七不思議
怪異に襲われ、結縁庵に避難してきた一同は皆眠りにつこうとしていた、ただ一人を除いて。
「……」
「寝れないのか?」
「死強か、まぁ、な」
祭りの余韻は特に引き、何を考えるというのか。
「祭り、失敗したなって」
「それは見方次第だろ」
「いや、毎年警備員として参加しているが怪異は欠片も見なかった、だから問題ないと高をくくっていた。あの場所に不死が四人もいた可能性があるんだ、それを失念していた」
自身の不死で巻き込んでしまったことへの罪悪感が確実にあった。
「あの祭りは怪異からその身を守るもの、そういうしきたりだ、なのに巻き込んでしまった。どうすりゃいいんだろな」
「……それは、タラレバと言うやつか?だったら忘れろ、まだやることは残っている。もしもこうしてたら、もしもこうしててれば、そんなもの幻想だ。こうしたから今がある、こうやったから幸せと思える。そんな未来を作るのが今すべきことだろうが」
「……そうだな」
互いに経験から高をくくり、失敗した。それでも今すべきことをと、進み続ける。まだ不死身をつくる悪魔の討伐も終わってはいない。
「もう少し話そうか」
「そうだな、じゃあ七不思議に付いてとか?」
「……寝る前にする話じゃないだろ、しかし、【死神の神隠】と【夏に集まる怪異の夢言】、意外にもあるのか?」
「いや、その二つと他五つの怪談を総称したものだ、そうだな例えば【櫻に宿る黒剣士】から行くか……
夜闇に響く夏の怪談、それらはいつ紡がれるのか、はたまた、牙を向くのか、謎ばかりである
―――――――――
「……朝、起きないと」
「おはよう、傀偽。朝食の準備はできてるから運ぶの手伝ってくれ」
「…そんな寝てた?」
「ああ、まぁ手伝ってくれる人がいたから問題はないがな」
怪談話で眠った後、普段より遅くに起きた傀偽は、そのまま仕事に向かう。
「疲れがたまってたんかな、鬼と戦えばそうなるか……誰?」
独り言を愚痴りながら、朝食を運び終わった傀偽の目を誰かが覆うか
「さぁ、誰でしょうか」
「……男衆は先ず除外、美波たちは身長が足りない、アズミーは多分やらないかな、てことは鶴さ」
「ハイ残念お姉ちゃんでぇぇぇぇす!!」
「!っぶねぇ」
後ろで目を覆ったのは百鬼鬼縁、60近くで姿を20後半を維持しているため傍から見ても違和感はないが、不死殺しを目的としていたもののため傀偽は、抱きつこうとしてきた相手の両腕を掴む。
「朝から騒がし……なんでいる」
「やぁ、死神。昨日ぶりだな、約束を話しに来たんだ。はなしは早いほうがいいと思って」
「約束、話…ああ、昨日のか」
「そうそう」
鬼縁と格闘している傀偽を余所目に、死強は幸と話していく、祭りの警備をする代わりに、傀偽と話をしたい、それが百鬼家のだした対価だった。
「まともな、自己紹介はしてないだろ。僕たち【百鬼家】は、過去に、島の悪魔と戦い、そこで多くの仲間を失った。悪魔の討伐も、一時凌ぎとなった。今度こそあの悪魔を倒す。よろしく頼むよ」
「そうか…取り敢えずかいつまでやってんだお前らは」
「助かる、死強」
死強が傀偽から、鬼縁を引き剥がしたことにより、会話が途切れる。
「あら、いいではありませんか、姉が弟と遊ぶのは」
「コイツお前の姉だったのか?」
「いや、違うけど」
「鬼縁話がややこしくなるからその件は無しだよ」
「そうですか、亡き弟に本当にそっくりで」
鬼縁の暴走を幸がなだめて、改めて話し合いを開始する。
「では改めまして、私達と手を組みませんか?百鬼家と死神、そして弟の霊術、これだけ揃えば不死身を狩らなくとも悪魔に勝てるかもしれません」
「俺もか?」
「何かやり方はあるんだろうな、悪魔は厄介すぎる、予想だけじゃ勝てないぞ」
「問題ありません」
悪魔と対峙したことのある死強のもっともな疑問に、断言する鬼縁、傀偽も己の役目に疑問を感じていた。
「島に巣食う悪魔に操られることなく、島の伝承となった怪異達、七不思議と縁を結ぶのです。まぁ単なる噂かもしれませんが」
「危険かもしれないのに近づけってか?昨日の襲撃を忘れたのか」
「【怪と人の縁糸】は心を通わせた怪異の力を借りる霊術、縁を結べば結ぶ程、カイくん自身も強くなるのです。その気になれば」
「帰って、もらえませんか」
鬼縁の説明に割ってはいったのは、風音。怪異だらけの島で実際に襲われた、百鬼家にだ、現状警戒心は解けてはいない。
「風音」
「鵺さんと鈴鹿さんでしたっけ、私、貴方のお仲間さんに私達殺されかけたんです。そんな方々と協力なんて私、嫌です」
「申し訳ありません、許されざる行為だということは理解しております。号を背負う覚悟もあります。この協力を持って、償いとなれば」
「そうですか…」
何かを納得したように部屋を後にする風音、それを見送りまた話し始める。
「風音は、大人しい子だと思っていたが、ずいぶん意見がはっきりしてるな」
「いや、あれはたぶん…」
死強の感想を傀偽が否定する。それとともに廊下を走る音が聞こえてくる。
「ちょちょちょ、風音ちゃん、ハサミなんて持ってどうした、」
「廊下は走ると危ないぞ」
部屋の扉を強引に開け、風音は一直線に持っていたハサミを鬼縁の目に向けて刺そうとする。鬼縁は動じることなく、それを受け入れようとする。
だがハサミは目に刺さることなく死強に止められる。
「危ないな」
「お仲間さんの敵討ち、大層ご立派な理由です。きっと、苦労されていたんでしょうね。ですが、貴方からは目的のためなら何でも利用する、そんな覚悟に見えました。そんな人を皆のところにおいてはいけません。帰ってくれますか」
「なるほど、風音さんと言いましたか。アナタの判断は正解です」
年齢の割にしっかりとした答え、反論することもできない意見に鬼縁は引き下がるしかない。
「いいのか?」
「ええ、もとより非道な策を講じた私の落ち度ですから、」
「まぁ、そういうわけだ協力は保留で頼む」
「わかりました、最後に、あなたの迅速判断は素晴らしい。物事には順序がありますから、ましてや、全員救うなどと、幻想を語る愚か者は、悪魔にでも食われて死ぬべきなのです。では」
風音の、反対意見により、協力体制は保留、鬼縁達百鬼家は、去っていく。
「全く、警戒はいいことだがハサミはないだろ、最悪返り討ちに遭って死んでいたぞ」
「風音は、判断が早いぶん、頭も固いからな、一度決めたことはとことん通す、」
「す、すいません」
「まぁ、もう怒ってはないが」
危険な行動をとった風音を叱責する死強、しかし、言っていることは正しいためあまり強くは出れなかった。
しかし、協力はできないが新たな情報を元に方針が決まる。
「しかし七不思議か」
「えっと…何があるっけ?」
「ああそうか、アズミーは覚えてないのか、まぁ【〇〇をしないとでれない部屋】とかだな」
「まった、そんな卑猥なやつなの?」
帰ってきた予想打にしない答えに、困惑するアズミー、実際に、ネット方面は恋人同士を閉じ込めたりと、二次創作でもよく使われる。
「なんで先にそっちを言う【櫻に宿る黒剣士】にしておけよ」
「他にも過去、今、未来すべてを記すとされる【叡智の書】とかだな」
「話を聞け、というかまともに感じるのが少ないのか、ふざけたものが多いのか」
発音だけ聞くと、卑猥に聞こえるが、その裏には物騒な話が、込められている。
「問題はどうやって縁を結ぶかだけど」
「書は図書館を探すとして、部屋はどうするんだ?」
「これに関しては概念的なやつだしなぁ」
「学校みたいに場所が分かっているわけでもない、書も図書館にあるわけではないだろう、どうするつもりだ」
新たな目的に、新たな問題、島の悪魔が復活するまでに多くでも縁を結びたいところ、早速行き詰まり困っているところに、傀偽の父鬼願から声がかかる。
「わからないのなら情報を集めればいいだろう、ちょうどヘルプがかかったぞ」
「四季?」
「ああ、夏の
「やな言い方してんじゃないよ」
祭りの翌日この日を境に人減っていくが、島内の人間なら宿以外にもう一つある。運がいいのか、別の縁が働いているのか、それでも進むしかないのが現状だ。