台詞のみで展開するヤツ。

数多ある世界を管理する天界。
そのとある空間では、数奇な縁で世界を跨ぎ、転生する者について審査が行われていた。

サナ 37番天使 ♀
 金髪ロング、碧眼、褐色肌。
 羽根はキャストオフして人間の服を着ている。
 ノリは軽めであまり執着しない。
 基本、面倒臭がるも、やってみると楽しくなってくる。

シオ 40番天使 ♀
 黒髪ショート、貧乳、眼鏡。
 青を基調とした指定制服をパリッと着用。
 根が真面目で堅め。
 内心では世界を少しでも良くしたいと思っている。

マルコス 人型ダチョウ ♂
 女神が気まぐれに力を与えたダチョウ。
 燕尾服にシルクハットと片眼鏡。
 人と足して2で割ったような外見。
 高い知能を持つが、実は一番テキトー。

一見してダラダラと話す二体と一羽が、世界の行く末を決める?


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第一回

「――じゃ、次行こっか。マルコス?」

 

「では……ロットナンバー1、川森ダイ、性別は男。ほぉ……16歳……高校は進学校に通い……部活動はサッカー、学業成績も極めて優秀……これは好感の持てるストロングスタイルですなぁ……」

 

「っ……身体能力強化もB+ですね」

「ってことは、序盤はサクサクって感じかも。えっとぉ……世界は……第四かぁ……」

 

「なので、能力はソウルになりますね」

 

「それは重畳……して、肝心の行先は……2321世界……」

「四桁の2000台かぁ……一応、ギリ王道系ファンタジー、なのかな……どんなトコ?」

 

「…………とても、寒い所のようです」

 

「何処かで耳にしたような……サッカー部は、寒さに強い」

「あー、アタシも聞いたことあるかも。逆に野球部は寒い時に外出んの苦手、みたいな」

「っ……サッカー部の逆が何故野球部になるのですか?」

 

「は? いや……知らんけど?」

 

「私は特に引っ掛かりを覚えませんでしたが? もし仮に、サッカー部の逆は何部になるかと全校生徒に尋ねて回れば、野球部が最も得票数を稼げるように思えますがねぇ」

 

「………………そのようなデータは、どこにも見当たりません」

 

「で、シオ的にはサッカー部の逆って何部なの?」

 

「サッカー部に対義語はありません……いえ、もう結構です。後、サッカー部だからと言って、寒さに強いというのも、単なる個人差に過ぎないかと」

 

「ま、確かに折角転生するなら温かいトコのがイイよねぇ……」

 

「おぉっと……重ねて確かに、発現するソウルは風ぇ……寒い中で風など起こしたら……それはもう……」

 

「吹雪だねぇ……現地の知的生命体って、人間?」

 

「ぅーむ……ですなぁ……アンドロイドも散見されますが……現地の方々からは、不評やもしれませんなぁ」

 

「うわっ、寒っ……みたいな?」

 

「……転生先において、苦労するパターンが考えられるという点では、同意します。一旦……次の方は?」

 

 

「はい。ロットナンバー2、越水無月リアクト……ほぉ……性別は男」

 

 

「コシミナヅキ……しかもリアクト……リアでもアクトでもなく……リアクト……最近だと一番のパンチかも」

 

「ハァ……再三、再四ですが、名前から話題を広げるのは無意味です」

 

「いやはや、名は体を表す、とは言ったものの、以前いた火野君は氷の能力でしたからなぁ……それこそ、逆にという話でしたなぁ……」

 

「そう考えると、氷よりは風のがマシかもね」

「かもしれません。リアクトさんの基本情報をお願いします」

「では……おっとぉ……御年54歳……正に転生と呼ぶに相応しい……」

 

「リアクト54歳……そろそろっぽいご両親も、その名前にしたことを後悔してたりしないかなぁ……」

 

「軽く覗いてみたい衝動にも駆られますが、54歳に寒冷世界は……どうにも……冷えは腰にきますからなぁ……」

 

「えっと、身体能力強化は、Cって……まぁ及第点ではあるんだけど」

 

「単純に、その年齢で転生者に選ばれているということは、かなりバイタリティのある方だということは間違いありません。肝心の、ソウルについてはどうでしょうか?」

 

「またこれは中々に私好み。素材を創造する能力です」

「うん? 創造って、どゆこと?」

 

「ふむ……出す、ということで」

 

「へぇ……凄くね? 伝説の素材とか出したらもう無双じゃん」

 

「おぉっとぉ……注釈がもの凄い情報量…………うん? 一番下まで行っての最後の欄……0.00000000000000000003%の確率で、女神の毛髪が出ますぞ……」

 

「えっ!? マジか!? 何でも叶うヤツやん……てか、アタシらも元はそれっしょ?」

「いえ、私とサナを創造したのは女神の陰毛です。明確に違います」

 

「いや、何かこっちが上みたいなニュアンスだったけど、位置的には下じゃね?」

「より生命を感じさせるという点においては、こちらに分があるかと」

 

「いやはや……何にせよ、文字通り無限の可能性を秘めたソウルですな」

 

「うーん……げっ、マジで注釈の量が鬼畜っ……てか、1時間に一回だから、オールすれば一日に24回使えんだね。おっ、しかも割とな確率で藁出るし。藁あれば寒さ凌げるっしょ?」

 

「この膨大な量から藁をピックアップしたことは伏せるとして……いみじくも、暖を取る上で適切な素材は……それなりに散見されますなぁ」

 

「……川森様に比べて、初動の安定性という意味では、不安が残ります。それで、最後の方は?」

 

 

「ロットナンバー3、木野イモコ」

 

 

「イモコ……あれ? コマチは女の子だけど、イモコって男の子だっけ?」

「何の話をしているのかは不明ですが、この方は女性です」

 

「26歳……ほぉ、これは所謂、無念系、ですな。彼女は生前、熱心に婚活をしていた……」

 

「うわぁ……それが実った直後とか? けど、コッチ目線だと、割とそういうの多いんだよねぇ……」

 

「実る? と受け取れる記載は皆無ですが、イモコさんは腐らず、高いモチベーションを保ったまま……うむ……それはまた」

 

「……身体能力強化は、同じくC、ですか。ソウルは……」

 

「む? 構えておりましたが、これは説明が非常に短い……老体には助かりますなぁ。しかし……ローリングエルボーがクリーンヒットすれば……相手は死ぬっ……何とトリッキーな……」

 

「凄っ……エルボーが決まれば魔王もワンパン……」

「アラサー女性の肘撃ちによって倒れる魔王……前例は、無さそうですなぁ」

「…………はい。史上初となります。ですが、26歳をアラサーというのは不適切かと」

 

「その指摘は逆にちょっと煽りっぽいけどねぇ……」

 

「言葉とは常に、受け手次第……さて……今回も出揃いましたが……素行を深めますかな? 人間誰しも、神が驚くようなエピソードを備えているという……」

 

「アタシはやっぱリアクトかなぁ……何かやってくれそうな気がするし」

「っ……その友達みたいな言い方止めて下さい。我々は、常に中立を保つべきです」

「それは道理。だがしかし、私も個人的に、リアクト推しは揺るぎませんなぁ」

 

「……現時点で彼とするならば、選定理由が名前のパンチ力になってしまいます」

「ガチな話、結構重要だと思うんだけどなぁ……」

 

「とは言っても、名前に優劣を付けるのは憚られますなぁ。して、ここまでを俯瞰するならば、正統派な若者、一発逆転素材ガチャ、当たれば天使も屠る一撃必殺……カードの質としては、悲観する程でもない……」

 

「あ、そっかぁ……爆死しまくるとリアクトキツいかぁ……マッチ売りのリアクトとかんなったら嫌だなぁ……逆にイモコさんは……コレって、無生物の破壊もOKな感じ?」

 

「なるほど……ふむ、現状では不可。しかし、ソウルには練度による向上が……つまり、可能性は否定できない、と言った所ですかな」

 

「……動画で確認しましたが、ローリングエルボーを実戦の中でクリーンヒットさせるのは、中々に至難の業かと」

 

「え? けど、カウンタ―で出せば割と当たりそうじゃね?」

 

「達人が用いているからこそ、そう見えるのでしょうな。故に、彼女に求められるのは、それを当てるための創意工夫……ほぉ……乾布摩擦をするが如く、極寒の朝に肘を振る彼女の姿が、目に浮かびますなぁ……」

 

「それが浮かぶと、ちょっと彼女じゃない気がしちゃうけどなぁ……」

 

「……それには同意します……あの、二人からすれば、捻りがないように思われるかもしれませんが、やはり川森様はどうでしょうか? 身体能力強化が最も高いですし、学校生活において、担任の先生からは誰とでも仲良くなれる高い社交性を持つと評されています」

 

「確かに、好青年であることは揺るぎない。直近のバレンタインにおいて受け取ったチョコレートの個数は……無数の義理に加え……何と後輩女子から本命を3個……転生せずとも、十分漫画のキャラクターで通用しますぞ」

 

「誰もがそうですが、惜しい方を無くしましたね……」

 

「ふむ……どうしたものか……彼が学友として申し分ないことについては概ね納得できますが……老婆心から想像するに、高い社交性には、落とし穴があるやもしれませんなぁ……」

 

「どんな?」

 

「無事転生を果たし、事情説明を受ける川森ダイ……心証は良好、寒さにも負けず、冒険へと繰り出す……しかし、彼の高い身体能力強化は時として……」

 

「……油断に繋がる、と?」

 

「あくまで、可能性ですがね。少なくとも、彼の長所は慎重さとは共存し難い……熱を以てサッカーに取り組んできたのなら、謙虚さを備えていても不思議ではありませんが……場合によっては……」

 

「あー、中盤の序盤? 何か変な感じでいきなり敵強くなって、初見殺しとエンカウントして事故死とかあるかもかぁ……」

 

「っ……それは、実例も、無視できない程度にはある話、ですね……」

 

「うーん……けど、チュートリアルあってもいきなりじゃちょっと大変だよねぇ……十人いたら十人が、転生とか言われてビックリな訳だしね」

 

「加えて、一度決定されたチュートリアルOFFがONに変わることはなかなか……実際、神様方の負担も、相当なモノですからなぁ……」

 

「何か、四人に一人はガチでキレるんだよね? ま、しょうがないとは思うけど」

「激怒率が24%なので、そうですね」

「半ギレも加えるなら、実質4割ですか。キレる十代とは、よく言ったものですな」

 

「あれ? キレる中高年、じゃなかったっけ?」

 

「ハァ……誰であっても、急に面倒事を押し付けられれば憤ることはあります。年齢や性別は関係ありません……ではなくて、システムに文句を言っても始まりません。ですが、そうなりますと……越水無月様、ですか……確かに、初日でSSRを引ければ……」

 

「運とは引き寄せるもの……ほほぉ……リアクト。彼はガッツのある男ですなぁ……上司に歯向かって左遷……畑違いのパチンコ事業の会社において、一から風営法とパチンコ、ギャンブルについて学び、結果として4店舗を出店させ、軌道に乗せている、だと……」

 

「凄っ……栄転してその上司が部下になってるし……超痛快じゃん」

「苦境に立たされても希望を捨てない心の強さ……転生者には、必要な素養ですね」

 

「あーけど、そこはイモコちゃんも一緒かぁ……」

「ただ、異世界でも婚活を続行されると、我々としては少々困りますが……」

 

「……そうですね。木野様には、明確な目的があるようですし、次の機会へ回っていただくのも有意義かもしれません」

 

「するってぇとぉ……結局のリアクトか、いっそ出張申請出して、舐めプしちゃ駄目っスよぉって念押ししてダイ君もアリ、かな」

 

「妙案ですな。ただ、しかしながら、最近はトラブル続きです。申請を出すと、女神様は煙たがるやもしれませんなぁ……」

 

「え? 何かあったの? アタシ、そういうの全然聞かないんだけど」

 

「……他にも、あるようですが、何でも、第一世界の男性が一人、誤って四桁台の世界に転生してしまったようで、モリスさんがサポートに入って、事なきを得たようです」

 

「はっ? 誤って転生って、どゆこと?」

 

「例えるなら……動画を観ればもう一話、との表示に従って待ち……右上に出た×をタップしようとした所、指のエイムが僅かにズレてしまい、何の興味もないアプリのダウンロードページへ飛んでしまった……そのようなミスが、女神様にもあったとのことでしたなぁ……」

 

「何を言っているのか全く分かりませんが、女神様と言えど、失敗することはあり得ます」

 

「それに関連してなのか、定かではありませんが、ゴキゲン斜めな女神様によって、危うくナツメさんがバスマットに変えられて、千年を超えて踏みにじられる所だったようですなぁ」

 

「うわ、また八つ当たりされてるってこと……」

 

「彼なら慣れていると思いますし、問題はないでしょう。では、私も越水無月様を支持します」

「ほぉ……それはそれは。と、なりますと、サナさんの方はどうですかな? 心変わりなどは?」

 

「うん、アタシもリアクトに一票で」

 

「では、満場一致ですな。第四世界から2321世界への転生者候補は、越水無月リアクトに決定。転生審査会の名において、上記の者を推薦します」

 

「ま、楽観的かもしれないけど、2000台なら大丈夫っしょ」

「……祈ることしか出来ませんが、どうか神のご加護があらんことを……」

 

 

「では…………憩いの昼食休憩に入るとしましょう。さて……本日はどの世界の品を……」

 

 

「たまには変わったのもイイよねぇ……と言いつつ安定のアジフライ定食で」

 

「うーむ……年と共に、揚げ物とは距離を取るが王道……私はしまほっけ定食をチョイスしましょう」

 

「っ…………何故二人共、毎回即決なのですか……」

 

「じゃ、シオが決めるまでの間は……あ、マルコス、この前覗かせてもらってたヤツ?」

 

「さてさて、どのような進展が見られたか……前回はコカトリスのハナちゃんが、エビルデーモンのゾルデ君を寝取った所まで……でしたかな?」

 

「うーん……キングサーペントのステファンちゃんも、幸せになってほしいんだけどなぁ……」

 

「っ……テキトーに世界を覗いて遊ばないで下さい……」

 


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