黒桜
「こっち、そこに十年前に触れた怪異と会ったはちょっと違うが、まぁ、ある」
途焦を味方につけた翌朝、宿を出てまっすぐに島の東側に向かっていった。人の手入れが昔あった程度の道らしき道を通って、進んでいく。
「ここだ、多分七不思議がここにいる、」
傀偽が案内したのは、なぜ島にあるのか、何時から存在するかも分からない桜の大木。夏故に葉だけの状態だ。人の管理がないのに、枝が剪定され、きれいな形となっている。
「七不思議の四つめ【櫻に宿る黒剣士】剣士についてはまだわからないと言ったところかな」
「なるほど……確かにいるな、途焦と同じ、一介の霊のそれじゃない」
櫻には、見鬼の才がそれほどなくとも視える程の圧を出していた。何が宿っているのか、どんな魂なのかわからない、それでも、触れねばならい。眠る魂をの怒りを買ったとしても。
傀偽が一歩踏み出し、桜の幹に触れる。十年前と同じように、深く入り込む。それを拒絶するかのように、また、瞬時に黒い桜が花開く。
「夜だったから分からなかったけど、桜の花びらだったのね、あの攻撃」
「ああ。取り敢えず、途焦、防御頼む、アズミーは戦えないから、死強、当たるなよ、最悪の場合一生癒えない傷となるから〈縁結び、結んでひらいて〉」
霊術 怪と人の縁糸
✕
妖術 宵闇の暴食
✕
妖術 咎の重距離
「防御不可、えぐれ」
桜の花びらが宙を舞い、触れたものに迫りくる。集中している部分に、満食の闇を死強の妖術で押し込む。
妖術 不帰の部屋
残った花弁を途焦が防ぐ。それでも舞う花弁は数を減らさず、常に風に乗って遅いくる。
「数が減らないな、」
「怪異は呼べないのか?」
「無理だな、強く根付いてる。引っ張り出すのと難しそうだ」
途焦の時のように、本人が近くにいるわけでも、代わりのものが使用しているというわけではない。櫻に宿る、霊魂が黒い花弁を使って攻撃してくるのだ。
形代となっている、櫻を切ると魂に影響が出る可能性があるため、迂闊に切れない。攻め手にかける一堂にまた、花弁が、風に乗って運ばれる。
「〈黒〉これでこっちには来ない…いや、妖術を切っている?」
花弁と自身の間の距離を伸ばした筈なのに、花弁は距離という概念が無いかのように突き進み、死強を襲う。
「喰っていいぞ満食」
花弁が死強に当たる前に闇が喰らったことで傷はつかずにやり過ごせる。
それを、一連を櫻の中から見ているものが一人
『足りんなぁ、覚悟と恐怖と圧力が、やはり今のものはだめだな、何も知らない』
過去と比べて足りないと、姿を見せることすら、必要ないと、早く終わらせようと、花弁の数を増やす。
『咲け、散れ、舞え、穿て』
妖術
「断て〈黒風〉」
『……あれは、我の妖術?なるほど一つ前の餓鬼の一人か、道理で、だが無知なのは変わってないようだな』
「ちっ、押し負けた」
「いや、十分だあまりやりたくはないが、形代を破壊する」
「それは…」
『ふざけた真似を、まさか出ることになるとは』
「死者選別の鎌〈白〉」
「はぁ…頭が高いぞガキども」
「ようやっとお出ましか、」
傀偽達の前に現れたのは、鴉天狗、黒塗りと刀を携え、構える。
「死ね〈
「がぁっ、」
墨に染まった雷と櫻の剣閃が宙を空を駆ける、それに反応できずに傀偽は、吹き飛ぶ。傀偽を心配して視線を外した死強の隙を見逃さずに、近づかれる。
「傀偽!」
「次はお前だ」
「〈咎重・
「それは見た」
天狗の速さに対応できずに死強も、致命傷を負う。それを見て呆れたように、言い捨てる。
「軽率だな、
「そんなこと、分かっている。だが一人じゃ何もできないだから人を周りを頼るんだろうが」
傷を再生させながら、鎌を持ち、天狗の前に立ち塞がる。
「お前は、不死身か、なるほどあの悪魔の差し金か、」
「それなら私は来てないわよ
「途焦か、なるほど悪魔は無関係のようだ、だが、お前は後衛だろ、迂闊に前に出るな」
霊縁と共にいた、怪異の一人、もちろん途焦も満食も姿を見せた時点で気づいていた。それでも、霊縁に惹かれたからついて行った者たちなのだ、今の主を傀偽を認めるかは別の問題であり、そこの旧知の好など存在しない。
「相変わらず固いな、骨が折れる、」
「だてに咎を背負ったわけじゃない」
「なるほど、それは俺も同じだ」 天
慢
水橋途焦は嫉妬、天傲は傲慢を、満食は暴食を背負っている。その七大罪の重みは、どんな者を凌駕する重みであり、覚悟だ。言葉の節々に表れる、戦場を生きたものの言葉、彼を天傲を突き動かすのは、己の名に直結する過ちなのだ。