜空はくだらない話をしたと言った具合に、背伸びをしてポスターを貼り始めた。
星奈も煮え切らない気持ちを残しながらも、気にしてはいけないとポスターを貼り始める。
その後星奈は玄関先で演説をしたり、公約を掲げて学園中を回ったりした。
彼女なりに生徒会長になりたいという一心で、初めてここまで努力をしたような気がした。
徐々に彼女の頑張りが生徒達を動かした。だが、彼女に反発する生徒がそれを凌駕していたのだ。
生徒会選挙の日が迫る、ある日の事。
「……」
星奈が自分のポスターが貼ってあった場所へとやってくると。
そこで彼女が見た光景は悲惨なものだった。なんと彼女のポスターにはいたずらを超えた範疇の落書きがされていたのである。
星奈の顔の部分を黒く塗り潰されていたり、「死ね」という言葉を皮切りに、多数の中傷的な言葉の数々が書かれていた。
こういったポスターはよく落書きなどをされるものだが、彼女の場合他の生徒に与えている影響が大きすぎていたのだ。
数ヶ月前の彼女ならば、こういった中傷などは庶民の戯言だと、弱者のやることだと足蹴にし笑っていただろう。
しかし今になって彼女は、その今まで笑っていた者たちと一緒に頑張っていこうと決意したばかり。
それ故に今まで気にしていなかった他人の自分に対する批判を一身に受けてしまったのだ。この時ほど、星奈は傷ついたことはなかった。
「あ~あ……こりゃひでぇな、油性マジックやスプレーで。何がミッションスクールだ、名ばかりで神を冒涜してるクソ共ばっかじゃねぇか」
そう軽い口調でその光景に対し述べる夜空だが、内心は怒りに震えており、所々言葉に毒が混じっている。
だが彼自身が怒りを覚えようとも、隣で唖然としている星奈をどうにかできるわけではない。
「ま、気にすんなよ肉。こういうのは気にしたら負けってやつだ」
「……」
「あ~。そういえば次期生徒会長さんにお願いがあったんだわ。食堂のメニューにサーロインステーキ重追加してくれよ、ボリュームあるお肉が食べたいぞ。バンバンッ!」
「…………」
と、夜空は落ち込んでいる星奈をからかってみたものの、効果はまるでない。
いつもならそこで鋭いツッコミが飛んでくるのだが、今日の星奈にはそんな元気はない。
そして気持ちの悪い間が数秒流れた後、星奈は無言で壁へと歩いて行き、落書きされたポスターを剥がしていく。
「こんなポスターじゃ宣伝にならねぇわな、さっさと剥がして新しいの貼るぞ」
「……もういい」
「んあ?」
そう、意気消沈した星奈が呟いた。
そして最後のポスターを剥がしたところで、星奈は涙を潤ませながら弱弱しく言った。
「所詮無理だったのよ。あたしの今までの行いをちゃんと顧みればわかることだったわ。このあたしが生徒会長? ばっかみたい」
「……」
「ごめんね夜空。くだらないことにつき合わせちゃって。今度ちゃんとお礼するから。後は……あたしだけでやるから」
「……本当に、それでいいのか?」
そう、諦めを見せた星奈に対して、夜空がファミレスの時のような真剣な表情で問う。
その迫る夜空の問いに、星奈は元気のない返事をする。
「うん、いいのよ」
「……お前にもう一回だけ、この質問をしてやる」
「?」
そう夜空は、前にファミレスでしたあの質問を口にした。
「おめぇが生徒会長になる理由ってのは、おめぇが学園の理事長の娘だからか? その器にいることへの使命感か何かか?」
「……それは」
「仮におめぇが、「理事長の娘である自分こそ生徒会長にふさわしい」なんてくだらない発言をするんなら、所詮おめぇはそこ止まりだ。そんなやつに……生徒会長なんざ任せられるわけがねぇ」
夜空にそう厳しい一言をもらい、星奈は何も言えなくなり黙りこむ。
この時いつものように彼女が言い返せなかったのは。心のどこかで、夜空の言った通りのことを思ってしまっていたからだったのかもしれない。
表では生徒としての誇りを掲げていても、結局どこかで星奈は、理事長を後ろ盾にしていたのかもしれない。
そう星奈が考えた時、自分は改めて、この生徒会長選挙を甘く見ていたことに気がついた。
「いいか星奈。地位や権力だけで人を動かす奴なんかにな、ろくなやつはいねぇんだよ。そんな腐った甘ちゃんが大勢の人を統べるもんなら、そいつに従った大勢の人たちまで腐る」
「夜空……」
「お前は確かに"力"がある。だがな……その力に頼るだけじゃ何も変えられない。力は人を歪ませる。力に魅せられた奴はそれに溺れて、それが通じなくなったら何もできなくなっちまうんだよ」
そう、その言葉は夜空だけのものではない。
その言葉の奥底には、彼の大切な親友である羽瀬川小鷹を乗せたものでもあった。
夜空も小鷹も、かつては己の手に入れた力に溺れ、間違った使い方をしていた。
そして今、その星奈でさえもその力に溺れそうになっている。夜空はこの生徒会選挙の話が出た時、前から感じていた星奈に対する不安を意識していたのだ。
星奈が己の力に対する考えを誤れば彼女の野望はそこで潰える。だが星奈が自分たちのように答えを出すことができれば、念願が叶うかもしれないと。
夜空はそれを星奈に賭けていた。その結果夜空の抱いていた不安通り、今星奈が己の力の間違いとぶつかってしまったのだ。
「言ったはずだ星奈。今度はお前が挑戦者なんだよ。この生徒会選挙、お前は理事長の後ろ盾は使えねぇ。まぎれもねぇお前自身だけで勝負しなきゃいけねぇんだ」
「……」
「そこでお前が折れれば、お前が今まで馬鹿にしてた弱い庶民と同じになる。あいつらはお前に勝てねぇから姑息な手を使って足掻いていた。お前は……そいつらとは違うんだろ?」
「……あたしは」
「お前は証明しなくちゃならねぇ。柏崎星奈はけして何事にも心の折れない、誰にも勝ちを譲らない絶対的な存在だということを。今まで女王気取って好き勝手やってたんだ、それくらいやってもらわないと俺が困るんだよ」
「夜空……」
その夜空の言葉の数々に、徐々に落ち込んでいた気持ちが晴れていく。
ここまでのことを考えてくれる大切な友がいると、星奈は改めて認識する。
今度は自分が挑戦者。今までたくさんの者たちの敵となってきた自分が今、聖クロニカ生徒全員に立ち向かう側になる番。
今まで理解しようとさえ思わなかった者達を、自分から理解しなければならない。
今まで自分が築き上げてきた頂点の座を、瓦礫の山を崩してでもやらねばならないこと。
それらを考えてみると。この生徒会選挙は彼女にとっては予想以上の壁であり、途方もない努力と覚悟を要するものだった。
それを思い知り今、彼女に再度答えが求められる。
「ま、それでも生徒会長になるのを諦めんなら俺は止めねぇ。友達が大衆の前で赤っ恥をかくのは見るに堪えないからな」
「……余計なお世話よ」
「あん?」
「ふっ。なんか情けなくなってきたわ……そこまで言われてこのあたしが背中を見せて逃げるですって? 笑わせんじゃないわよ」
そう言って、星奈は持参してきた鞄から大量のポスターを取り出す。
そして夜空を見て笑う。さきほどの涙で潤んでいた眼が嘘のように光に満ちていた。
「今日はポスター百枚貼るわよ! 手伝いなさい、夜空!!」
「はは、人使いの荒いこったな……」
こうして星奈は再起した。もう折れることのない、不屈の精神が彼女を包み込む。
その星奈の姿を見て、夜空は無意識の内に小さく笑う。
その日はポスターを百枚貼った。次の日には二十枚ほど落書きされていたが、星奈は怯むことなく二十枚貼り直し、更に傷ついた気持ちを表に出すまいと、全力で構内を駆け回り演説をした。
何日も彼女の努力に泥を塗られたが、日に日にその悪戯は数を減らしていた。それだけ、彼女の生徒会長になるという野望が生半可なものではないということが、他の生徒に伝わったのだろう。
そんな日々を繰り返し。来る生徒会選挙当日。
この日聖クロニカ学園の体育館には、高等部の全生徒が集まっていた。
生徒会長になるためには、投票での支持率を八割以上獲得しなければならない。
一定の支持率を下回れば今後の生徒会長立候補は不可能となり、副会長に当選した者を生徒会長にするという形で収まる。
星奈の場合、男子生徒が全員指示したとしても最高で四割八分。つまり彼女が生徒会長になるためには多数の女子生徒の支持が必要となる。
ほぼ全員の女子生徒を敵に回していた彼女に、八割以上の支持率を叩きだすことができるのだろうか。
『それでは。生徒会長候補、柏崎星奈の演説が始まります』
前期生徒会長のアナウンスで、襷を掲げた星奈が体育館の壇上に立つ。
それを夜空と小鷹が真剣な眼差しで見やる。
「さてと、始まったな……」
夜空は見せてもらおうとばかりに腕を組んだ。
やることは全てやった。後はこの演説に全てがかかっている。
「……ごほん。み、みなさんこんにちは。生徒会長に立候補した柏崎星奈です」
星奈は少し緊張しながら、最初の挨拶をすませる。
流石にこういった大舞台で野次が飛ぶことはないが、周りを見ると女子生徒の表情が歪んでいる。
星奈を輝かしい目で見る男子生徒達とは雲泥の差。夜空と小鷹は少しばかり不安げになる。
「え~とその。まず一つ、私がどうしてもみなさんに言わなくてはならない一言があります」
と、これは星奈が前に練習していた台本には無かった台詞。
夜空は何を言い出すのかと眉をひそめる。そして……。
「その……。この一年と数ヶ月、あたしのバカな振る舞いでみんなを不快にして……本当にごめんなさい!!」
そう、星奈は深々と頭を下げ、全校生徒に対し謝ったのである。
これには夜空と小鷹ないし、ほぼ全員の生徒が驚きを隠せずにいた。
あの柏崎星奈が誰かに謝る。ましてや生徒全員にだ。この行為が、彼女を嫌悪していた生徒を戸惑わせる。
「……私は去年、理事長である私の父の権力を後ろ盾に、とても下品な振る舞いをしていました。そのことで嫌な想いをした生徒も数多いでしょう」
自分の行いに対し真剣に向き合い、そう発言をする星奈。
「そんな私が今、こうしてこの学園の生徒会長になるべくこの檀上に立っている事自体が、愚かしい行為であることは自覚しています。ですがそれでも、あたしはこの檀上に立つことを選びました」
徐々に、生徒達が彼女の演説に見いっている。
男子生徒はもとより、女子生徒の表情も嫌悪から真剣なものへと変わりつつあった。
「――今私が生徒会長になろうと思ったのは、けして私が学園の理事長の娘だからというわけではありません」
「――私はこの学校の一生徒として、聖クロニカ学園を誇りに持つ生徒として、この学校をより良きものへと変えていきたいと思ったからです」
「――着飾った言葉だと受け取られても仕方が無いことかもしれません。でも私がこの学校が好きであるという気持ちに嘘偽りはありません。じゃなければ、この場には立っていません」
「――これから先、私はみなさんと一緒にこの学校を良きものにしていきたいと思っています。生徒会長として、私は……」
と、星奈が演説をしている最中だった。
突如一つの女子グループが星奈に対しどなり散らす。
「ふざけるな柏崎!!」
「あんたあたしらをどんだけ侮辱しまくったと思ってんのよ!!」
「庶民だの下品な連中だの言いまくっていたくせに、いまさら善人面したって遅いのよ!!」
「あんたのせいであたしの彼氏はおかしくなったのよ! あんたに貢ぎまくったバカな男子共をあんたは真剣に見たことあるの!?」
等々痺れを切らした女子生徒達が大舞台であるにもかかわらず野次を飛ばす。
それに対し、今度は男子生徒達が反論し始めた。
「ふざけてんのはてめぇら女子だろうが!」
「てめぇらあの星奈様があそこまで言ってんだぞ!!」
「それをわかってあげられねぇてめぇらの方がよっぽど悪人だろうが!!」
「要は嫉妬だろ? 星奈様の素晴らしさに勝てねぇからってふざけんじゃねぇよ!!」
男子と女子、両方が天地二つに分かれる。
生徒会選挙という場面にもかかわらず、生徒達はそう騒ぎたてる。
それを止めようと教師たちも動くが、生徒達は収まらない。
かたや星奈への侮辱、もうかたや星奈への崇拝。
それらで入り乱れる混沌としたこの場面を見て、小鷹は軽く舌打ちをする。そして……。
どがしゃあああああああああああああん!!
「!?」
突如体育館で大きな音が鳴る。
音の先を見ると、そこにいたのは小鷹だった。
この状況に対し本気でブチキレた小鷹が、体育館の床を思いっきり踏んでへこませたのであった。
「少し……黙れ」
そうドスの利いた声色で小鷹が口を開いた瞬間、全生徒が嘘のように静まり返った。
隣にいた夜空は、その小鷹を見て軽く怯む。
「小鷹。せっかく消えかかってんだからあんまり怪力使うなよ……」
「ごめん、マジで頭にきたから……」
夏休みの一件で消失しつつある怪力の断片を使い、この場を落ち着かせた小鷹。
そして少しの間が流れる。この流れには星奈も流石に答えたか。
夜空自身も半分諦めていた。むしろここまでよくやったと、星奈を褒めたいとさえ思っていた。
もう十分だと、夜空がそう思った時。壇上の星奈が口を開いた。
「……なら今度は、私があなた方へ挑戦するわ」
そう強気に、立ち向かうような眼で女子生徒を見つめる。
その強い瞳に、女子生徒達は軽く竦んだ。
「――先ほど私が言った言葉の数々が嘘なのかどうか、今度はあなたたちが判断してください」
「――その際に私は何があろうとも、今までのように権力をふるったりはしません。今度からは私個人の力で、大勢の人たちに向かっていきます」
「――あなたたちと同じ景色を見ていきます。もう私が理事長の娘なんて一切関係ありません。私は……あたしは!!」
そう言葉を溜め、星奈は大きく叫んだ。
「聖クロニカ学園高等部、二年三組の生徒、柏崎星奈です!! 今後あたしは"この学園の生徒"として、あなた達と共に……前を進んで行きたい!!」
そう叫ぶ星奈に、嘘偽りなどなかった。
誰も認めようとしなかった彼女が今、今まで見下してきた者たちと同等であると、高らかに宣言したのである。
今後自らの存在を判断するのは他の生徒達。今後は理事長の娘という権力も通用しない。
残ったのは柏崎星奈という個人だけ。そう……彼女が選んだ道もまた、力を捨てることだった。
もしこれから生徒会長になるのなら、彼女は一文無しになる。培った能力を使うのも己の技量次第となる。
その覚悟を星奈は示した。いや、その言葉だけで、充分すぎるものだった。
「…………」
星奈の演説が終わり、体育館に沈黙が流れる。
ただ何もない、静寂が流れる。これで認められないのなら、それでも構わない。
星奈に悔いはなかった。今度こそやるべきことを全てやり終えたのだ。
何も起こらないまま、星奈は壇上を下っていく。拍手など似合わないと、無言で去ろうとする。その時だった。
――パチッパチッパチッ。
小さく拍手が聞こえた。
星奈が見やると、夜空が眼をつぶりながらだらしなく拍手をしていた。
続いて小鷹も拍手をする。すると……。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!
どんどん拍手の音は大きくなり、男子生徒全員に加え、女子生徒の大勢も拍手をしていた。
この光景に、星奈は眼を見開く。そして、自然とその表情に、静かな喜びの涙が添えられる。
「あ、ありが……とう……」
そう震えながら言い、星奈は最後頭を下げ、壇上を去って行った。
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色々あった生徒会選挙、結果的に星奈は八割以上の支持を受け、生徒会長に当選した。
この日、聖クロニカの生徒会長、柏崎星奈が誕生したのだ。
「生徒会長……か」
後日、玄関前の掲示板に華を添えられている自分の名前を見てそう呟く星奈。
「よっ、生徒会長さん」
後ろから、そう陽気に声をかけてきた夜空。
その傍にいる小鷹も、星奈の生徒会長当選を喜んでいた。
「夜空その、今回は本当にありがとう」
「なにがだ? 今回はお前が頑張ったんだ。俺は力を貸しただけで、大体はお前の成果だ」
「んもう、かっこつけないでよ」
そう冷めたように言う夜空に、星奈は改めて感謝の表情を浮かべる。
「……星奈。わかってんだろうな」
「え?」
「もうこの先は、お前一人の勝負だ。将棋で例えるなら、持ち駒を全部使い果たしたようなもの。その状態でおめぇは、相手の駒を仲間にしてかなきゃなんねぇ」
「……夜空、わかってる」
「それで今度、理事長の娘がとか逆らったら退学とか言ったら。わたしが星奈をぶん殴るからね」
「小鷹、それは怖いわね……」
そう友の二人の言葉に後押しされ、星奈は生徒会長の座を背負い歩み始める。
「見てなさいよ。まずは大型イベント学園祭、他の学校なんか目にならないくらいの一大イベントにしてやるわ!!」
「はは、張り切ってるな生徒会長。あぁそうだ、サーロインステーキ重を忘れんなよ」
「それマジだったの!? んなもん追加するか!!」
どうやら食堂にサーロインステーキ重を追加する要望は意外と本気だったようである。
それを撤回された夜空は、軽く冗談半分でこんなことを言った。
「そう言えばおめぇ、今度お礼するとか言ってたよな~。せめて何か一つ生徒会長権限で俺の願い叶えてくれよ」
「……じゃあ最高のお礼をあげるわよ」
「え? 何を……!?」
最高のお礼と言って星奈は、夜空の頬にキスをする。
キスされた夜空はというと、頬に手をやり、顔を赤らめて戸惑う。
「て、てめぇ……」
「あはは! これ以上に価値のあるお礼がどこにあるのよ!?」
「アホか! お礼に入るかこんなもん!!」
夜空自体は当然満足していない。
そんな二人を見て、隣の小鷹がからかうようにこう言った。
「あはは、よかったね皇帝~」
「小鷹……よくねぇよ」
「でも唇じゃないだけマシでしょ。唇は……あなたからしなさい」
そう言い、最後に星奈は夜空にこう耳打ちする。
「肉?」
「……あたし、負けるつもりないから。小鷹にも……日高日向にもね」
そう囁いて、星奈は笑顔で教室の方へと一足先に向かった。
「なに言われたの?」
隣にいた小鷹にそう聞かれ、夜空が困りながら答えた。
「……あいつの次の野望だ」
そう、星奈の野望はまだまだ終わっていない。
彼女は今、新たなスタート地点に立ったばかりだ。
これから先、彼女の本当の勝負が始まる。
柏崎星奈の……挑戦者としての果てしない戦いが待っているのだ。
はがないNEXTDVD一巻の表紙が星奈ということで、最初の特別編は星奈をメインとした話です。
本編は終了してしまいましたが、感想や評価のほうはまだまだお待ちしてますよ。みなさんよろしくお願いします。