アオのハコ ~鶴は鹿の元に舞い戻る~   作:お面ライダーよっしー

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オリジナル回が続くと「自由な展開と引き換えにネタが思い浮かばない」と言う、現実に打ちのめされると言うね。

そして今回ちょっと短いです。


EP67 決勝に向けて

 

ビイィイイイーーーッ!

 

試合終了のブザーが鳴る。

 

「試合終了、101ー83で大和学園高校!」

 

「「ありがとうございました!!」」

 

・・・負けた、か。

 

今回こそは栄明に勝って優勝を、と臨んだインターハイ。

 

その準決勝で、今まで全国大会の常連ではあるが最高成績がベスト8だった大和学園に負けてしまった。

 

前半までは突き放せないまでもリードは保っていたが、後半から向こうの留学生が出て来てから明らかに流れが変わり、追いつかれた挙げ句アッサリと逆転を許してしまった。

 

 

あの留学生、アンドリュー・ハワードと言ったか。

基本的な技術が高く、本人のスペックの高さも相俟ってまともに止める事が出来なかった。

 

初めて対戦するのに何処か身体がこのプレーを知っている様な不思議な感覚を覚えたが、“あぁ、そうか”と思い至ったのが鶴羽だった。

 

あいつは型破りなスタイルに目を奪われがちになるが、それも「基礎がしっかりしているからこそ」なのだ。

 

その鶴羽と同等だと思えるハワードは、恐らく今大会で1・2を争うプレーヤーだろう。

 

「油断してたら一気に持っていかれるぞ、気を付けろよ鶴羽」

 

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ー星煌が負けた。

 

それは俺たち栄明バスケ部に、かなりの衝撃を与えた。

 

「おいおいマジかよ!?」

 

「布瀬に加えてあの2mの留学生も残ってて、しかも仙洞と遜色なさそうな1年も居たってのに!」

 

「これは早く帰って向こうの試合観て、対策考えないと・・・」

 

皆が驚きと焦りを口にする。

 

・・・去年の夏冬と、全国大会の決勝で戦った相手が負けた事で浮き足立ってしまっている。

 

ー星煌の敗退は確かに驚いたが流石に慌てすぎだ、落ち着かせないと・・・

 

そう思った所で

 

パンッ!

 

「みんな!星煌が負けた事に驚いたと思うし、未知数の大和学園を警戒するのも分かる。

でも俺たちがいつも通りのバスケをして力を出し切れば、勝てない相手じゃない!」

 

まっつんの言葉を聞いて、「そうだよな、俺たちは全国優勝校なんだ」とか、「俺たちだって全国レベルなんだしな!」とか、「そもそも鶴羽が居る時点で、勝ち確みたいなもんだよな」、とまで言い始める始末だ。

 

「いや、現金過ぎんだろ。何を人に丸投げしてんだよ」

 

「そう言うなよ、雪。

君はそれだけ皆の精神的支柱であるって事だよ。

部活だけじゃなく、勉強や個人的な相談にも色々と乗ってあげてるのは俺も知ってるからね」

 

「まっつんこそ、さっきの声掛けは大したもんだったじゃねーか。俺ぁ本気で感心したぞ」

 

「まぁ、部長としてはあれくらいはね。

年下のエース1人に任せっきりって訳にも行かないだろ?」

 

「はっ、本当に成長したよなまっつんは。

留学帰り直後の嫌みったらしい所や胡散臭さがかなり薄れて来てるし、やっぱり部長ともなると心構えが違うのかねぇw」

 

「いや、本当に相変わらず酷い言い草だよね?

そこは素直に褒めてくれても良くない?」

 

「何言ってんだよ、本気でさっきの言葉には敬意を感じてんだぞ俺は」

 

ーなぁ皆?

 

と他の部員に声を掛ければ

 

「はい、雪先輩の言う通りです!」

 

「動揺していた俺たちを落ち着かせてくれましたから!」

 

「うん、俺たちも松岡が部長で良かったと思ってるよ」

 

と、口々にそう言う。

 

「え、そ、そう?///・・・ホッ、なら良かった」

 

照れながらもホッとした表情を見せるまっつん。

 

 

「まっつんの言った通り、俺たちはいつも通りのプレーすれば良いんだよ。ハッキリ言って俺たちは強い!自信持て、無駄に弱気になんな!勝って連覇だ、気合い入れ直せ!!」

 

「「「「おおーーーーっ!!」」」」

 

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

あの男を倒す為に、春に日本に来て数ヶ月。

 

「やっとだ・・・やっとこの手で引導を渡す事ができる」

 

あの人からバスケを奪っておきながら、その張本人は仲間に囲まれてヘラヘラと笑顔でバスケをしている。

 

「・・・許せるものか」

 

 

子供の頃から憧れ敬愛し、いつかは自分もあの人と一緒にプレーしてゆくゆくはNBAへ、と思っていた。

 

それが突然の怪我でバスケを諦めざるを得ないと聞かされた時は、頭が真っ白になったと同時にその原因に激しい怒りを覚えた。

 

あの人は

 

ーあの事故は完全に不可抗力でユキのせいじゃない。立場が逆ならあいつも同じ事をした筈だ。

だからお前もユキに筋違いの怒りを向けないで、自分のプレーを高める事だけ考えろー

 

そう言っていた。

 

あの人は本気でそう思っていて、納得もしているんだろう。

 

でも、じゃあ俺の気持ちはどうなる?

 

子供の頃はいつも一緒にプレーしていたのにある日を境に簡単には会えない場所へ行ってしまい、メールやSNSを使った連絡しか出来ず、顔を合わせるのもテレビ通話くらいしかなかったと言う状況で、久し振りに来た連絡が「怪我でバスケが出来なくなった」なんて、性質の悪い冗談としか思えなかった。

 

あれから約3年、俺はあの人の言う通りプレーの質を高めて来た。

それはあの人の怪我の原因であるユキ・ツルバを許したのではなく、奴がバスケを自ら辞めるくらいにプレーで圧倒する為だ。

 

幾ら憎い存在だとは言え、怪我をさせてプレー出来なくするなんてのは、バスケに対してもあの人に対しても冒涜でしかない。

 

「ユキ・ツルバ・・・次の試合、俺の全てを以てお前のバスケを否定してやる」

 

 

 

  ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「おいおい、マジかよ」

 

「これは・・・」

 

「ちょっと、いや、結構かなり相当シャレにならんぞ」

 

「鶴羽が居れば勝ち確って誰か言ってたけど」

 

「コイツはその鶴羽とタメ張ってるだろ!」

 

 

宿に帰ってから大和学園の今日の準決勝の試合と、都予選の試合を見返して研究していた。

 

その中で1人だけ、明らかに異彩を放つ選手が居た。

 

ーアンドリュー・ハワード

 

今年の春から大和学園に留学生として通っているアメリカ人。

予選の時は明らかに流していたが、今日は明らかにプレーの質が違う。

 

「こりゃあ、雪ちゃんレベルだろ」

 

「うん、本当に雪くんと同じか、もしかしたら・・・」

 

「超えてる、かもね」

 

その言葉に黙り込む部員たち。

 

折角まっつんが入れ直してくれた気合いが霧散しかけてやがる。

 

本当にしょうがねー奴らだぜ。

 

「なぁに暗い顔してんだ?どいつもこいつも。ったくなっさけねーなー」

 

「いや、そうは言うがよ雪ちゃん。このハワードって奴、下手すりゃマジで雪ちゃんより・・・」

 

「だったらどうすんだ?」

 

「え?」

 

「仮にこのハワードってのが俺より上手かったとして、だ。それを理由に勝てないと決め付けて諦めんのか?」

 

「そうじゃないけど・・・」

 

「まぁ良い。勝つ気が無い奴は出んな、邪魔だ、帰れ・・・ってのは無理か。せめて見えない所に居てくれ」

 

「!?雪、それはあんまりだろ!みんな不安なんだよ!!」

 

まっつんが怒鳴る。

 

ま、そりゃそうなるわな。

 

「何だ?不安どころか最初(ハナ)っから諦めてんだから、俺にこう言われる事くらい分かってんだろーが。

1年には分からねーだろうが今ここに居る全員、去年俺が入部したばかりの頃と同じ顔にしか見えねーぞ?」

 

そう言うと2・3年の多くは、ぐっと押し黙る。

 

「はぁ~っ、去年インハイとウインターカップを制したってのに、また更に強い相手が居ると分かった途端に弱気になるってのは何なのかねぇ?

実績に対して自信無さ過ぎんだよ。

なぁ、去年の2冠は俺だけで成し遂げたのか?違うだろ?」

 

「・・・そうだよ、去年の結果は雪くんの力だけじゃなく、卒業した先輩たちが居たとは言え、今の2・3年生が実力を出し切ったからこそ達成出来たんだ。

それなのに相手のビデオ観ただけでこんな弱気になるなんて、去年の自分達や先輩達に対しても顔向け出来ないと思う」

 

テツがそう言うと

 

「そうだよな、雪ちゃんが引っ張ってくれたとは言え、それに見合うだけの練習を熟したって自負はあるよな、みんな?」

 

「そうだ!県で強豪だ名門だと言われて惰性でやってた俺たちに、それじゃ駄目だと正面からぶつかってきた鶴羽に対する反骨心もあって、それまでとは気持ちを切り替えて練習したから全国制覇出来たんだよな」

 

「よくよく考えたら留学生が居なけりゃベスト8のチームなんだから、鶴羽抜きのウチの方が実力者が揃ってるんだよな」

 

「改めて“鶴羽が敵だったらこうなるのか”って考えて、勝手に弱気になってたんだな俺たち」

 

ーふん、ちったぁやる気が出てきたみてーだな。

 

「なら、やるこたぁ分かってんな?」

 

「「「「おう!今から対策考えて明日のプランを立て「じゃねーよ!」てって、え?」」」」

 

「そんな事より今日の汗流してメシ食って、そんで明日に備えて早く寝るんだよ!」

 

「えぇ、そんな事って・・・」

 

「対策は考えなきゃだろ?」

 

「考え過ぎても碌な事にならねーよ。

俺たちはいつも通りやりゃあ良い。どっちみちこのハワードって奴は俺が当たるしかないだろうしな」

 

「それはまぁ」

 

「確かに」

 

「その通りなんだけど・・・」

 

と、そこで

 

「よし、みんな!雪の言う通り汗を流してご飯にしよう。腹が減ってるから、マイナス寄りに思考が引っ張られるのかも知れないよ?

汗を流してサッパリして満腹になれば、気持ちに余裕が生まれるだろうしね」

 

本日2度目のまっつんのファインプレーである。

 

「そうだな、そうしようか」

 

「よーし、腹一杯食べるぞー!」

 

「そんでもって、明日は絶対に勝ぁつ!」

 

 

 

ーやれやれ、やっといつもの感じに戻ってきたか。

 

しかしこのハワードって奴、冗談抜きでかなりのやり手だな。

同年代でこれだけのプレーが出来るのは、正直「あの人」くらいしか思い浮かばない。

 

「アメリカからの留学生、ね・・・」

 

ふと、自分を庇って選手生命が断たれたあの人を思い出す。

 

「もしかしたらあの人の事、知ってたりしねーかなぁ」

 

そんな事を思った事に気付き、自嘲気味な笑いが零れる。

 

「・・・そんな都合良い事ある訳ねーか」

 

そう1人言ちて、気持ちを切り替えた。

 





ハワードくんの見た目のイメージは、黒バスのエクストラゲームに出てくるナッシュ・ゴールドJr.です。

勿論タトゥーは入ってませんし、無駄に暴力を振るう事もありません。

そして早く書ければ良いと書いておきながら、やる事が多くモチベも上がらなかったので、他の色んな作品読んだり拙作を初めから読み返してみたりしていました。

が、如何せんネタが思い浮かばない・・・
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