もしもモモンガ様が人間だったら 作:15巻まだ?٩(๑•ㅂ•)۶
是非お楽しみください。
エ・ランテル。城塞都市であり、交易が盛んなこの都市はかつてないほどの惨劇の部隊となり家は壊され、あまりにも多数の人が死んだ。
しかし、そんな都市には現在活力が宿っていた。その大きな原因が英雄モモンの存在である。
元々ミスリルまでしか居ないことに不安を抱いていた市民たちの期待に応えるかのように突如発生した悪魔の襲撃を食い止め、首魁の悪魔を、隕石すら操る悪魔を撃退した英雄の登場に街は沸いていた。
「モモン様〜」
酒場ではそんな街の英雄を称えるために宴会が開かれていた、モモンにナーベ、そしてイビルアイは主役として街の奢りという約束の元様々な料理や酒が振る舞われた。
「ちょ……ちょっとイビルアイさん、さっきからくっつきすぎですって……」
モモンガの右手にナーベが左手にイビルアイが座し、振る舞われた料理を口に運んでいた。そんな最中でもイビルアイの戦いは終わらない。猪突猛進しか知らないイビルアイは必死にモモンガに自身をアピールしていた。
「いいじゃないですか、モモン様〜せっかくの勝利なんですから!」
「ガガンボ、モモンさ〜んが辞めよと仰られているのです、今すぐ辞めなければあの世に送って差し上げますよ」
そんなイビルアイの様子を最も面白く思わないのがナーベだった。自身の至高と崇める存在に何処の馬の骨とも知らない女……実際は馬車で長らく共に居たが……が馴れ馴れしく接触、身体を擦りつけているのだから。
「ふん!モモン様はシャイだからそう言っているだけだと思うぞ、ナーベよ。いやならとっくに投げ飛ばされてると思うが、それとも羨ましいのか?」
「羨ましい?貴方を?私もモモンさ〜んと転移する時などには身体を密着させることぐらいあるのだけど?」
ナーベは何故か誇らしげに語り出した。しかし、逆に言えばナーベとモモンガはそれ以上ことをしていないということ、これにイビルアイは心の中でガッツポーズをする。
(よしっ!まだ……まだ私にも勝機はあるぞ!)
イビルアイはモモンガと自身が結ばれることを夢見て、頬を綻ばせる。
「そうかそうか……ふへへっ」
「その気持ち悪い笑みやめてくれないかしら、吐き気がするのだけど」
ナーベはその様子を心底軽蔑したような冷たい眼差しで見つめる。
「はぁぁ……」
その中心に置かれたモモンガはナーベとイビルアイの様子、そして現在の事態に深いため息を
(どうしてこうなった……)
モモンガは転移してから現在までを振り返りながら心の中で呟いた。転移直後から王都へ行くまでは良かったはずだ。ガゼフを助け、彼の紹介で冒険者として身分を得た。
そして蒼の薔薇とパイプを作り、依頼をこなした。その後は……まあ色々あったが何とか冒険者として実力を認めてもらえたのだ。しかし。
(デミウルゴスが悪魔なのは知っていたが……ここまでするやつだとは……)
皆に自身が人間形態を獲得したことを告げたあの日からモモンガとしては少しナザリックに帰りづらく感じていた。異形種の巣窟たるナザリックの皆とは話し合うべきことは沢山あるとは分かっていたが、、皆が人間としてのモモンガを受けて入れてくれているのかに不安があったのだ。
しかし、そうして対話を放棄していた結果が今回の一件だ。ナザリックの守護者、つまりは部下であるデミウルゴスが人間を襲い、多数の死者と都市の崩壊を起こした。
(部下の失態は上司の責任だよな……正直デミウルゴスの今回の虐殺は……俺としても許容できないことが多い……だけど……それも全て俺がナザリックのことを蔑ろにしたせいだし……)
デミウルゴスには心情としては何故こんなことをしたのか問い詰めたいところではあるが、悪魔としての彼の本性を知りながら対処してこなかったのは自分だ。
(やはりナザリックに戻って彼らと向き合う必要があるな)
しかし、このままでは仲間達が作り上げた子供達に誤った道を進ませることになる。
「……っとと!モモン様、もう行かれてしまうのか?!」
モモンガに抱きついていたイビルアイは突如立ち上がったモモンガに掴まりながら問いかける。
「ええ、やらなければいけないことを思い出したので」
モモンガの言葉には覚悟を決めたようなそんな重みがあった。
「……厄介事の様だな、モモン様!力にならせてくれないか」
そんなモモンガの事情を知ってか知らずか、イビルアイはモモンガに申し出る。
「いえ、これは俺がやらなきゃならないことなので」
「そうか……」
しかし、譲らない意思を見せるモモンガにイビルアイは圧倒される。
(またその目か……この人は……)
「ならば、モモン様。何か力になれることがあったらいつでも連絡してくれ」
「ありがとうございます、イビルアイさん」
それだけ告げるとモモンガはナーベと共に転移のマジックアイテムを使用し、姿を消した。
「え?モモン様はどちらに?」
「次の任務に行ったぞ」
英雄はあまりにも早くこの街を去った。
「え?まだ歓迎の式典が……」
「それはまた今度だな」
その日からしばらくの間、英雄不在の宴が開かれたという。
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