ぼく「お前が言うんかい」
生きることは戦いだ。
なんて言葉を、誰が口にしたのだったか。
実際、セイラ・マス……いや、アルテイシア・ソム・ダイクンの人生は波乱万丈であった。
物心がつく前には実の両親は謀殺され、唯一残った
そうして流れに流れ着いたサイド7で平穏にボランティアをして暮らしていければよかったのに、今度は突然ジオン軍が攻め入ってくるという思いもよらない事態へと巻き込まれてしまう。
逃げ込んだホワイトベースは格好の標的にされ、これから約四ヶ月に渡る、短いようでとても長かった戦いへ身を投じることになる。
……改めて羅列してみると、なんて激動な人生だろうか。
こちらは静かに暮らせればそれで構わないというのに。これもダイクンの血の
とはいえ、当時の目的は、今までの人生とさして変わらなかった。
生き延びるために成すべきことを成すだけ。
元々医者の卵としてボランティアに参加した身。負傷者の手当は己のやるべきことであったし、通信オペレーターだって必要であれば率先して担当した。
軟弱者の叱咤やパイロットの鼓舞まで、必要であれば何だってやった。
当時のホワイトベースの中には正規の軍人なんてほとんどいない、難民の寄せ集めの艦だった。“おだてのセイラさん”なんて言われたって、自分だけ努力してもどうにもならない以上、やれることはなんだってやるしかなかった。
そんな中、いつも頭に過ぎっていた。
サイド7から出る前に遭遇した、
顔を見たのは一瞬であったが、間違いなくあれはエドワウ──────キャスバル兄さんだった。
あちらも何かを感じ取ったのか、ガンダムで容易く始末できるというのに、何もせずにそのまま去っていったが。
当時の心情は形容しがたいものであった。
生きていてくれたことへの嬉しさや、置いていかれたことへの怒り、ジオン軍にいる目的に関する困惑……堂々巡りの考えは行き場もなく頭を支配していた。
「わーい! 高いのー!」
「ずるいぞ! 次、おれの番だからな!」
「僕も僕も!」
「よし、なら3人とも来い! キッカ、ちゃんと俺の頭掴んでいろよ!」
「はーい!」
だからだろうか。
彼──────イセリアの姿を、ずっと目で追ってしまっていた。
病み上がりだと言うのに率先して孤児たちの遊び相手になっている姿を。
リュウやカイ、ハヤトと言った前線で戦う者たちをまとめ上げて、ブライトが指揮を執りやすいように頻繁にコミュケーションを取ろうとしていた姿を。
ガンダムという重責を負わされたアムロを奮い立たせようと試行錯誤していた姿を。
「もう、お兄ちゃん。怪我が治ったばかりなんだから無理しないの」
「大丈夫だ、フラウ。皆、頑張って戦ってくれているんだから。まだ復帰できない俺もできることからしないと」
そして、唯一の家族である妹と笑い合っている姿を。
彼らも両親を失い、唯一生き残った兄妹として互いに支え合いながら懸命に生きようとしている。
どれも、昔のキャスバル兄さんの面影が重なって目が離せなかった。
少し。
ほんの少しだけ。
羨ましい、と。
そんな風に思わなかったと言えば嘘になる。
かつて夢見た光景が目の前に広がっていたのだから。
そんな感情によって駆り立てられてしまった。
塩を取るために立ち寄った中央アジア西の砂漠。
敵が潜伏しているところを無理矢理ガンダムに乗って出撃しようとしたのだ。
地球に降りてから一切消息が掴めなくなったシャアの消息を確認するために、何としてもジオンの兵と接触しなければならなかったからだ。
「ん、セイラさん? 何か用か?」
「退いて、イセリア。特命なの」
「特命って、そんなパイロットスーツも着ないで乗るなんて……って、ちょっと!?」
「カタパルト装着、発進します!」
「待っ──────うぼおおお!!!!」
偶然、ガンダムのコクピット周りを整備していたというイセリアと鉢合わせしたのは誤算だった。
ジョンは素通りできたものの、彼は流石に不審に思ったのか、なかなかコクピットを明け渡そうとしない。取っ組み合いの末、なし崩しのまま二人で出撃で出撃することになった。
お互い、加速Gで大変な目にあったが、どうにかホワイトベースの外に出ることはできたものの、狭いコクピットの中で禄な操作なんて出来もしない。
「セイラさん! 助けに……って、イセリアさん!? 何しているんですか!?」
「説明は後だ! アムロ! 連携で切り抜ける! ガンキャノンで接近戦はできるな!?」
「はい!
……え、ガンキャノンって砲撃機ですよ? なんで接近戦なんですか?」
「? 近づいた方が当たるだろ?」
コクピットの中でイセリアと操作を交代して難を逃れたものの……色々
アムロに見られた時は居た堪れない心地になったものの、話が凄い勢いで脱線したおかげで有耶無耶になってくれた。
……この二人、趣味も性格もガッチリ合うのに戦い方だけは全く正反対で噛み合わないことが多いのだ。だからこそ互いに長所を活かした連携は幾つもの窮地を切り抜けることができたわけだが、この点に関しては終ぞ分かり合うことはなかった。
閑話休題。
その出来事から、彼からの視線を感じることが多くなった。
きっと同じように勝手な行動をしないように見張られているのだろう。ブライトに報告した上で、監視を指示されていてもおかしくない行動をしたのだから当然か。
けれど、不思議と悪い気分ではない自分も居た。
思えば、互いに忙しなく動いているせいで、あまりコミュニケーションを取れていなかった気がしていた。
せっかくなので傍によって他愛のない話をしてみると、中々に話が盛り上がる。
それに、実理的なメリットもあった。
「でぇい!」
「ぐわっ!?」
「とう!」
「がっ!?」
「ちぃ、次から次へと……ここは危険だ、セイラさん! 俺から離れるな!」
「え、ええ……」
彼の傍にいれば身の安全は保証されるからだ。
ランバ・ラル隊の急襲の際も、ハンドガンとナイフのみで正規軍を次々に返り討ちにしていた。
とてもじゃないが、ただの民間人には思えない。
その強さの理由は近くで何回も見ればわかる。
彼は相手が動き出す前に既に動いている。
後出しじゃんけんならぬ先出しじゃんけん。
「最初はグー」の段階で相手を殴り倒しているようなものだ。
当時は思いもしなかったが、いずれニュータイプとして覚醒するはずの彼。
しかし彼は覚醒前からこれであったのだ。改めて考えるとおかしな話ではあるが、今は割愛しよう。
「あ、アルテイシア様……!?」
「貴方は……」
「……アルテイシア?」
一番の問題は、ランバ・ラルとの邂逅に彼が立ち会ってしまったことだ。
核心にまでは辿り着けないものの、アルテイシア・ソム・ダイクンとしての秘密を察知されてしまったのだ。
この後も立て続けに衝撃的な出来事が重なる。
追い詰められたランバ・ラルの自死から、リュウやマチルダ中尉を始めとした仲間たちの死。そしてオデッサを含めた各地での休む暇のない激しい戦闘が続いてそれどころではなかった。
ようやく腰を落ち着けて話ができたのは、ジャブローから出立する時……とうとう宇宙へ昇る直前となる。
「ねえ、貴方は気にならないの?」
「何がだ?」
「ランバ・ラルが言っていたこともそう。
見ていたのでしょう? 私が、シャアと遭遇した時も」
偶然にも再会したキャスバル兄さんと密談していたあの場面。
彼が見ていた確証はなかった。ある種の鎌かけだ。
結果はご覧のとおり、イセリアは固い表情で沈黙した。
……少し、残念だった。
彼と共に居た時間を“監視”という無機質な単語で片付けられてしまうことが。
「セイラさんが話したくないなら聞かないさ。
皆、言いたくないことのひとつやふたつある。
無理して話す必要なんてないと思う」
「貴方にもあるの?」
「……あるさ。とても言いにくいことが」
純粋に驚いた。
彼ほど清廉潔白……は過言であっても、正義感の溢れる人が隠し事をするイメージがなかったから。
しかし苦悶に歪む彼の表情からそれは真と示されている。
打ち明けられることのない秘密を抱える者同士、互いに詮索せずに宇宙へと昇る。
ただ、向こうは秘密を握っているのに、こちらは何も知らないのはあまりに不公平ではないか。
あちらが監視しているのであれば、こちらも監視してやろう。
子供じみた意地に近い感情だが、言い訳はしない。
事実、彼の一挙手一投足、目を離せなくなってしまっていたから。
黒いガンダムを与えられてからの彼はますます頼りになる存在となった。
指先すら目に焼き付いて離れなくなるほど繊細で、綺麗な動きをするガンダムの姿が目に焼き付いて離れない。
誰よりも自由に宇宙を駆ける姿に皆が惚れ惚れとする。私もその中の一人であった。
しかし、それよりも“イセリア”という個人を見続けていたことから気づいたことがある。
「スレッガー中尉……」
あれはスレッガー中尉が殉死した時だったか。
短い付き合いだったものの、中尉の死はホワイトベースの中で憂わないはずがない。飄々としつつも周りを見て気遣っている姿は皆知っている。
誰もが彼の死を悼んでいる中──────イセリアだけは違っていた。
「……ハッ」
ヘルメットを外した時、一瞬だけ見せた乾いた笑い。
瞬きをすれば見逃すところだった。
その表情はすぐに苦悶に満ちた表情へと変わってしまったから。
……この苦しそうな表情を見れば、仲間の死を嘆くように見えることだろう。
しかし、一瞬だけ見せたあの笑いは何だったのか。
もしかして、彼は仲間の死よりも別のことに苦しんでいるのではないか?
彼が纏う尋常じゃない殺気は──────本当に、仲間の命を奪ったジオンへと向けられたものなのだろうか?
今にして思えば、そんな彼との関係を決定づけたのは、テキサスコロニーでの出来事が契機であっただろう。
先行して突入したアムロとガンダムを捜索するために、手分けして捜索している最中──────三度、キャスバル兄さんの姿を見つけた。
そこで兄さんがジオンにいる目的が語られる。
──────それは、父を殺したザビ家への復讐であった。
故にジオンを内部から食い破ぶるべく、シャア・アズナブルとして戦っている、と。
なんと無謀なことか。そんなことのために
「思い直してください……兄さん!」
「……綺麗だよ、アルテイシア。
お前に戦争は似合わない。木馬を降りるんだ、いいな!」
「待ってください! キャスバル兄さんっ!」
そう言い残し、再び私を置いて去ろうとした。
このまま兄さんが跨った馬が遥か遠くに行ってしまうのを必死に追いかけ、届かない声を張り上げていた時──────イセリアが岩陰から飛び出してきたのだ。
「この、馬鹿野郎!」
「ぐっ!」
テキサスコロニーは既に廃棄されたコロニーだ。
内部の重力にどこか綻びがあってもおかしくはないが、それでも人間離れした跳躍から繰り出された飛び蹴りは兄さんの頭に向けて放たれ、文字通り兄さんを馬から蹴落とした。
それは、兄さんの仮面を吹き飛ばすには充分な威力だった。
イセリアは兄さんが腰に携えていた銃を取り上げると、兄さんは即座に体勢を整えて銃を取り戻そうとする。
しかしイセリアはかつてランバ・ラル隊を圧倒した動きで兄さんを迎え撃ち……両者、睨み合う状況へと陥った。
「君は、サイド6の……成程。君と彼は木馬に乗っていたのだな。どこかで感じたことのある気配だと思ったのはそういうことか」
「……そんな」
まさか、兄さんと彼との間に面識があるとは思わなかった。
しかしイセリアは無視して己の激情を吐き出す。パイロットスーツ越しでもわかるほど、握り拳に血が滲んでいた。
「いい加減にしろ! たった一人の家族を捨ててやることが復讐か! 全く馬鹿馬鹿しい!」
「……他人の家庭の事情に、首を突っ込まないでもらおうか!」
「初めは黙っているつもりだったさ! だが、何だこの茶番は! それで本気で妹の幸せを願っているつもりか! お前は!」
かつて、アムロを叱るときに見せた時よりも、遥かに激しい怒りが込められていた言葉。私達二人のやり取り……ひいては兄さんの行動が、余程、彼の琴線に触れてしまっていた。
対する兄さんの表情も怒りに歪む。
シャア・アズナブルという仮面で隠し切れない感情が、兄さんの心を支配していた。
「っ、貴様に何がわかる! 父を毒殺され、常に命を狙われ続け、後を追うように命を落とした母の名すら、墓に刻むことを許されなかった! この身を焦がすような気持ちが、貴様なんかに!」
「可哀想だと言ってもらいたいのか! ふざけるな!
だったら、なぜ今あるものを大切にしないんだ!
結局お前は復讐に逃げているだけだろう!
お前が欲しかったものは、本当にそんなものか!?」
「ええい! わかった風な口をきくなっ!」
再び始まった殴り合いは、ただお互いの感情を叩きつけるだけのものだった。
地面に落ちた銃のことなんかとうに忘れている。
とても、戦争で戦う兵士のそれではない。ひたすら相手の顔面に拳を振るうだけの喧嘩だ。
吹き荒ぶ砂嵐の中でも、鈍い音は木霊する。
「二人とも、もうやめてっ!」
割って入ることはできず、ただ泣きじゃくることしかできない。
ようやく出てきた声で二人の動きが止まった。
胸倉を掴み合いながら、息を荒くして互いを睨みつける。
「……俺の両親は殺された。サイド7で、お前がガンダムを奪取している間、お前の部下が乗ったザクが消し飛ばした」
「何、だと」
「跡形も残らなかった方がいっそマシだった。両親だったそれを、胸の中で怯える妹にはとても見せられなかった。怪我で気絶する寸前だった俺は、妹に見るなってことしか言えなかった」
ぽつり、ぽつりと。
先程までの怒りはどこに行ったのか。
イセリアから淡々と語られる言葉に、兄さんも目を見開いて聞き入っていた。
「巻き込みたくないんだろう。わかるよ、大切な妹なんだから。
でも復讐は止められないんだろう。わかるよ、大切な家族を奪われたんだから。
だけど、この世界に残った、たった一人の家族なんだろ?」
掴み上げた胸倉は徐々に下へ。
イセリアの頭は兄さんの胸元にまで垂れる。
これではまるで、兄さんに縋りついているようではないか。
「頼むから、兄であった過去まで捨てようとするな。妹まで独りにしようとするな。
残された方は……捨てられた方は、もう、気がおかしくなるくらい、悲しくて、悲しくて、どうしようもなくなるんだ……!」
「──────」
聞いたことのないほどに震える声は、砂嵐へとかき消されていく。
今の告白を聞いて、ようやく理解した。
私がイセリアとフラウ・ボゥに自分たちを重ねていたように、イセリア自身もまた、私とキャスバル兄さんを重ねていたのだ。
そんな彼が、私達兄妹のやり取りを黙って見ていられるわけがない。
……暫しの沈黙。
この間にも、兄さんの中で幾つもの考えが巡っているのだろう。
荒くなった呼吸は既に落ち着きを取り戻し、兄さんは力なく掴まれた手を解いた。
皺の出来た士官服のまま、乱雑に放置された銃を──────腰に収めた。
「アルテイシアの前で下手に血を見せるわけにはいかん。運が良かったな」
「に、兄さん」
次に外れた仮面を手に取り、身につけようとする前、兄さんは私の元へと近づいてきた。
沢山殴られて腫れた顔でも、その瞳は間違いなくかつて平和に暮らしていたエドワウ……キャスバル兄さんのものだった。
「すまない、アルテイシア。確かに、彼の言うとおり、私の行いはお前を深く傷つけてしまうことだろう」
だが、と言葉が続く。
「もはやザビ家の打倒は、私一人だけのものではない。ここまで犠牲にしてきた人々や、ザビ家によって苦しんでいた彼の為にも──────私はここで止まるわけにはいかないのだ」
そう言いながら握られた手から、固い感触が伝わってくる。
手袋越しでもわかる掌にできた肉刺と胼胝は、離れ離れになった後のジオンにいた頃の壮絶さを想起させる。
「……この戦争が終われば、時代は変わる。
恨んでくれて構わない。
だが、これだけは覚えておいてくれ。どれほど名前を変えようとも、どれほど己の手を血で汚そうとも──────お前の兄は何時だって、妹のお前を愛している、と」
その言葉を最後に、手が離れる。
キャスバル・レム・ダイクンとしての偽りのない言葉を残し、兄さんは再び仮面をつけて去っていく。
私と座り込んだまま動かないイセリアは、それを呆然と眺めることしかできなかった。
それからの行動は、彼とずっと一緒だった。
ホワイトベースに戻った後、ブライトから荷物と手紙を受け取った時も。
ブライトに差出人のことを答えた時も。
……自室で、キャスバル兄さんからの手紙を読んでいた時も。
「……一人になりたいなら言ってくれ。俺も自分の部屋に戻るから」
「嫌……お願い、一人にしないで……一緒に居て……」
彼の胸を借りて目一杯泣いた時も。
背中に触れる手が、服越しに伝わる体温がとても温い。
取り繕えなくなった私は子供に戻った気分だ。
こんなにも、冷え切った心に深く染み渡る。
彼も口元は固く結ばれ、体は震え、今にも泣き出しそうなほどに瞼を絞っている。
きっと本心から、私達兄妹のことを慮っての行動だったが、それでも兄さんを止めることはできなかったことが悔やみきれないのだろう。
……後になってから思う。
当時の私は余裕がなく気づくことができなかったが、もし気づいていれば未来は変わったのだろうか。
リュウが、マチルダ中尉が、スレッガー中尉が戦死した時もそうだった。
──────一度も、
「……ごめんなさい。兄さんが殴った分も含めて謝るわ」
「気にしないでくれ。勝手に割って入ったのは俺の方なんだ」
ひとしきり泣いた後、イセリアは手当された顔をさすりながら鏡を見る。
彼は大人しく殴られてやるタイプではない。アムロとの喧嘩でも大人気ないほどにアムロの攻撃を全て躱した様子はフラウ・ボゥ伝手で聞き及んでいる。
それでも怪我を負ったのは、兄さんはそれほど強敵だったという証か。どうせならあのまま一方的に殴られ続けて修正されれば良かったのに、なんて思考が過る。
それはそれとして、状況を整理する。
「ブライトにはどう説明しようかしら」
この金塊が詰まったトランクと手紙を受け取った時の表情を思い出すと、明らかに不審に思われているに違いない。
敵であるシャアからの贈り物だ。警戒して当然だろう。
後々になってから聞くと、テキサスコロニーにいた時、ブライトはフラウ・ボゥから一時的に通信士を交代しており、偶然兄さんとのやり取りを傍受してしまったらしい。
であれば、あんな形容しがたい表情にもなろう。
早めに事情を説明しようと判断したのは正解であった。
「ありのまま説明するしかないんじゃないか? 本人の許可なしに口伝する人じゃないのはわかるだろう?」
イセリアの真っ当な言葉に深く頷く。
かえって艦内を混乱させるような真似はしないし、本人の人間性としても信頼できるのは違いない。
きっと、やむにやまれぬ事態にならない限りは口を割らないだろう。
「ええ。貴方が今まで報告していたことを考えると、言い逃れはできないものね」
むしろかえって話しやすくなったまである。
何だったらイセリアを通じて、話す場を整えてもらえば手っ取り早いと思い、お願いしようとした矢先。
「報告? 何の事だ?」
急にきょとん、としたイセリアの表情が返ってくる。
不覚にも、心臓が跳ねた。
短くない間を過ごしてきた仲だが、初めて見る表情に驚かされてしまうなんて思わなんだ。
雑念を振り払い、気を取り直して尋ねる。
「貴方、私の監視を任せられていたのではないの?」
「
再び首を傾げる彼を前に、思考がまとまらない。
……つまり、何だ。
今まで監視されていると思っていたのは自分だけで、彼はそんなつもりは一切無かったのだと、そういうことらしい。
「……嘘よね? 嘘って言ってくださらない? 怒らないから、お願いよ?」
「それ、絶対怒る奴だろう。後、お願いじゃなくて強制だな、ここまで来ると」
人の心を感じさせない冷静な突っ込みは居た堪れなくなるからやめて欲しいと切に願う。
とんでもない自意識過剰に顔が熱くなる。
監視されていると思い込んでいたのも、その監視も悪くないと思っていたのも。
──────全部私の独り相撲だったというわけだ。
「〜〜〜〜ッ!」
「痛い、痛い痛い。やめてくれ。シャアに殴られたところだから、割と痛い」
調子が狂い、思わず手が出てしまった。
カイに向けて放った平手打ちと比べれば何て事のない、へなちょこな打撃だったが、兄さんがつけた傷跡だったのは確かなようだ。
そんな苦しそうな表情を見て多少なりとも溜飲を下げると、そもそもの疑問に立ち返る。
「監視じゃなかったら、何であんなに視線を向けていたのかしら?」
ぴしり、と今度はイセリアの方が固まった。
視線が彼方へと逸れる。
言いたくない、とばかりに口を閉ざす。
流石に黙ったままにしておくわけにはいかない。
私は色々と恥ずかしい姿を見せてしまっているのに、自分だけ逃れようとするなんて許せないだろう。
それこそ、勝手にどこかへ行ってしまった兄さんと同じくらい許せない。
「……………………その、何だ」
おそらく出会ってから、一番歯切れの悪い言葉だろう。
恐る恐る口にした言葉は、またしても私の予想を遥かに超えていたものだった。
「めっちゃ好みだな、って思っていただけなんだが」
「えっ」
つい、素で戸惑ってしまった。
「えっ、その……えっ?」
好み。
好みとは?
何なのだろうか?
いやいやいや。
飛躍しそうになった思考を中断する。
まさかそんな。
ここに来て男女云々の話が、彼から出てくるとは思えない。
地球にいた頃、マチルダ中尉にアムロを含めた男子が皆鼻の下を伸ばしていたにも関わらず、彼だけは普段通りに会話をしていたのを覚えている。
本人としてはその手の色恋に興味がないタイプなのだ。きっとそう。
「言っておくが、揶揄っているつもりはないからな!」
だが、そんな追撃が飛んで来ると、もう否定はできない。
顔が熱くなるのがわかる。
心臓の鼓動は早まるばかりだ。
一体、今、私はどんな表情をしているのだろうか。
いつものように、落ち着いた態度で接する自信がみるみる萎んでいくのがわかる。
鏡を見るのが怖いなんて気持ち、今まで感じたことがあっただろうか。
「と、とにかく俺は部屋に戻る! 照明は消したままにするから、今日は安静にしておくんだ! いいな!」
捨て台詞のように言い残して、彼は部屋を後にしようとする。
……なんて男だ。
あれだけ兄さんには逃げるなと言っていた癖に、自分はこのまま去ろうとするなんて。
「あれ、開かない」
それはそうだ。
ベッド側のリモコンで施錠をしたからだ。
話は終わっていない。
何せ、まだ
「……ええ、灯りは消したままでいいわ」
「……ちょっ、セイラさん?」
無音の部屋。
ファスナーの音が小さく木霊する。
はらりと布が落ちる音とともに、振り向かない彼の背中にそっと寄り添う。
伝わる体温は、先程胸を借りた時よりも遥かに熱が篭っていた。
「私の気持ち、受け取ってくださる?」
──────長い夜が、始まった。
◇◇◇◇◇
激しい頭痛とともに、目が開く。
ぼやけた視界は夢で見た光景よりも遥かに薄暗い。
「……夢か」
久しぶりの
俺としてはある種の苦い思い出だ。どうせなら怪我が治った状態で、ちゃんと身だしなみを整えて、順序を踏んだ上で挑みたかったのに。
「どうせなら俺がリードしたかった……」
「何をかしら?」
「っ!?!?!??!?」
文字どおりベッドから転げ落ちてしまった。
本当なら声の聞こえた方向に身構えるつもりだったのに、頭痛が酷くて体が思うように動かない。
やはり、あのクラバで閃光弾を至近距離で食らったのが不味かったか。
クラバのことを思い出して直近の記憶が蘇る。
そうだ。確か、キマイラを隠して、そのまま店に戻ったのは良かったものの、頭が痛すぎてそのまま意識を失いそうになったのを、
「無理しないでそのまま安静にしていること。よくって?」
彼女はベッドの傍に置かれた椅子に座り、足を組む。
パンツスタイルのスーツ姿はかつて戦場を共にした面影を想起させる。
この人こそ、この隠れ家のオーナーであるセイラ・マス。
またの名を、アルテイシア・ソム・ダイクンその人であった。
「……オーナー、何時からサイド6に?」
「貴方が何時まで経っても先延ばしにするものだから、予定を早めて来ちゃったの。
──────浮気しているのかしら、って思って」
「いやいやいやいやいやいや」
怖い怖い怖い怖い。
なんだこのプレッシャーは。
動け、俺の体! なぜ動かん!?
必死に頭痛が止まらない頭を必死に横に振ると、余計痛みが強くなる。
手探りでハンガーにかけられたコートのポケットを漁るものの、目的のものは出てこない。
「
改めてオーナーに視線を向けると、目当ての煙草を手に持って見せつけていた。
ここまで行動が読まれているなんて、さてはニュータイプか? いや、ニュータイプだったな。うん。
「頼む。それがないと日中の活動がキツい」
「……そう。前の診察よりも改善されていないのね」
室内では止して頂戴、という言葉とともに煙草がサイドテーブルに置かれる。
釘を刺された以上、手に取るわけにもいかない。
医者に言われたことは絶対だ。
同じくサイドテーブルに置かれたサングラスだけ身につけて、大人しくベッドに戻ることにした。
「……話を戻すぞ。何でサイド6に? 予定だともう少し先だと記憶していたんだが」
オーナー……いや、セイラさんは非常に多忙を極めている。
戦争が終わってから、この人は
ただ、残していたマス家の資産と、シャアの金塊を換金して転がしていたところ──────割ととんでもない資産になってしまったのだ。
特に後者はホワイトベースの皆に配っていたはずだったが、申し訳ないことに俺を軍から逃がす際に皆が返してくれたものらしい。
元々、シャアから貰った時も前世が知るより遥かに多かったことも相まって、元手が大きくなった分、資産も増えてしまったわけだ。
更には彼女のニュータイプとしての力が、
結果、個人で扱いきれなくなってしまう程に肥大化してしまったため、セイラさんは財団を設立し、戦争孤児の救済を目的に、地球と宇宙を股にかけて活動をしている。
……その裏で、俺やテムおじさん、そしてフラウたちを匿ったり、金に物を言わせて技師たちを捕まえてゾゴックを改造してくれていたりする。勿論それは秘密であるが。
更には元々志していた医学の勉強も続けている。
改善傾向にあるものの、数々の医者も匙を投げたこの原因不明の羞明……その治療法を探すために。
極めつけには、戦争が終わって軍から逃亡した直後、普通の生活すらままならなくなってしまった俺の世話をしてくれたのも、他ならぬこの人である。
精神崩壊……とまではいかないにせよ、それに近い惨状だったらしい俺をここまで回復させたのはセイラさんの献身あってこそだ。
さて、ここまで説明すればわかるだろう。
俺は、この人に、頭が、上がらない、のである。
例えば地面に埋まっていたとしても、まだ頭が高いほどに。
この人を差し置いて浮気とか──────正直考えられない。正気を疑うくらいに。
浮気する奴がいれば俺に言え。太陽系の果ての外宇宙であっても逃してやるものか。
そんな彼女が予定を前倒ししてまで会いに来た理由。それはきっと只事ではない筈に違いないのだから。
「色々理由があるのよ。これを見て頂戴」
セイラさんから受け取ったタブレットを見る。
写っていたのはサイド6内の報道だ。
記事の見出しは、違法デバイスの運び屋の逮捕記事だった。スクラップのように各社の記事が散りばめられているものの、内容はどれも共通していた。
「運び屋ではないけれど、テムおじさまもデバイスの作成に関与していたから、別の隠れ家に身を隠す必要があると思ったの。ちなみに、もう手配済よ」
「仕事が早い」
あまりの対応の早さに小学生並の感想しか口にできない。
テムさんもデバイスで小遣い稼ぎをしていたのはきっと俺と同じ気持ちだ。せめて生活費くらいは自分で稼がないと、この人に申し訳が立たないからだ。
決して安全な稼ぎ方とは言えないが、身を隠さなければならない手前、やれる仕事なんてそのようなものしかない。
結果として、セイラさんの手を煩わせてしまったことにはおそらく涙して謝っていることだろう。
……キマイラの開発の際はずっと俺にキレ散らかしていたのに。この差は一体。
「あと、貴方が紹介してくれた
「
「今、他の女性の名前を口にされたかしら?」
「何でもありません失礼しました」
怖い。
助けてアムロ。
ニャアンの時もそうだったけれど、人間関係まで管理されているのはちょっと辛いよ。
まあ、匿われている側の立場だから仕方ないのだが、それとは別の感情が垣間見えるのは恐怖しかないよ。
「……お会いしたのはモスク・ハン博士よ。覚えていて?」
「ああ、ルナツーでガンダムのコーティングをしてくれた人だ」
「貴方とアムロのことも覚えてくださっていたわ。今すぐは難しいけれど、近々、私達の開発チームに入ってくださると仰ってくださったの。他にも信頼できる技師を何人か連れてきてくれるそうよ」
「また乱暴な引き抜きをして……」
これで
財団の目的に反した行いではないか、と言われれば、民間軍縮の一環として復興事業のための重機を作らせるとか言うのだ。なんという方便であろうか。
聞こえるか、彼方にいるキャスバル
貴方が言っていた優しい優しいアルテイシアは、今では立派な悪役令嬢だ。
早くグラサンノースリーブになって戻って何とかしてくれ。ついでにアムロを連れて戻ってきてくれ。いや、やっぱりアムロだけでいいぞ。
「で、三つ目がクランバトルの件ね。
……これは貴方から先に説明してくださらない?」
「勿論だ。実は──────」
今度はこちらが話をする番だ。
赤いガンダム周りの出来事は近況報告で説明済のため、昨日の出来事だけを掻い摘んで説明する。
ニャアンの抱えていた秘密やジークアクスと赤いガンダムとの接点……地球に行くためにクランバトルで資金を稼ぎ、今回はやむにやまれぬ事情があり、代理で参加することを決意したことを。
「……なるほど、事情は理解したわ」
「すまない。皆が何年もかけて作ってくれた
元々、あのキマイラは木星のアイツを相手するために作ってもらった
僅か一分半に満たない戦闘でも、奴に存在を見せてしまったことにより情報アドバンテージの差がなくなってしまった。
……そもそも当初の目的以外の用途で、勝手に兵器を使ってしまったのだから、責められても仕方ない。
これが軍であれば極刑ものだな、と自嘲してしまう。
「そんなことはないわ」
しかし、セイラさんは首を横に振る。
「赤いガンダムがいるとは言っても、ニャアンをそのままバトルに参加させて、成り行きを見守っている方が許せなかったわ」
「当たり前だ。あいつをそのままバトルなんてさせてたまるか。大事なバイトなんだぞ」
そもそも十代の人間が戦場や、命の保証がない非合法のバトルに出てなければならないこと自体がおかしいのだ。
ホワイトベースという前例のせいで、
俺達はもうなってしまったんだ。
マチルダさんのように、そんな子供たちを憂い、手を差し伸べ、責任を取るべき“大人”に。
……ああ、ようやく腑に落ちた気がする。
何故、俺がニャアンに加担するのか。
「……結局、ニャアンの面倒を見続けているのもこれなんだ。
戦争に巻き込まれた時──────大人にやってほしかったことをやっているだけに過ぎないんだよ、俺は」
「……ふふっ、やっぱり貴方は変わらない。
そういうところ、好きよ。ずっと前から」
そう言いながら、かつてと同じく優しい微笑みを見せるセイラさん。
ああ、良かった。サングラスをかけていて。
とてもじゃないが、こんなの直視なんてできる自信がない。
……そして、こうも思う。
これほどまでに綺麗で、気高く、優しい人の側に──────こんな
「あ。あと、イズマコロニーに来た一番の理由。
────貴方に会いたかった、は駄目かしら?」
「思い出したように言われてもな」
「もう、拗ねないの」
だから、俺から彼女に向けて愛を伝えることは決してない。
ホワイトベースで過ごしたあの夜が最初で最後……伝えるのは感謝だけで充分だ。
ひと通り話を終え、一息つく。
淹れてもらったホットミルクを少し口に含むだけで体の奥が温まる。
突然、あっ、と思い出したようにセイラさんは再び口を開いた。
「ニャアンとも色々とお話したいわ。思えば、この前はリモートだったから、直接会うのはこれが初めてになるのね」
「ああ、そう言えばそうか」
ニャアンとはリモート面接で話をしたきり、一度も対面では会ったことはなかったか。
わざわざ用意してくれた古めかしいアナログ時計の方に視線を向ける。
現在時刻……16時か。
なんということだ。昼すら飛び越すほどぐっすりだったとは思わなんだ。
「いつもシフトより一時間前には来るから、少し待てば来るんじゃないか?」
「なら良かった。今日中にはこのコロニーを出立しないといけないから。せめて違法デバイス仲介役の検挙のことも相談できればと思ったの」
確かに、それは話しておかないといけない。
今後の身の振り方に関わる話なのだから。
セイラさんとの用件とジークアクスで反撃してきた件の確認をまとめて話せるのは手っ取り早くて助かる──────と、思った矢先、枕元に置いたスマホが短く振動する。
手に取ると──────すぐにセイラさんに奪われてしまった。
いけない。この状態ではスマホの画面を極力見ないようにしなければならないのに、ついうっかりしていた。
無意識に出てしまった迂闊な行動を牽制してくれるとは、さすがセイラさんだ。
…………別にまだ浮気を疑っているわけじゃないよな?
しかし、メッセージの宛名は先程まで話題になっていた本人だったようで、画面を見れない俺の代わりにセイラさんが読み上げてくれる。
「……今日体調が悪いので休みます、ですって」
「何だって?」
「残念ね。悪いけど、あの件は貴方から伝えてくださらない?」
「そうだな。ついでに返信も頼んでいいか? ロックは解除するから」
「よくってよ。私、
「──────なんで?」
やっぱり怖い。
助けてアムロ。
俺、このままだと何もかもこの人に管理されながら人生終わりそう。
それはそれとして、ニャアンが心配ではある。
ここに来て体調不良が重なるとは、なんと間が悪いことか。
あのクランバトル……前の介入が終わった後の動向はわからないが、改めて考えてみると、命のやり取りをする場面に出くわしていたわけだ。
見ていただけにせよ、心労で寝込んでしまってもおかしくはない、か?
だが、ニャアンは今に至るまで逞しく生きていた実績もある。案外ケロッとしていてもおかしくはないと思う自分もいる。
今考えても詮無きことか、と思考を中断すると──────何か、外に気配を感じた。
「イセリア? どうかしたの?」
「いや、誰か居たような……」
ベッドから出て、居住スペースから出る。
そのままバー店内を突っ切って、扉を開ける。
かん、と、金属同士が衝突する音が聞こえた。
足元を見てみると、厚紙で折りたたまれた小さな箱がラップに包まれた金属トレイがひとつずつ。
前者は……プリンか?
包装に貼り付けられたテープは、イズマコロニー内でも有名な洋菓子店のものだ。
後者は──────なんだこれ。
ラップの上に被さるように保冷剤がいくつか乗っており、かき分けて見えたのは、白くて小さな包がいくつも並べられていた。
「……餃子?」
大きさは見事にばらばら。
包みきれずにはみ出るタネがちらほらと。
慣れない手つきで作られた焼く直前のそれが、なぜか玄関前に置かれている。
……この不器用さ、というか鈍臭さが滲み出る出来。
しかし一つ一つが誰かを想って作ってくれたことがわかる、温かいモノ。
この感覚は──────どこかで覚えのあるものだ。
「ニャアン、来ていたのか?」
ああ、ニュータイプというのも考え物だ。
自分の知らないところで、何かがすれ違ったような。
根拠がなくても、どこか現実味のある勘が──────頭痛と同じく頭から離れなくなってしまった。
《おまけ》
【注意】ここだけRTA風小説になります。読まなくても本作を読む上で全くもって支障はありませんので読み飛ばしていただいて問題ありません。
はーい、よーいスタート(ゼクノヴァ)
いよいよ終わりが見えてきたRTA、もう始まっている!
どうも、投稿者の
前回のpartは私の
さて、木馬の皆様がルナツーを突破したら
前回無双していた
そこで
よし、これで
『アムロ、ここは私に任せて頂戴』
『せ、セイラさん!?』
あっ、
何しているんですか! まずいですよ!
……えー、何が起きていたかは放送倫理に抵触するのでモザイク編集しますね。要は
しかも元娼婦だった私から見てもエッグいくらい熱烈です。ヒューッ! やりますねぇ!(賞賛)
ま、まあ、
誤差だよ誤差! 最終的には愛が勝つんですよ!
そんなこんなで、いよいよ最終決戦が始まりました。
テーマパークに来たみたいだぜ。テンション上がるな〜。
さて、ア・バオア・クーとソロモンでドンパチやっているところですが、ここでゼクノヴァをひとつまみ……w
これで
『……シャア!』
『アムロ!』
よし、あとはこのままもう一度ゼクノヴァを起こせばWR──────た、大佐! 急に錯乱してどうされたのですか! 邪魔です!
『あ、アルテイシア!?!?
なんて破廉恥な格好を───!!!』
『そこっ!』
ウッ……(絶命)
……えー、
原因は、
だから
毒電波には気をつけろって、チャートにちゃーんと書いておきましょう。
はい、というわけで再走です。
…………スーゥ(息継ぎ)
あああああああああもうやだあああああああああああああ!!!!
〈人物紹介〉
■イセリア(主人公)
こいつら
前世の知識を使って、時折怪しい動きを見せるセイラ・マスを監視する男……と思われていたが、その実「ドチャクソタイプなんだが」と思っていただけである。
地球でガンダムの整備を代わっていたところにセイラさんのガンダム強奪事件に巻き込まれ、ダイクン家の事情にガッツリ絡むことになってしまった。
以来、セイラさんのことを気にかけるようになるものの、あくまで家庭の事情として積極的な介入は避けてきた。
しかし本人の抱える事情もあり、テキサスコロニーで我慢ができなくなってしまい、そのまま情けない奴の修正を開始するも失敗に終わる。
泣き崩れるセイラさんに寄り添っている内に、いつの間にか
現在時系列でも彼女との関係は続いているものの、その関係を一言では言い表せないほど多角化してしまっている。バーの店長とオーナー。パイロットとパトロン。患者と医師、ヒモと飼い主。エトセトラエトセトラ。
感謝してもしきれないし、好きな気持ちは変わらないが……知らない間に管理の魔の手が及んできており恐怖をおぼえている。助けてアムロ。
■セイラ・マス/オーナー
こいつら
宿敵の妹という難しい立場でありながらも懸命に戦い続けた気高い女性。おそらく本作で最もキャラ崩壊が激しい人。“さん”を付けろよデコ助野郎。
今作では出会った頃から主人公のことを目で追っていたが、ランバ・ラル隊の襲撃をきっかけに意識するようになる。「ドチャクソタイプだわ」と少なからず思っていたものの、あくまでホワイトベースでの兄ムーヴに対してキャスバルの面影の方を強く感じており、かつ監視役として彼を見ていたため甘い雰囲気にはならず。
テキサスコロニーでの一件で、主人公の精神がボロボロになっていることに気づきながらも、自身に向けられた好意を自覚した彼女はそのまま
戦争終了後はニュータイプ能力をフル活用して膨れ上がった財産をもとに“ユースティティア財団”を設立。戦後の復興事業と医学の進歩……そして彼から聞いた来たるべき戦いに向けての“力”を蓄えるため、今日も今日とて宇宙各地で札束ビンタしている。
現在時系列でも主人公との関係は続いており、彼女の献身によって何とか社会復帰まで成功させることができた。しかし何を間違ったのか、変に拗らせた管理願望が前面に出てしまって主人公を恐怖させている。
それは、彼のことを“わかったつもり”でいたことに対する自責から来るものなのか。
当時「偶然」発生したGファイターの不具合のせいで、苦しむ彼の元に真っ先に駆けつけることができなかった負い目から来るものなのか。
……それとも、自分を差し置いて彼の“真の理解者”になったアムロへの対抗心から来るものなのか。
きっとそれは、本人すら結論付けることはできない。
■シャア・アズナブル
どの世界でも白い
テキサスコロニーで妹と決別する……はずだったが、ブチ切れた主人公の介入により有耶無耶になってしまった。なので兄妹仲は多少マシになった模様。
アムロに対してはララァ、主人公に対してはアルテイシア、と言う形で大切な人へのクソデカ感情をぶつけられる矛先を見つけているのが今作である。
……ええい、貴様に“義兄さん”なんて呼ばれる筋合いはない!(言ってみたい)
とある未来では主人公のエロ妄想により命を落としたこともあったらしい。そりゃあ、妹の情事を見せつけられたら隙は生まれるし、この時代の天パがそれを見逃すはずもなく……Rose姉貴、再走して♡
ハレンチハレンチ! ハレンチ警察出動だ!
■餃子
腹減り虫に食べ尽くされる前に確保していた分。もちろん手作り。
昨日のお詫びに作ってきたから、マスターも食べて……あっ、オーナーといい感じの雰囲気。
……ちょうど高そうなプリンも置いてあるから、保冷剤と一緒に置いちゃえ。
邪魔しちゃ悪いし……うん、邪魔だもんね、私。
■プリン
とある有名店で買ってきたプリン、三人分。もちろん市販。
少尉が行きたそうにしていたので、ついでに買ってきてしまいました。
毒なんて入っていませんよ? 私も美味しく戴きましたし。
……おや、邪魔するといけませんし、無作法ですがここに置いておきますか。念の為、保冷剤を多めに頂いておいて正解でしたね。
是非、
では、また夜に──────あ、少尉の分がなくなってしまいました。いやあ困りましたね。
本当はビグ・ザム解体シーンをセイラさん視点で書いてお労しさを加速させようとしたのに……なぜか主人公が奇声を出し始めて……なんかシリアスなギャグになってしまい……なくなく没になりました……。
これも、シャロンのザラの仕業だと言うのか……母さん……僕の約4,000字……。
さて、原作もいよいよ佳境に入りましたね。
毎週展開がインパクトが大きすぎて、こちらの物語が破綻するどころか逆に収束していっている気がしてきました。
おまけについてはジークアクス世界がシャロンの
このまま本作のタイトルが“一年戦争大佐&天パ逆ハー実績解除RTA ガンダム増殖バグ使用チャート 投稿者:シャロンのRose”になってしまわないか戦々恐々しております。
残り2話、頼むぞシュウジ。お前だけが頼りだ。
それにしてもこの世界の毒、強すぎません?
もしやキシリア暗殺のために搬入したサイコ・ガンダムを空気清浄機って称したのは、キシリアが毒ガスを使う伏線だった……?