「……開かないわよ、当たり前じゃない、探してたのでしょう?【部屋】を」
それは【七不思議】が一つ、捕らえ、閉じ込め、何人も逃さぬ牢獄、【〇〇しないと出られない部屋】改め、【不帰の部屋】。流れる手段はただ一つ、定められた条件を達成することである。その条件とは、
条件…とは…
「……傀偽、」
「ん?」
「部屋から出る条件聞く前に、気絶させたよな」
「ああ」
「どうやって出るんだ?」
「すいませんでした」
ようやく会えた部屋問題は、部屋から出る唯一の方法を聞かずに発動者を気絶させてしまったことである。
「どうすっかな」
「俺の能力じゃ無理だな、切り札を使えば何とかなるが、この部屋を空間事ぶっ壊すことになるからなぁ」
「さすがに無しだな」
「えっと…どういう状況?」
男が起きるまでに方法はないかと模索していくが、最終案しか出てこなかった。奥の厨房で一連の事柄を見ていないアズミーは、説明を求める。
酒を扱う場所なので美波と風音は、鶴と共に宿にいる。
「なるほど…出られなくなったと」
「そういうこと……」
「…………」
―――――――――
あるところに、関係の冷え切った夫婦がいた。口を開けばいい闘い、顔を合わせず過ごすことも多々あった。夫婦は気がつくと自分たちが見知らぬ部屋にいた。部屋には紙切れが一枚、【隠し事を明かさないと出られない部屋】とだけ書いてあった。
『お前のいたずらか?ふざけた真似を』
『私は知らないわ!どうしてそういう発想になるのよ!まさか…あなた、私に何か隠して…!!』
『そんなわけないだろう!!バカバカしい、俺は帰るからな!!』
しかし、扉は開かず、壊すことも叶わなかった。待てど暮らせど助けは来ず、いくら叫んでも外に届いている様子はない。
互いを罵ることにも疲れ、部屋には静寂が訪れる。やがて二人はお互いのことを話すようになった。
出会いの瞬間、
最初の逢い引き、
そこで行った場所、
色んな思い出が蘇る、自分達は何時からこうなってしまったのか。
『なぁ…この部屋から出たら……なぁ』
動かなくなった妻に旦那は涙ながらに打ち明ける。
『俺…俺は……君というものがありながら、別の女性に……ごめん…ごめんなさい…せめて、最後は君と一緒に…………紙?』
【おめでとう、正解!出られるよ、よかったね】
妙に明るい文脈、旦那に怒る気力はとうになく、ただ何かに導かれるように、扉へ進む、
開けた扉に一人の女性が立っていた。扉に支えられていたのか、女性は倒れ、首が転がる。不倫相手だ、
『それ、隠し事じゃないわ。もう殺したから、これが私の、』
【隠し事】
『その後無事怨霊化、集落一つ潰すに至ると……』
『いやはや、嫉妬だけでそこまでするか?』
妻の前には、霊縁が立っている、傍らには鬼羅が。
『嫉妬は七つの大罪に数えられる【してはならないこと】そして、貴船の祭神、高龗神の神からの加護を持つ鬼女でもある、嫉妬抜きにしても。集落ほど簡単につぶせる』
『そうなん…だ…』
『俺達は人の事いえないだろ』
鴉天狗に、宵闇の餓鬼、満食、はたまた島の悪魔のさえもがそこにいる。
『まずはゆっくりお茶……それともまじバトルでも』
―――――――――
「ねぇ、聞いてる?コーヒー淹れたんだけど。どうせまだ出られないし、どう?一緒にお茶でも」
「…ええ、いただくわ」
霊縁、に似た傀偽、無意識に他人の求めたもの分け与える。
―――――――――
『ここで、お別れかぁ…楽しかったよ
『楽しかった……ねぇ…嫉妬で狂った鬼女を、緑眼の怪物を捕まえておいて、よく言ったものね。しょせん人間と化け物、両者が分かり合えないことを貴女は早く理解することよ』
『…姉さんみたいな事を言うね、』
『事実、正しいことじゃない。貴女結婚した後もこの関係を続ける気?』
古の陰陽師も、怪異、妖怪を使役することはあった。そう、あくまで使役だ、自身と台頭、ましてや友などとそういう関係ではないのだ。
『自分の、妻や子ども、家族がいつ喰い殺されるかもわからないのに、これでいいのよ』
『そう…また悪いことをするのなら、僕が止めに行くからね』
『……あっそ』
晴れた晴天の日の別れの会話、
―――――――――
「私の私のせいで」
「バカ、アンタのせいじゃないよ気に病むなって」
「コイツが起きないと、ここを出られないかどうすっかな…」
「殴って起こします?」
気に病む女性と、それを支える、者。正攻法で出ようとする、アズミーと死強、その傍らで扉と睨み合っている、二人がいた。
「で…何をやってるんだお前は」
「いやぁ、力ずくで開けられないものかと」
「ついでに知り合いが物騒な設計図をくれたからな試しているとこだ」
「鉄さんアンタそっち側なのか」
傀偽と鉄は、扉に対峙して強引に進もうとしていた。
「出来だぞ、チェーンソーだ」
「いや、エンジンどこで手に入れたんだよ…」
「常時持っている」
「そうか…それじゃあ死強も手伝え、俺は常闇ちゃんに手伝ってもらうから、あっ指食べるのは辞めてね、地味に痛いから…」
全員武器と能力の発動準備をする。
「じゃぁ…いくぞ…!」
「ちっ火力は申し分ないはずだが」
「これが島の七不思議の一つ【〇〇しないと出られない部屋】か」
「ふざけた、名前のくせに、その本質は強力な結界術か…条件があるから余計に固い…とこの化け物だよ、こんなもの作ったのは……」
「条件さえクリアすればいい、そこが一番性格悪いな」
全力をぶつけて、びくともしない部屋にいらだちを隠せない二人、切り札を残してはいるが、ここで使うにはまだ早計と、余計に苛立ちを隠せない。
「結界張ったやつが起きるまで待つしかないか」
「……散々な言われようね、化け物とか、性格悪いとか」
「なにか言ったか?」
「いえ、なんでもないわ。それより聞きたいことがあるのだけど」
「当ててあげようか?なぜ七不思議を探すのか?でしょ」
『この、想っていることを的確に当ててくる感じ、懐かしくて、嫌な感じ…知れば知るほどそっくりなのね』
彼女の過去に、見た者が傀偽との会話に苛立ちを感じさせる。
「俺は、この島の悪魔に改造されて不死身になったからさ、このままだと怪異の餌になるみたいだから。だからこの島の強力な怪異、【七不思議】を味方につけて、悪魔退治に洒落込もうってこと、死強は休暇中の死神、不死直しに協力してくれてる、アズミーも不死だからね、」
「治さないと、確定で地獄送りだからな、不死はこの世に存在してはならない魂だからな」
己の存在意義を掴むために動く傀偽、それは周りの怪異を動かす。
「そう…私はてっきり、怪と人の縁糸で無理やり味方死なせているのかと、怪異を味方にできるものねそれ」
「いや、死強が味方についたのは関係ないと思うが…というより、この霊術に付いて知ってんだなあんた」
その言葉に思い出のように語る。
「私の、昔の知り合いがね同じ力を持っていたのよ、ただ怪異に力を借りるのがその能力の強みではないわ、その能力はね、本来、共闘なんてありえない絶対的な強者、そいつらを縁で束ね、能力を複合することにあるのよ。例えば、【敵を概念ごと斬り伏せる斬撃】に【侵食する闇の特性】を付与する。例えば、【無双を誇る怪力】に【無限の回復支援をして、さらに肉体限界を破壊する】…あれほんとつまらないのよ、練りに練った結界をただ筋力で破壊してくるから」
「たとえ話に怨みありすぎじゃないか?」
「……とにかくね、あの二人もいい戦力なのだからもっと使いこなせばいいのよ、そうすればこんなことになる前にあの男を始末できたかもしれないでしょ」
物騒な方法と、リアルな例え、鵺の脚を叩き落とした傀偽でも一歩引く。
「さすがに殺すのはだめだろ」
「命を奪うまでしなくとも、やり方はいろいろあるわ
「でも、昔からそうとは限らない、あの人からは、極度の焦りと、心労が見えた、将来もそうなる可能性は低い、殺してしまったらその可能性すら潰れる」
『…そんなんだから、貴方がそん奴だから、だから地獄を見たんでしょうが!!』
『化け物を連れた男が住みよる』
『悪魔や』
『アイツが【島の悪魔】だ』
忠告はしたそれでも起きてしまった、からの悲劇きに、傀偽を重ねる。所詮は化け物人のためになることなどありえないのだ。
「う、う〜ん、お、俺は…」
「起きた、皆起きたよ」
ようやく起きた男、これでようやく事態が進展する。
「あまり動くなよ、お前のせいでここに閉じ込められた、条件はなんだ」
「…さぁな、」
「冗談は…」
「冗談じゃないさ、俺は、あの女を殺せればそれでよかった。条件なんぞ決めるものか」
突発的、先を見ない考え、視野が狭かったのか、正攻法のない結界となってしまった。
「それじゃあ…いや、どうしてそこまでのことを」
「どうして、か……俺の浮気で別れ話を切り出された、彼女が自分のもとをさって、視界がぐっと狭くなった、きずいたらこんなことにな…」
「要するに逆恨みか、なんにせよ、十割お前のせいだな、人に刃を向けるな、向けるにしても怪異とかそっちに」
外すような言葉、相手が求めてなくとも、必要な言葉を見出すのも縁結びの力の一つだ。
「君に言われるまで気が付かなかったよ、どうかしてるな俺は…」
「この部屋はお前でもでれないのか?」
「ああ、」
「そうか…ほら…更生の余地ありだろ」
出られないことは分かっても、もう一人考えを改めないものがいる、傀偽は、彼女に向かってそう言った。
「術者が死ねば部屋自体も消えるかもしれないのよ」
「今ならね、さっきまでは怨みでできた結界だった、どっちにしろこっちにも降りかかる、それでも殺さないよ」
「……はぁ、わかったわよ、私の負けね」
「何か勝負してたのか?」
「ええ、目の前のお人好しとね」
諦めた、でも嬉しそうなその声に周りの人間の、視線が集まる。
「ここから出してあげる、合鍵持ってるから」
「はぁ?」
「こういうことよ、」
そういいながら、彼女は、部屋の片隅に行きしゃがんだ。そして、そこから何かを引き抜いた。
「ほら…これで出れるはずよ」
「おい…開いてるぞ…」
「……ということは、俺達が探しているものとも出会えたみたいだな。傀偽、そいつが七不思議の一つ【〇〇しないと出られない部屋】を作った張本人だ」
「だとしたら早く言ってくれよ」
呆れながらも、傀偽は彼女に笑ってみせる。
「悪かったわね、それでもこの部屋は、術者の嫉妬心が燃料だがら、術者が死ぬか、改心しないと私でも解けないのよ、まあ、部屋の角にあんたらが総攻撃したら開いたかもしれないけど、」
「だったらそれをいえばいいだろ」
「いやよ、だって認めてなかったから、それと正しくは【
七不思議の三体目、だが部屋の問題は、まだ片付いてはいなかった……