夢で見た物語を気まぐれに書き起こしてみました。

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第1話

初めて見た時は何て目をしてやがる、と思っていた。

 

喧嘩を売ってきやがった傭兵崩れらしき賊の(かしら)をだんぴらの先に吊るしたまま、そいつを見下ろす。

地面にへばりついた、ガキらしいなよっちく薄汚れた身体と衣服。つんつんに跳ねた短い髪。

しかし真っすぐに見上げてくる瞳は、自分をじっと見上げていた。

周囲では蜂の巣をつついたような騒ぎで逃げ出す賊どもがいたが、そこだけは妙な空白地帯となっている。

暫し黙って見つめ合っていたが、肩に担いだだんぴらを振って賊の一人へ頭を投げ飛ばして処理する。

 

「何見てやがる。とっととどこへでもいきやがれ」

 

そう言い放ち、その場を後にする。食糧庫らしき場所へ向かうと、そこには小間使いらしき男がおり次の仕事は何かと聞いてくる。

どうやら何が起こっているかまだわかっていないらしく、揉み手で卑屈に笑っている。

説明も面倒臭いのでメシでも食って寝てろと言い渡し、賊がため込んでいた食料の一端を漁る。

そこへ人を丸のみでもしそうな位、でっかいヘビが頭を突っ込んでくる。

しかしこいつはこの賊どもが飼っていたらしく、人様を食うことはないようで代わりに食べ物の付近でしきりに舌を出し入れしている。

ついでなのでヘビにもメシ食わせとけと、小間使いの男に言って自分は適当な肉を勝手に喰らう。

そして適当な木の板を寝床にして寝た。

 

翌日。朝に目覚めると小間使いの男が医者らしき何者かに診察を受けていた。

ついでとばかりに目の端に捉えたガキにも受けさせておけ、と言っておいて朝食を喰らう。

さ迷っていたらぶち当たった傭兵団崩れにしては、随分とため込まれた食料群に一先ずここを寝床にするかとこの時は軽い気持ちで考えていた。

 

 

 

そこから数日間。何かとガキ…少年に付きまとわれてひたすらに面倒臭かった。

小間使いの男には食料管理と料理を押し付けたが、ブラつくだけで後ろに付いてくるので気に障る。

目障りだからこれでも読んでろとばかりに書物を投げつけた。何故か賊どもが持っていた本。恐らく売り払うための財産の一つだったのだろう。

中身も確認せずに押し付けたので、読めたかどうかは知らない。何度か聞きに来たのでそれも面倒臭がって医者らしき奴に押し付けたら、何度かやりとりしているのを見たので正解だったらしい。

それからはたまに付いてくる位で、本を読みふける姿をよく見るようになった。

 

 

 

少年が倒れた。朝からふらふらしてるなと思ったら突然ぶっ倒れたので慌てる。

素振りを途中でほっぽって少年を担ぎ、いつも寝床にしている木の板に寝かせると医者を探しに飛び出した。

小間使いを見つけて医者の居場所を問いただしていると、いつの間にか居付いていた女が頭を(はた)いてくる。

 

「落ち着きなよ。あたしに任せておいて」

 

そう言って布端を持ち出し、少年の所へ戻っていく。暫くして戻ってきた女は今日は休ませなと言ってきたので了承しておいた。元より適当に過ごさせていたから、何の問題もない。

今更顔を出してきた医者の奴には、遅いと文句と共に八つ当たりをしておいた。

 

翌日、申し訳なさそうに少年が顔を出してきたので具合が悪いときは休めと伝えておいた。これでもういきなり倒れて慌てる事もないだろう。まだ動きが悪かったように見えたので木の板の寝床に寝かそうとしたら、また女に叩かれた。

そういえば自分を除き、他の奴らは皆布を使った寝床で寝ている気がした。自分は管理が面倒だし、野営で地面に寝転がるのには慣れていたので、木の板のままで良いと思ってそのままにする。

 

 

 

気付けば少年は成長し、それなりに良い(つら)になっていた。村に買い出しで降りれば声を掛けられる位には美形らしい。拠点に居るのは喧しい女だけなので、気になる奴が居たら引っ掛けていいぞと伝えたが、何故か困ったように笑うだけだった。

まさか拠点のあの女がいいのかと思って聞くと、今度は苦笑いしているので奴はタイプではないらしい。よく一緒に居るのを見かけていたので、ちょっと意外だと思う。

 

「彼女にはよく相談に乗ってもらっているだけなので」

 

そういう少年…青年に、自分には相談しないのが気に食わないので頭を殴っておいた。頭を抱えてうずくまる青年を放って一人でその場を後にする。何だか無性にイラつく。

 

 

 

地面に刺しただんぴらの柄に両手を置いたまま、戦場を見下ろす。

増えた面子を養うため「オオヘビ団」と称して一旗揚げ、これで何度目かの戦だ。

傍らに青年を置き、視線を向けると手帳に落としていた視線を上げて頷いている。どうやら作戦通りのようで自分も満足して頷き返す。

身体つきは相変わらずなよっちく、まるで女みたいな細身だが参謀ながら戦いもできるように成長した。

正確には成長させたといった所で、ある程度大きくなったところで自らしごいた。何度か他の奴らに止められたが、元少年はそれを拒んでしごきに喰らい付いてきた。見所のある奴と思い、ずっと面倒を見てやった。

悲鳴が上がり、何事かと視線を戦場に戻すと前線が崩れかけている。どうやら厄介な奴が出て来たらしい。

 

「そんじゃちょっと行ってくる」

「ちょ、待って下さ」

 

地面からだんぴらを引き抜いて肩に担ぎ、前線へ飛び出す。後ろで青年の引き留める慌てた声が聞こえた気がしたが気にしない。ここ最近団長は後ろに居ろだとか、安全な場所に隠れろだとか口煩くなってきた。

知ったことではない。どこからかやってきて増える奴らの食い扶持を稼ぐため、いつの間にか引き連れる身分とされてしまった。慕われるのは構わないが、祭り上げられるのはごめんだ。

自分はこいつ(だんぴら)を振り回せれば良いと、前線で押し込んできた敵を叩き潰す。

最近よく拠点で聞かされるようになった青年のため息が聞こえた気がした。

 

 

 

「それで。いつ言うのさ、あんたがお慕いしてるって」

「もうちょっとだけ。所でもう少し緩めることはできませんか?」

 

これ以上胸帯を緩めたら、幾らあの鈍感でも気付かれるとばかりにため息を吐いて肩を竦める。

巷では男泣かせだとか懐刀とか呼ばれてるのに対し、今ばかりは情けない参謀の姿に女は呆れていた。

 




冒頭を夢で見たので、気まぐれに短編を書き起こしてみました。
青年のままでも良いかなと思ったものの、折角ならとこのような落ちに。

ジャンル…冒険。してない。バトル…ほぼしてない。恋愛…要素というには弱すぎる気がする。つまり、ノンジャンルですねこれは。
違っていたらごめんなさい。

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