注意:この話は現在連載中の『英雄と美姫の物語』の世界線のアインズ様とナーベラルです。未読の方でも楽しめるかとは思いますが、とりあえずはアインズとナーベラルが原作よりも仲が良いということに留意して下さい。
また、本編とは全く関係のない話です。
『英雄と美姫の物語』の本編はこちらです。
https://syosetu.org/novel/365964/
エイプリルフールが終わったのでチラシ裏に変更しました。
「今日はエイプリルフールだな」
宿屋の一室にて、アインズはナーベラルにも聞こえるように独り言を言う。しかしその独り言にナーベラルは首を傾げるだけだ。そもそもエイプリルフールというものを知らないのだろう。
アインズはその反応をいい事に、エイプリルフールについての説明はせず、ナーベラルに嘘をついて、少し脅かしてやろうかと考える。
だが、あまり傷つけるような嘘は付きたくないし、嫌われるような嘘もつきたくない。というか、大それた嘘事態嫌だ。何かちょっとしたもので、それでいて面白そうな嘘を言いたい。
考えたアインズは、未だに首を傾げアインズの続きの言葉を待っているナーベラルに嘘を言う。
「そう言えば、髪型を変えてみたんだが、どうだ?」
なんとも反応しづらい嘘である。
しかしナーベラルならば、本当にアインズが髪型を変えれば即座に気付くだろうし、それに関して何かしらのアクションをとってくれるはずだという確信がある。だからこそ、本当は髪型など変えていないのに、髪型を変えたと嘘をついてみたらどうなるのかが気になってしまった。
アインズの嘘にナーベラルは目を大きく開けて、慌て始める。
「しょ、少々お待ち下さい!!」
そう言って、アインズに近寄り、真剣な眼差しでアインズを凝視する。角度を変えて見たり、時には遠くに寄ったりなど、様々な方法でアインズの髪型を観察するが、ナーベラルはまだ何も喋らない。
その様子を見てアインズは満足そうに笑いながら、ナーベラルにネタバラシをしようとする。
「はっはっは、すまないナーベラルさっきのは──」
「動かないでください!」
ナーベラルは珍しく大きな声でアインズを怒る。それにびっくりしてしまったアインズは体を硬直させ、ネタバラシができなくなってしまい、彼女の言う通り、動かないようにする。その後もナーベラルはアインズの頭を全身全霊をかけて観察し、アインズは焦り始める、
(ど、どうしよう…。こんな様子だと嘘って言えないじゃん…)
アインズにとっては軽い嘘のつもりだったのだが、ナーベラルにとっては違ったようで、1ミリ足りとも見逃さないとった表情であり、今度は滅茶苦茶近くまでアインズに近寄り、髪の毛を見ている。
「長さ…?いえ、長さは変わっていないはず。だとしたら形?普段通りの視覚からだと見えない位置なのかしら…」
ナーベラルはブツブツ言いながらアインズの周りを歩き、髪型を見ている。それからしばらくそんな様子だった。
(なんだか可哀想になって来たな…)
ナーベラルのその様子が居た堪れなくなったアインズはとうとう彼女に打ち明ける決心をする。
「あー、ナーベラル、実は──」
「わかりました!」
「えっ!?」
突然何かがわかったナーベラルにアインズは驚きを隠せない。でもそんなアインズを尻目に、ナーベラルはアインズを褒める。
「とてもお似合いかと存じます」
そう言ったナーベラルの顔はとても達成感に満ちた顔であり、アインズに微笑んでいる。一体ナーベラルはどんな髪型の変化に気がついたのだろうか。というか変化なんてないはずだ。髪の毛が伸びる訳でもないのだし、どういうことなんだろう。
アインズは問いかけてみる。
「そ、そうか。嬉しいぞ。ちなみに、どこが変わったんだと思う?」
「はい、後頭部の髪の毛が2ミリ程度、頭部に寄っております」
「え…」
そんな僅かな差異を髪型を変えたと言っても良いのだろうか。というか本当にそうなのだろうか。
てか、2ミリって何だよ!?てかそれ髪型が変わったんじゃなくて、ソファに寄りかかって潰れただけじゃないのか!?!?
アインズは心の中で叫ぶが一切声には出さない。せっかくナーベラルが頑張って探して、その達成感でこんなにも満足そうな顔をしているのに、嘘だと言ってしまうのは不憫でならない。アインズは「そ、その通りだ…」と喉から声を絞り出して、ナーベラルに言った。
すると気分を良くしたのか、ナーベラルはアインズの隣に座り、頭をアインズに寄せる。撫でて欲しいのだろう。その頭にアインズは手を置き、頭を撫で始めると、笑顔のナーベラルが聞いてくる。
「そういえば、先程仰っていた、エイプリルフールとはどういうものなのでしょうか?」
アインズは手は止めないまま、その質問に答える。
「ああ、今日は4月1日だろ?4月1日は嘘をついていい日なんだ。それで誰かに嘘をついて、それを楽しむっていう風習?みたいなのがあるんだ」
「なるほど。そうだったのですか」
「もしあれだったら、ナーベラルもどこかのタイミングで俺を騙してみるといい」
「いえ!いくら風習であろうと、私がアインズ様に嘘をつくなどと言うことはございません!」
「そ、そうか」
アインズはナーベラルの訴えかけにこれ以上は何も言えず、黙って頭を撫でる。
ナーベラルが満足するまで頭を撫でると、アインズが手を離した瞬間、ナーベラルはこんな事を言って来た。
「ところでアインズ様。私も変わったところがあるのですが、お気付きでしょうか?」
その言葉に今度はアインズが血相を変えて、ナーベラルを観察するのだった。
世界線が違いすぎるので、会話集でも番外編でもなく、新たに投稿とさせていただきました。申し訳ございません。