空が雲を泳がせる。
仮面ライダーレオウ。
電王やジオウよりもより高位の王族として、高い視座より、あらゆる世界と時間の運行を守ってきた、時の王家の戦士。
その当代の変身者が、刻・スカイル・タイムフライト。
変遷する歴史。錯綜する虚実。
それらを支配する力は今、一人の若者の手に握られた。
リクエスト内容
・DBゼノバースみたいな作品
・主人公がジオウ系列もしくはゼインの発展型
・二号ポジションが〇〇←すみません、出せませんでした。
ということで、エイプリルフールにかこつけてリクエスト作品……のパイロット版です。
正直この設定でいくか、まったくの未定につき、こういう形でUP。
諸々の反応を見て決めようと思います。
時が針を刻む。
空が雲を泳がせる。
それが合わさる瞬間、時空の旅路が開かれる。
「おはようございます」
手の中の画面に、恭しく頭を下げる人影が映し出される。
「時刻は日本時間で午前九時。天候は快晴。絶好の巡行日和でございます。本日の『征務』を開始するとともに、その内容を逐次報告して参ります。その案内役を、不肖『BF』が務めさせていただきます」
それは、妙齢の女性のものだった。
一七〇はゆうに超える背。その爪先から朱色の三角帽を被った頭までを、完璧に仕上げた、キャビンアテンダント。
綺麗な足捌きで歩くは、宮廷の回廊。余人であれば身をすくませ、進み、息を吸うことさえ忘れてしまいそうなほどの、広大な荘厳なそこをクリアな質感の靴音共に通り抜け、彼女は誰にともなく語り続ける。
「ご存知かと思いますが、我がタイムフライト家は真なる時の王家の直径に連なる家柄。ジオウやレジェンドとは貴種としての格が違い、電王よりも遥かに高き視座より、時間線と世界線の流れを守って参りました。その崇高なる使命の体現者こそ、仮面ライダーレオウ」
そしてかの宿所は開かれる。
そこに鎮座するは、聖なる使命を果たすべく、出征に向けて、万端準備を整えた、若き王統。
……ではなく。
そのベッド四肢を投げ出しシーツの間からからずり落ちそうになっている少年の姿があった。
「ぅおらぁっ!」
すかさず、小さな影がその部屋に飛び込んだ。
出で立ちは多少粗雑なきらいはあれど、BFと同じもの。しかして身は遥かに小柄で童顔の、髪を短く赤く仕上げた、少女のごとき者。それが同輩のチキだった。
彼女が内側から手早く扉を閉めるや、
「早く着替えろアホ! もうカメラ回ってンじゃねぇか!」
「んぁ……!? って何しやがる鳥女!? パジャマ引っ張るなっ……!」
同質、同程度の応酬、激しい物音。
「……失礼、何やら誤りがあったようです」
それを背に、BFは軽い咳払い。それを機として喧騒は収まり、それからワンテンポ置いてあらためて戸を開く。
そこには、貴公子が座している。
チキのブラッシングで髪を整えさせつつ、自らは白き詰襟の玉衣に身を包み、椅子の上で脚を優雅に組み、穏やかに瞑目している。
「そう、当代の変身者こそ、王太子殿下『
〜〜〜
未来の王者に、安息の時間など有りはしない。常に万民万世を想い、目を向けている。
彼の眼前と頭上を天蓋の如く、星空の如く、モニターが埋め尽くし、ありとあらゆる時と世界の運行が映し出される。
そして今日もまた、その異変の萌芽は現れる。
ピックアップされたのは、二〇一二年、太陽系に属する宇宙空間。
そこではまさに、地球の危機の瞬間。その機能を掌握された巨大な鉄人が、その砲口を青き星に向け、エネルギーを充溢させて放つばかりだ。
真の危機はそこではない。それは、因子に過ぎない。
正しい時間軸では、それと対した仮面ライダー、フォーゼがコズミックステイツの全開出力によって彼の巨体を月面に転移させたことによって、その光線の軌道は外れ、地球は崩壊を免れた。まさに、今そのタイミングだった。
だが――時間は歪曲し、変異する。
大気圏突入の摩擦により、炎熱を帯びた一条の閃光。それがあらゆる流れ、宇宙の摂理を無視して、時と空の裂け目より、入り込んでくる。
『我が魂は、ZECTと共にありィィィィィィッ!!』
と、スーツに残された酸素を在らん限りに振り絞り、切り込むような鋭角で落下していく先に、かのフォーゼの姿がある。
『なにっ!?』
元より、神経を目の前の一事に全集中させていた時である。
まったく予測しえない墜落に巻き込まれたフォーゼは、そのまま宇宙空間を跳ね、そして妨げる者のいなくなったレーザー砲は、迷うことなく地球へと照射され――
「ぶーっ!!」
刻が含んでいた紅茶が霧となって虚空へと吐き出され。腰が浮く。
「――ただ今、画面の乱れが生じたようです。今しばらくお待ちくださいませ」
BFはつとめて平静に、そう言い繕う。
「何吹き出してんだこの馬鹿!」
「いやだって、フォーゼが! メテオに! いやあれ、メテオじゃねぇけど!? あぁもうとにかく、何が起こってんだ!」
かくして、世界の歪みが発見される。そしてそこには必ず、何者かの介入がある。数多の時間軸を同時に観測しつつそれを冷静に見極め、泰然とそれを受けて正しき時間の流れへと修正する。
それこそが、すなわち『征務』である。
――その言わずと知れた流れの中で、そのただ一事で、茶を噴き零すような狼狽え者などいようはずなどない。
「殿下、こちらの準備は完了しております。号令を」
BGにそう促され、ナプキンで口許を優雅に拭い終えた刻は、鷹揚に頷き返し、中空へ向けて腕を伸ばす、手を翳す。
「これより、『征務』を開始する!」
その宣告に応じ、彼らの足場が震える。画面が一斉に消え、還元されたエネルギーは、その駆動へと充てられる。
それは王室に非ず。そこは、尋常の領域に在らず。
名状し難い、鯨の胃の中が如き空間に包まれた、あらゆる時と世界の狭間。御所にして移動要塞。時と空とを渡る、超巨大プライベートジェット。金銀を豪華に誂え、かつ近未来的な意匠のフォルム。そこに燕の如き両翼が展開。俯瞰すれば、先進的デザインの日時計に見えなくも無いだろう。
それが、航時空機レオライナー。
進路を変え、フォーゼとケタロス。両ライダーの世界の衝突点に、この惨劇より時間軸を遡上する。
〜〜〜
果たして、原因は姿を見せる。
元より、レオライナーに潜伏も逃亡も意味を為さない。
両世界、両宇宙を繋げた六角形のタイムゲートに、その青白いローブを羽織った男が佇んでいた。
そしてその眼下に、静止したフォーゼがいる。月面基地ラビットハッチがあり、大鉄人が存在する。
そして背には、赤銅の甲虫ライダー……メテオ……ではなくケタロスが我が四肢を左右に広げて身を焼いている。別の世界、マスクドライダーカブトとの大気圏に蹴り落とされた彼は、本来の歴史なら砂漠化した地球に絶賛墜落中だ。
今より、この二つの
ディケイドの
だが、その改変を為さんとする。いや、
突如として、豪奢なジェット機の如き巨大なマシンが現れ、彼の傍にその巨体をつける。着陸に等しい安定感で留まったそこからタラップが現れ、そこから三人の男女が現れる。ネオ・クォーツァーの形成したゲートに足を踏み入れる。
先導していた二人の女従者たちが、主人たる白服の少年の通過を降りきった階下で待ちつつ、
「BForチキ?」
と、問い掛ける。
「両方だ、二人とも戦闘とサポートに加わってくれ。時間が動き出すようなことがあれば、この下にいる彼らやそこのライダーも守らなくては」
間を置かずそう答えた刻に、BFは少し言いよどんでから、答えた。
「あえて申し上げますが、基本的に、従者は一人です。それに、クォーツァーを制圧出来ればある程度の逸脱事象は修正され、修正の必要のないほど影響のないオブジェクトについては最初から無かったものとして処理されます――
少年は、薄く遠く、目を細めた。
遠望するのは敵にあらず。自分たちを渦巻く星光の巡航。そして、かつての炎天。
想起したのはその下の過去未来の阿鼻叫喚。
「前は前、今は今だ」
そこから紡ぎ出された答えは、短いものだった。
「まぁ、良いんじゃないの? 手っ取り早く、済ませちまおうよ」
チキにそう促され、軽い吐息をこぼしながら、BFも進み出る。
彼女らの腰に、白きベルトが、情報集積デバイスたるプロフライズキーが、それぞれの手に転送される。
〈Zein!〉
と、かつては別の男たちに与えられていた、その名を呼ばわる。
「変身」
〈Zeinrise! Justice! Judgement! Jail! Zein!〉
「変身ッ」
〈Salvation of humankind〉
彼女たちの背で開いた赤き世界。青き情景。それらが従者たちを超越者へと変えていく。
白きスーツに金色の角。バイザー。ただしバイザーはBFは青、チキは朱の色味であり、マントは取り払われている。
「ゼイントルーパー……! てことはお前らか!? 神様気取りで時間を修正してるっていう連中はっ」
声をあげるネオ・クォーツァーに、
「神様気取り、ではなく事実、神にも等しき位置に立つ御方。時空を盗む賊徒めを征討する、真なる時の王者……それこそが、レオウ。刻・スカイル・タイムフライト様でございます」
慇懃なれども淡々と、冷えた口調でゼインとなったBFは答え、垂れた首の前を白服の青年はマントを翻して通り過ぎた。
手ずから、その手に小さな歯車と目盛りを組み込んだ円盤を、そして同様の機構を内蔵したドライバーを手に。
その何かのメーターを模した円盤のディスプレイに鏃、矢印、あるいは時針の如き物が取り付けられる。
〈ジクウピクシス!〉
その円盤を、ドライバーに取り付ける。噛み合う歯車が回り始め、針が、ベルトで、その背の向こう側で、刻まれ始める。
「変身」
王家伝来の指輪を嵌めた手を突き出し、翻しながら、ベルトのバックルを回す。
〈タイムスカイ! 仮面ライダー・レオウ! タイプ01〉
という音声と共に、周回する針が彼を黄金に変容させていく。
二つのメーターをゴーグルのように額に取り付けたマスク。その中心で閃く蒼玉質の視覚ユニットと、銀色の
「控え」
躾のなっていない犬に命じるが如く、BFは命じた。
「これより本時間軸に、レオウ様が王道を敷かれます。ネオ・クォーツァー様におかれましては、その歪な『舗装』を直ちに中止し、避けていただくようお願い申し上げます」
低姿勢なのか高圧的なのか分からない口ぶりで宣う。
少なくとも、そこに穏当に和解の道を探る気分はない。
レオウのしっかりとした足取りは、目の前の時空違反者に制裁を加えるという、絶対的な意志を感じさせた。
「ほざけっ!」
それを察したネオ・クォーツァーは、その手に歪な懐中時計を両の手に掴み取った。
〈Kuuga〉
〈Kabuto〉
端子の押された二つの毒紫のフレームから、黒い電流が流れその肉体に埋もれていく。内より、紅の外殻が盛り上がる。その一部が剥がれ落ち、頭頂部から三本の角と、人間的な目と歯茎が露わとなる。
「複合アナザーライダーか」
そう呟いた刻のドライバーで、針と歯車はゆったりと、だが絶えず巡り続ける。
そして、次の瞬間、レオウの姿は、クォーツァーの視界から電流と共に消えた。
閃光が、目標を見失った惑う彼の周りを巡る。そして死角にて実体化し、容赦ない連撃を叩き込んでいく。反撃として翻った拳は空を切り、中距離、中空にて、青き銃のデバイス、ショットライザーから
〈Rising blust!〉
という音声と共に、雷光弾が釣瓶打ちに浴びせかけられた。
「只今の時間は、ゼロワンの時間でございます。そして次いでの時間は」
BFが誰に共なく呟く。
針が、進む。
瞬間、レオウはその速威を失って、敵の真正面つんのめった。
「おっとっと!?」
そのアクシデントを見逃すほど、敵は甘くはない。高々と踵を振り上げ、ギロチンの如く、低められたレオウの頭頂目掛けて、振り下ろされた。
「セイバーの、時間でございます」
だがそれを、二振りの聖剣が防いだ。
火炎と水勢、相反する属性を対に構え、交差して押しのけると、挟み込むように切り立てた。
それに構わず反攻に強引に転じてきたアナザーライダー。だが、
〈界時抹消!〉
何処からともなく聞こえた音、噴き上がる飛沫と共に、その姿が再び消える。
レオウ独自の時間、空間。そこに潜航し、背後へと浮上すると同時に、手にした長得物でその背を薙ぐ。
「間も無く、リバイとバイスの時間へ突入いたします。能力の変化にご注意下さいませ」
その忠告に従い、時国剣を手放した。地に落ちるより先に、それは泡沫となって消滅した。
瞬間、紋章を赤熱させた足裏が迫って来た。
それを迎え撃つ形で、同じく脚に宿した烙印を叩きつける。
「くそっ、使い勝手が悪ぃな!」
「……
BFの諫めに、軽い舌打ちをする。
「……ええい、こうなったら! 強引にでも世界をかき乱してやる!」
追い詰められたネオ・クォーツァーは、レオウの方角ではない虚空に手をかざした。
停められていた、時が動き出す。
「我が魂は、ZECTと共にありィィィィィィッ!!」
叫びと共に、視た映像と同じように、『ライダーミサイル』は最終決戦に向けて降下していく。
「やっぱり、やったな……っ!」
そう言って駆け出そうとした刻を、BFとトキが妨げる。
「殿下、どうか『征務』に集中していただきますよう、お願いいたします」
「バカ、どのみちあのザコ潰せば世界は大体直るんだよ。そうじゃないビミョーな部分は別の何かと誰かに置き換わるだけだ」
そう説く従者たちに、一瞬立ち止まった後、
「これが俺の進む道だ」
低く呟くと共に、
〈Boost Mark2, Revolve on〉
そして針は、ギーツの時へと進む。
四つ足をつき赤き狐と化したレオウは、一息に二人のゼインの頭上を飛び越え、ゲートから、赤銅のライダー、ケタロスに付随する本物の隕石群や小惑星を飛び移りながら、それでも足りない足場は創世の力でもって下り坂を生み出し、その落下を阻止すべく追走する。
「馬鹿め、隙だらけだ!」
〈Clock up〉
濁った声と共に、神速を得たアナザーライダーが、
「隙だらけなのは、あのバカだけだっての!」
と気を吐いてチキが応じる。
〈ファイズ アクセルフォーム〉
〈ゲイツリバイブ 疾風〉
彼女たちが引き抜いたカードが、接触する前にその名を読み上げる。
〈執行! Justice order!〉
引かれたレバーが巻き戻っていくに合わせて、裁断されたカードの残骸が地に散る。そこから抽出された力は
〈Start up〉
〈スピードタイム!〉
という端的な流用音声と共に、ゼインの速威として出力される。
異なる時代、世界の加速装置。だが、かつて幾度となく行われた衝突が、その時空の捩れにおいても展開された。
背を、そうしてチキたちが守っていることは承知している。であればこそ、早々にケリをつけなければ、いけない。
ギーツの時間が了り、人型に戻ると同時にに、ケタロスの軌道上に回り込んだレオウのベルトのディスプレイから、
『ホッパー!!』
という甲高い歓声と共に、ホッパー1の進化形態たるクロスホッパーの幻影が飛び上がり、十倍して余りあるサイズ差のケタロスを押し返した。
「悪いな、もうちょっと滞空してもらうぜ、隕石野郎!」
と口汚く罵りつつ、足裏を天へと翻し、追撃としてケタロスのヒヒイロカネを蹴り付ける。
〈キッキングミ!〉
その脚部は伸縮を繰り返し、溜めた力でもってブロンズの装甲を遥か高みへ押し返す。
〈ロードバロン・執行!〉
それを見届けたライダーならぬ、いやその成れの果てたる怪人の力を、BFは搾取する。
瞬間、異空間の口、クラックがケタロスの前後で開く。
そこに落ちたかと思えば後方の出口より落ち直し、またクラックの中で落ちては後方の窓口より。
「うわぁぁぁぁ!?」
無限ループの中、自由落下を繰り返す。
それから三度分の変遷を経て、時代は再びゼロとワンへ。
電光と共に復帰したレオウは、従者二人を相手に手こずるアナザーライダーへとゆっくりと歩み寄る。
バックルの上下を手動で回転させると、駆動音を響かせて、内蔵された機構もその運動を加速させる。
〈ジクウコネクティング・ゼロワン!〉
という音声と共に、彼の脚部が輝度を高めていく。
それに気づいた複合アナザーライダーは、自ら人の輪郭を放棄する。膨れ上がり、赤黒い甲虫の怪物となった彼は、BFたちを押しのけて濁った蛮声、羽音と共に三本の角をレオウに突き立てんとした。
対する刻、全身の筋骨を極限まで絞り上げた後、足場を蹴って一気に飛んだ。
それは雷の矢であり、指標である。事実、迸る電流は矢印を象っている。
何者にも、妨げることは出来ない。それは敵の角を砕き、前面から後尾まで、一気に穿ち抜いた。
自身の飛行機の階まで着地したレオウの背で、力無く失速して外に投げ出された甲虫は、断末魔と共に、奪ったウォッチと共に爆散した。
そして、定刻の通り。
フォーゼは全身全霊で鉄人の暴走を食い止め地球を守り、ケタロスは断末魔と共に彼にとっての本来の地球、世界線へと堕ちて行くのだった。
〜〜〜
これにて、彼ら主従にとって一日に相当する時間と業務が終わる。
「あー、しんどい。タイパ悪すぎ」
旅客席のような、彼女たちの控室。
席を跨いで大股を投げ出すようにして身体をだらけさせるチキは、吐き捨てるように言った。
「ほんと、どうにもならんでしょ、コレ」
そう言ってチキが爪先で小突いたのは、誰あろう、彼女たちの仕えるべき、刻だった。
彼もまた、慣れぬ戦いの疲労から、その場に潰れてしまっていたのだった。
そして彼女の彼に対する態度は到底主人に向けられるべきものではない。
「コイツには無理だって、やっぱ。ビフ姉」
三人分の毛布を持ってきたBFに、咎めるような視線を投げた。
「王子の
と呟いて。
それを一時は無言で流し、起床時を同様に、手足を放り出すようにして眠る
「元はと言えば、貴方が早とちりした結果でしょう?」
「そりゃあ――まぁ、そうだけどさ」
「今は、この方を立てるよりほかありません。少なくとも王家を取り巻く状況が安定する、その時まで」
「この乱気流を乗り切るまで、てか?」
苦みばしった失笑と共に、チキは視線を外に投げかける。
あくまで世界線の移動と変動を視覚化したものに過ぎないが、世界と世界、時間と時間を繋ぐその回廊には、言い知れない暗雲が漂い、機体はかすかな軋みと共に揺れたのだった。
~~~
ただの
いや、視るだけではない。そこには焦げ付く臭いがあり、爆ぜる音が聴こえ、喉がひりつき、息を吸うコトさえままならない。
それらはかつて、五感に刻み付けられた事実であるがゆえに。
――時は、二〇一九年。
その中で、ボロをまとい、壊れた砂時計のような
四つ足で廃墟を闊歩する、巨象のごときロボットが反応し、踏み潰さんとした。
〈Jacking break!〉
だが、黄金の一閃が、矢印の一線が、複数体いたそれらを難なく撃破した。
「あーあ。ダメだな、こりゃ。うん、残念。間に合わなかった」
馬上槍とも剣ともつかぬ、見たこともない武装を肩に担いだ、飛行士にも似た黄金の騎士が、彼に背を見せていた。
「まぁこんな日もあるさ。そう気を落とすなって。たかが並行世界の一つが滅びるだけだ」
と、さほど気にもしていない口ぶりで言う彼に、
「なんなんだ……お前!?」
そう、声を奮わせて誰何する。
だが若い声、金色の煌めきの主はそれには答えず、槍剣を抱えたままに逆の手を虚空へ、世界へと向ける。
すると、その掌から発せられた粒子が瞬く間に満ちていく。刻を除く、敵も、物も、場所も、何もかもを黄金に塗り替えていく。
「でもまぁ、これで多少は保つだろ」
「何を、した……? なんだ、そのライダーの力は……!?」
「ん? 錬金術。いわゆるガッチャって奴さ。て言っても、まぁ伝わらないか。キミが生きてりゃどうでも良いことさ」
そう言って、彼は自らの腰からドライバーを取り外し、変身を解除した。
そしてそこに嵌まった
だがそれよりも、刻にとって驚きだったのは、露わとなったその男の素顔だった。
「お、俺……!?」
そこにあったのは、汚れの一滴さえない白服とマントに身を包んでいたのは、紛れもない、己自身だった。
その自分自身は、あらぬ方向に目線を遣りつつ、薄笑いを浮かべながら、
「悪いけどオレ、ディサイダーのゲームに協力することにしたから。というわけで、今からキミ、『俺』クンが、時空の運行を守る至高の王、仮面ライダーレオウ」
「レ、オウ……?」
「そう。その力をオレの千分の一程度ぐらい使いこなせるようになれば、多分この世界も救えるんじゃないかな。じゃ、あとよろしくね、乞食クン」
そう言い放つや、『自分』はその隣に生じた銀色のオーロラの向こう側に消えた。
〈ディメンション〉
その男と入れ替わるかたちで、赤髪の、CAのコスチュームの少女と対を成す高身長の女性が、世界に生じた亀裂より白いドライバーを身に帯びて踊り込んで来た。
「あぁっ! 居やがったなバカ王子!」
「は?」
「良いから来いっ、もう一族会議始まってるんだからっ、油売ってるヒマないんだっての!」
赤髪を威嚇のごとく逆立て、矮躯の少女のごとき者――チキに、事情も呑み込めないままにまくし立てられ、腕を引かれる。
もうひとりの方――BFが唖然とする刻に向けた、冷たい眼差しは、今なお彼の心に引っかかっている。
~~~
――以上、本日の報告を終わります。
しかし、すでに再三にわたって注進していることではありますが。
あの彼、残された影武者は。
力に振り回され戦技は粗削り、目下の些事に心を奪われる。心技体いずれにおいても、貴方に及ぶべくもありません。
突如の御出奔、何かしらの深謀遠慮あってのこととは推察いたしますが、分不相応な責務と力は、本人にとっても不幸となるばかり。
なるべく早いご帰還を、お待ちしております。
というわけで、リクエスト『未』消化作品
割烹に記載の如く、予定としては反応見て本格化、ブラッシュアップによって後半に移行といった感じです。
といったところで本当に何も考えてないので、いつ、どうなることやら。
モチーフとしては、まんま名の如く、レジェンドのジオウバージョンみたいなイメージ。
あと、別に予定しているガッチャード×フォーゼにおけるレジェンド的な立ち位置でもありますが、多分リンクさせることはないかと思われます(他人事)