コズミック・イラ(C.E.)71年1月23日。
ザフト軍による大規模な侵攻作戦――『カオシュン攻略戦』の火蓋が切って落とされ、かつて賑わいを見せたカオシュン国際空港は、いまや鉄と血の匂いが漂う地獄絵図へと変貌していた。
燃え盛る爆風の中、滅び去った日本の皇女シャル・アスハは、老執事ハゴット(爺)に手を引かれ、必死にオーブ籍の輸送機へと走る。しかし、雲海を突き抜け決死の離陸を果たした輸送機の背後には、容赦のないザフトの主力モビルスーツ『ジン』の単眼が迫っていた。
ジンの銃口が、絶望に身を硬くしたシャルの眼前に向けられたその瞬間。
大気を引き裂く鋭い風切り音とともに、天の彼方から青と白の最高機密可変MS『オーディン』が閃光となって飛来する。
これは、不条理な戦火によってすべてを奪われ、それでもなお「二度と誰もあのような涙を流さぬように」と立ち上がった者たちの、公式には残らない戦いの記録である。