ある日、自宅に一周年記念食材が届いた。
だから、料理を作るのだ……


※今作はVtuber白兎ねむりのネタを多用しております

用語解説
しらと耳:白兎ねむり様の兎耳
シラート:白兎ねむり様の脂です、そう、脂

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第1話

 耳が届いた。

 

 もう一度言おう。耳が、届いた。

 

 まさか1周年記念グッズが1周年記念食材として、合法的に高級食材であるしらと耳が手に入るとは思いもしなかった。

 

 しかもしっかりとした処理された状態で届くという徹底振りだ。

 

 流通事情の都合上、冷凍の状態で手に入れていたが、今回は合法だ。

 

 手抜きな料理は出来ない。

 

 今日はどういう料理をしてみようか。

 

 素揚げにはしたし、ステーキでも頂いた。

 

 淡白な味わいという事だから、唐揚げなんかでも美味しそうだし、煮込み料理に入れてみるのも悪くないかもしれない。

 

 いや、落ち着け、安直なチョイスを今までしてきたのだから、ここは変わり種をチョイスする方が面白いんじゃなかろうか。

 

「……カツレツにしてみるか」

 

 このペラッペラの耳を見ていると、ふと薄く叩いて伸ばし、衣を付けて揚げ焼きにするカツレツが頭をよぎった。

 

 確かにこの厚みならば叩いて伸ばさなくとも十分な厚さだ。

 

 普通のカツレツだと面白くない。ならば、ミラノ風カツレツにしてみようじゃないか。

 

 そうとなれば早々に準備をしなければならない。

 

 ミラノ風カツレツは油で揚げ焼きにする料理だ。使う油はサラダ油でも構わないのだが、オリーブオイルにバターを加えた方が美味しく出来上がるだろう。

 

 そう思い、冷蔵庫から食材を取り出していく。

 

 卵に薄力粉、パン粉、パルミジャーノチーズ、レモン、バター、オリーブオイル。

 

「……これも油の中に入れておこう」

 

 冷凍庫から冷凍保存していた超希少脂シラートを取り出す。

 

 工程はシンプルで、しらと耳に塩、コショウで下味を付ける。次にボウルに卵を割り入れ、かき混ぜて卵液を準備。その次にパン粉とパルミジャーノチーズを混ぜて衣の準備をする。

 

 下味を付けておいたしらと耳に薄力粉をまぶす。ここで薄力粉を付けすぎるとサクッとした触感にならないため、卵液に潜らせる前に少しはたいておく。

 

 卵液に潜らせ、パルミジャーノチーズを混ぜたパン粉をしっかりとまとわせれば後は揚げ焼きにするだけだ。

 

 フライパンに多めのオリーブオイルを加えて少しだけ熱し、そこにバター、シラートを加える。

 

 温度が上がり切る前に衣を付けたしらと耳をフライパンに投入する。

 

 熱々のフライパンに投入すると熱で肉が収縮することを考えれば、出来るだけ早めに入れた方が失敗しにくい。

 

 後は揚げ焼きにしてこんがりキツネ色に仕上げれば完成だ。

 

 付け合わせはどうしようか。

 

 ルッコラなんて気の利いた葉野菜があるわけでもない。

 

 カツと言えばキャベツなのだが、レモンを絞って食べるカツレツが相手だ。千切りキャベツにするにしても市販のドレッシングは少し見劣りするかもしれない。

 

 ならばベビーリーフはどうだろうか、ボウルにベビーリーフとミニトマトを入れて、塩、コショウ、オリーブオイル、白ワインビネガーを加えて和えればサラダの完成だ。

 

 しらと耳のミラノ風カツレツに半分に切ったレモン、緑と赤のサラダを添えれば彩りも良い立派な料理の完成だ。

 

 白いお皿にカツレツの茶色、レモンの黄色、緑色と赤色のサラダとなれば、ちょっとしたフレンチ料理と言えるかもしれない出来栄えだ。

 

「いただきます」

 

 もちろん、ナイフとフォークで頂く。

 

 子洒落てる? 格好付け? まあ、料理は大体形から入る物だからね。

 

 レモンをカツレツとサラダに絞り、カツレツを切り分けて一口食べる。

 

 バターの香りとうま味のある衣だ。チーズの濃厚なコクとシラートの深みのあるコクが交わり、あっさりとしているしらと耳にしっかりとしたうま味を与えてくれている。そしてレモンの酸味で油をしっかりと吸った衣の重たさを打ち消してくれており、何枚も食べれてしまうかもしれない。

 

 なるほど、ソースなどの分かりやすい味と言う訳ではないのだろう。濃い目の味が好きな人にとってはついソースに手を伸ばしてしまうのかもしれないが、一皿で見ればどうだろうか、塩コショウと白ワインビネガーやレモンの酸味で構成されているあっさりとしたサラダとの付け合わせだ。両者共に薄味の味付けだ。

 

 サラダの酸味とカツレツの脂の甘み、これを考えればまさに相乗効果とも言うべきハーモニーが奏でられているではないか。

 

 あっという間に完食してしまい、しばらく余韻に浸る。

 

 そして、思うのだ。

 

「一般流通、しないかなぁ……」

 

 そんな事をしらと耳に思いを馳せるのだった。


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