「あれっ?今日定休日か、」
「どうすんだよ、裏にいえでもあるのか?」
「いや、こういう時は、学校にいるはずだ」
「学校?」
「ああ、この島唯一の学校、小中一貫だけど全体で五十人もいない、小中一貫
傀偽と死強は、不死について知っている者がいる、店、多田良工に来たが、運の悪いことに定休日だった。
それでも島のものは外には行かないため、もう一つ目星をつけていた場所。千礼学校に向かうことにした。
「見えてきたよ、と言っても昔ながらの造りだから分かりづらいけど」
「学校と言うより寺子屋だな」
「たとえが古い、」
言葉の通り確かに古い、木造建築で木材の角が丸いことから余計に頼りなく見える。それでも倒壊などは一度も起きたことがない
伝承は島にも効果を及ぼしている。実に歪な島である。
「しかし、今は夏休みだろ、人いるのか?」
「美波ちゃんと風音ちゃんは確実にいるはずだけど⋯なか、入ってみるか」
「はいはい、どちら様」
「あ、こんにちは、⋯えっと新任の方ですか?鶴さん、います?」『なんなんだろうなこの霊気、まぁ人じゃないのは確定か』
出てきたものは、この島では珍しくない、紅白の着物を着た女性。だが見鬼を持つ二人には彼女が持つ霊気を見抜いていた
―――――――――
「く、あぁ、よくねたぜ」
「起きたか、相変わらずふざけた体力だな、鬼というものは」
「よお、よくも切り刻んでくれやがったな」
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「いらっしゃいませ!」
「⋯ほんとによかったんですかね?別行動で」
「それにこんな時間、ティータイムにしては早すぎませんか?」
現在は九時十分、ティータイムにしてはかなり早い時間だ。
「いやいや、インタビューですよ特に御二方、碧医さんとアズミーさん。傀偽さんについていろいろとね」
「あなたまだ不死に関する取材を続けるおつもりですか?お断りですプライバシーに関わりますので」
「私も同意見です」
碧医とアズミーは互いに情報提供を拒否る。それでも引き下がらない風菜。
「そんな硬いことを言わないでください」
「そもそも何で私達に聞くんですか?不死についてなら、穂香と沙也加は必要ないでしょう」
不死に傀偽に関わりのある二人だけでなく、関わりのない穂香と沙也加までここにいる。
「確かにその御二人は違いますね、ですがアナタ達二人は、傀偽さんの幼馴染でしょう?」
「そうですけど」
確かにアズミーは幼馴染だでも、十年会っていないのだわかることも少ないだろう。そして碧医は二年会っていない。どちらも数年知らない期間があるのだ。
「まあこっちが大きいですが、初恋の相手ですよね?」
「えっ?!」
「はっ?!」
「え、何で」
「わかるの?」
「私は新聞記者です、相手の言動から何をいいたいのか、どんな関わりがあるかを少なからず予想できますから」
「ああもう、そうですよ、片思いですよ!私は十年間忘れることはなかったのに!」
「想い続けたのに!」
「気づけば、届かないほどに遠いとこにいるし!」
「周りにもいろいろ増えてるし、ふざけんな!」
アズミーと碧医の想いが爆発する。二人とも割り切ったほうがいいほどに異質な傀偽に惚れ込んでいる。
「話聞いてあげましょうか?店員さんハーブティーを一つ、後は?」
「同じので」
―――――――――
「いま夏休みだけど人いるのか?」
「【いい子】にしてるんだよ」
「美波ちゃんと風音ちゃんは確実にいるはずだけど⋯なか、入ってみるか」
「はいはい、どちら様」
「あ、こんにちは、⋯えっと新任の方ですか?」
「いえ、私は沢慧の友人です。沢慧なら留守ですが⋯」
「あ、先生じゃなく、鶴さんいます?」
この少年⋯島の住人だ、リストに載ってた。「鶴さんなら今は居ないけど」
「あれ?店にいないからこっちだと思ったのに、」
この会話に意味はない、ただ相手の考えを探るには必要なこと、霊気を持ったものを警戒しないのは現状無理というものだ。
「聞きたいことがあったんだが」
「あら、それは残念、ここに来たら伝えておきましょうか?」『この少年も不死身かもしれない、でもここでは襲えない、隣にいるこの男⋯この、尋常ならざる気配!間違いなくこちらがわ、そして格上⋯』
「いないなら仕方ないな、別の場所を探しに行くか?」
「いや、必要ないだろ、たぶん鶴さんの方はここに来るから、そのまま待ってればいいだろ」
普通に入ろうとする傀偽に死強が止める。学校なので正当な理由があれば入っていいのだ。
「いや、流石に失礼だろ」
「島じゃよくあることだよ、夜は出歩けないから、入り浸って泊まったりすることもあるし」
「⋯ならいいか」
「なんで?」
「どうかしたか?」
「あ、いえ私は構わないんですが⋯」
歯切れが悪い相手に畳み掛けるように言葉が紡がれる。
「なんだ、見せたくないものでもあるのか?」
『不味い、疑われてる、返答ミスったら死ぬ』
死強の一言で空気が重くなる、
「おーい鈴鹿ー誰と喋ってるんだ?宿題やるのも飽きちゃったし私もお話したい!」
「あれ?美波いるじゃん」
「知り合いか?傀偽」
重い空気を割る声は無邪気で空気を読まない子ども、
「ああ、千礼学校の生徒で、風音って子と、先生に引き取られてここで暮らしてる」
『鈴鹿、話を合わせろ、ここでの戦闘は避けたい』
「もうっだめだよ美波ちゃん沢慧からだされた宿題まだ終わってないでしょ?友達といると遊んじゃうから」
「え〜いいじゃん夏休みなんだし」
「ああなるほどな、邪魔するのも悪いし、ここは引き下がったほうがいいな」
「……」
「…どうかした?急に黙って…」
―――――――――
「まあ、確かに傀偽さんは謎にいろんな者を引き寄せている気がします、死神、人魚、暗闇、鬼、クセがやや強いですが」
「ムカつきますよね」
「はい」
「いや、男も多いですよね」
二人の愚痴から気づいたことを風奈が指摘する。性別は問わないとして、異常なまでに多くのものが集まっている。
「災害級の天然たらしなんですよ!アイツは!」
「いつか女に刺されるタイプです」
「貴方がたはすぐにでも指しそうですね」
二人の愚痴に穂香と沙也加は苦笑いを浮かべ極力話を振られないようにしている。もともと否定をしていたため愛の重さにあきらめた差があるのだろう。
「傀偽には、きっと人を引き付ける才能があるんです、他人が言ってほしい言葉をアイツは自然に言ってしまう、人の本音に敏感なんです」
「しかも、そこにお人好しの性格が、加わる、そういうところなんですよね、【小さなことに気づくのは】」
―――――――――
「君、本当に美波?」
「?なんで?私は一人しかいないよ?」
何かを確信したように、疑問を投げかける。
「そうだな、美波っぽいんだよな。でもどうしてそう感じるんだ、【顔】も【声】も、得体のしれない何かみたいだ。ねえ、美波、俺の名前、言ってみて」
「名前って、【黄泉傀偽】でしょ?」
「ダウト」
「へ?」
「え?」
傀偽の否定の言葉、それに反応するように死強の大鎌が振るわれる。
「ちっ、容赦ないな、どこでボロが出た?初見なりに上手くやったはずだがな」
「美波は、発達障害なんだ、親しい人でも苗字までは覚えない」
「慎重に答えたのが裏目に出たか」
「何者だ、正体を表せ」
「正体?そんなものないよ正体不明こそが正体、
「平安の大妖怪…」
ある程度人の形を成して入るが、まだ不安定な部分が多い、鵺。平安を代表する妖怪の一体である。
「美波って子、無事なんだろうな」
「さぁ?不死人なら無事なんじゃない?」
不死人と聴いて、動き出すは死強、距離を操る妖術を持って、距離を縮めて鎌を振る、対する鵺は正体不明、定まらぬ体は鎌を受け入れる。
「厄介な力だな、斬った感触が気持ち悪い」
「当たり前だ、切り方の分からぬものに刃を向けてもまともに切れるわけがない。そしてそろそろかな?」
「はい、お待たせ、鵺、人質確保できたよ」
「いつの間に」
「おい、てめぇソイツに手を出してみろ、殺すぞ」
上手く仕留めれずに気を取られ、その隙に傀偽を人質にとる鈴鹿。落ち着いた傀偽とは違い。怒気をはらんだ声を発する死強。
「この子がどうなってもいいの?」
「子どもを盾にすんなって言ってんだよ、地獄に落とすぞ」
「死強!うしろ!」
「いいのか?隙だらけだぞ」
―――――――――
「人が集まる人誑しの才能?それ本当に良いものでしょうか」
「えっ?」
「私は彼と会ってまだ二日ですが、面白いように怪異が、集まってきます。まるでエサにたかる【蟲】みたい」
「えっと、ですから!」
傀偽のことを悪く言われたと思ったのか声を荒げる碧医。それに対しまだ己の意見を述べる風奈、その先は
「毎年起こる神隠し、では、【不死の噂】が流れたのは今年だけでしょうか?現在この島には三人の不死が確認されている、では不死身は、三人だけなのか…他にもいるでしょ、この島には」
―――――――――
ジュゥ
血が蒸発する音がする。刺された美波には傷はなく、目を覚ます。
「…う、うーん、あれ?私、刺されたんじゃ」
「ああ、めった刺しだったぞ、」
美波を支えるは、傀偽が探していた、多田良工の店長、
「悪い知らせだ、【不死じゃない方】を人質に取られた、」
「そうね、でもなぜか二人は戻ってこない、動くなら今しかないわよ」
「おっと…おかしな真似はするなよ、二人は今しつこい客人をあしらっているだけだ、平安の大妖怪に勝てるとでも…」
「…うるせぇ」
風音を抱えた男は、三人の動きを止めようと脅すが、ただの人間が妖怪に勝てることはない。殴り飛ばされて終わりだ。
「え、ねぇ、美波ちゃん、傷は?」
「ないよ、」
「なんで?!」
「疑問は、もっともだが逃げたほうが今はいい、」
「ええ、でも問題はここから、私達だけであの化け物の相手を出来るかしら」
「いや、やるしかないだろ、友は、守らなければ」
人質がない四人の方は、ここから離れることを決意する。勝てるかは分からないがそれでも友を守ろうと、外に踏み出す。
「うヴぁああああああ、まってまって、頸閉まってるから!」※裸締め
「人殺そうとした分際で何いってんだか、反省しろ」
「ぁ゙あああああああああああ」
「え?」
踏み込んだ先には、鵺を関節技で封じる死強の姿が、そこから離れて、傀偽と鈴鹿、
「ふぅ…くっそ痛いが」
「や、やっぱり、アナタも不死身なのね…」
「今の発言を含めていろいろ聞きたいことがある、それでも、地獄は見てもらわないとな」
ゴッキィ
腹にナイフを刺されても淡々と話す傀偽に、不死と断言する。尋問が確定するも、死強に頸を締められ、気絶する。死神なのになぜ関節技が使えるのか謎なところだが。
「客人は、傀偽のことだったか」
「傀偽さん!刺さってますけど大丈夫なんですか?!」
「問題ない、夜廻でなれてる」
「そこは慣れちゃいかんだろ、まぁ取り敢えず、朗報だ、二人目の不死が見つかった」