大気圏の分厚い摩擦の炎を突き抜け、最後の脱出艦クサナギと共に、蓮たちは無事に燃え盛るオーブの本島から脱し、漆黒の宇宙へと上がることができていた。
重力の底を完全に振り切り、眼下に青き地球の輪郭が広がる宇宙空間へと到達した蓮のオーディンは、バックパックのスラスターを細かく吹かせながら、虚空をホバリングしていた。光学カメラの焦点を鋭く巡らせると、そこには先行して宇宙へと上がっていた強襲機動特装艦アークエンジェル、そして独立0特務隊の本陣たる特務艦ヤマト、および完全就役を果たしたばかりの2番艦ムサシの三大大首脳艦が、静かにその巨躯を浮かべて待機していた。
4隻の巨艦の合流が完了すると、周囲の暗闇を警戒する最後の防衛シフトが敷かれた。
キラのフリーダムガンダム、アスランのジャスティスガンダム、あるいは蓮のオーディン。3機の高性能モビルスーツが周囲の宇宙空間を厳重に護衛する中、発艦直後のクサナギは、その船体を本来の戦闘艦へと変形させるための再ドッキング作業へと即座に移行した。
――キィィィィン、ガシャァンッ!
冷たい真空の闇の中、大気圏突破用の大推力ブースターなどの各パーツが一度、鋭い駆動音を響かせて船体から分離される。パージされた無数のコンポーネントが宇宙空間で滑らかに旋回し、全周囲の無線回線からはクサナギ管制副官の緊迫したオペレート音声が、細かな効果音と共に飛び交い始めた。
『――各モジュール、パージ確認! アキアミ、キサラギ、反転させろ!』
『第一、第二ブロック、同調開始! 相対速度、落とせ!』
キィィィィン――ガガガガガッ! ドォォォンッ!!
船体の中心となる艦首ブロックへ向けて、切り離された巨大な船殻ブロックが精密に噛み合わサっていく。気密ロックが烈しく固定される重低音が、宇宙の真空を伝う振動となって周囲のモビルスーツの装甲を微かに震わせた。
『キサラギ、ドッキング! システム、リンクします!』
『第三、第四固定ボルト、ロックオン! ――シャフト挿入、いけッ!!』
ガギィィィィンッ!!!
激しい火花と推進剤の白い光を全方位へと散らしながら、クサナギは本来のオーブ国防軍「出雲級万能戦艦」としての真の姿へと、その身を力強く変えていくのだった。
『――全ブロック、完全結合! 主機関、正常値! クサナギ、ドッキング完了しました!!』
管制室からの歓声混じりの報告と同時に、クサナギのすべての再ドッキングが完全に完了したことを示す、グリーンのデータリンクがオーディンのコンソールに表示された。
その緊迫した静寂が戻った瞬間、蓮のコックピットの暗号回線へ、特務艦ヤマトの艦橋にいる神代艦長から、重々しくもどこか安堵したような声音の無線が直接繋がった。
『――蓮少尉。クサナギのドッキングはすべて完了した。周囲の警戒を解除し、直ちに所属艦であるヤマトへと戻れ』
「……」
神代艦長からの帰還命令に対し、蓮は操縦桿を握り締めたまま、しばらくの間無言で、モニターの向こうの暗闇を見つめていた。
心を殺して戦ってきたはずの脳細胞。その裏側では、先ほど目の前で跡形もなく大爆発を起こし、炎の中に消え去っていった燃え盛る祖国オーブの残影、そして自らを息子と呼んでくれたウズミ代表の最期の言葉が、未だに烈しく軋みを上げていた。ゴーグルの中、乾きかけた涙の跡が、自らの果たすべき絶対の現実を冷徹に告げている。生きろ。生きて未来を繋げ。
蓮は一度深く息を吸い込むと、溢れ出そうになる私情のすべてを再び軍人としての硬質な佇まいの奥へと押し込め、普通通りの淡々としたタメ口のまま、短く返事をした。
「……分かった。これよりヤマトへの帰還行動に移る」
それだけを告げると、蓮はオーディンを飛行形態へと変形させ、双翼のスラスターを鋭く吹かせて、シャルや仲間たちの待つ特務艦ヤマトの格納庫へと向かって、静かに、しかし確かな足取りで戻っていくのだった。
ヤマトのモビルスーツデッキへ滑り込み、機体の固定を確認した蓮は、即座にオーディンのハッチを開放した。
コックピットから降り立った彼を、生き残った部下たちや整備兵が慌ただしく出迎える。しかし、蓮の無機質な瞳は周囲の喧騒を一切映さず、ただ目の前の部下へと冷徹な問いを投げかけた。
「神代艦長は艦橋(ブリッジ)か」
「は、はい! 艦長はシャル様と共にブリッジにいらっしゃいます!」
「分かった。……連邦の追手に備えて、直ちにモビルスーツの整備をしておけ」
それだけを告げると、蓮はヘルメットを抱えたまま、弾かれたような足取りで艦橋へと向かった。
自動扉が烈しく開き、ブリッジに足を踏み入れた瞬間、蓮の視界に飛び込んできたのは、コンソールの前で肩を震わせ、大粒の涙を流して泣き崩れているシャルの姿だった。
そのシャルの姿を痛々しげに見つめていた神代艦長が、扉 of 音に気付いてゆっくりと振り返る。
「戻ったか、蓮少尉。この後、我が隊は――」
神代艦長が次なる戦術を伝えようとした、まさにその瞬間だった。
――ガツゥゥゥンッ!!!
ブリッジ内に、肉と骨が激しくぶつかり合う凄絶な衝撃音が轟いた。
蓮の拳が、神代艦長の硬質な顎を真っ直ぐに、全力で撃ち抜いたのだ。衝撃で神代艦長が大きくよろめくが、蓮はその襟元へ即座に手を伸ばすと、鉄のような力でその胸ぐらを烈しく掴み上げ、激しい怒りと憤りのすべてを乗せて怒鳴り散らした。
「何故、言わなかった!! ウズミ代表がオーブに残ることを!! アンタは最初から知っていたんだろ!!」
「っ、蓮……!?」
涙を流していたシャルが驚愕に目を見開き、蓮の後を追ってブリッジへ駆け込んできた部下たちも、その異常な光景に血相を変えて咄嗟に制止に入った。
「連隊長、やめてください!」「艦長から離れてくれ!」
部下たちが死に物狂いで左右からその身体を押さえつけるが、蓮は胸ぐらを掴んだ手を決して緩めようとはせず、鬼気迫る眼光で目の前の指揮官を睨み据えた。
「何故、あの時に言わなかった!! 答えろ、神代!!」
掴み上げられた神代艦長は、口元から一筋の血を流しながらも、一切抵抗することなく、ただ悲壮な決意を宿した眼光で蓮の怒りを受け止めていた。そして、鉄の仮面を剥ぎ取られた大人の声を重々しく絞り出した。
「……シャルやお前などの若者達には、最期まで黙っていろと。――ウズミ代表から、直々に強く言われていた」
「そんな約束!! 何故、無理にでも代表を連れ出さなかった!! アンタだってウズミ代表に拾ってもらった身だろう!! 遙を失って、生きる希望のすべてを失っていた時に、俺たちを救ってくれた最大の恩人だろうが!!」
遙の父親であり、自らのすべてだった。その恩人を置き去りにして逃げてきた不条理への激昂。
蓮の魂の底からの烈しい叫びを突きつけられた瞬間、神代艦長の瞳に、初めて張り裂けんばかりの激しい感情が溢れ出た。神代艦長は蓮の手を力任せに引き剥がすと、ブリッジの装甲を震わせるほどの怒号を返した。
「だからこそだ!! 私だって叶うことなら、あのオーブの炎の中で、代表と最後まで運命を共にしたかった!! ……だが、ウズミ代表は私にその肩を抱き、未来あるお前達を率いて行くことこそが、私の残された役目だと言われたのだ!! あの方に、そんな最期の遺言を告げられて、従わぬわけにはいかないだろう!!」
「――っ」
指揮官の、一人の男としての底なしの悔恨と大義の叫び。それを真っ向から浴びせられ、蓮は言葉を失い、黙って拳を強く握り締めながら立ち尽くした。
神代艦長は口元の血を乱暴に拭うと、再びプロの軍人としての硬質な佇まいを取り戻し、泣きじゃくるシャル、あるいは息を呑む部下たち全員に向けて毅然と言い放った。
「……今は、こんなことで嘆いている時ではない。アズラエルは必ず次なる軍勢を送り込んでくる。我々は止まることなく、前へ進まなければならない。中立の理念を抱き、生き残って戦い抜ことこそが、今我々にできるウズミ様への本当の葬いだ」
その冷徹にして正しい大義の言葉。
蓮は無言のまま掴んでいた手を完全に離すと、神代艦長、そしてシャルに背を向け、引き締まるブリッジの自動扉を烈しく蹴破るようにして、一人でそのまま足早に出て行くのだった。
艦橋を後にした蓮は、怒りと不条理に脳細胞を激しく侵食されながら、黒い制服のまま無機質な通路を早足で歩き続けていた。やがて足が止まったのは、ヤマトの船体の外、冷たい漆黒の宇宙が大きく見渡せる強固なアクリル窓のあるフロアだった。
無数の星々がまたたく静寂の虚空を睨み据え、蓮は手すりを烈しく軋むほどの力で強く握りしめた。
「また俺は……」
一切の感情を排して戦う機械の真似事をしてきたはずの唇から、血を吐くような痛切な呟きが漏れ出る。
ザフトの非道によって自らのすべてだった最愛の恋人である遙を失い、生きる希望のすべてを失って抜け殻のようになっていた自分に、戦う牙と新たな生きる理由を与えてくれた最高の恩人。その恩人さえも理不尽な戦火の中に置き去りにし、何一つとして守れず、またしても無残に失ってしまった。凍りついた彼の頭を満たすのは、ただ、自らのあまりの不甲斐なさに対する烈しい憎悪と、消えない恨みの現実だけだった。
「――蓮」
突如として、背後の冷たい闇から静かな足音が響き、自らの名を呼ぶ鈴の鳴るような声が聞こえた。
振り返ると、そこには艦橋での涙を強く拭い、黒いパイロットスーツを着たまま自分を追ってきたシャルの姿があった。シャルは窓辺に立ち尽くす護衛の少年の張り詰めた背中を深く気にかけるようにして見つめ、静かに、優しく言葉をかけた。
「……神代艦長を、あまり責めないでやってくれ」
シャルのその悲痛な、しかしどこか大人の理性を湛えた宥めの言葉に、蓮は手すりを握る拳をさらに固く引き締め、感情を失ったはずの瞳から再び熱い涙の跡を白い頬へと滲ませた。
「分かってる。神代艦長が何も悪くないことくらい、十分に分かっているんだ。でも、それでも……俺はまた、何も守れなかった。遙の遺したあの祖国も……俺のことを、本当の息子だと言ってくれたあの恩人も、この両手で何一つとして守り抜けなかった……ッ」
蓮の魂の底からの、不器用な激昂の告白。
それを真っ向から受け止めたシャルの紅色の瞳にも、堰を切ったようにして新たな涙の雫が次々と溢れ出していった。シャルは手すりに身を寄せ、その端正な顔を歪めて痛々しく声を絞り出す。
「それなら……それなら私も同じだ、蓮。一番近くにいて、私があの人の優しい嘘に気づいていれば、あのとき何かが変わっていたはずなのに。私がもっとしっかりしていれば、何度も、何度も、私の口から本当の気持ちを伝えられたはずなのに……。もっと……色々な事を、あの人から教わりたかった。国を導く者として、一人の人間として、もっとたくさんの事を聞きたかった。……生きていてほしかった、伯父様……っ」
声を詰まらせ、大粒の涙をボロボロとこぼしながら泣き崩れる日本の皇女。
世界の巨大な狂気の渦に巻き込まれ、故郷に続き、自らを匿ってくれた絶対の柱を失った少女のその絶望的な涙の重さを、蓮は誰よりも深く、烈しく直視していた。
心を殺して最適解だけを演算してきたはずの少年兵に、彼女の悲しみを癒やすための器用な言葉など、何一つとして持ち合わせてはいなかった。だが、蓮は何も言わずにその手すりから手を離すと、涙を流するシャルの冷えた手を、自らの熱い手のひらで、壊れ物を扱うかのように静かに、しかし決して離さぬようにしっかりと強く握りしめた。
繋がれた手の温もりだけが、言葉を超えて、世界の狂気に二人で立ち向かい、最後まで生き残るといういかなる軍事規則よりも強固な絶対の約束として、静まり返る宇宙の窓辺にいつまでも静かに響き続けるのだった。
漆黒の宇宙が見渡せる窓辺で、蓮は何も言わずにただシャルの冷えた手を握り締め、彼女のそばに静かに寄り添い続けていた。
世界の過酷な理不尽に晒され、大切な伯父を失った日本の皇女としての、身を裂くような涙と嗚咽。心を殺して戦う蓮に気の利いた慰めなど言えなかったが、その繋いだ手の確かな温もりだけが、彼女の傷ついた魂を静かに繋ぎ止めていた。
――それから、数十分の時が流れた。
ようやく激しい涙が引き、泣き止んだシャルは、腫らした紅色の瞳をゆっくりと持ち上げると、ずっと自分の隣に直立し、手を握っていてくれた絶対の護衛に向けて、かすれた声で静かに告げた。
「……すまない、蓮。取り乱した。――それと、そばにいてくれて、ありがとう」
「気にするな。……俺はお前を最後まで守ると、そう約束したからな」
蓮が淡々と手を離した、まさにその刹那だった。ヤマトの静まり返る通路の壁面に設置された全艦スピーカーから、神代艦長の重々しく響き渡るアナウンスがブリッジから直接鳴り響いた。
『――艦内放送。モビルスーツ隊連隊長・蓮少尉、ならびにシャルは、直ちに第一モビルスーツ格納庫へ集まるように。繰り返す、早急に格納庫へと向かえ』
スピーカーからの呼び出しの音声に、二人は即座に軍人としての引き締まった表情を取り戻した。蓮はシャルを静かに連れて、緊急補給の機械熱が立ち込める格納庫へと足早に向かった。
重厚な隔壁が開き、騒然としたハンガーへと足を踏み入れた二人の目に飛び込んできたのは、戦闘艦クサナギへの移動用として待機していた一隻の特務連絡シャトルの前で、一人静かに腕を組んで待っていた神代艦長の姿だった。
その厳格な佇まいの前に着くと同時に、蓮は一歩前に踏み出し、一分の隙もない直立不動の姿勢を取ると、先ほど自らの激情のままに拳を振るってしまったファクトに対し、硬質な声音で真っ直ぐに頭を下げた。
「神代艦長。……先ほどはブリッジにおいて、連隊長としての規律を乱し、貴殿を殴打したことを……深く謝罪します」
蓮の不器用な、しかし誠実な謝罪の言葉。
それを聞いた神代艦長は、顎に残る微かな痛みを思い出すように口元に手を当てると、すぐにフッと厳しい顔を和らげ、大人の、そして指揮官としての深い包容力を湛えて静かに首を振った。
「気にしていない。お前があれほど剥き出しの感情を放ったのは、初めてだったからな。……私だって、気持ちは同じだったのだ」
神代艦長はそれ以上の追及をせず、シャトルの開かれた搭乗ハッチへと視線を向け、これから始まる特務隊の、そして宇宙へ上がった4隻の艦隊の次なる大義の任務を告げた。
「これから、最後の脱出艦であるクサナギの艦内において、アークエンジェル部隊を交えた我々の今後の戦術方針を決める合同会議を行う。……蓮、このシャトルの操縦を頼む」
「了解した」
蓮は短く応じると、即座に操縦席へと滑り込み、各種コンソールのデータリンクを迅速に駆動させ始めた。神代艦長、そしてシャルもまたシートへと深く身を沈め、ハッチが完全に密閉される。
キィィィィンという主機の滑らかな駆動音と共に、ヤマトの底部の出撃口から解き放たれた特務シャトルは、冷たい宇宙の闇を滑るようにして加速し、本来の姿を取り戻した出雲級万能戦艦クサナギの待つ戦域へと向かって、重々しく発進していくのだった。
ヤマトの底部から射出され、冷たい宇宙の闇を滑るようにして移動した特務シャトルは、本来の万能戦艦としての姿を取り戻したクサナギの格納庫へと無事ランディングを果たした。
プシューという排気音と共にシャトルのハッチが開放され、蓮、神代艦長、およびシャルの3人が床へと降り立つ。すると、そこへ小走りに駆け寄ってくる2人の少女の足音が響いた。
「お姉様……っ!」
「シャル!」
振り返ったシャルの紅色の瞳に映ったのは、一足先に2番艦ムサシで宇宙へと避難していた大切な妹のシェル、そしてカガリの姿だった。3人は言葉を交わすよりも先に、互いの身体を壊れ物を扱うかのように烈しく、しっかりと抱きしめ合った。祖国オーブが炎に包まれた現実を宇宙から直視し、それでもこうして生きて再会できたという厳然たる事実に、少女たちは身を震わせる。そこへ、アークエンジェルから移動してきたラミアス艦長やフラガ大尉も合流し、互いの無事を静かに確かめ合った。
抱きしめ合うカガリ、シェル、あるいはシャルの3人の痛々しい様子を、蓮はヘルメットを小脇に抱えたまま、一切の感情を排した無機質な瞳で見つめていた。ウズミ代表の最期の爆発をその目で見届けてきた彼女たちの精神的な消耗は、限界に達しているはずだ。
蓮は隣に立つ神代艦長へと、ボソリと声を掛けた。
「神代艦長。カガリたち3人は、ウズミ代表のこともある。これからの過酷な軍事会議に同席させるより、今は一度、別室で共に休んでいてもらうことを提案する」
心を排した機械の真似事をしてきた蓮なりの、それが精一杯の気遣いだった。神代艦長もその蓮の進言に深く頷くと、3人に向けて静かに待機を命じた。
「カガリ、シェル、シャル。お前たちは一度、別室の居住区へ向かい、そこで次の指示を待ちなさい」
だが、その大人の配慮に対し、3人は一歩も退くことはなかった。カガリが涙の滲む瞳に強い意思を宿して神代艦長を見据え、シェルとシャルもまた、未来ある若者としてこれからの世界の狂気に立ち向かう覚悟をその佇まいに閃かせて、命令を真っ向から拒否した。
「嫌だ! 私たちはオーブの、ウズミの遺志を継いだんだ! これからの国の行く末を、ここでただ隠れて見ているわけにはいかない!」
少女たちの退かぬ覚悟の気迫に、神代艦長もそれ以上の制止はせず、「……分かった。来なさい」と告げ、全員を引き連れてクサナギの最高意思決定の場であるブリッジへと向かった。
重厚な自動扉が左右に開き、緊張感の立ち込めるクサナギのブリッジへと足を踏み入れる。そこでは、オーブ軍のキサカ一佐をはじめ、すでに着艦を終えていたキラやアスランの二人が、厳しい表情のまま全員の合流を待っていた。
アークエンジェル、ヤマト、ムサシ、クサナギ。宇宙へ上がった4隻の主要首脳陣とパイロットのすべてがこの場に一堂に会した瞬間、重々しい沈黙を引き裂くようにして、今後の方針を巡る話し合いが静かに開始された。
「――それで、我々はこれからどう動く? 補給もままならないこの状況だ。いつまでもここに突っ立っているわけにはいかないだろう」
フラガ大尉が腕を組み、ブリッジのメインモニターを睨みながら口を開く。ラミアス艦長も険しい表情のまま、キサカ一佐へと視線を向けた。
「ええ。ヘリオポリスに続き、絶対の本拠地であったオーブまでも完全に失ってしまった。大西洋連邦の艦隊は、今や私たちを逃亡の反逆者として執拗に追ってきているわ。一刻も早く、4隻の巨艦を完全に隠匿できる拠点を見つけなければ……」
地上にも宇宙にも公的な拠点を持たない絶体絶命の孤立。キサカ一佐がコンソールの宇宙地図を操作しながら、冷徹な状況を告げる。
「残念ながら、現在のオーブ軍の極秘中継基地は、すべて連邦軍の警戒網に捕捉されている可能性が高い。安全にドック入りできる場所など、地上にも宇宙にも……」
首長陣が次なる航路について頭を悩ませていると、コンソールの前で静かに思考を巡らせていたアスランがゆっくりと前に歩み出で、一つの具体的な戦術案を提案した。
「……L4コロニー群に向かうのはどうだろうか Lights。あそこなら、今の地球軍の警戒網の死角を突けるはずだ」
アスランの言葉に、神代艦長や蓮の視線が一斉に向けられる。キラもまたハッとしたように親友の顔を見つめた。
「L4コロニー群……? あそこは確か……」
「ああ。あの宙域は、先の開戦以降、ザフトが既に放棄した廃棄コロニー群だ。だがな、今も尚、内部のライフラインやシステムの一部がそのまま稼働し続けているコロニーがいくつか残されている。放置されているとはいえ、水や空気の問題もない。4隻の巨艦をドックごと隠し、物資を補給するには、これ以上ない適した場所のはずだ」
ザフトの最新の軍事データに基づく、アスランの正確な提案。それを聞いたキラが、自らの記憶と照らし合わせるようにして、小さく、しかし確かなトーンで応じた。
「……確かにあそこなら、廃棄されて随分経つから、連合軍の哨戒ルートからも完全に外れているはずだよ。アズラエルたちの目を眩ませるには、一番いいかもしれない」
蓮の脳細胞も、次なる反撃の牙を研ぐための最も理にかなった選択肢であると、その厳然たる事実をすぐに受け入れた。
「……もっともだな。これ以上の引き延ばしは燃料の無駄だ」
蓮の淡々としたタメ口の同意を受け、神代艦長、ならびにラミアス艦長たち首長陣の決断は完全に固まった。ウズミ代表の遺した小さな灯を未来へと繋ぐため、4隻の艦隊は推進剤の眩い光条を漆黒の宇宙の闇へと一斉にたなびかせ、新たなる約束の地、L4廃棄コロニー群へと向けて、その舵を力強く大きく切るのだった。
条理な炎に包まれる祖国オーブを脱し、次なる目的地が決まった三神連合の艦隊は、漆黒の虚空をL4廃棄コロニー群に向けてひたすらに進み続けていた。
航行を続ける特務艦ヤマトの艦内からは、本土を脱出した直後のあの凄絶な慌ただしさは次第に消え失せ、いつもと変わらない静かな軍の光景が戻りつつあった。しかし、ひとたび地球連合軍の追撃、あるいはプラントのザフト軍と接触すれば、即座に未曾有の交戦へと突入することは誰もが理解していた。張り詰めた空気が、通路の防爆灯の光の中に静かな緊張感を漂わせている。
連隊長である蓮もまた、次なる不測の事態に備え、第一モビルスーツ格納庫で愛機オーディンのコンソールを叩き、機体システムの設定チェックを淡々と行なっていた。
ガシャァン――。
重厚なハンガーの隔壁が開く。
突如として、鋭い足音を響かせて神代艦長が歩み寄ってきた。その厳しい顔を引き締め、蓮の前へ直立すると、有無を言わさぬ声音で冷徹な指令を告げた。
「蓮少尉。作業を中断し、直ちにオーディンの出撃用意に掛かれ」
蓮は端末から視線を外し、一切の感情を排した無機質な瞳のまま、普通通りの淡々としたタメ口で理由を問いかけた。
「……何があった。連邦の哨戒網に捕捉されたのか」
「いや、敵襲ではない。――アスラン・ザラだ。あやつが一度、単身でザフトの最高要塞ヤキン・ドゥーエへと帰還するため、先ほどアークエンジェルをシャトルで離陸した」
神代艦長から告げられたザフトの赤服の少年の動向。蓮が微かに眉をひそめると、神代艦長はさらに言葉を重ねた。
「アスランはパトリック・ザラ代表に直接会い、この戦争を止めるよう、父親としての真意を直接確かめるつもりだ。だが、あやつが丸腰の連絡シャトルで向かえば、途中で連邦の伏兵に遭って確実に撃沈される危険がある。……よって、キラ・ヤマトのフリーダムと共に、アスランの乗るシャトルを安全な中立宙域の境界線まで護衛せよ。そして、あやつが父親との対話を終えた後、再びこの艦隊へと確実に連れて戻る。それが今回の任務だ」
「……了解した。対話の成否に関わらず、あの男は三神連合の貴重な戦力だからな」
蓮はすぐに作業用コンソールをシャットダウンすると、ロッカールームへと走り、硬質な黒いパイロットスーツへと迅速に着替えた。ヘルメットを小脇に抱え、再びオーディンの待つデッキへと戻る。
高いタラップを駆け上がり、オーディンの胸部ハッチを開いてシートへと乗り込もうとした――その刹那だった。
「蓮!」
整備兵たちの怒号が響くハンガーの床から、自らを呼ぶ凛とした、しかしどこか震える声が聞こえた。
ハッチの縁に手をかけたまま蓮が下を見下ろすと、そこにはいつの間にか格納庫へと駆けつけ、自身の愛機アストレイの傍らから、潤んだ紅色の瞳で自分を真っ直ぐに見上げるシャルの姿があった。シャルは拳を固く握りしめ、宇宙の深淵へと飛び立とうとする自らの護衛に向けて、祈るようにして声を絞り出す。
「……気をつけるのだぞ。私、ここで……お前の帰りをずっと待っている」
伯父を、そして国を失った彼女にとって、目の前の少年兵はもう二度と失うわけにはいかない最後の盾だった。その言葉の裏にあるシャルの切実な感情の揺れを、蓮はゴーグルの奥の瞳で静かに見据えた。
「問題ない。お前を最後まで守ると、ウズミ代表とも約束したからな。――必ず戻る」
蓮はそれだけを短く告げると、オーディンの狭いコックピットの中へと滑り込むようにして乗り込み、ハッチを完全に密閉した。
即座にアップデートされた新型OSを駆動させると、白い装甲が鈍い機械音を響かせて完全に目覚める。
『オーディン、いつでもいける。発艦シークエンスへ移行しろ』
カタパルトへと誘導されたオーディンは、出撃ハッチが解放されると同時に、メインスラスターを激しく爆発させた。
ドゴォォォォォンッ!!!
凄絶な衝撃波をヤマトの艦体へと遺し、オーディンは漆黒の宇宙の闇へと烈しく射出された。蓮はすぐさま機体を流麗な飛行形態へと変形させ、先行してシャトルを護衛するキラのフリーダムのシグナルを目指し、静まり返る星の海の彼方へと超高速で飛び去っていくのだった。
ヤマトから解き放たれ、漆黒の宇宙を飛行形態で滑るように急加速したオーディンは、高性能センサーのデータリンクを正確に同調させ、前方の宙域へと瞬く間に到達した。光学カメラが捉えたのは、白き双翼を広げたキラのフリーダムガンダム、そしてその中央を静かに進むアスランの乗った連絡シャトルの姿だった。
キィィィィン――。
スラスターの微細な駆動音を響かせ、オーディンはシャトルの右側へと滑らかに回り込み、完璧な護衛のフォーメーションへと合流した。
合流と同時に、最優先暗号通信回線を通じて、シャルの元婚約者でもあるアスランの重々しい声がスピーカーから聞こえてきた。
『――蓮、キラ。すまない、俺の我儘にここまで付き合ってもらって』
自らの意志で父親の待つザフトの本陣へ向かうという、軍の規律からすればあまりに無謀な独断。すまないと謝る親友に対し、蓮は一切の感情を排した無機質な瞳のまま、操縦桿を握る手を崩さず、普通通りの淡々としたタメ口で言葉を返した。
「気にしてない。それに、それはお前が自分で考えて、自分で決めたことなんだろ。……なら、俺は反対しない。お前が果たすべきだと思う任務をやってこい」
『……蓮。ああ、ありがとう』
迷いの霧を晴らし、一人の少年コーディネイターとして戦う覚悟を決めたアスランを、蓮はただ愚直に事実として肯定した。その確かな信頼の乗った言葉に、アスランは短く感謝を告げた。
3機はそれ以上の対話を交わすことなく、冷たい真空の闇をひたすらに飛び続け、護衛任務を継続した。やがてセンサーの脅威アラートの数値が跳ね上がり、メインモニターの死角から、プラント軍の最高軍事要塞ヤキン・ドゥーエの不気味な超巨大質量が、漆黒の虚空にありありとその姿を現した。ついに、ザフトの絶対防衛線の直下までたどり着いたのだ。
『……ここから先は、本当に俺一人で行く。二人はここに残ってくれ』
「うん、分かった。……必ず、無事で戻ってきてね、アスラン」
キラの切実な祈りの声を背に受けながら、ハッチから完全に切り離されたアスランの連絡シャトルは、単機で激しい推進火線を吹き放ち、要塞のドックへと向かって真っ直ぐに吸い込まれるように進んでいった。
残された蓮のオーディンとキラのフリーダムは、即座にメインスラスターの光量を最小限まで絞ると、要塞の高性能レーダーの網を掻い潜るため、すぐ近くに浮遊していた密な小惑星帯の裏側へと、滑り込むようにしてその機体を深く隠した。
岩塊の影に身を潜め、完全に機体の気配を殺す。
蓮は無機質な瞳のまま、ヤキン・ドゥーエのドックへと入港していくシャルの元婚約者のバイタルシグナルを静かにモニターし続け、キラと共に、冷たい真空の闇の中でアスランが対話を終えて帰還するその瞬間を、張り詰めた緊張感の中でじっと待ち続けるのだった。
アスランの乗る連絡シャトルがヤキン・ドゥーエの強固な防壁の向こうへと消え去ってから、すでに丸3日の刻が経過していた。
周囲に浮遊する冷たい小惑星の不気味な巨岩の影に機体を深く潜め、蓮のオーディンとキラのフリーダムは、推進剤の光すら完全に殺して息を潜めていた。メインモニターに映し出されるのは、不気味な威容を誇る絶対要塞と、その周辺を規則的に巡回するザフト軍の防衛艦隊の動きだけだった。3日間、限界に近い緊張感のなかで、蓮の冷徹な脳細胞は敵の僅かなバイタルと因果の波形をスキャンし続けていた。
――ピピィッ、ザー……ッ。
その時、オーディンの高性能コンソールに備えられた、ザフトの軍事暗号回線の盗聴システムが不規則な高エネルギーのノイズを鋭く感知した。
蓮が瞬時に暗号プロトコルを解除し、ノイズの奥の通信を拾い上げると、スピーカーからはヤキン・ドゥーエ内部の管制官たちの慌ただしく引き裂かれた悲鳴のような怒号が次々と漏れ聞こえてきた。
『――緊急事態! 国家反逆罪で拘束されていたアスラン・ザラが脱走したッ!』
『繰り返す! パトリック・ザラ代表の命令により、直ちに脱走兵を拿捕せよ!』
蓮の無機質な瞳が、そのファクトを捉えて鋭く細められる。だが、無線が告げるプラント国内の激震はそれだけに留まらなかった。さらに烈しい怒号が通信網を汚していく。
『こちら軍本部! 同じく反逆者として追われていたラクス・クラインの一派が、極秘ドックより最新鋭艦を強奪! そのままプラント本国を脱出し、逃走中であるッ! 全機、直ちに迎撃に向かえ!!』
ラクスによる新型戦艦エターナルの強奪と出撃。アニメさながらの激動のデータリンクを脳細胞の中で瞬時に処理した蓮は、即座に操縦桿の暗号通信スイッチを叩き、隣の岩塊に潜むキラへと普通通りの淡々としたタメ口で鋭く伝えた。
「――キラ、動くぞ。ヤキン内部でアスランが脱走した。それに、ラクスが新しい戦艦を強奪してプラントを脱出したらしい。ザフト軍の内部が完全にパニックを起こしている」
『えっ……!? ラクスが……アスランが脱走……っ!?』
コックピットのキラがその衝撃の事実に激しく動揺の声を上げた、まさにその瞬間だった。
キィィィィン――ッ!
オーディンの対空レーダーに、今まで大人しく周囲を巡回していたザフト軍の主力モビルスーツ『ジン』の複数のシグナルが、一斉に推力を爆発させてエターナルの臨戦宙域へと向かって動き始める姿が鮮烈に捉えられた。
「敵の哨戒部隊が動き始めた。……これ以上の潜伏は無意味だ。あの男とラクスを確実に回収する」
『……うん、分かった! 行こう、蓮少尉!』
蓮は機体のリミッターを完全開放すると、オーディンのメインスラスターを宇宙の闇の中に烈しく爆発させた。
ドゴォォォォォンッ!!!
小惑星の岩肌を烈しく震わせる凄絶な衝撃波の尾を引き、オーディンは瞬時に流麗な飛行形態へと変形。隣から爆発的な加速で飛び出してきたキラのフリーダムガンダムと完全に速度を同調させ、ついに牙を剥いたザフトの大軍勢の渦の中、そして大切な仲間たちの待つ激硝の戦域へと向かって、2機の最強の牙が烈しく踊り出るのだった。
プラント本国の極秘ドックからラクス・クラインの一派によって強奪された最新鋭高速戦艦エターナルは、激しい硝煙の尾を引いてザフトの絶対防衛線からの逃亡を図っていた。
だが、襲いかかるザフト軍の主力モビルスーツであるジンの大群に対し、モビルスーツを殆ど搭載していない戦艦一隻という圧倒的な数の差はあまりに非情だった。執拗な包囲網のなか、エターナルが必死に形成する対空迎撃網の隙間を縫うようにして、数機のジンが放った複数の大型誘導ミサイルが直撃の軌道を描き、無防備な艦体へと急速に肉薄した。
ドゴォォォォォンッ!!!
激しい爆音と共に宇宙の闇が眩く引き裂かれた。
だが、その炎はエターナルの装甲が爆発したものではなかった。間一髪の刹那、小惑星帯の影から爆発的な加速で現れたキラのフリーダムガンダム、および洗練された飛行形態のまま突入してきた蓮のオーディンの2機が、迫り来るすべてのミサイルを寸前で完璧に迎撃し、虚空で叩き落としたのだ。
『――新手のガンダムだと!? どこから現れたッ!!』
予期せぬ最高の加勢に、追撃していたザフトのパイロットたちがコックピットで激しい驚愕の声を上げた。しかし、2機のガンダムは彼らに戦慄する時間さえも与えなかった。
ズバババババァァンッ!!!
フリーダムのマルチロックオンから放たれた極大ビームの濁流が、ジンのスラスターや武装を正確無比に焼き払い、同時に人型へと滑らかに変形したオーディンが、武装強化されたマークスマンビームライフルを一閃させた。
ズバァァァンッ! ズバァァァンッ!!
蓮の無機質な瞳が捉えたジンの関節部や推進剤タンクがピンポイントで撃ち抜かれ、瞬く間に数機が戦闘不能へと追い込まれていく。命まで奪わない圧倒的な不殺の猛攻を前に、ザフトの包囲網は完全に瓦解し、エターナルの目の前には鮮烈な逃亡の道が力強く切り開かれていった。
安全な射線を確保した瞬間、キラはエターナルのブリッジに向けて最優先暗号無線を烈しく呼びかけた。
『――ラクス! アスラン! 無事かいッ!?』
キィィィィン――。
ヤマトの通信システムと同期したメインモニターが開き、エターナルの艦橋のホログラムがクリアに映し出された。
そこにいたのは、キラの呼びかけに深く安堵の笑みを浮かべるピンク色の髪の少女ラクス・クライン、そして3日前に見送った要塞から無事に脱出を果たしたアスランの姿だった。――だが、それだけではなかった。二人の背後、エターナルの艦長席に堂々と腰掛けていたのは、かつてアフリカの砂漠の決戦で死んだとばかり思われていた『砂漠の虎』こと、アンドリュー・バルトフェルドその人だったのだ。
『やあ、少年。また随分と派手なガンダムを引っ提げて、いいタイミングで来てくれたじゃないか』
『バルトフェルド……さん!? 生きて、いたんですか……っ!』
無事脱出したアスランとラクスの姿への安堵、そしてそれ以上に、かつての宿敵の生存というあまりに想定外の現実に、キラはコックピットの中で激しい戸惑いと、隠しきれない驚きの声を漏らした。
画面の向こうで繰り広げられる再会のドラマを、蓮は操縦桿を握り締めたまま、一切の感情を排した無機質な瞳で静かに見つめていた。そして、無線回路の音声を切り替えると、普通通りの淡々とした、あるいは厳格な規律を宿したタメ口のまま、自らの素性を冷徹に告げた。
「……こちら、オーブ連合首長国・独立0特務隊モビルスーツ連隊長、蓮・ミタミ少尉。エターナル、これより貴艦の三神連合艦隊への帰還を護衛する」
『蓮……少尉。ウズミ代表の特務隊か。……すまない、助かった。約束通り、生きて戻れたぞ』
画面の向こうのアスランが、3日前の境界線での約束を果たすようにして蓮の変わらぬ硬質な声音に僅かに表情を和らげ、深く感謝を口にした。ラクスもまた、オーブの理念を抱いて宇宙へ上がってきた新たなる牙の存在に、静かに深く深く頷いてみせた。
「……追撃の第2波が来る前に、この宙域を離脱する。フリーダム、エターナルの回頭を先導しろ」
『うん、分かった!』
蓮の冷徹な指示を受け、オーディンは即座に再び洗練された飛行形態へとその姿を変えると、双翼のスラスターを鋭く吹かせて、エターナルの巨大な船体を先導するように動き出した。
アスランを救い出し、そしてプラントの新たなる反逆の牙であるエターナルをその陣営へと迎え入れた2機のガンダム。少年たちは漆黒の宇宙の闇を切り裂きながら、大切なシャルや神代艦長、そしてシェルたちの待つ、L4廃棄コロニー群の本陣へと向けて、勝利の推進剤の光条を烈しくたなびかせながら堂々と帰還していくのだった。
続く
ご愛読ありがとうございます。アニ督です。この10話の投稿後直ぐに11話の編集し、早めに投稿できるようにするので、応援して頂ければ幸いです。では、次回もお楽しみに