ユミアのアトリエ―導きの錬金術師と異界の狩人   作:サバ缶みそ味

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 最初はウズトゥナを登場させる予定でしたがユミアのアトリエにてアルバーの集落周辺の川はウズトゥナが泳げそうな深さが無かったので陸上でも強いタマミツネに変更しました。

 ラギアやタマミツネに負けず劣らずフィジカルで勝負するウズトゥナも好き……
 


27話 泡狐乱舞 【泡狐竜】タマミツネ

 

クルォォッ!」

 

 タマミツネが唸り声をあげ、口から大小様々なシャボン玉をレクス達に向けて数発放つ。レクスは飛んでくるシャボン玉に当たらないよう躱すがタマミツネの攻撃にルトガーは鼻で笑った。

 

「何をしてくるかと思えばシャボン玉か。避けるまでもねぇな」

 

「いやダメだ!タマミツネの泡に当たったら――」

 

 レクスの忠告は虚しく、ルトガーは指でシャボン玉を割ってしまった。パチンと割れた瞬間、ルトガーの服がじっとりと濡れ、動くと同時に泡が立ち始めた。

 

「うおっ!?なんじゃこりゃ!?」

 

「タマミツネの泡は泡立ちやすく滑りやすくなる。更にタマミツネの泡をくらえば『泡やられ』という泡で滑って思うように動けない状態になってしまうんだ!」

 

「だからそれを早く言えよこの野郎!?」

 

「そういうルトガーもちゃんとレクスさんの忠告を聞きなさいよ」

 

「みんな!タマミツネの攻撃がくるよ!」

 

 ブランが注意した直後、タマミツネが身体から泡を発しながら突進をしてきた。

 

「よっと!」

 

「っ!?速い…!」

「ちょ、ま、なんかツルッてなる!!」

 

 

 レクスとブランはタマミツネの動きを見てうまく躱し、ユミア達も泡による滑りによる勢いが強く速い突進に焦りながら避けた。

 

「タマミツネは泡を利用して相手を翻弄したり相手の動きを抑えたりするんですね…!」

 

「タマミツネの動きに注意するだけじゃなく泡に当たらないよう立ち回らねばならないということか…」

 

クルルァッ!!」

 

 タマミツネが再び迫ると後ろ脚で立ち上がり勢いでのしかかる。ユミア達は後ろへ下がって回避し反撃をしようとするがのしかかりと同時にタマミツネの身体からシャボン玉が飛んできた。

 

「ちっ!普通に攻めたらシャボン玉に当たるってか!」

「ルトガーはまた当たったら泡やられになっちゃうしこっちの攻撃がやりにくいよー!」

 

 ルトガーとアイラが悪態をつく一方、レクスは大剣でガードをして防いでその体勢でタックルをかまし、力を込めて強溜め斬りを放つ。

 

「そいやっ!」

 

 一撃をくらうタマミツネであったが怯むことなく身体を低くせて下がりると長い尻尾で前方へ薙ぎ払う。

 

「っと!」

 

 レクスはタマミツネの攻撃をいなし、大剣を横に向けて流れ斬りを放ち反撃をする。一撃を受けたタマミツネは反撃しようと鋭い鉤爪で引っ掻こうと襲い掛かった。

 

「やらせないよ!」

 

 攻撃の寸前ブランがブーメランを投げて牽制しタマミツネの動きを遮らせた。

 

「くらえっ!」

 

 続けるようにレクスが流し斬りを振るうがタマミツネは大きく後ろへ跳んで大剣は空を切った。タマミツネが後ろへ跳んだと同時に大きなシャボン玉をレクスに向けて吐き、シャボン玉が勢いよくレクスに迫る。

 

「あ、やば」

 

 咄嗟に大剣でガードをするが当たる直前、銃声と同時にシャボン玉が割れた。後方でユミアが杖銃を構えて狙いを定めていた。

 

「泡に当たる前に割れば問題なさそうですね!」

 

「ユミア、助かった!」

 

 ユミアは笑顔で返し、再びタマミツネの方へ狙いを定めて杖銃を撃つ。泡を吐かせないよう頭部へと弾丸は飛んでいくがタマミツネは回り込んで回避する。

 

 

クルルォッ!」

 

 タマミツネが首を横に振りながら無数のシャボン玉を放った。飛んでくるシャボン玉にユミアは狙いを定める。

 

「させるもんか!」

 

 何度も杖銃を撃ってタマミツネが放ったシャボン玉を全て割った。

 

「ユミア、ナイスショット!」

「エッヘン、フラミィを的にして射撃練習した甲斐があったよ」

『ユミア、あまり自慢すべきことではないとフラミィは思います』

 

「これならシャボン玉に当たる心配はねぇ。心置きなく攻めれるぜ!」 

 

 不適に笑うルトガーは駆けてガンサイズを力強さ薙ぐ。タマミツネの甲殻に弾かれることなく一撃が入ると目を輝かせた。

 

「いい切れ味じゃねぇか。気に入った!」

 

 続けて一撃を入れようとするがタマミツネは身体を泡立たせて滑りながら回り込み尻尾で叩きつけてきた。ルトガーに迫る尻尾の一撃をヴィクトルが前へ出て盾で防ぎ弾き返した。

 

「油断するなルトガー、相手は泡を巧みに使うモンスターだ」

「けっ!貴族の坊っちゃんが、余計なお世話だ。んなことわかってんだっつーの」

 

 いざこざしている間にタマミツネが前脚の鋭い鉤爪で襲い掛かろうとしたが横から割り込んできたアイラの槍の薙ぎ払いでタマミツネの攻撃を遮る。

 

「ほらよそ見しないの!」

「だからわかってるつーの!」

 

クルルァッ!!」

 

 

 遮られたことが癪に障ったかタマミツネが勢いをつけて噛みつてきた。タマミツネの強襲にアイラとルトガーは左右に躱し、盾で防ぎ受け流したヴィクトルがタマミツネの胸部に向けてパイルバンカーの一撃を放つ。

 

「くらえっ!」

 

 強い衝撃を受けたタマミツネは怯みと同時に胴体が仰け反り少し起き上がった。

 

「よし、そこだっ!」

 

 レクスが迫って追撃の十字斬りを刻む。更に追撃を受けたタマミツネが仰向けに倒れ水しぶきが上がる。

 

「っしゃあ!連携を組んでいきゃいけそうだな!」

「泡に気をつければいいもんね!」

 

 ルトガーとアイラはこれならいけると勝機を感じていた。すると転がり起きたタマミツネがギロリと睨むと頭部と背中のヒレが真っ赤に染まりはじめた。

 

「タマミツネのヒレが変色した…!?」

 

「油断は禁物だ。こちらを敵と見なした。奴の本気はここからだ!」

 

クルォオオオォッ!!」

 

 タマミツネはトグロを巻くように丸くなると力強く咆哮をし、円を描くように回りはじめた。するとバジャバジャと泡が激しく泡立ち、無数のシャボン玉が舞う。タマミツネが回り終えると身体に泡を纏い、動くたびに泡立ちシャボン玉が舞った。

 

「タマミツネが泡を纏った。更に攻撃が激しくなるから気をつけるんだ!」

 

 レクスが注意した直後にタマミツネが勢いよく滑り込みながら迫り尻尾で薙ぎ払った。泡を纏うことで摩擦がなくなりより速く迫るタマミツネの攻撃にルトガー達は慌てて回避した。

 

「さっきよりも速え!?」

 

「飛んでくるシャボン玉も増えてるっ!」

 

「それでも…!」

 

 ルトガー達に当たらせまいとユミアは杖銃でシャボン玉を撃ち割ろうとするが、タマミツネが泡を激しく泡立たせながら突進してきた。

 

「うわっ!?」

 

 ユミアは咄嗟にブーツのエナジーコアを消費して高くジャンプをして回避。宙返りして着地をしほっとするのも束の間、タマミツネが振り返ると鎌首を上げて口から流水ブレスを吐きながら振り下ろす。

 

「危ないっ!」

 

 ユミアはレクスに肩で押されて流水ブレスを免れたが代わりにレクスが直撃した。

 

「ぶべらっ!?」

 

「レクスさんっ!?」

 

 レクスは吹っ飛んで倒れるがすぐに起き上がって腕を上げて手を振る。

 

「あたいたた…心配ない、大丈夫だ!」

 

 

「おぉい!?泡だけじゃねえのか!!」

「本気をだしたとレクスが言っていただろ。気を抜くとこちらがやられるぞ!」

 

 再びタマミツネが泡を纏って回り込むように滑り、勢いよく尻尾を叩きつけてきた。バジャりと強く水しぶきが上がると同時にシャボン玉が無数に舞う。タマミツネの攻撃を避けたアイラとヴィクトルにもシャボン玉が当たり泡が付き始めた。

 

「っ!?少し滑る…これが初期段階の泡やられか…!」

 

「うわ!?服が泡だらけだしべとべとぉ……せっかく綺麗にしたのに!」

 

 アイラはプンスカと怒りながらタマミツネの胴に槍の連撃を刻む。

 

「この状況で心配するとこそこかよ!?おいレクス!泡を纏ったアイツをどう対処すんだ?」

 

「泡を纏ったタマミツネは滑りながら素早い攻撃を繰り出す。でも頭部、尻尾、胴に強い衝撃を受ければタマミツネもバランスを崩し転倒するんだ!」

 

 

「要は攻め続ければいいってことね!」

「あながち間違ってはないけど……アイラ、泡で滑らないよう気をつけて」

 

クルルォッ!!」

 

 タマミツネが後ろ脚で立ち上がると鎌首を下げて流水ブレスを上へ薙ぎ払う。迫る流水ブレスをユミア達は咄嗟に躱すが、タマミツネが続けて右へと横薙ぎの流水ブレスを放った。

 

「薙ぎ払いのブレスに気をつけて!」

「うひゃあああっ!?そういうブレスもあるの!?」

「走れ!こっちにくるぞ!」

 

 迫りくる流水ブレスにブランが先導するように走り、アイラとルトガーは泡で滑りそうになりながらも走って免れる。一方のレクス、ユミアとヴィクトルは流水ブレスを掻い潜って躱しタマミツネに迫る。

 

クルルォッ!」

 

 迎え撃つタマミツネが後ろ脚で立ち上がり力強く鉤爪を振り下ろす。

 

「せいっ!」

 

 レクスが駆けて大剣を斬り上げて刃と鉤爪がぶつかり合い相殺させる。相殺の反動でタマミツネが仰け反り転がった。 

 

「そこだ!」

「てやっ!」

 

 タマミツネが起き上がり隙ができたところへヴィクトルは盾を振るい、ユミアは杖銃でタマミツネに打撃を与える。怯むタマミツネは後ろへ下がると身体を低くく屈んで後ろへ跳びながら大きなシャボン玉を吐いた。

 

「っと!」

「あぶなっ!?」

「はやいっ!」

 

 勢いよく迫るシャボン玉にレクス達は躱したが後方にいたルトガーとアイラは泡で滑りそうになり反応が遅れてしまった。

 

「は、おいちょっ…!?」

「わっ、泡がこっちに…っ!」

 

 2人にシャボン玉が当たりパチンと割れた瞬間、一気に泡立ち始めツルツルと滑ってしまうようになってしまった。

 

「おわっ!?すんげぇ滑るんだが!?」

「あわわわ!?服も泡だらけになっちゃうし、こ、転んじゃうーっ!」

 

 ツルーっとあらぬ方向へと滑っていくルトガーとアイラ。そんな2人を狙うようにタマミツネが滑るように突進していく。

 

「こ、こっちにきたーっ!?」

 

「アイラ、ルトガーっ!逃げろ!」

 

「逃げろつったってヴィクトル!滑って思うように動けねぇんだが!?」

 

 

 突進してくるタマミツネから逃れようとするが泡まみれによってツルツルと足を滑らしてしまい思うように動けないでいた。 

 

「こうなったら…ウニャーっ!」

 

 ブランが駆けて力いっぱい跳んで滑る2人に迫るタマミツネの顔面に張り付いた足止めをした。

 

クルルオォッ!?」

 

 タマミツネは突進を止めて顔面に張り付いたブランを振り落とそうと暴れだす。

 

「ウニャニャニャっ!!」

 

 ブランは振り落とされまいと必死にタマミツネの頭部にしがみつく。

 

「ブランちゃんありがと!」

「でかしたぞデカネコ!」

 

「2人ともこれを!」

 

 駆けつけたレクスは水色の粉のような物が入った小瓶を渡した。

 

「これは消散剤だ。これを振り撒けば纏わりついた泡が消える」

 

 2人は消散剤の蓋を開けて消散剤を服と足元に振り撒く。水色の粉が泡を吸い取るように消え、纏わりついた泡がきれいさっぱりなくなった。

 

「泡が消えた!レクスさんありがとね!」

「おし!泡さえなけりゃこっちのもんだ!」

 

 ルトガーはガンサイズを銃形態に変えてブランを振り落とそうと暴れるタマミツネの胴を狙って撃つ。ガンサイズから放たれた弾丸はタマミツネの胴に当たると榴弾のように爆発を起こした。

 

クルルァッ!?」

 

 爆発で背中のヒレが破れタマミツネは怯んで動きが鈍る。その隙を狙ってブランは後方へと跳んで着地。

 

「いいアシストだったぞブラン!」

「へへっ、どんなもんだい!」

 

 

 怯んだタマミツネはギロリと睨むとトグロを巻くように身体を丸めて力を溜め、回転しながら流水ブレスを放った。

 

「ブレスがこっちにくるーっ!?」

「ちっ、またかよっ!」

「当たらないよう走るんだ!」

 

 ヴィクトル達は回転しながら放つタマミツネの流水ブレスから走って逃げる。レクスは躱してタマミツネの猛攻を止めようと大剣を振るうがタマミツネの攻撃は止まない。

 

「っ!中々しぶとい…!」

 

「レクスさん!今度は私がっ!」

 

 流水ブレスから逃れるように走っていたユミアが翻してタマミツネのブレスを迎え撃つ。迫りくるブレスにタイミングを合わせてブーツに搭載されてあるエナジーコアのマナを使って高く跳んで躱した。

 だがタマミツネは跳んだユミアを狙うように流水ブレスを右下から上へと薙ぐように放った。

 

「ユミアっ!」

 

 レクスが咄嗟に叫ぶ。流水ブレスがユミアに迫る寸前、ユミアはもう一度エナジーコアに力を込めた。

 

「まだまだっ!」

 

 ブーツのエナジーコアが赤く光り、ユミアは空中を蹴ってタマミツネの流水ブレスを躱した。二段ジャンプをして回避したユミアにレクスは目を輝かせた。

 

 

「空中で回避か!すごいな、操虫棍みたいな動きだ…!」

 

 

 レクスが感心と驚きの声を上げている間にユミアは空中で槍の形をした魔物退治の道具である『プラジグ』を取り出す。

 

「泡なら電撃が通るはず…!これをくらえ!!」

 

 ユミアはプラジグをタマミツネに向けて投げた。プラジグは電気を纏いバチバチと電気を迸らせながら飛んでいき、タマミツネに直撃すると電撃を激しく放った。

 

クルルァッ!?」

 

 

 身体に纏っていた泡が激しく割れ、電撃をくらったタマミツネは足を滑らせてダウンした。スタリと着地したユミアはどんなもんだとドヤ顔を決める。

 

「泡纏いが解けてタマミツネが倒れた!ナイスだユミア!」

 

 ダウンしているタマミツネにレクスは溜め斬りを放つ。

 

「みんな!今がチャンスだよ!」

 

「よっしゃぁ!攻め時ってやつか!」

「レクスさんに続けていくよ!」

 

 レクスに続くようにルトガー達もありったけの攻撃を与えて攻めていく。

 

 ダウンしていたタマミツネが起き上がり、尻尾を振り回して振り払う。レクス達が尻尾の攻撃を回避した直後、タマミツネは小さな泡を発しながら上体を起こした。

 

「っ!気をつけて!大技がくる!」

 

 タマミツネは大きく跳んで背面ボディプレスを放った。ユミア達はレクスの忠告を聞いて動いたおかげか直撃は免れたものの衝撃で発した泡に当たってしまう。

 

「ま、またぁ!?もう!!服がビショビショじゃないの!」

「軽く動いただけで泡が…これが泡やられか」

「本当にびしゃびしゃになっちゃうんだこれ…この泡、素材にならないかな……」

 

「お前ら呑気にしてる場合か!?つうかレクスは大丈夫か…!?」

 

 ツッコミをいれつつもルトガーがレクスの方へ視線を向けた。一方のレクスは大剣でタマミツネの背面ボディプレスを防ぎながら受け流し、力を溜める。

 

 ぐっと大剣を握る力を強め、勢いよく踏み込み大剣を振り下ろす。そして再び力を入れて一回転、更に強力な一撃こと真溜め斬りを振り下ろした。

 

「うおらあああっ!!」

 

 強力な一撃と同時に大きな爆発がタマミツネに直撃する。

 

グルォッ!?ククオォォ……ッ

 

 タマミツネはよろめき弱々しい唸り声を上げながら倒れた。バシャリと水飛沫が上がると同時にいくつものシャボン玉が舞った。

 

 レクスは息を軽く吐いて動かなくなったタマミツネを見つめ、静かに大剣をしまった。

 

「……よし、これでアルバー達も安心して魚を獲ることができる」

「やったね旦那さん!」

「さてとユミア、さっそくアルバー達に報告を……」

 

 レクスは振り返るとユミア達はタマミツネが残したシャボン玉に当たって泡まみれになりながらツルツルと滑らせていた。

 

「あ、アイラ!落ち着いてゆっくり歩けば……うおわっ!?」

「そんなこと言ったってお兄ちゃん……って、きゃーっ!?と、止まらないーっ!!」

 

「うわわわ!?尻もちついてもそのままスライドするんですけどぉ!?れ、レクスさーん!」

「くっそ、まじでツルツルすんだが…!レクス!さっさと消散剤を……って、なにニヤニヤしてんだてめえ!?」

 

 反応が面白そうだったのでレクスはにっこりしながらユミア達を観察していた。

 

_____

 

「みんなー!『アワアワのバシャバシャ』をやっつけたよー!」

 

 アルバーの集落へと戻り、ブランが手を振りながら元気いっぱいに伝えた。すると出迎えていたアルバー達が一斉に駆けつけてきた。

 

「わーい!ありがとー!」

「これでお魚が食べれるー!」

「ノッポさん達ありがとー!」

 

 喜びの声を上げながらアルバー達はぴょこぴょことジャンプしながらはしゃいだ。アルバー達の可愛らしい姿にユミアとアイラはほっこりする。

 

「ガシャガシャのノッポさん、たんこぶいっぱいだー」

「怪我したのー?」

 

「あー……怒られちゃった……」

 

 泡まみれになっていたユミア達をしばらくニコニコしながら観察していたがルトガーとアイラにこっぴどく叱られたのであった。

 

「これでもうアルバー達は食糧に困らないですむ。さて次は住まいの修理だな。ユミア、頼めるか?」

「ヴィクトルさん、任せてください。ウィルマさんがくれた資料とアルバーの話を基に設計図も完成してます」

 

 次は自分が頑張る番だと張り切るユミアをよそにルトガーは嫌そうな顔をした。

 

「はあぁ!?んなことよりさっさと大樹への行き方を聞いて行こうぜ?」

「ほら文句言わないの!私達は建材を運んでユミアの手伝いするの!」

「よーし!ユミア、どんどん運ぶからじゃんじゃん建ててくれ!」

 

「ふふん、今なら柵だって二階建てのお家だって作っちゃいます!」

 

 レクス達はユミアのところへ建材を運び、ユミアは杖銃を掲げながらマナを操作し壁や屋根やら構築して建てていく。一階建てや二階建て、壊された柵を修復し更には街灯やブランコ、アルバーの石像までも造って設置した。

 

「ふう…こんな感じかな」

 

 日が傾いた頃、ようやくユミアは一息ついて修復作業を終えた。ナルガクルガの襲撃でめちゃくちゃになっていた集落が以前よりも見事綺麗に直った。

 

「うんうん!お家が全部直ってるね!」

「あっという間に全部を……見事なものだ」

「途中必要なのかこれってもんも造ってたな……」 

 

「うおおおっ!すごいぞユミア!」

 

 レクスが目を輝かせると共にアルバー達も目を輝かせてはしゃいでいた。

 

「お家が直ってるー!」

「柵も丈夫そうー!」

「ブランコもあるー!」

「ノッポさんありがとー!」

 

 アルバー達に感謝されたユミアはアホ毛がピンと伸びながらエッヘンと胸を張る。

 

「錬金術にかかればこんなもの!」

 

「……やっぱ大工じゃねぇか?」

 

「聞こえてるんだけどー?」

 

 ルトガーのつぶやきにユミアはムスッとジト目で睨む。アルバー集落の問題が全て解決し、これで調査に取り掛かることができるようになった。アルバーなら大樹のある方角への行き方を知っているはず、アイラが屈んでアルバーに尋ねた。

 

「あのね、私達北側にある大樹の方に行きたいんだ。行き方知ってる?」

 

 尋ねられたアルバー達は顔を見合わせて頷くと元気いっぱいに頷く。

 

「知ってるよー!抜け道があるのー!」

 

 やはりアルバー達は通り道があることを知っていた。突破口を得たルトガー達はさっそく進むことにした。

 

「そいつは助かる。その抜け道とやらに案内してくれよ」

 

「いいよー!」

「でもノッポさん達大丈夫?あっちにも怖い魔物がいるよー?」

 

「『メラメラのスパスパ』がいて怖いんだー。ぶるぶる」

 

 

「まだこの樹海にへんな奴がいんのかよ…」

「タマミツネみたいにおっかないモンスターかな…」

「レクスさん、どんなモンスターか知ってますか?」

 

「うん、おそらくだが……そのモンスターは体が真っ赤で尻尾でスパスパしてないか?」

 

「そうだよー!ガシャガシャのノッポさん物知りー!」

 

 アルバーの話を聞いたレクスは確信を得て頷いた。

 

「間違いない。『斬竜』ディノバルドだ」

「名称からしてかなり危険そうだな……」

 

「ヴィクトルの言う通り、ディノバルドは爆発性のある炎を吐き、刃物のように鋭く発達した尾で襲い掛かる獰猛なモンスターだ」

 

 レクスの話を聞くかぎりディノバルドというモンスターはかなり凶暴そうで、出くわしたくないとユミア達は顔を曇らせる。

 

「あー……『抜け道』と言うんだから、もしかしたらディノバルドに出くわさない道なんじゃないかな?」

 

「そ、そうだな……僕達もディノバルドに出くわさないよう気をつけて進もう」

「タマミツネで大変だったし連戦はやだなぁ……」

 

「と、とにかく!戦闘にならないよう行けば大丈夫!わ、私達は大丈夫だから案内してくれる?」

 

「ユミア、ちょっと待って。案内してもらうよりも先にやる事が……」

 

 レクスに止めらユミアはキョトンとした。やはりディノバルドに備えて対策をたてる必要があるのか。レクスの行動をじっと見つめてはいたがレクスはせっせと肉焼きセットを組み立てていた。

 

「せっかくお魚を沢山持っきてたんだ。こんがり魚にしてみんなで食べよう!」

 

 

 要はお腹が空いたのであった。アルバー達ははしゃいでいたがユミア達はずっこけた。

 

 

 

 




 ちょいライズサンブレイクよりのタマミツネでした。

 泡まみれのユミア……いい(オイ
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