「あ、鵺と鈴鹿御前を学校で軟禁してることつえるの忘れた」
「今じゃないだろ…そういえば風奈は?」
「俺も見てないな、警備はやってなかったのか?」
「それがやってないんだよ」
「まぁ、死んではないだろうし、いいか」
問題も片付き現状の確認、風奈の姿が見えないことに疑問を覚えながらその身は問題ないと一度頭から外す。
―――――――――
「祭り囃子が響く夜、誰もが気を抜く時間ですね。夏黄泉の島の図書館、と言うなの公民館、此処なら、不死身とは別にもう一つ、あれがあるはずです」
祭りが怪異に襲われる少し前、祭り会場から離れた場所で風奈は動いていた。
場所は
「この島、夏黄泉の島で定期的に生まれる不死身たち、怪異を呼び寄せ、みずらを食べさせることで、怪異をより強く育てるための餌だという、そうして育った怪異は、【不死身を生んだもの】に喰われるのだとか。全くとんでもないものがいたものです」
『不死になったのは何時ですか?』
『いつ?分からないよ』
『やっぱりですか』
「不死身になった原因は分からず、全てあとから発症したもの、彼らの過去に何があるのか、そしてこの島が進む未来はどこに行くのかたのしみですね」
「久しぶりの客だねぇ、なんの用だい、」
「おや、先客がいましたか…その角、鬼ですね」
「そうさねぇ、鬼だが、杏さん、何を求めてここに来たん?未来を求めるんならぁ、こっからは、通しゃぁせんよ」
風奈が入ったのは、警備が厳重だった島の遺物の保管場所。そこには、鬼女が一人、古風でのんびりとした口調だが、鬼羅と同等以上の圧を持つ。
「通さない、ですか、残念ですが私は隠されたら知りたくなる質でして、強引に突破させてもらいます」
「そぉかそぉか、なら【千代】頼んだよ」
「なっ?!」
鬼女は己が戦うわけでもなく、一人の少女、酒呑鬼羅の子孫、酒呑千代を呼びけしかける。
さすがに動揺したか、そのまま外へ、操られていた鬼羅と同じように、眼は濁り、無言のまま大賞を排除しようとする。
「流石に私一人じゃ無理ですね」
―――――――――
「取り敢えず、帰るか」
「その前に合流だ」
「そうだ…っ痛」
「なっ!?傀偽!大丈夫か?」
またも、傀偽の指が詰められる、
「指が…常闇も消えてるし」
「ふむ、察するに脅威は去ったようだな」
「鉄さん、」
「いや、おそらくだが脅威は去ってはない、多分また襲ってくるだろうな」
指に気を取られ、その場にいると、非難していた者達が合流する。
「そうか、美波、風音、残念だが祭りはここまでだ、家に帰るぞ」
「ええ〜」
「怪異たちの目的は、力を得られる不死身、お前達を狙ってくる。俺達がここにいれば、周りの祭りを楽しむ者達の時間まで奪ってしまう。後は安全のためだ」
「そういうこと、主力であろう、鬼羅さんは消し飛ばせたけど、あれだけだとは限らないしね」
不満も募る中、脅威を呼ぶ者たちは各々家に帰ってゆく。
「アズミー二人の方は問題ないから、連絡だけして」
「わかった」
「後は碧医にも謝らないとな、生首持たせちゃったし」
「よくそれで嫌われないな」
脅威から狙われない三人は祭りに戻れるうえ、風音のように、補導される年でもないため楽しんでもらうこととなる。
「一応探すか」
「狙われてるのお前なんだがな、仕方ない鉄さん三人連れて、結縁庵に行っててくれ」
「もちろんだ」
「なっ?!そっちに鬼羅が行ってたのか」
「ああ、無言のままだったし、鬼縁さんの言葉からして操られてたみたいだけど」
「くっ俺が戦いたかった…」
「死強も鬼羅さんほどではないにしろ戦闘狂だな」
祭り会場を最大限警戒しながら、己に起こったことを共有する二人、殺りたかったことができず悔しがる死強に呆れながらも傀偽は改めて周りを見る。
「何事もなかったように祭りに戻ってきてるな」
「催眠が解けたんだろ、化け物並みの実力揃いだな、百鬼家は、」
「見つからないな、一通り回ったけど」
「連絡は来てないのか?スマホ?とか」
何事もなく、いつも通りの祭り会場、殺し合いがあったのにも関わらず、それを知らないように歩く人々、探していた碧医とは会わずに、一度立ち止まる。
「あっ…連絡来てる、もう帰ったのか」
「なら問題はないか、それじゃあ戻るぞ」
「そうだな、それと、これ」
「なんだこれ耳飾りか?」
傀偽が死強に私たのは鎌の形をしたイヤリング、この島のお土産の一つである。
「島の伝承をもして作られた、まぁ、お土産みたいなもんだ。死神の神隠しのやつだな」
「…そうか、」
「それじゃあ急いでもどるぞ、時間がなくなる」
「ちょっと待て、よっ」
「いや、どこで開けてんだよ」
死強はその場で耳に穴を開けイヤリングを付ける。
「それじゃあ帰るぞ」
「分かってる。急がないと間に合わないからな」
「何がだ?」
疑問が残りつつも、走って戻る二人を先に帰っていた者達が、迎える。
「急げ!」
「分かってる」
「屋根にまで登って何をするんだ…」
身体能力が高い傀偽、鉄、死強は屋根に登り海のある一点を見る。死強の疑問に応えるように爆音が響き、夜空に焔の大輪が花開く。それを追うかのように、夜空を覆い尽くさんと咲き乱れる。
「綺麗だな、毎年やってるのか?」
「そうだな、まぁ例年より気合を入れてるみたいだが」
「そうか…」
最後に一際大きいしだれ柳が海に消えるのを見届けて、祭りは終わりを告げる。
―――――――――
「はぁ…はぁ…、なんで…なんで…、」
「おかえりなさい、穏やかじゃないわね」
「だって…だって…、カイが傀偽が!霊術を!でも!まだ私のほうが強い、いつでも、いつでも勝てるから、だから、先生!」
「大丈夫だから落ち着いて、貴方にはまだ手伝ってもらうことがあるから、当初の予定に戻るだけ、何ら変わりない」
何処かの洞窟で、フードを被った不死身が、祭り会場の出来事に焦っていた。
「先生、私頑張るから…!だから約束は、!あの約束だけは」
「約束は、守ってあげるわ。だから私に今までどおりに力を貸してね【碧医】」
「もちろんです、まずは厄介者の始末から」