月刊少女とぼめじろう   作:否ビティ

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創刊号ーU

 それはある日のことだった。

 この私、メジロドーベルがいつものようにトレセン学園に通学してた時、ふいに背後から声をかけられた。

 

「おはようございます、ドーベルさん!」

 

「おはよう、デジタルさん」

 

 私に話しかけてきたこのウマ娘はアグネスデジタル、ひとたびレース場に立てば芝、ダート、さらには距離すら問わずに走り抜ける歴戦の猛者である。

 そんな彼女だがそれ以上にウマ娘箱推しのいわゆる「限界オタク」であり、何の縁あってかそんな彼女と私は交流がある。

 まぁ、その「縁」についてはお分かりかもしれないが、私もその、何というか、彼女ほどではないもののちょっとしたオタクなのだ。

 過去、彼女の手伝いでイラストを仕上げたのをきっかけに、何度か「とぼめじろう」という名前で同人誌を描いてコミケで売っていたこともある。

 そんなことはさておき、朝からこうして彼女と、しかも相手から話しかけてくるのは珍しい。

 彼女はオタクといっても推しの間に入るタイプではなく、あくまで「観測」が好きなのだ。なので基本彼女はこうして自分から話しかけてくることはないのだ。

 

「どうしたの、珍しいわね、あなたがこうして話しかけてくるなんて」

 

「いえいえ、実はそれどころではないことを聞きまして」

 

 それどころではない?いったい何事なのだろう?悪いニュースでなければいいのだけれど。

 

「なんと、なななんと!ドーベルさんの好きな漫画『恋しよっ♡』の作者、夢野咲子さんが取材で子のトレセン学園にくるそうなのです!!」

 

 次の瞬間,朝からはしたない声を出してしまったのでここでは割愛しよう。

 

 

 夢野咲子

 月刊少女ロマンスで連載中の大人気高校生作家で、その繊細な心理描写と華やかな画面、そして乙女心を大切にするその執筆姿勢から「女の子の心の代弁者」ともいわれている。

 かく言う私もそんな彼女のファンで、同人誌の参考にもさせてもらっている。

 そして今回なんの縁か、そんな彼女の取材の案内を私が引き受けることになった。

 なんでもデジタルさんが「推し」ではなく「同志」として学園側に口添えしてくれたらしい。やはり持つべきものは「友人」いや「同志」である。

 そんなこんなで夢野先生を待っていると、

 

「すいません、遅くなりました」

 

 そう言って一人の高校生ほどの男子が…え?

  

 (なんかでかい男の人が来た!?)

 

 まさかの男性の登場に驚く私。

 確か現役の女子高生と言ってたはずだよね…?

 そう動揺していると、遠くから少女の声が聞こえた。

 

「おーい、待ってよ野崎くーん!」

 

 そんな彼女は野崎と呼ばれた男の人とは対照的に小さく、頭に大きなリボンを2つ身に着けていた。

 

 (あ、こっちが夢野先生か) 

 

 だとするとこの男の人は担当か何かなのだろう。

 取材のときに担当が同伴するのはよく聞く話だし。

 にしては若すぎるような気もするけど。

 

「あなたが夢野先生ですか?私は今日案内を担当するトレセン学園高等部のメジロドーベルで」

 

「あ、すいません。私夢野咲子じゃないです。」

 

「え?じゃああなたは一体…?」

 

「すーぱーあどばいざぁーです」

 

 なんて頼りにならなさそうなアドバイザーなのだろう…

 しかしだとすると夢野先生は一体どこに…?

 

「あのーすいません野崎さん、そのー夢野先生は今どこに?」

 

 私はいを決して担当(?)の野崎さんにはなしかけることにした。

 私は男性が苦手なのだが仕方ない。

 漫画家のことを一番知っているのは担当のはずなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、私はこの発言を2秒後に後悔することになる。

 野崎さんから語られる驚きの一言、そうそれはーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、申し遅れました、『夢野咲子』で漫画家やってます、野崎梅太郎です」

 

「本当に申し訳ございませんでした!!」

 

 こうして、割と失礼な対面から私と彼、彼らの交流が始まることとなった。

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