透き通るような青空の下、記憶を失くしたハリネズミ一匹   作:ヒテイペンギン

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どうも、ヒテイペンギンです。
前回のヘルメット団による襲撃に続き、先生の力で反撃するお話になります。

この小説を書く前から描きたかった物が少し書けた気がします。
どうか楽しんでいってくださると幸いです。


大人の力、そして反撃

「彼女たちを……この学校の皆を、助けてやってくれ。」

 

" ………! "

 

賭けにも近い選択。

それは、シャーレの先生に頼ること。

 

曰く、シャーレの先生は僕と同じくキヴォトスの外から来たという。

彼は争いと程遠い場所から来た人間。

そんな彼に現状の打開を頼むのは、普通であれば無謀という他ないだろう。

 

だが…。

 

「先日のサンクトゥムタワーの一件、君の指揮能力は並み大抵の物じゃなかったと聞く。

数十人と待ち構えていた不良たちを、たった数人の生徒を指揮しサンクトゥムタワーを取り戻した、と。

君のその力で、彼女たちを…連携を失ってしまった皆を、サポートしてやってくれ。」

 

先生の目を見つめ、再び頼み込む。

この場所を守るために、その力が必要なんだ。

 

" ……… "

 

先生は依然、口を開かない。

やはり、ダメなのか…?

 

" …もちろんだよ、シャドウ。"

 

…!

 

" 私は先生だからね。困ってる生徒を放っておく訳にはいかない。

必ず、彼女達の助けになってみせるよ。"

 

「…礼を言う、先生。」

 

僕の頼みに了承の返事をくれた先生は、手元のタブレット端末を操作し、アビドスメンバーへと通信を繋げる。

 

" みんな、少しいいかな?

私にもみんなの手伝いをさせてほしい!

みんなの作戦指揮を、私に任せてほしいんだ。"

 

「え…先生が?」

 

" うん、サンクトゥムタワーが不良の子達に奪われてしまった時も、一応私の指揮で取り返す事ができたから。全くの役立たず、ってことにはならないと思う。

少しでも、みんなの役に立ちたいんだ。"

 

「え、えぇと……」

 

どうやらホシノは決めあぐねているらしい。

それも当然だ、今まで長い間背中を預けあってきた仲間がいるのに、今日知り合ったばかりの大人に突然指揮を任せろと言われたのだから。

…だが。

 

「ホシノ、今は先生を信じてみてくれないか。」

 

「…シャドウ?」

 

「先生がサンクトゥムタワーを取り戻した件は、僕もニュースで知っている。

七囚人と呼ばれる凶悪な生徒の1人を含めた数十人の不良を相手に、たった4人の生徒でその戦力差を覆した。

…僕は、少なくともその腕は信頼できると思っている。

任せてみてくれないか。」

 

実際、あの事件は驚くべき光景だった。

クロノス報道部というTV局のような組織が流していた中継映像。

不良生徒の数の暴力も驚異ではあったが、あの七囚人、"狐坂ワカモ"を含めた不良グループをどんどんと押し返していく光景は、並み大抵の指揮能力では不可能だっただろう。

 

「…そっか、うん、シャドウがそういうなら、信じてみようかな。」

 

先生が指揮を執ることにホシノが賛成する。

しかし。

 

「ホシノ先輩!でも、これは…私たちの問題で…」

 

続いてインカムから聞こえてきたシロコの声は、その事を良しとしない物だった。

…やはり、先程のことを責任に感じているのだろうか。

自分で何とかしなければ、という意志を感じる。

 

" …シロコ、君はどうしてこの学校を守りたいんだい? "

 

「ぇ…」

 

" どうして? "

 

「それ、は……」

 

シロコが言葉に詰まる。自分の心に、悩んでいる様子だ。

それは、自分の失敗への責任感か、そこからくる外部の人間に頼ることへの抵抗か。

だが。

 

「…ここが、私たちの居場所だから…!」

 

" …みんなも同じかい? "

 

「「「「もちろん!(もちろんです!)」」」」

 

皆の声が揃う。

声だけじゃない。自分たちの居場所を守るために、この状況を打開するために、全員の決意が固まった。

 

「…ごめんなさい、先生、みんな。

指揮を、お願いします…!」

 

" …うん、任せてくれてありがとう。

必ず、君たちの助けになってみせる。"

 

自分たちの居場所を守るため、シロコは考えを切り替える。

…それでいい、シロコ。

 

シロコも、みんなも、先生の指揮に賛同した。

これでまだ戦えるだろう。

だが、確実に勝利するために、もう一押しだ。

 

「先生、僕にもできることはないか。」

 

" え、シャドウが?

でも、怪我してるんじゃ… "

 

「ああ、前線に出るのは無理だろうな。

だが、最前線で撃ち合うだけが戦闘じゃない。

この教室から援護射撃をするくらいなら今の僕にもできるだろう。

銃火器の扱いも心得ている。」

 

" それなら、大丈夫かもしれないけど… "

 

今は少しでも相手の戦力と注意を分散させたい。

ピストルかアサルトライフルの狙撃、そして投擲物による相手の撹乱。

それだけ出来れば、アビドスのメンバーと先生の指揮で、この状況も打開できるだろう。

 

そう考えていると、インカム越しにホシノから声がかかる。

 

「…大丈夫なんだね?シャドウ。」

 

「ああ、当然だ。足を引っ張るつもりは毛頭ない。」

 

「…わかった。先生、シャドウにも指示をお願い。」

 

" 了解。シャドウ、絶対に無理はしないでね。"

 

「了解した。」

 

僕は急ぎ部屋に残されていた適当な銃器、アサルトライフルと拳銃、手榴弾を手に取り、教室の窓際の真ん中にある柱の裏に隠れる。

 

" 各自、準備はいいね? "

 

「問題ない。」

 

「こっちもいけるよ〜。」

 

「いつでもOKです☆」

 

「私も、ドローンの準備できてます!」

 

「いつでもぶちかましてやれるわよ!」

 

「ん…私も、いつでも行ける。」

 

アビドスの全員が、もう一度戦闘態勢に入る。

 

" さあ、今度こそ反撃といこう! "

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

アタシ達カタカタヘルメット団は、今アビドス高校の生徒たちと対峙している。

本来であれば物資が枯渇し、ろくに抵抗もできないはずの奴らを物量で押しつぶす作戦だったが…どうやらいつの間にか物資の補給を受けていたようで、予想外の反撃を受けてしまった。

 

けどそれも一瞬のこと、アイツらは自分で自分の連携を崩し、そこを突いたアタシらの反撃で、バリケードの裏に隠れるしかなくなっちまった。

 

最後に手榴弾を投げ込んだあたりで奴らの声も聞こえなくなり、アタシはアイツらを煽るように声を張り上げる。

 

「おいおいどうした〜?もう降参か〜?

ならさっさとその高校を明け渡しちまいな〜!」

 

その声を上げてから数秒後、突然奴らに動きがあった。

 

大盾を持ったピンク髪のやつが、大盾を構えたまま突進してきたのだ。

 

「な、なんだ!?なんか突進してきやがったぞ!」

 

「と、とりあえず撃ちまくれ〜!」

 

アイツはたしか、アビドスメンバーのなかでタンクを引き受けてるやつだったか。

だが、いくら大盾を構えててもこの人数相手じゃあ…!

 

ヤケになったとも取れる相手の行動に勝ちを確信し始めた時、突然アタシたちの射線上に何かが飛んでくる。

それが何かを認識する前に──────

 

ドオオオオオオオオン!!!!

 

「オアーッ!?な、なんだ今の!?」

 

「手榴弾か!?一体どこから!?」

 

くそ、今の爆発で土煙が舞って前が見えねぇ…!

でも!

 

「構うなー!そのまま撃ちまくれ〜!」

 

アタシのその一声で、全員が再びタンクを狙い始める。

カキン、カキンと、盾に確実に弾が当たっている音を確認する。

 

「アハハハハ!

今のはちょっとビックリしちまったが、そんな小細工をした所でこの戦況は──────

 

そこまで言った辺りで、今度はアタシたちを弾丸の雨が襲う。

それも、大群に一斉に撃たれているのかと見紛うほどの数が。

 

「イッッッッッタァ!?!?

だ、誰の仕業だぁ!」

 

そう愚痴を零しながら前を見れば、今の弾幕で土煙が晴れ、その弾幕の主があらわになる。

 

そこに居たのは…大盾の左右に展開したアサルトライフルの2人と、その奥の高台に立つミニガンを持った女だった。

 

「んなっ!?

な、なんで、いつの間に!?

…いや、まさか…!」

 

「土煙の晴れぬ間に、ですよ☆

さっきは良くもやってくれましたね〜!」

 

「今度はさっきみたいにはいかないんだから!覚悟しなさい!」

 

「ん、今度こそあなた達を倒す…!」

 

そうだ、そもそもアタシ達が土煙が経ったあと

に狙っていたのは、最後にあの大盾が立っていた場所とほぼ同じ。

そこから数秒もの間、銃弾が変わらず当たり続けるのがそもそもおかしかった…!

 

てことは、あの大盾と手榴弾は、攻撃態勢を整える囮だったってことか!?

くそっ、小癪な真似しやがって…!

 

「へっ、だけどそんなに展開しちまってたらこっちも撃ち放題だぜ!

全員やっちまえ!」

 

突然の弾幕に怯んでいた団員たちだったが、アタシの命令に再び銃を構え直す。

しかし。

 

「ぶはぁっ!?」

 

「おいどうし、へぶぐぅっ!?」

 

「な、なんだ!?今度は一体なんなんだよ!?」

 

突然、2人の団員の頭部、ヘルメットのシールドの部分が撃ち抜かれている。

それも目の前の4人以外の場所から、だ。

 

突然の狙撃に困惑していると、今度はさっきの3人に合わせてタンクのやつもショットガンをぶっぱなしてきた。

既に混乱に陥っている団員たちが、一気に5人ほどぶっ倒される。

 

前半の消耗もあり、流石に戦える団員も少なくなってきた…!

 

「くそ、もう1人はどこに…!」

 

そういった途端、今度はアタシの腹に3発の銃弾が当たる。

 

「イタッ、イッテェ!!

くそ、どっから撃ってきやがる!」

 

アタシに直接弾を撃ち込んできやがった奴を探す、そして見つけた。

アビドス高校の三階の教室、柱の横に、ピストルを構えた妙な生徒…?が立っていた。

 

「お前か!つかなんだあれ、ハリネズミ…?しかもピストル!?あんなもんで狙撃してやがったのか!?

くそ、狙撃手までいるなんて聞いてないぞ!こっちはもう前衛の4人で手一杯だってのに…!」

 

うちの団員で残っているのはアタシの前にいる6人だけ。

残った6人は前衛の相手をしているが、既に押されかけている。

 

前衛の相手をすれば狙撃され、狙撃手に注意を配れば前衛の奴らの火力で押し切られる。

どうすれば…!

 

いや、まずは狙撃手から片付けないとキリがない!

 

「おい、お前たちはそのまま前衛を守れ!

アタシは、あの狙撃手に一発喰らわせてやる…!」

 

アタシが狙撃手にアサルトライフルの掃射で返すと、狙撃手はすぐに引っ込んで躱してきた。

だが、ここでアイツから目を離せばまた狙撃で邪魔をしてくるだろう。

かと言ってこのままアイツと睨み合ってても埒が明かねぇ、それなら…!

 

アタシは懐から手榴弾を取りだし、ピンを抜いて思い切り振りかぶる。

 

「室内にいるなら、爆弾は痛えだろぉ!」

 

アイツがいる教室に向かってぶん投げる。

少し距離があったが、アタシが投げた手榴弾は狙い通り教室に吸い込まれていく。

 

よっしゃ、これでアイツも倒れ…!

 

「…ッ、ハアッ!」

 

──────教室の窓に差し掛かった手榴弾は、アイツによって蹴り返された。

 

……は?え?

蹴り返した?爆弾を?投げ込まれた爆弾を?

 

予想外の事態にアタシの脳がフリーズしている間に、アイツによって蹴られた爆弾が物凄いスピードでこちらへ向かってくる。

 

「……いや、ウソォ…!?」

 

ドガアアアアアアアアアアアン!!!

 

「ギャアアアアアアアア!!?」

 

相手のウザったい陣形を崩す切り札となると思われた手榴弾は、逆にアタシ達の方へ返ってきて、前衛の4人を一気に気絶させちまった。

アタシも怯んで行動できないうちに、今度は相手の前衛の4人、そしてアサルトライフルに持ち替えた狙撃手の全員による一斉掃射が来る。

 

辛うじて爆発を逃れた2人の団員もバリケードの後ろに隠れるが、あまりの弾丸の雨にバリケードはあっという間に破壊され、2人ともダウンしてしまう。

 

これで……残ったのはアタシだけ。

 

「くそ、くそ、くそ…!なんなんだよさっきまで優勢だっただろぉ!

なんで急にアタシらが、こんな…!」

 

たった数十秒で絶望的な状況に陥った現状に愚痴を漏らしていると、アサルトライフルを持った銀髪のケモ耳女が突撃してくる。

 

「ち、ち……近寄るなぁぁぁぁぁ!!!」

 

半狂乱になりながらもその女にアサルトライフルで思い切り射撃するが、その女は器用にアタシの射撃を掻い潜り確実に近づいてくる。

 

──────ドスッ、ドスッ!

 

「うっ!?くぅ…!!」

 

まただ、またあの狙撃ヤロウ…!

度重なるダメージで既にろくに狙いも付けられなくなったアタシの目の前に、ついにケモ耳女が密着してくる。

 

「来るなっつってんだろぉ!!」

 

当然、そんな言葉で相手が止まるわけないのはアタシだってわかってる。

だがもはや、そんなお願いとも取れる言葉しか出てこなかった。

 

ケモ耳女は近接の距離に入ると同時に、アタシのライフルを蹴り上げたあと、アタシの腹を蹴飛ばしてくる。

 

「うぅ…ぐはぁっ!」

 

情けない声を発しながら転がっていくアタシを、その女はさらに追いかけてくる。

 

アタシの目の前まで来ると、手に持っていたライフルを構える。

そして、ついに目の前に銃を突きつけられた…。

 

「ぅ待っ、マママママままま待って!降参だぁ!」

 

「…これでお終い。」

 

眼前に突きつけられたライフルの引き金に、指がかけられる。

ああ、もう、完全にアタシ達の負けだ…。

 

ゆっくりと引かれていく引き金を前に、なんだか走馬灯のように色んな光景が蘇ってきたような気がする。

ヘルメット団の奴らと喧嘩しあって馬鹿やった記憶。

アイツらと一緒にブラックマーケットに行って危ない橋を渡って、馬鹿をした記憶。

夜通しアホな事ばっか語り合って馬鹿やった記憶。

 

……アイツらと馬鹿やってる記憶しかねぇ。

 

そんなアホなことを考えてるうちに、引き金が引かれて──────

 

「うぎゅっ、うぅ……」

 

ライフルの銃弾が、アタシのゴーグルに突き刺さる。

これで、正真正銘、ヘルメット団の敗北だ。

 

くう…こんな、簡単な仕事だったはずなのに、くそ、くそぅ……。

 

………ダン!

 

「いてっ!?」

 

ダンダンダンダンダン!!

 

「ぃいいたたたあい痛ぁい!ちょっとヤヤヤヤヤメ、やめてぇぇぇ…!」

 

「…なら、さっさと帰って。」

 

ダンダンダンダン!!

 

「わかった!帰る!帰るからぁ…!!ギャアアアアア!!」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

「う、うぅ、ひっぐ……覚えてろよおぉぉぉ……!!」

 

リーダーのそんな三下小悪党のようなセリフを皮切りに、ヘルメット団全員が逃走していく。

一度は全滅するかとも思ったが…なんとか乗り切れたか。

 

………しかし、あの最後の死体撃ちで死人が出ていないのが未だに信じられない。

シロコには倫理観というものがないのか…?

憐れに思えてくるほど泣いていたぞ、あのリーダー。

 

戦闘中は人が変わったように冷静に指揮を執っていた先生も、僕の隣でドン引きしていた。

 

「やりましたね、シロコちゃん!

ご苦労様でした☆」

 

逃げていくヘルメット団の背中を眺めていたシロコに、ノノミが声をかける。

 

「まさか、あの状況から逆転しちゃうなんてねぇ〜。」

 

「これも先生のおかげです!」

 

「…ああ、先生の指揮が加わってから、明らかに全員の動きが変わっていた。

やはり先生の腕は確かだったらしいな。」

 

" ううん、私は何もしてないよ。

みんなが頑張った結果だから。"

 

「…ふん、あんな奴ら私たちだけでも勝ててたし…。」

 

「いや〜セリカちゃんは相変わらずツンデレだねぇ〜。」

 

「ぅうるさい!」

 

「かわいいです〜セリカちゃん☆」

 

「強がりは程々にしましょう?」

 

「みんな黙ってくれるぅ!?」

 

…相変わらず賑やかな奴らだ。

だが、この学校を守れたのは…悪くない。

 

「…あの、みんな。」

 

不意に声をかけてきたシロコへ、全員が顔を向ける。

 

「改めて、ごめん。

私、1人で突っ走っちゃって…みんなに、迷惑をかけてしまった。

…本当にごめんなさい。」

 

………。

 

「…頭を上げてよ、シロコちゃん。

誰も怒ってないからさ。」

 

「そうですよ〜。

それに、待ちに待った物資が支給されて、あの人たちに仕返ししてやろうって思ってたのは私たちも同じです☆」

 

「そうよ!

いつもいつも、アイツら性懲りも無く攻めてきて…今日ボコボコに出来てスッキリしたわ!」

 

「はい!正直、一時はどうなるかと思いましたが…

無事学校を守れて良かったです!」

 

" …だってさ、シロコ。

みんなが気にしてないって言うんだから、そこまで気に病むことはないと思うよ。"

 

「…だけど……。」

 

「シロコ。」

 

また俯きそうだったシロコに、今度は僕が声をかける。

 

「…アビドスは、5人全員でアビドスなんだろう?

なら、失敗も許すと言ってくれた仲間の言葉も、信じてみたらどうだ。

…それが、"居場所"というものじゃないのか?」

 

「……うん、そう、だね…ありがとうシャドウ。

ありがとう、みんな。」

 

…ようやく吹っ切れたか。

いつまでもあんな顔をされていたら、こっちも面倒だ。

 

「…けど、シャドウ、ひとつだけ訂正して欲しい。

シャドウだって、もう立派に私たちの仲間。アビドスのメンバーだよ。」

 

………。

 

…ホシノに拾われたあの日から、2週間が経つ。

その間ホシノとも、他の4人ともそれなりに接してきたが…やはり僕は"拾われ者"だ。

彼女たち5人の結束には、入れないのだろう。そう思っていた。

それでもシロコは、僕を同じに扱うというのか…?

 

「……そうか。」

 

言葉にしがたい感情をなんとか絞り出して見れば、シロコは頷きながら、暖かい目でこちらを見てくる。

彼女も、ホシノに拾われたと言っていた。だからこそ言える言葉だったのだろうか?

……フン、お人好しもホシノ譲りか。

 

「ひゅう〜、いいこと言うねぇシャドウく〜ん、イッケメ〜ン。」

 

「シャドウさんカッコイイですね〜☆

あの戦闘も凄かったですよ!」

 

「はい!あの距離でピストルの正確な狙撃、手榴弾の投擲も精度が高く、さらには相手が投げた手榴弾を蹴り返したあの技…!

とにかくすごかったです!」

 

「ま、まあ、後輩にしては悪くなかったんじゃないの?

先輩として恥ずかしくない程度の戦闘だったわ!」

 

……くそ、今度はからかいの矛先がこっちに向いたか。

こういう役は他の奴に任せておけばよかった。

 

「あ、シャドウが露骨に嫌そうな顔してる!

今が好機じゃ〜!囲め囲め〜!」

 

「シャドウさんカッコイイ〜☆イケメ〜ン☆」

 

「本当にすごかったですよシャドウさん!いっぱい撫でてあげます!」

 

「も、もう!アンタは後輩なんだから、あんまり調子に乗るんじゃないわよ!?」

 

「…その目をやめろ、あと撫でるな、鬱陶しい奴らめ…」

 

「あ、シャドウの貴重なツンデレだぁ〜!

良かったねセリカちゃん、ツンデレ仲間がいて〜。」

 

「「誰がツンデレだと?(ツンデレよ!)」」

 

" あはは、2人とも息ぴったりだね。"

 

「ふふ、うん、本当に息ぴったり。」

 

…まあ、ともかく、カタカタヘルメット団の襲撃からアビドス高校を守ることには成功した。

未だに僕をもみくちゃにしている奴らのこと以外は、上手くいっただろう。

 

…先生に関しても、予想以上のものだった。

指揮能力もそうだが、生徒のためと自らこんな砂漠の端っこに来る行動力も、責任感に迷うシロコをすぐに導いたあの言葉も。

これが"大人"というものなのだろうか…。

 

正直、今日のような銃撃戦が当たり前に起こることにも、先生でさえ戦闘の指揮を執るこの状況にも、未だに慣れきってはいない。

僕が思っていた"普通の生活"とは、まだ程遠いかもしれないが。

…まあ、これも悪くはない環境、なのかもしれない。




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
ここまで投稿してやっと初めてシャドウが戦闘に参加しましたね。
まあ、ちょっとだけなんですけども……。
あと何話かしたら本格的に戦闘させたいと思っているので、自分でも書くのが楽しみです。

シャドウが"自分や誰かの居場所を大切にしたい"と行動する場面が描きたかったので、今回は自分でも書いてて楽しかったです…!
キャラ崩壊や設定崩壊が行き過ぎてなければいいんですが…。

とにかく、これからも読んでくださると嬉しいです!
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