艦隊これくしょん「艦これ」―荒海の槍騎兵―1「連合艦隊分断」   作:黒瀬夜明 リベイク

28 / 35
怒れる巨艦

深海東洋艦隊旗艦の、四連装砲塔搭載型戦艦ル級は怒りに駆られていた。夜戦が始まった序盤で、左前方に見える巡洋艦二隻、駆逐艦五隻の艦隊は雷撃を仕掛けてきた。

艦娘の企みを察知した四連装砲塔搭載型戦艦ル級は僚艦の戦艦タ級と共に回避行動を行った。

しかし、その行動が災いし深海棲艦の中でも新鋭戦艦にあたる「戦艦新棲姫」と、あわや衝突する寸前までいったのだ。深海太平洋艦隊に警告を送らずに行動したことは非に値するが、四連装砲塔搭載型戦艦ル級はその行動の非を、艦娘艦隊への怒りに変えていた。

だが、彼女が狙ったのは重巡七隻で編成された部隊だった。四連装砲塔搭載型戦艦ル級は、あの重巡部隊こそが主力であると睨んでいたからだ。怒りに駆られていても、彼女は冷静だった。

一隻たりとも逃がさん。

四連装砲塔搭載型戦艦ル級は金切り声を上げた。前を行く、戦艦タ級の「深海15inch連装砲」が若干の間をおいて火を噴く。

遅れてはならないと、四連装砲塔搭載型戦艦ル級も「深海14inch四連装砲」を発射した。巨大な火炎が、四連装砲塔搭載型戦艦ル級の目の前に出現し、14inchの巨弾を叩き出す。

直後、目の前にパッ!と明るい光が瞬いた。光はやがて巨大な炎へと姿を変えた。炎は大蛇のように、艦娘の体を這いまわり、艦娘の姿を浮かび上がらせていた。

戦艦タ級は、初弾から命中弾を得て、重巡部隊の先頭を行く艦娘に大火災を発生させたのだ。艦娘の艦隊から、慌てふためく叫び声が聞こえてくるが、四連装砲塔搭載型戦艦ル級にとっては、心地良い響きに聞こえてならなかった。

直後に四連装砲塔搭載型戦艦ル級の射弾が落下し、夜の海面に水柱を奔騰させた。重巡部隊の二番艦を狙って発射した砲弾だが、命中弾を得られなかったようだ。

前を行く戦艦タ級は、二度目の斉射を放った。大気を鳴動させて落下した15inch砲弾は、狙い過たず(ねらいたがわず)重巡部隊先頭の艦娘を直撃、止めを刺した。

四連装砲塔搭載型戦艦ル級の「深海14inch四連装砲」が続けて火を噴く。再装填を行いながら、弾着を待ったが、やがてハイナン島の海岸に爆発光が瞬いた。第二射も外れたようだ。

戦艦タ級には負けん。

四連装砲塔搭載型戦艦ル級はその意思を込め、三度目の斉射を放った。深海太平洋艦隊の戦艦が多く持つ16inch主砲よりも一発の威力は劣るが、四連装砲塔二基、連装砲塔一基、計十門の斉射時の反動は強烈だ。

そして十発の14inch砲弾が落下した時、重巡部隊二番艦に直撃弾炸裂の閃光が走った。夜戦が始まってから今まで、良いことのなかった四連装砲塔搭載型戦艦ル級だったが、事ここに至り、ようやくの命中弾を得たのだ。四連装砲塔搭載型戦艦ル級は金切り声を上げ、目標を変更する。

次にその主砲を向けられたのは、一、二番艦を仕留めたことで部隊の先頭になった三番艦(鳥海)だった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。