「へぇ、ミラージバットの本戦に………まあ妥当だろ」
ホテルの一室。CADを操作しながら達也の話を聞いたマダラはそう返した。何でも、摩利の代わりに深雪が本戦に出るらしい。
「お前なら渡辺先輩の傷を治せるんじゃないか?」
「もうやったよ。やっぱ骨折とか、直接的な傷は苦手だな」
「沖縄の時は封印されてなかったし。いい加減こっちも鍛えるべきかね。達也の負担も減らせるし」
「
「そっちはいいの思いついた。無駄な破壊はかなり抑えられる」
「完全ではなく?」
「まあ、性質上射線にあるとな」
射線……つまり中・遠距離か。
PSY障壁も魔法障壁も物理障壁も関係なく消し去り突き進む防御不能の一撃。それが
「達也のお陰だ。魔法式の改善つー経験が生きた」
「プログラム、か」
PSYの自動破壊プログラム、
「まあ、役に立てたようで何よりだ」
「おう………そういや、気づいてたか? 三高の一条、深雪にずいぶんお熱みたいだったぜ?」
PSYについての話が終われば年頃らしくその手の話を始めるマダラ。達也は一条? と首を傾げすぐに一条将輝か、と思い出す。
「血統的には釣り合うな。家柄的には知らねえが」
「まあ、俺としてはお前のほうが安心だが………」
「俺はほら、お前の母親のほうが好みだし………」
「……………………俺はどんな反応をすればいいんだ」
「笑えば?」
同級生の親友に自分の母親が好みのタイプと言われ、達也は何とも言えない顔をした。おまけに達也の愛する妹が想う相手であるというのに。
「………深雪では不満か?」
「深雪も可愛いけどなぁ………こう、年上の余裕というか、優しく包む感じというか。年下や同級生に出せない色気があるんだよ…………あ、そういや俺に恋人出来なかったら穂波さんが結婚相手に立候補してくれるってよ」
「お前…………」
ほんとう、どんな反応をすればいいのか。
「明日はお前も選手として出るんだろ。その上エンジニアとしての仕事も代わる気がないなら、今日はもう寝ろ」
結局達也は話をきり上げることにした。
細長い小銃形態のCAD。スピード・シューティング専用のそれを調整し終えたマダラは雫に渡す。
「ん。万全、自分のより快適」
コンディションを確認した雫は無表情のまま告げる。だが彼女は嘘を付かない。都合の悪いことは黙秘するので、事実なのだろう。
「マダラさん、やっぱり雇われない?」
「将来は軍か民警、それかF.L.Tに就職するつもりだから無理」
「むう………契約金、足りない?」
「軍は暴れられそう。民警とF.L.Tは、個人的な知り合い関係」
「知り合い………マダラさんを手に入れられるんだ、羨ましい。コネ入社って奴だね」
コネ入社って普通は入る側が羨まれるものでは?
「私じゃ、弱い?」
ジッと見つめてくる雫。その可愛らしいと言える美貌と無表情が合わさり人形のような愛らしさがある。多くの男なら『ぐっとくる』だろう。
だけど年上好きなんだよね、此奴。
「なんせ付き合いの長さが違うからな。そこ以外だと、九島関連に就職させられそう」
「『する』、じゃなくて『させらる』、なんだね」
感想待ってます