今度は異世界転生じゃなくて異世界転移かよ ※リメイク版   作:にゃすぱ@梨

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戦場を読む者

「なるほど…そういう事だったんですね」

 

リリルカさんは思いのほか理解してくれるのは早かった。

今現在スライム姿の俺を膝の上に乗せてむにむにしている。

 

「おい…」

 

「はい?」

 

「何時までそうしてるんだ…?」

 

「リムル様が私のことをリリと呼んでくださるまででしょうか?」

 

「え?」

 

「ずっと気になっていたんですけど、リムル様ってずっとリリのことをリリルカさんって呼んでますよね?なにか理由でもあるんですか?」

 

確かに思い返してみればずっとさん付けで呼んでた気がする…理由は特にないけど初対面だからって言うくらいだし…

 

「特に理由はないぞ?ただ、初めからそう呼んでたから今に至ってるわけで…」

 

リリは頬を膨らませると、むにむにしていた手にぐっと力を込めた。

 

「むぎゅっ!?」

 

次の瞬間、俺の身体は見事に潰された。

 

「何すんじゃこらー!!」

 

「なにかずっと理由があるんじゃないかって思ってたリリがバカみたいじゃないですか!」

 

「だからって潰すことないだろ!?」

 

リリルカさんは頬を少し膨らませている。

少し拗ねたようなその表情は年相応で、思わず笑いそうになった。

 

「はぁ…分かったよ。これからリリって呼ぶからな?」

 

「はい!」

 

とりあえずこれでいいか…あとは…あれだな

 

「リリ、あとまだやってないことがひとつあるんだが…」

 

「なんですか?」

 

「それはだな」

 

俺はリリの上から下りて人の形に戻った。

リリから離れた時に一瞬残念そうにしてたのは気のせいだろう。

 

「思念伝達ってやつなんだけど」

 

「なんですかそれ」

 

《こういうやつだよ》

 

「えっ?」

 

《俺を見てもらえれば分かるだろうが俺は喋ってないぞ?直接リリに話しかけてる。》

 

「ど、どうやるんですか?」

 

《口には出さずに俺に向けてなにか喋ってみてくれ》

 

《……こうですか?》

 

《おぉ、出来たな。これからはどこか遠くにいたりした時にこれで俺に連絡が取れる。ちなみにヘスティアとベルにも出来るぞ》

 

「……リムル様って本当になんでもありなんですね。」

 

リリが少し呆れたように言う。

 

「便利だろ?よし、じゃあやることも終わったし早速リリの力を見てみるか」

 

「は、はい!」

 

先程の表情とは変わって少し緊張した面持ちだ。

 

「そんな硬くならなくていいって!じゃあまず変幻自在からやってみて?」

 

「分かりました」

 

するとリリは目を閉じるとリリの周りに黒いモヤがまとわりつきリリの姿を見えなくする。

数秒後黒いモヤは四散し、そこには俺が立っていた。

 

「どうですか?リムル様」

 

「おぉ!完璧だな、なにか違和感があったりするか?」

 

そう言うと、リリは体を一通り確認する。

 

「いえ、大丈夫そうですね。」

 

「なら良かった。次は縁下力持なんだが……これは後で試せばいいか…じゃあ最後に攻防支配を試してみようか。ヘスティアはどうする?」

 

「んー、僕はもうそろそろしたらバイトの時間だから準備してるよ」

 

「わかった。俺達も多分確認したらダンジョンに行ってるはずだから何かあったら呼んでくれ」

 

「りょーかい」

 

俺はベルとリリに着いてきてと言い、いつもの訓練室に入る。

 

「早速ここで試してみようかな。じゃあ、リリ。ベルにステータス補正をかけてあげて」

 

「えっと……分かりました!」

 

リリは手を前に出す。

俺から見た感じは特に何も変化はない。

 

「ベル、なにか変わったか?」

 

「えっと…特には……」

 

どうやら、ベルにも変化はないみたいだ。

んー…どうしてだ?

俺たち3人は首を傾げ悩む。

リリは確かに発動はしてる感じはすると言っているけどベルは何も感じないと……

 

「ベル、1回これ振ってみてくれないか?」

 

俺はベルに自分の剣を渡す。

 

「分かりました。」

 

ベルは俺から剣を受け取り、構える。

そして何も無いところに振り下ろす。

 

「なにか変わってる感じは?」

 

「うーん…あんまりわからないですね」

 

「失敗……ですかね?」

 

リリは不安そうに俯いた。

 

[主様、リリルカ・アーデのスキル攻防支配はあげる項目を決めないと効果を発揮しません。今の状態はただ対象を指定しただけになります。]

 

あ、そういう事か……えっ…ということはこのスキルめちゃくちゃ難しいんじゃないか!?

 

[大丈夫です。対象者の動きをリリルカ・アーデは把握出来るので、慣れればどうということはありません。練習は必要かもしれませんが]

 

な、なるほど……

 

「えっと…ベル、今の状態で思いっきり走ってみてくれないか?」

 

「あ、はい。いいですけど…」

 

そう言うとベルは全速力で走って見せた。

俺には普通に見えるが、ステータスリセットされているリリには今の速度を目で追うのはきついはず…

 

「ベル!ありがとう!」

 

ベルに声をかけるとベルは走るのを止める。

そして、リリに話をしようとリリの方を見るとリリは大きく目を見開いていた。

 

「リリ、どうだった?何か変わったか?」

 

「えっ…と、はい。あの、今のベル様の動きを目で追えてなかったはずなのになぜか…見えた…?」

 

「え?」

 

「いえ、見えたというより分かったんです。」

 

「ベル様が次にどこへ動くのか、なんとなく頭に入ってくるんです。」

 

シエルの言った通りだな。

 

「大丈夫、そのスキルの効果だよ。指定した人の動きは把握することが可能になる。」

 

「なるほど…こういうことだったんですね…」

 

「慣れるまで大変だと思うけど頑張ってね。リリのその力でもし今後ピンチになっても切り抜けられる状況も出てくるかもしれないし」

 

「は、はい!頑張ります!」

 

「それと、今の状態はただ対象の人を指定しただけだからベルは何も変わらなかったんだよ。つまり、リリはステータスの力、敏捷、耐久のどれをあげるかをしっかり決めないとバフは与えられないらしい。」

 

「なるほど……」

 

「つまりしっかり動きを把握して、バフを最適に与えないと行けないってことだね。多分、めちゃくちゃ練習しなきゃ行けないと思うし、味方がどんな動きをするのかしっかり把握しないと逆に足枷になっちゃったりするかもしれないからめちゃくちゃ大変だと思うけど頑張ってね」

 

「そう…ですね……完璧に使いこなしてみせます!」

 

「じゃあ、リリの練習がてらベル俺と模擬戦やるか」

 

「はい!お願いします!」

 

この模擬戦の中、ベルはリリからのバフを受けいつも以上に早く動けたり蹴りがいつも以上に重かったりしたが、やはりまだ噛み合っていないらしくリリはどのタイミングでの援護がいいのか分からず試行錯誤を繰り返していた。

そこからどれくらい時間が経ったのか分からないが途中からだんだんとベルの動きが変わり始め、ベルの動きとリリのバフが噛み合い始めていると思われる攻撃が多くなり、スピードも同様だった。

そしてしばらくしてこの模擬戦は終わった。

 

「途中からベルの動きが変わったんだけど、なにかしたのか?」

 

「あ、えっと、途中からリリが僕に思念伝達でこのタイミングでバフかけますって教えてくれてたのでそれに合わせて動いていました!」

 

「そうですね、ベル様の動きは完全に把握出来てるんですけどそれだけだとかけた頃には終わってたりするので把握した上で次の動きを少し予測してベル様に伝えかけてました。」

 

えっと…簡単に言ってるけど…え、やばくない?

リリって……

もしかして戦う才能じゃなくて、

人を支える才能の塊なんじゃないか?

そう思わずにはいられなかった。

正直このスキル使いこなせるとしてももっと先かと思ってたんだけど……この短時間で形になってる……

凄すぎないか?

 

「とは言ってもまだまだなんですけどね……もっとベル様とダンジョン潜ってベル様の戦いを見てしっかりとサポートできるようになりたいと思います!」

 

驚きの成長…

 

ベルは前線で戦う剣。

そしてリリは、その剣を支える存在。

まだ始まったばかりだけど、この二人なら案外とんでもないコンビになるかもしれないな。

そんなことを思いながら、俺は二人の様子を眺めていた。




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