そんな彼は勇者からの攻撃を受け、地に伏せた。
そんな彼を見て人間を恨んだ魔族たち。
「ああ、許さんぞ人間ども!」
憎悪の声は響く。
「クックックッ、奴がやられた様だな。」
「ええ。 しかし大丈夫でしょう」
「ああ。 なんたって奴は」
「「「四天王最弱」」」
なんと言うことだろうか。
仲間を無惨に殺されたと言うのにも関わらず、泣いてすらいな──
「うおおおおぉん!!」
「なんで死んじまったんだよおおおおお!」
戦士風の大柄な魔族が大粒の涙を流している。
「うう…あなたのこと、悪く思ってはいませんでしたよ」
眼鏡を付けた切れ長の目をした男が涙を流している。
「…」
一人孤独に無くフードの女も居た。
「グランツ…」
「すまない…すまないッ」
「あの時俺が近くに居ながら!」
「ええ…戦闘力では確かに最弱でしたが」
「彼の事は絶対に忘れません。」
「うう…」
「でもよ。あんまりしんみりするのはアイツも好きじゃねえだろうしよ!」
「俺たちも成すべきことを成そうぜ」
「ええ…タップファー。」
「あなたの言う通りです。」
こうして夜はふけていく。
涙は止まり、陽は昇る。
いつの日か我らに希望があると信じて。
ぬうううううううう!!!
せいやああああ!!!
2人の勇者が大柄な
流血させる。
双方既にボロボロであり、もはやどの面から見ても、戦闘の継続は困難である。
俺が…俺がやらなくてはいけないんだ
どれだけ血が流れても
全身を切られ、息も絶え絶えである。
足はもはや使い物にならず、
右腕はもう斧を握ったまま離さない。
左腕は魔法で焼け焦げ、二度と動くことは無い。
それがどうしたと言うのだ。
右腕だけで十分だ。
仲間を守り、立ち上がる。
──その理由には。
足から血が吹き出た。もう動かないだろう。
腕に力が入らない。もう振り上げる事は出来ないだろう。
しかし、奴を葬れる。
豚人の黒い目が兜の隙間から強く輝く。
それは仲間を守る意志であり、力であった。
最初からそうだったのだ。
あの日、感謝されたその時から。
俺はグランツになったんだ。
オークキングとして。
最後の責務を果たす時だ、グランツ。
ウオオオオオオオオオオオ!!!!!
斧が持ち上がる。
それは悪徳を尽くした勇者への審判だった。
その一撃は勇者を葬った。
しかし、
血が一筋首から流れた。
「あ、あ」
「これまで か」
「無念だ。」
オークキングの兜が落下した。
それは悪徳の刃だった。
増長の刃だった。
凶刃に倒れるグランツの体。
最後の思考だ。
しかして知るといい、人間よ。
我が意思は…消えぬ!
目の光が消えた。
──終わりだ。
「ハァ、ハァ、、ハァ…」
「強すぎんだろ、あいつ。」
その時、茂みから足が見えた。
見たところオークの子供の足だ。
「へっへっへっ、俺様の経験値の糧になれよ、クソガキ!」
1歩歩いた次の瞬間、有り得ない感触があった。
「ごふっ」
「ば、ばかなあああああ」
「お前のような下郎、子供を狙う様な悪はこうなるんだ。」
「胸に大穴開く前に気づけ、クソ勇者。」
「俺に!」
「黙れ。聞く価値がない。」
「我らオーク七人衆、人間どもを許す気などない。」
下郎の体に短剣がえぐり込まれた。
横に刺された後に短剣が縦に回転することによる痛み、屈辱はもはや走馬灯を埋めつくしている。
痛い、痛い、俺が何をした。
「お前のような悪は滅びる定め。」
「悪鬼…滅殺せん!」
怒りの形相は深くあり、悲しみを打ち消した。
怒髪は天を突き、咆哮は空に穴を開けた。
呪いあれ、異世界人。
呪いあれ。異世界人。