黄泉❛心縁〜咎が縁を結ぶ〜   作:紡縁永遠

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二章島の七不思議〜伍❛叡智の書〜
過去を語るもの


 七不思議、順当に、ぶつかることはあれど容易に縁を結べている現在、一同が向かったのは図書館、五つ目の七不思議【叡智の書】の手がかりを求めてだ。祭りの夜、天狗の記者がソレを求めて来たがそれ以降姿を見せていない。ソレを知らずに来た一同だが、問題は七不思議自体が文化として残っているために、その記述は【叡智の書】に限らず多いのだ。

 

 「客が多いねぇ…庵さんらは何のようだい?」

 「【叡智の書】を探しに来た」

 「またかいな、それは嫌だよ、先を見たとしてぇ…それが行われるだけの対価を支払えるんかい?」

 「対価……」

 「そうや、対価や、よくいうやろぉ?命を対価に予言をする怪異がいるってぇ…」

 

 鬼女の言葉に、死強が応える。

 

 「件か…」

 「そや、絶対にハズさん言われる予言やけど、それには対価がついてくる。件は命だったわけやぁ、庵さんらは、同じように命を賭ける覚悟はあるん?まぁ急に言われても答えられんやろ、ちょいとぉ、それほど昔でもない昔話でもしようかのう。よぉく聴きんしゃいな」

 

 

―――――――――

 

 

 人の欲は底がない、欲しいものは手に入れるか、諦めてなお、心に残し続けるかのどちらかで、では未来を手に入れたら?

 歴史ある一つの面それがある人間の手に渡った。醜い顔を持つ女子、故に面を与えられた。そのものは言ったことを現実とするものだった。未来予知ではない、己ができることを言葉にして、それを成す。有言実行なだけの者。ただ、有言実行は人の信用につながる、故に顔の醜さは隠れたことにより、先入観は薄れ人が集まった。

 

 『昨年は不作でした、今年はそれを覆せる量を、米を作りましょう』

 

 不作にならないように、過去の連言をあさり、対策を取り、農地を広げそれは叶った、叶ってしまったのだ。人々はその女子の努力と研鑽を忘れ、不思議な力と認識するようになっていった。できないことは言わない、言えないので。人々の願いを応えず、疑心が生まれ始めた。

 

 『本当に叶うのか?』

 『今までがそうだった』

 『そうだ、あれは、自分のためにしか力を使わない』

 

 一人の戯言が、正とされ、しだいに離れるわけでもなく、力がない女子にあるはずもない力を使わせようと、人々は動いた。嘘でも、間違ってても。多数の意思は全てを正しく、正解にしてしまう。

 できることをしただけで女子は嘆くが聞き入れられるわけもなく、心らも肉体とすり減るように憔悴していく。人々は面に何かあるのかと、面に手を出した。それもそのはず、彼ら人々が女子に関わるようになったのは醜い醜悪な顔が隠されてから、本人に力がないならば、持ち物に、歴史ある面そんな力があってもおかしくないと、拒否する女子を無視して面を取り上げた。

 

 『なんと醜い』

 『悪魔だ』

 『妖異だ』

 『鬼だ』

 『鬼が出た』

 

 女子の顔は、怪異と見間違うほどに酷く歪だった。表により隠された女子の憂いは、届くことなく、座敷牢に閉じ込められ、面に力がないことがわかると面を引き合いに、その力を求めた。先を現実とする、有言実行の力。努力を見なくなった強欲で怠惰な人の眼が、意志が、女子に怒りを覚えさせた。

 ただ人の身で女子であるため、座敷牢から出ることも、抜け道を作れるだけの体力も力もない。食事を掛け合いに出されるができないことに、言葉を言霊を使うことはできずに、ただ力なく倒れた。その怒りは消えることなく、女子の付けていた()()()()()()()()()に定着した。もともと女子の感情に呼応していたが、感情を()()()()()()故にそれは実体となった。

 噂が先が、形が先が、この場合人々の【鬼女の予言】という戯言と、【過去から学ぶ】女子の意志と、【怒りを表す能面】が混ざることで、形を成した。

 鬼でありながら、過去を学ぶ勤勉さを持ち、怒りのままに、怠惰で強欲なものを許さない、命を刈り取る殺戮兵器が生まれたのだ。【憤怒】に飲まれた鬼は集落一つを潰すに至る。

 

 

―――――――――

 

 

 「どや、未来を掴んで、楽しようとする、人間の部将さは」

 「なるほど、鬼ではなく付喪神の類か」

 「そや、けど、今ぁそんなン関係ないん、どうするん?庵さんらは、」

 「正直言って分からないだ、」

 「時間稼ごうなんて、そうはいかんで、なんせ、人は欲深いねん、そっだら事言いても、私ゃ動かんよ」

 「俺が知りたいのは、未来でもあるが、本そのものだ、音の中身は関係ない」

 

 傀偽の返答に、否定と経験とで、行き先を潰す鬼女、だがまだ足りないのだ。傀偽は気づいているのだ本を作ったものは、目の前の怪異だけではないことを。

 

 「なら、もう少し話をしようか、けど、理由がものじゃ、狂気が襲うで、謙虚なものには望む知識を、欲深きものには狂気を与える。それじゃぁ話そうか、命を対価に、友を導いた牛を」

 

 この鬼女も、会っている、傀偽の持つ霊術の前任者であり鬼女の名づけ人、そして咎人として縛った物を、本に関わる怪異の話。怪異でありながら、その場にいるが、霊となった怠け者の話である。

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