重ちー(偽)のハンター人生(完結)   作:銀の鈴

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ハンターは出世する

 

──グリードアイランドのプレイヤー募集会場に到着した。

 

会場内をキョロキョロと見渡していると、近付いて来る二人組がいた。

 

「チッ、またアンタかよ。そっちのヤベエ魔獣の話は聞いたけどよ。本当に危険はないんだろうな? まったく、あの魔蟲だけでもアレなのにそんな魔獣まで使役すんのは反則だろ」

 

「アハハ、蜂の大魔蟲と猫の大魔獣って感じだもんね。それよりシゲキヨもグリードアイランドに興味があったんだ」

 

銀髪と黒髪の少年達が現れた。ピトーが間髪入れずにぶちのめ――

 

「おや、雑魚なレオレオの雑魚な子供達ですね。重清様、雑用係に徴用しましょうか?」

 

――さなかった。どうやらレオレオさんの子供達だったみたいだ。

 

「誰がレオリオの子供だ!? こんな侮辱は生まれて初めてだぜ! 訴訟案件だぞこれは!」

 

「まあまあ、キルアもそこまで怒らなくてもいいじゃん。えっと、オレ達はレオリオの子供じゃなくて友達だよ。オレはゴン、こっちはキルアだよ。猫のお姉さん、よろしくね!」

 

カルシウムの足りてなさそうな銀髪の少年とは違い、黒髪の少年はフレンドリーな感じで挨拶をしてきた。

 

「猫のお姉さんじゃない。僕はネフェルピトーだ。僕の重清様はピトーと呼ぶが、お前がそう呼ぶのは許さない。ネフェルピトーと呼べ。そっちの銀髪はネフェルピトー様と呼ぶのを特別に許してやる」

 

「誰が呼ぶかよ! おい、アンタの魔獣、性格悪いし躾がなってねえぞ」

 

銀髪の少年の言葉に、僕は首を傾げる。

 

「えーと、僕のピトーは品行方正で色々と気が利くし、ほらこうして抱きしめると柔らかくて温かい可愛い子だよ」

 

「あ、あの、重清様……人前で抱き締められるのは恥ずかしいです……」

 

僕の腕の中で、顔を赤らめモジモジと身を捩るピトーはとても可愛かった。

 

「うん、それは分かるよ。コンの毛皮も柔らかくてあったかくて最高だからね」

 

黒髪の少年も同意見みたいだ。ところで、コンって誰なの?

 

「コンはクジラ島に住んでいるオレの友達だよ。コンは森のボスで――」

 

なるほど、黒髪の少年――ゴンは、僕と同じで動物を愛するナイスガイみたいだね。

 

「ぜってー違う! 魔獣のおっぱいに顔を埋めてデレデレしてるアンタとゴンを一緒にすんな。ゴン、名誉毀損で訴えるんならうちの弁護士を紹介するぜ」

 

「訴えたりしないよ。オレもコンのお腹の上で昼寝してたから、シゲキヨの気持ちは分かるんだ。お日様の匂いがするんだよね」

 

うんうん、ピトーも良い匂いがするんだ。やっぱり、僕らは似た者同士みたいだね。猫吸いは最高だけど、狐熊吸いも良いよね!

 

「だからぜってー違うっての! 人型の魔獣のおっぱいとキツネグマの腹を一緒にすんな! ゴンも無理して話を合わせる必要はねえからな!」

 

「もう、キルアは喧嘩腰はやめなよ。オレは別に無理はしてないよ。島にいた頃はお姉さん達によく抱き締められてたからね。シゲキヨの言うことは分かるんだ。おっぱいって柔らかくて温かいよ」

 

おおっ!? ゴンとは本当に気が合うね!

 

「ご、ゴン? お前って女好きだったのか……ま、まさかレオリオの同類なのか!?」

 

ゴンの言葉に驚愕の表情を見せる銀髪の少年。その身体はショックでフルフルと震えていた。

 

もしかして、彼はゴンのことが好きなのかな? 好きな男の子が、他の女子のおっぱいに夢中なら嫌だよね。どうしたって、おっぱい勝負だと銀髪の少年――キルアに勝ち目はないもん。

 

よし、ここはキルアに力を貸そう。ピトー、キルアを女の子にして上げて!

 

「はい、お任せて下さい。――クレイジー・ダイヤモンド!」

 

「は? 何言って――グワッ!?」

 

ホゲーとアホ面を晒すキルアに、ピトーの隣に具現化したクレイジー・ダイヤモンドが電光石火の一撃を喰らわせた。

 

「キルアッ、大丈――き、キルア?」

 

吹き飛ばされたキルアを慌てて抱き起こしたゴンは言葉を無くした。

 

「イテテ、このクソ猫ッ、何しやが――どうしたんだよ、ゴン? そんな目を丸くしてよ。あれ、声が変だな?」

 

アーアーと声を出して喉の調子を確かめるキルア。その鈴の音を転がしたような美声に、僕の心は和んだ。

 

「うん、じゃあ、僕らはそろそろ行くね。プレイヤー募集ではライバルになるからね。馴れ合いはここまでにしよう。ピトー、行くよ」

 

「はい、重清様!」

 

ピトーと手を繋いで、僕らはゴン達から離れていった。

 

「ちょっ!? キルアはこのままなの!?」

 

「どうしたんだよ、ゴン。アイツらなんて離れてくれた方がいいじゃん。いきなり殴られたのは腹立つけど、あのスピードはヤベエぞ。今のオレらじゃ敵わねえ。魔蟲に魔獣、その上アレは念獣ってやつだろ。今はアイツらに関わらねえ方がいい」

 

「いや、キルア! そういうんじゃなくて、キルアにおっぱいが生えてるんだよ!」

 

「はあ? 何言って――なにこのおっぱい!?」

 

「ほらッ、このおっぱい柔らかくて温かいよ!」

 

「揉むんじゃねえよ!!」

 

離れた二人が騒いでいる。まあ、あの二人は歳下だし、まだまだ落ち着きのない子供だから仕方ないかな。

 

「あの落ち着きの無さでは雑用係は無理ですね。プフかユピーのどちらか一人だけでも呼びますか?」

 

ううん、いいよ。あの二人には僕の不労所得を稼いでもらわなきゃいけないからね。ママへの仕送りと、アルカにも生活費を送らなきゃいけないから不労所得は維持し続けたいんだ。

 

「重清様の前世でのお母様と妹様ですね。重清様はご家族にお優しいのですね」

 

今はピトーも大切な家族だよ。だから、ずっと僕の側にいてね。

 

「し、重清様!! 僕はずっと側にいます!!」

 

ピトーが感極まったかの様に抱きついてきた。

 

うん、おっぱいが柔らかくて温かいね!

 

 

 

 

「お前の“練”を見せてみろ」

 

プレイヤー採用試験が始まった。

 

僕はハーヴェストを見せた。

 

「な、なんて馬鹿げたオーラ量なんだ。本物の化け物だな……おい、コイツは本当にお前の念獣なのか? 師匠の念獣を借りたとかなら正直に言った方がいいぞ。グリードアイランド内は本当に危険な場所だ。師匠に助けを求めたくても電話は繋がらないからな」

 

なんだか失礼なことを言われたけど、採用試験には合格した。

 

 

 

 

「その魔獣も試験を受けるのか? いいだろう。おい、魔獣。お前の“練”を見せろ」

 

──クレイジー・ダイヤモンド!

 

近くにいたお爺さんをぶん殴った。

 

お爺さんを、元のオジさんに戻した。

 

「こ、これは!? き、君の名前はなんといったかね! 相談があるんだ! 一緒に来てくれないか!」

 

オジさんにドナドナされた。

 

 

 

 

昏睡状態のオバさんを、元の覚醒状態のお姉さんに戻した。

 

涙を流しながらオジさんがお姉さんを抱きしめた。犯罪臭のする絵面だと思った。

 

オジさんからお礼として、オジさんの全財産の八割を貰った。

 

僕は億万長者になった。

 

オジさんは良い人だった。

 

 

 

 

プレイヤー採用試験は中止になった。

 

グリードアイランドのソフトは全部貰った。

 

ゴンに頼まれてグリードアイランドを一つ貸した。キルアはゴンと腕を組んでいた。二人の仲は良好のようだ。男に戻す必要は無さそうだね。

 

「ええ、そうね。女の身体を動かすのも修行になるからこのままでいいわ」

 

キルアは組んでいるゴンの腕をギュッと抱きしめながら言った。

 

「ねえ、キルア。なんだか喋り方が変だよ。それに距離が近いような?」

 

「いつも通りだと思うわよ。ゴンの気の所為だわ」

 

「うーん、キルアがそう言うのならそうなのかな?」

 

ゴンは首を傾げながらも、キルアと仲良く腕を組んで去っていった。

 

 

 

ゴン達にグリードアイランドを貸したのを見てた可愛いフリフリドレスの女の子――ビスケにもグリードアイランドを貸して欲しいと頼まれたからプレゼントした。

 

「フフ、まさか初対面なのにプレゼントしてくれるだなんて、重清は気前がいいわね。お礼に何か依頼があるときは割引価格で受けて上げるわ」

 

ビスケは二ツ星ハンターという凄いハンターだそうだ。

 

うんうん。コネは大切だからね。

 

ビスケも性転換したい時や、フリーザーとセルを足して二で割ったような姿に変身したいときは連絡してよ。僕も割引価格で受けるからね。

 

「フリーザーとセルの意味は分からないけど、変身というのはどういう意味かしら?」

 

首を傾げるビスケに、クレイジー・ダイヤモンドの能力を簡単に説明した。

 

もの凄い形相になったビスケに変身の依頼をされた。

 

依頼を受けると、可愛いビスケがゴツいビスケに変身した。

 

そして、クレイジー・ダイヤモンドがゴツいビスケを可愛いビスケに変身させた。

 

「あぁ、全てから解き放たれた気分だわ――うふふ、心の底から感謝するわ。本当にありがとう。重清の頼みならどんなことでも無料で協力するからなんでも言ってね!」

 

可愛いビスケは、超ご機嫌になった。

 

 

 

 

グリードアイランドが手に入ったから、みんなで遊ぼうと思い連絡をした。

 

『あのね、前にも言ったよね。今は修行に集中したいから遊ぶのはダメだって!』

 

アルカ達には断られた。

 

『ええ、予定は大丈夫よ。直ぐに向かうわ。パクも連れて行くわね』

 

マチ姉とパクお姉さんにはオッケーして貰えた。

 

「うん、いいよ。フランクリンはどっか行っちゃったから一人で行くね」

 

シズクもオッケーだった。

 

さあっ、僕らの冒険が始まるぞ!

 

 

 

 

グリードアイランドは閑散としていた。

 

なんでも、どっかの富豪が掛けていたゲームクリアの賞金が取り消されたため、一定の実力を持つプレイヤー達が一斉に居なくなったらしい。

 

今残っているのは、グリードアイランドから離脱するアイテムを手に入れることすら出来ない低レベルのプレイヤー達だけだ。

 

グリードアイランド内をウロウロしていたら、ビスケがゴン達を扱いているのを見かけた。キルアはビスケのドレスを借りたみたいでフリフリになっていた。

 

「あっ、シゲキヨ! キルアを男に戻して――ムグッ!?」

 

「えへへ、元気そうだね。ゴンのことは気にしないでね。ちょっと寝不足で情緒不安定になってるだけなの。ほら、ゴン。修行を続けましょう」

 

何か言おうとしたゴンの口を手で塞いだキルアがニコニコしながらそう言うと、ゴンをズルズルと引き摺って行った。

 

うん、二人の仲は順調みたいだね!

 

ビスケは超ご機嫌状態が続いているみたいで、ニコニコしながらベタつく二人を蹴っ飛ばしていた。

 

 

 

 

グリードアイランド中に散らばったハーヴェスト達が集めた情報を元にして、僕らは順調にカードを集めていった。

 

 

 

 

グリードアイランドから離脱できない可哀想な女の子を見つけたら離脱させていく。僕の正義心が彼女達を見捨てることを許さなかったからだ。

 

 

 

 

グリードアイランドから自力で離脱できない情けない男に出会うと、皆が助けてくれと縋ってくるから鬱陶しかった。

 

ピトーがぶちのめして追い払ってくれた。

 

なんとなく、マチ姉とパクお姉さんが呆れた顔で僕を見てる気がした。シズクはニコニコしてた。

 

 

 

 

金粉少女、睡眠少女、発香少女という三枚のカードを手に入れた。

 

グリードアイランドのクリア特典として、三枚のカードを持ち帰れるからこの三枚を持ち帰ることに決めた。

 

僕がそう言うと、マチ姉とパクお姉さんは苦笑してた。シズクはニコニコしてた。

 

 

 

 

──恋愛都市アイアイ

 

そこに行けばどんな夢も叶うという伝説の都市。

 

ああ、僕はここに辿り着くために生まれて来たんだ。

 

街をフラフラと彷徨い歩く。

 

そこかしこからラブラブな空気が漂ってきて、なんだか力が漲ってくる。

 

「今なら大魔王だって倒せそうだよ」

 

「大魔王を倒すのですか? ゲームの話ですか?」

 

突然、可愛い女の子に声を掛けられた。頭の左右で雑に髪をお団子にしている子だ。見た感じだと同い年ぐらいだ。

 

彼女はにへらと、ちょっぴり邪悪風味な笑顔を浮かべた。

 

その笑顔に運命を感じた。

 

抱き締めたい衝動を抑え付け、僕は声を掛けた。

 

「僕は重清だよ。矢安宮重清だ。君の名前を教えて欲しい」

 

「矢安宮重清――重清くん……不思議なのです。初めて聞いた名前なのに、ずっと前から知っている気がするのです」

 

彼女の震える指先が、僕の頬に優しく触れる。

 

「ふふ、何だか逆ナンみたいな事を言っちゃいました。私の名前でしたね。私の名前はト――」

 

照れて笑う彼女の姿に心を奪われた──次の瞬間、僕の身体は宙を舞っていた。

 

宙を舞った身体は地面に叩きつけられる事はなく、シズクに上半身を捕らえられ、下半身はマチ姉が捕えていた。

 

ピトーが先導しながら、僕は抱えられたままその場を離されていった。パクお姉さんは困った顔をしながら付いて来た。

 

「重清くん! 行かないで下さい!!」

 

──彼女の悲痛な叫び声が聞こえた。

 

 

 

 

シズクが眉を顰めて怖い顔をしている。

 

「──遊びなら許すけど、本気はダメ」

 

マチ姉が目を細めて睨んでいる。

 

「──ゲームキャラ相手に何考えてんだい」

 

ピトーは悲しそうな顔をして無言で俯いている。

 

パクお姉さんは飽きたみたいで、一人だけ近くの喫茶店にお茶しに行った。

 

うぅ、パクお姉さん。僕も連れて行って。

 

彼女達の前で正座させられている僕の心の声は、パクお姉さんには届かなかった。

 

 

 

 

恋愛都市アイアイには、立ち入り禁止になった。

 

 

 

 

パクお姉さんが一週間ほど姿を消していた。

 

なんでも喫茶店の黒髪イケメンマスターとの逢瀬にハマっていたらしい。

 

「ふふ、誰かさんに似てたから仕方ないわね」

 

「違うから! それは勘違いだからね! アイツには絶対に言わないでよ!」

 

マチ姉がパクお姉さんを揶揄っていた。ところで、アイツって誰なの?

 

「誰でもないわ! ただの勘違いだから気にしないで!」

 

シズクは知ってる?

 

「クロロだと思う。パクの幼馴染だよ」

 

「シズク!? ちょっとアンタね、何を勝手に喋って……そういえば、なんであんたはシレッと混ざってるのよ!」

 

「ん? 重清とは友達だもん。いわゆるマブダチってやつだね」

 

うん、僕達は仲良しなんだ。

 

シズクにクッキーをアーンで食べさせて貰いながら、僕は彼女の言葉を肯定した。

 

「ほら、カケラがついてるよ。ふふ、小さな子みたいだね。そうだ、あたしの子供になる? 旦那様でもいいよ。ずっと面倒をみてあげるわ」

 

僕の口元についてたクッキーのカケラを指で摘んで、それを自分の口に放り込むと、揶揄うような笑みを見せながら彼女は言った。

 

うむむ!

 

シズクがお嫁さんか。

 

どうしようかと悩んでいると、悲しそうな顔をしたアルカとポンズ、そしてアルカお姉さんが心の中にピョンと浮かんだ。

 

そんな悲しそうな顔をしないで。心の中の三人に訴えるけど無駄だった。三人は涙まで流し始めた。

 

うん、こうなったら仕方ない。

 

一夫多妻制の国に移住しよう!

 

今の僕は億万長者だからね。お金の力で永住権を手に入れるのは簡単なんだ!

 

そう宣言すると、心の中の三人はにっこりと笑顔になった。

 

うんうん。これで全て丸く収まるね!

 

「重ちーがこの上なく都合の良いことを言ってるんだけど、どうしたもんかね?」

 

「別にいいんじゃない? 複数の女を囲う甲斐性があるのなら問題ないわ。流星街だと珍しくもない話じゃない」

 

「うーん、そう言われちまうとそうなんだけどさ。ほら、女の嫉妬は厄介だからね。この甘えたの重ちーが上手く女どもを抑えられるとは思えないからね」

 

「ふふ、そんなに心配ならマチが女達のまとめ役になって上げたらいいじゃない」

 

「何言ってんだよ! 重ちーは弟分だよ。そんな感情はないからね!」

 

「まあまあ、マチは彼のことを可愛がっているんでしょう。弟分から本当の家族になると考えればいいのよ。頼りない弟分の面倒ぐらいちゃんと最期まで見て上げるのも、歳上の女としての務めよ」

 

「……そ、それもそうかな。うん、重ちーは頼りないからね。ちゃんと面倒を見て上げないと無責任だね。よしッ、重ちーがどうしてもって言うなら、あたしも一緒に移住してあげるよ!」

 

うんっ! マチ姉もずっと一緒だよ!

 

「そ、即答だね。よし、分かったよ。女に二言は無いからね。重ちーとはずっと一緒だよ!」

 

うん、これで問題はあと一つだけだ。

 

「あら、まだ問題が残っているの?」

 

パクお姉さんが不思議そうな顔になる。

 

うん、実はね。グリードアイランドからNPCを連れ出す方法が見つからないんだ。

 

「恋愛都市アイアイは立ち入り禁止だって言っただろ!」

 

「デメちゃんでアイアイを吸い込むよ?」

 

「重清様、食べてしまえば一つになれますよ」

 

「え、NPCを外に連れ出す!? その発想はなかったわ! 重清ッ、ちょっと二人で作戦を練りましょう!」

 

うんっ、パクお姉さん!

 

「ちょいと待ちな!!」

 

僕とパクお姉さんの二人は正座させられて説教された。

 

──こうして、一つの恋は終わりを告げた。

 

さようなら、ちょっぴり邪悪風味な笑顔の――。

 

いつの日か、どこかでまた逢えたらいいな。

 

ホロリと涙がでた。僕は少し大人になった。

 

 

 

 

グリードアイランドのクリアはゴン達に先を越されたけど、少し遅れて僕らもクリアできた。

 

 

 

 

実家の自室で、金粉少女、睡眠少女、発香少女のカードを具現化した。

 

三人とも可愛かった。

 

ママの笑顔が少し怖かった。

 

三人はママの部屋に引っ越した。

 

 

 

 

ハンター協会の会長が急死した。新聞には餅が喉にって書かれていた。

 

 

 

 

新しい会長の選挙があった。ゴンが美少女なキルアにベッタリとくっ付かれていた。ゴンに似たオジさんが二人を指差して笑ったら、ゴンにぶん殴られた。

 

 

 

 

一夫多妻制のカキン王国の永住権が手に入った。

 

 

 

 

女子会が開かれた。

 

僕は参加させて貰えなかった。

 

マチ姉が「任せておきな」って言ってたけど意味が分からなかった。

 

「ふふ、重ちゃんはモテモテね」

 

ママは何故か嬉しそうだった。

 

 

 

 

全員でカキン王国に移住した。

 

もちろん、大切なママも一緒だ。パパは単身赴任で残った。定年まで頑張ってね。

 

 

 

 

「最初に言っておくけど、重ちーが十八歳になるまでは清い関係を維持するからね」

 

マチ姉がそう宣言した。

 

ええっ、どうしてなの!?

 

「あのね、重くんは男の子だからそういうことに興味があるのは当然のことだよ。でもね、重くんはまだ十六歳なんだよ。重くんが生まれたジャポンだとまだ未成年なのは知っているよね。重くんのママと同居してるんだから、未成年の重くんとそういうことが出来ないのは理解できるよね」

 

ネオンお姉さんが優しく教えてくれた。

 

それならママと別居しよう!

 

「……そうね、重くんがママを説得できるならいいわよ」

 

うん、わかった!

 

ねえ、ママ。僕はもう一人前だからね。そろそろ親元から独り立ちすべきだと――背筋がゾクリとした。

 

満面の笑顔のママが凄く怖い。

 

うん、僕はまだまだ子供だと思うんだ!

 

今は将来に向けてハンター業を爆進しようと思う!

 

僕のハンター魂が燃え上がった。

 

 

 

 

カキン王国の王子から護衛依頼があった。

 

第12王子のモモゼって女の子からの依頼だ。

 

女の子なのに王女じゃなくて王子らしい。

 

カキン王国の伝統みたいだね。

 

 

 

 

モモゼの面接を受けた。

 

彼女は縦ロールのお嬢様っぽい雰囲気の女の子だった。

 

「私はあまり個人財産を有しておりません。プロハンターである矢安宮様に相応しい報酬を支払えないかもしれませんわ。それでも護衛依頼を受けて下さりますか?」

 

──左足を絶妙な角度で曲げて前方に出し、両手を輪郭に沿わせる。その眼光は黄金の精神を感じさせた。

 

「ゴゴゴゴゴゴゴッ、助けを求める女の子の手を払っちまったら、俺は男として生まれた意味を失っちまう。たとえ世界の全てが敵に回ろうと、君の穏やかな日常を守り通そう。それが俺自身が決めた、君への誓いだ」

 

「うふふ、矢安宮様は面白い方なのですね。そしてとても自信家ですわ。──この護衛依頼はとても危険なものとなります。我が国の王位継承絡みですもの。文字通りの命懸けの依頼となることでしょう。もう一度だけ問います。私を守ってくれますか?」

 

「すまない。どうやら君から見た俺は随分と頼りない男のようだ。ならば行動を持って証明しよう。俺が頼りになる男だということを。絶対に最期まで君を守り切ってみせる」

 

僕の言葉を聞くと、モモゼは小さく息を吐いたあと、柔らかい笑みを浮かべて頷いた。

 

 

 

 

危険な依頼っぽいから不労所得は諦めて、プフとユピーを呼び寄せた。ピトーと合わせて久しぶりに三人が揃った。

 

「僕がいれば十分なんだけどね。二人とも足を引っ張らないでよ」

 

「フフ、やっと身近でお仕えできる日が来ましたね」

 

「おう! 天空闘技場で磨いた対人戦の腕をお見せしようぜ!」

 

三人共に意気軒昂だ。頼りにしてるからね。

 

残念ながら、ポンズとアルカ、それにネオンお姉さんは危ないからママとお留守番をしてもらう事にした。

 

「ハァ、仕方ないわ。実力不足は自分でも分かっているもの。こっちで修行をして待っているわ。重清くんも怪我をしないでね」

 

「ねえ、重ちー。あたしの影が薄くない? 義妹からお嫁さんになるのって、凄いイベントの筈なのにサラって流されてるのおかしくないかな?」

 

「それを言ったら私だって、重くんのお姉さん的立ち位置から急転直下でお嫁さんにジョブチェンジだよ。今回だって危険な依頼なんだから、ここでこそ私の占いの出番の筈だよね。どうして占わないの?」

 

ワチャワチャと騒ぐ三人。うん、賑やかで華やかだね。

 

臨時の応援として、パクお姉さんを呼んだ。

 

「お久しぶりって程じゃないけど元気そうね。新婚なんだからもっと窶れていると思っていたわ」

 

下ネタはやめてね。どうせマチ姉から事情は聞いてるよね。

 

「ウフフ、ごめんなさい。まあ、二年ぐらいすぐに過ぎるわよ。それにマチ達をネタに使うぐらいなら大目に見てもらえるんでしょう?」

 

だから下ネタはやめてね。

 

ビスケも呼ぼうと思ったけど、ハンター協会からの重要な依頼を受けたみたいで連絡が取れなかった。

 

マチ姉とシズクは当然だけど参加だ。

 

「王位継承争いだなんて、随分とヤバい依頼を受けたもんだね。フッ、そんな不安そうな顔をしなくても……お、夫の背中ぐらい妻として守ってやるさ」

 

「ねえ、マチ。顔が真っ赤だよ」

 

「シズクは余計なことを言うんじゃないよ!」

 

「マチは一番年上なのに一番初心だよね」

 

「うっさい!!」

 

仲良しな二人だね。

 

──総勢七名。これで必ずモモゼを守り切る!

 

 

 

 

モモゼのお供でデッカい船に乗り込む事になった。

 

 

 

 

ビスケと再会した。

 

いざという時は、共同戦線を組む事を約束した。

 

 

 

 

久しぶりに会ったモモゼに、妙な念獣がくっ付いてたからハーヴェストに処分してもらった。

 

 

 

 

モモゼとお茶してたら他の王子達に絡まれた。ピトーが威圧して追い払ってくれた。

 

 

 

 

船内にハーヴェストを百万体ほど配置した。

 

 

 

 

 

モモゼやマチ姉達と食事をした。モモゼにアーンで食べさせて貰っていたら他の王子の護衛達が絡んできた。マチ姉達がぶちのめして追い払ってくれた。

 

 

 

 

船内を散歩してたらガラの悪いチンピラ達に絡まれた。ユピーがぶん殴って海に捨ててくれた。

 

 

 

 

モモゼやマチ姉達とパジャマパーティをした。とても楽しかった。

 

 

 

 

船内に妙な念獣が複数いるのを見つけたから全て処分したと、ハーヴェストから報告を受けた。

 

 

 

 

僕の邪魔になる人間をプフが調べ上げたらしい。後の処置は任せて欲しいって言うから任せる事にした。ところで、僕の邪魔になるってどういう意味かな?

 

 

 

 

王やモモゼ以外の王子達とかが行方不明になったらしい。みんなが騒いでいたけど、暫くすると見つかった。それでなんか知らないけど、行方不明になってた人達に忠誠を誓われた。

 

 

 

 

ビスケが会いに来た。

 

ママがイタズラをした僕を見る顔と、同じ顔をして、僕のことを見ていた。

 

うーん、と何かを悩んでいる感じだったけど、暫くすると吹っ切れたみたいだ。

 

「よし! 何も気付かなかった事にするわ!」

 

ビスケは笑いながら僕の頭を撫でくり回した。

 

ママみたいな笑顔だった。

 

 

 

 

カキン王国の王様が突然退位したと思ったら、他の大半の王子達が王位継承権を放棄した。

 

 

 

 

前王と王位継承権を放棄した王子達の推薦を受けて、僕が王様になることになった。

 

――あれ、僕なの!?

 

 

 

 

モモゼと一緒に、王様即位のパレードをした。

 

ワーワーと叫びながら手を振る大勢の人達に、モモゼと一緒に手を振り返した。

 

偉くなった気分だった。

 

 

 

 

王宮内に僕達の部屋を用意してもらった。

 

凄い豪華だった。

 

ママ達を呼び寄せた。

 

 

 

 

 

月夜の晩、モモゼと二人っきりで語り合う。

 

「──君を守り切った。これで約束は果たせたな。ところで、王は面倒だ。ほとぼりが冷めたらモモゼに譲ろう」

 

「フフ、王位はいりませんわ。重清様にこそ相応しいと思います。それに約束はまだ果たされていません。私を最期まで守って下さるのでしょう。この鼓動が途切れるその日まで、重清様は行動を持って証明して下さると約束をしてくれました。――いえ、ごめんなさい。こんな面倒なことを口にする女はお嫌いですよね」

 

モモゼは自嘲するように呟くと下を向いた。

 

「フッ、女の我儘で不機嫌になる小さな男だと思われていたのなら反省しよう。どうやらまだまだ行動が足らなかったようだ。モモゼ、もう遠慮はしない。心のままに行動をしよう」

 

モモゼの顎先に指をかけると、彼女の顔をクイっと上に向かせた。

 

「──っ!?」

 

月明かりの下で、二つの影が重なり合った。

 

──モモゼとすごく仲良くなった。

 

 

 

 

正座させられて、マチ姉達に説教された。

 

ママがとりなしてくれた。

 

 

 

 

お嫁さんが一人増えた。

 

 

 

 

王としての日々が始まった。

 

プフと元王子達が頑張ってくれている。

 

僕はお嫁さん達とイチャイチャしてる。

 

 

 

 

お嫁さん達とのデートで忙しい。

 

スケジュール調整が大変だ。

 

段々とよく分からなくなってきた。

 

 

 

 

デートのダブルブッキングした。

 

少し雰囲気がよくない。

 

マチ姉が仲裁してくれた。

 

 

 

 

デートのトリプルブッキングした。

 

雰囲気がよくない。

 

マチ姉が仲裁してくれた。

 

 

 

 

デートのクアドラプルブッキングした。

 

とても雰囲気がよくない。

 

マチ姉が仲裁してくれた。

 

 

 

 

デートのクインティプルブッキングした。

 

すごく雰囲気がよくない。

 

マチ姉が仲裁してくれた。

 

 

 

 

デートのセクスタプルブッキングした。

 

メチャクチャ雰囲気がよくない。

 

マチ姉が仲裁してくれた。

 

 

 

 

デートのセプタプルブッキングした。

 

マチ姉がブチ切れた。

 

ママがとりなしてくれた。

 

 

 

 

スケジュールを管理される事になった。

 

 

 

 

自由に散歩ができない。

 

なんだか、籠の鳥になった気分になった。

 

ん? 籠の鳥――

 

 

 

 

いいやっ、僕の冒険はこれからだ!!

 

 

 

 

ハーヴェストと共に、僕は自由な大空へと駆け出した。

 

 

 

 

知らない街まで駆けた。

 

お腹が空いたけど、財布を忘れてしまった。

 

困っていたら声を掛けられた。

 

「あら、久しぶりね。元気そうで安心したわ」

 

ハンター試験で一緒だったクール系のお姉さん――スパーお姉さんだった。

 

事情を説明したら匿ってくれる事になった。

 

「ふふ、これで借りを返せるわね」

 

彼女の手作りご飯は美味しかった。

 

 

 

 

スパーお姉さんにお世話されながら、僕らは仲良くなっていった。

 

 

 

 

一ヶ月後、見つかった。

 

 

 

 

正座させられて、マチ姉達に説教された。

 

ママがとりなしてくれた。

 

 

 

 

お嫁さんが一人増えた。

 

 

 

 

管理される過酷な日々が続いた。

 

ママに泣きついた。

 

自由行動の日ができた。

 

 

 

 

散歩中に、お肌ツヤツヤで幸せそうなキルアと、疲れた様子のゴンの二人に出会った。ゴンの腕はガッチリとキルアに組まれていた。

 

幸せそうなキルアから感謝の言葉をもらった。

 

「既成事実を作るのに成功したわ。あなたがくれた魅力的な身体のお陰よ。本当にありがとう」

 

彼女の左手の薬指には婚約指輪が輝いていた。

 

疲れた様子のゴンと、僕の視線が絡みあった。

 

魂が触れ合った気がした。

 

気がつくと、拳同士を突き合わせていた。

 

ゴンは達観した顔で言った。

 

「──ねえ、シゲキヨ。おっぱいは柔らかくて温かいけど、触ったら責任が生じるんだね」

 

自由だった少年は、少し大人になっていた。

 

やっぱり、ゴンとは気が合うと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これにて完結です。
重ちーは、お嫁さん達に囲まれて幸せに暮らしました。
めでたし、めでたし。


















僕は新しい念能力を彼女に使った。

「【鳥の籠】発動っ!」

彼女の身体を眩しい光が包んでいく。

それは彼女を誘か――彼女をゲームシステムから解き放つ光だった。

身体を包んでいた光が消えると、彼女は感極まったかのように叫びながら駆け出した。

「──重清くん! きっと迎えに来てくれると信じていました!」

胸に飛び込んできた彼女を受け止める。

そして、素早く抱き上げるとスタコラサッサと逃げ――

「小僧ッ、動くな! 一体どういうつもりだ! ゲームシステムに干渉するとは前代未聞だぞ!」

――どっかで見た気がするゴツいおっちゃんが現れた。

無視してその場を逃げ出した。

「待たんか!」

腕の中の柔らかい温もりを感じながら、僕は全力ダッシュした。





無事にグリードアイランドから逃げ出せた。

「これからはずっと一緒だよ」

「はい、私の重清くん。ずっと一緒なのです!」

彼女はちょっぴり邪悪風味な笑顔を浮かべながら、僕にギュッと抱きついた。





王宮に戻った。

正座させられて、マチ姉達に説教された。

ママがとりなしてくれた。

そして、僕のお嫁さんが一人増え――

「い、いきなりお嫁さんとか言わないで下さい!」

――とりあえず、婚約した。



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