デスゲームに巻き込まれた系修理業者、佐藤。

命の為、ボーナスの為、塩試合にして平穏にデスゲームを終わらせたいが、もちろん終わるハズもなく……

そんな感じの軽いお話です。

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デスゲームに巻き込まれた修理業者ですが、持ち前の技術で生き残りたいと思います。

「ふっふっふ、よく来たな参加者たちよ」

 

そこは豪邸内部の優雅なエントランスホール。

 

壁をぶち抜いて設営された、超大型モニターには、仮面をつけた主催者が映る。

 

「君たちは、起きたばかりで状況が飲み込めていなかもしれないが、それも仕方ない」

 

豪華な絨毯によこたわるは、6人の老若男女。

 

誰もが頭を押さえて、辛そうに画面を見ている。

 

「寝ていた方がいい、使われた睡眠薬は強力だ」

 

そんな中、一人だけ仁王立ちしながら、画面を睨む男。

 

「ほう、中には生きのいい奴もいるようだ」

「ふっ、そう思うか……?」

 

画面に対して余裕と言った様子で、笑う男。

 

黒髪黒目の165cmの男。風貌は普通、だが彼は────恐怖を感じていない。

 

「だが、その勇敢さがこのデスゲームの参加者としては、命取りだ」

「本当にそう思っているのか?」

「何が言いたい……」

 

男の名は、佐藤。性格は人見知りのせいで、口数が少なく、ぶっきらぼうな喋り。

 

現在25歳、地元の修理業者で正社員をやっている。

 

「俺は貴様が思っているような人間ではないということだ (いやいやいやっ! 俺は作業服なんだからいい加減気づいてくれェっ!!)」

 

そして絶賛、修理業務で城に来たら、デスゲームに巻き込まれた系の男性である。

 

◇◆◇

【豪邸/エントランスホール [現地時刻 昼]】

 

佐藤は、今すぐに自白したい気持ちに駆られていた。

 

だがそうは出来ない理由があった。

 

「面倒だな (ここで主催者側の人間だと皆にバレると間違いなく、リンチに合う)」

 

佐藤によぎるは過去の経験。黒幕側の人間だとバレた連中の末路。

 

そして、なにより────

 

「困る、か (デスゲームが崩壊すると、俺のボーナスが減る)」

 

デスゲームが成功するたびに社員に振り込まれる、賞与100万円。

 

税金でいくらかは持っていかれるが、それでも浪費癖がある佐藤にとっては、喉から手が出るほど欲しい生活費であった。

 

故に、佐藤は出した決断は────デスゲームを塩試合にして、平穏に終わらすこと。

 

佐藤とて死にたくはない。だが、デスゲームを完遂しなければボーナスはでない。

 

そんな佐藤の思惑も知らず、モニター向こうの主催者は説明を始める。

 

「では早速だが、デスゲームのルールについて、だ」

「で、デスゲーム……」

 

6人の老若男女の一人。女子高生は怯えたような声を上げる。

 

その反応は妥当。闇の道楽家たちで最近流行しているデスゲーム大会は、ネットでも噂になるほど有名になっている。

 

室内には無数の監視カメラがあり、どれも豪邸内部の死角を潰すように配置されている。

 

そしてカメラを通して、道楽家達が俺達の死にざまを楽しむといった、道楽の一つだ。

 

「悪趣味だな (まあ、そのカメラを整備したのも俺だけど)」

「貴様、主催が喋っているんだ。私語は慎んだほうが身のためだぞ」

 

「そいつは悪かった」

「愁傷な心掛けだ」

 

外面ではこう言っているが、彼は主催が映るモニターのHDMIケーブルを抜きたい衝動に駆られる。

 

そう、現時点で彼はものすごく怒っている。具体的にはゲーム説明が始まり、入口、窓がロックされ、定時に帰れなさそうな雰囲気が漂った時点でヤケクソである。

 

「やれやれだ…… (いいかっ! お前が映ってるモニターも、カメラも、ギミックも点検してるのは俺一人なんだぞっ!!)」

 

それもこれも、デスゲームというシステムが悪いというもの。

 

理由としては単純明快。デスゲームという秘匿性が高い大会の都合上、整備人数が多いと、会場を特定されたり、ネットに情報が漏洩する危険性があるのだ。

 

そのため、彼の会社では1人1デスゲーム会場担当という、狂気の配置である。

 

「先に言っておくが、貴様たち6人に否定権はない」

 

急にざわつくエントランスホールの参加者たち。

 

映像、マスク越しでも分かる、満足そうな主催者の顔。

 

「面白い冗談だ (いい加減気づけ主催っ、どう見ても人数が6人じゃなくて、7人だろっ!!)」

 

鼻で笑う俺は内心思う。確かに俺の影は薄いかもしれないけどさ。気づかないのはなんか違うだろ、と。

 

「────嘘よ、一人多いわ」

 

急に慌てる美人な女性。たぶんどっかの女優である。

 

「────落ち着きたまえ、奴が俺らを混乱させる罠だ」

 

そんな中でも冷静な判断をする老人。どっかの大学の教授である。

 

「くだらん遊びに付き合う気はない (俺は修理業者です)」

「それはデスゲームに参加しないということか?」

 

「そう捉えるか、貴様は (だから、修理業者だって言ってるだろォ)」

「あまり私を舐められても困るのでな」

 

画面の向こうの主催者は、楽しそうに笑う。

 

「────ならば、君には最初の余興となってもらおう」

 

カチャリ。そんな嫌な音が、俺の耳に届く。

 

一般人なら聞き逃しそうな音。だが、配管や機器を直している連中なら聞き焦がさないであろう異音。

 

「ほう (この部屋には4つの罠、そして5つの主催者による即死攻撃が行える仕掛けがある)」

 

今回、聞こえた音は真後ろ。

 

これは室内スピーカに偽造された、銃撃装置の起動音。

 

「面白い────っ」

 

横回避。ドンッという発砲音とともに、室内に白い煙が立ち昇る。

 

俺が立っていた場所に突き刺さるは、弾丸。

 

「────微妙だな (あぶなっ、あと数フレーム判断が遅れていたら、完全に死んでたぞ)」

 

「────えっ、ちょ、嘘ッ」

 

モニターの向こうから跳んでくるは、唖然とした声。

 

「どうした? (流石に俺が修理業者って気づいたか?)」

「さ、流石、私が見込んだ参加者というモノだ、はっはっは」

 

「ふっ (だから参加者じゃないっていってるだろっ)」

「だ、だが、奇跡は二度は起こらんぞ、「ポチッ」」

 

ガチャ。今度は足元から聞こえる、異音。

 

「これは (ピンポイント即死ガス発射装置の起動音)」

 

最初は頭上から狙い、それが避けられた場合、二の矢として、地上からの攻撃を行う。

 

初心者デスゲーム本に書かれている、セオリーと同じような行動。

 

「────それも、知っている」

 

俺は絨毯に偽装されたガス噴出孔を踏み潰し、二度と噴出できないように、金属口を凹ましておく。

 

「悪いが、奇跡を起こす必要すらない」

「二度もだと……そんなことがありえるわけッ」

 

「今度はもっと、腕のいい業者を雇うといい (そろそろ気づいてくれか……?)」

「それは、主催側への挑戦と受け取らせてもらうわよッ」

 

ヒステリックに叫ぶ主催者。困り散らかす佐藤。

 

こうして始まったデスゲーム。果たして城のギミックを全て覚えている修理業者佐藤はこのデスゲームから生き残ることができるのか。

 

そして無事にボーナスを獲得することは出来るのか、佐藤のデスゲームは続く。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

騙して悪いが……もちろんこれは一発ネタだ。

誤字脱字報告があると作者が喜びます。

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