色々とあれなので閲覧注意でお願いします、自己責任ですからね。
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運が無い日はとことんツイてない日というのはあるもので俺にとってそれは今日であった。
大好きなゲームの一番くじが発売されるという事で、念の為に有給を取ろうかとも考えたが
都合が悪く、出勤せざるを得ない羽目になり、その上に出勤前に引こうにも販売開始は始業時間より遅く
急いで帰ろうとしたが、今日に限って上司に仕事を押し付けられてしまい、結局退社出来たのは七時前であった。
そこからは車で近所のコンビニや店舗を訪れるも殆どが開始と同時に売れてしまったらしく、市内の最後の該当店舗を回り終わる事には、気づけば九時近くを過ぎており、体力と車のガソリンが減るばかりであった。見た事もないコンビニの駐車場で地図アプリを開くと、市の境目付近にまで来ており、こういう時にだけ発揮される自分の行動力に対して、乾いた笑いが浮かんできた。
そろそろ諦めないと明日の友人との約束に影響すると思い、再販に賭けようと踏ん切りをつけて車に乗り込んだ。
機械音声の指示に従って、明かりの少ない夜道を運転していると不意にある建物が目に入ってくる。
「けったい屋」と書かれた看板の駄菓子屋と思わしき店は珍しい事に営業中の立て札がある。
今時駄菓子屋というだけでも珍しいが、対象となるであろう子供たちが居ないこんな夜中に営業しているのも可笑しな話だ。先程この道を通った時には、灯りが着いていなかったので24時間営業という訳でもなさそうである。
正に名に違わないけったいな店だとおもった。だがこのささくれだった心を少しでも癒したかったというのもまた事実で、久しぶりに童心に帰って駄菓子を買い漁って、明日の話のネタにするのも悪くないかと思い、狭い駐車場に車を止めた。
降りてみると、ガラス戸には日焼けしたポスターが見え、ゴテゴテとした原色をそのまま詰め込んだ様な駄菓子の上では白熱灯には羽虫が集まっており、何ともらしさが感じられる。これだけでも寄った価値はあったなと、立て付けが少し悪い戸を横に引いた。
「ごめんくださーい。」
店内に入ると冷たい空気が迎えてくれ、9月に入ったといえど未だに残暑が厳しい外の不快感を和らげてくれる。
予想通りだが店には自分以外の客は居ないらしく、扇風機の回転音と時たま鳴る風鈴だけが響いていた。
パステルカラーの籠を手に取り、昔食べた駄菓子を探そうとして、漸く店主が居るかどうかの確認に思い至る。
所狭しとぎゅうぎゅうに並べられたお菓子の山を横目に店内を散策すると、一番奥の会計で店主の姿を発見して、ひとまず懸念が外れた事に安堵した。
店主は何というか、その、あまり駄菓子屋の優しいおばあちゃんという相貌では無く、
オブラートに包まずに言ってしまえば、近所の子供から魔女と呼ばれていそうな顔つきであった。
店主は新聞から視線を上げ、こちらを一瞥すると「らしい」笑顔を浮かべながら一言
「いらっしゃい…。」
とだけ言って再び新聞を熟読し始めた。
気を取り直して駄菓子の棚を漁り始めると、見慣れた硬貨型のチョコレートや当たりつきのスナックが目に入り、大人の財力に物を言わせて、適当に脇の籠に放り入れて行く。
その後も、気が付けば籠が溢れるだろうかという程に物色が済んだので会計をしに店主の元へ向かう。
子供の頃の記憶と比較して、種類も数も豊富になっており、見た事の無い物も多かった。
案外駄菓子の進歩も馬鹿にならないものだなと思いながら、あまり人通りが無いながらに品揃えの良さに感嘆していた。
「お会計お願いします。」
「ひっひっひ、もういいのかい?」
笑い方も魔女みたいな店主に対して愛想笑いを浮かべる事が出来なかったが、買う商品の数が数なので直ぐにはレジを通らず、沈黙が流れる。そんな空気感に堪えられずに、思わず適当な雑談を振る。
「あ~駄菓子屋って久しぶりに来たんですけど、意外と色々売ってますよね。」
「何か記憶より品揃えが豊富って言うか。」
「…そりゃこの店は何でも売っているからねぇ。」
気づけば籠の中身が半分以上減っており、手慣れた様子でお菓子の山を捌きながら返事をする。
見た目の割に冗談を言うタイプなのだと、存外お茶目なのかもしれない。
そう思いなおして、ならばと労働と運転で疲弊した脳で願望を漏らしてしまう。
「それじゃあ一番くじとかって……「あるよ。」無いですよね、すいません。」
「……え!?」
「だからあるって言ってるじゃないかい。」
到底そういった物の取り扱いをしている店には見えなかったのでつい驚いてしまった。
ここは市の境界に近いので検索から外れていたのだろうか。正に棚から牡丹餅である。
最早諦めかけていたので、降って湧いた希望に思わず声を荒げてしまった。
「あるんですか!?」
「何だい聞いてきたのはそっちじゃないか。」
「そ、それはそうですけど。」
「で引くのかい?」
「ひ、引きます!」
呆れた様な表情で身体を屈めるとレジ台の下から箱を取り出してこちらに突き出してくる。
「一人一回までだよ。」
と言って会計作業に戻る店主からくじ箱に視線を向ける。
駄菓子屋という立地と回数制限を設けているから、転売ヤーの魔の手から逃れられたのかと
勝手になるほどと納得していた。
これを逃せばもう店舗での入手は不可能であろう事を意識してしまう。
ここまで来ればもう何が当たっても、大当たりの様な物だが折角なのだから
推しであるC&C、特にネルのグッズを当てたい。
祈りながら箱に手を入れて、籤を手で掻き混ぜる様に探っていく。
これだ、と掴んだ籤を開いて中の文字を薄目で見ながら確認した。
『美甘ネル イミテーションフィギュア』
そこに書かれていたのは望み通りの文字で思わず、叫びそうになりながら店主へと
努めて興奮する素振りを表に出さない様にその当たり籤を手渡した。
「ん、待ってな今持ってくるから。」
そういって店主が暖簾の奥へと消えていく姿を見送った。
歓びを噛みしめていると直ぐに店主は大きめの箱を抱えて戻ってくる。
「はい、あんたの景品だよ。落とさない様にしっかりね。」
俺は今日の不幸を全てをチャラにする様な奇跡に感謝しながら、箱が壊れない様に慎重に受け取り会計を終えた。
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そういえば今回の一番くじでは、大きめのフィギュアのラインナップはあっただろうか?
行きとは正反対の気分で運転をする傍らで、目的を達成して余裕が出来たのか思考を巡らせる。
一瞬そんな考えが脳裏をよぎるが、こうして現にフィギュアは手元にあるので、気の所為であろうと結論付けて、思考を隅に追いやった。大方サイトの確認不足だろう。
交通量もまばらになっているとはいえまだ人通りもあるので、事故を起こさない様に浮足立つ心を押さえて安全運転を心掛けて帰宅する。
無事に自宅へ着いて玄関の鍵を開けると、靴を脱ぐのも早々にスーツを脱いでしまう。
独り暮らしを始めてからというもの、だらしないという自覚はあるのだが
誰も見ていない事もあり、周りの事、特に忙しい平日は乱雑になってしまう。
レジ袋を持ったまま手探りで灯りを点けると、ソファに袋を放り投げる。
放物線を描いたそれはボフっと音を立てて、椅子の上に鎮座した。
反対の手で抱えていた箱を慎重にテーブルに置くと、テレビを点けると脱いだ洗濯物を入れに行く。
本来ならさっさと回してしまいたいのだが、遅い時間に回すと苦情がうるさいので、結果として翌日になるのだ。
諸々を済ませるてソファまで戻ってくると、何度か見た事のある映画の再放送がやっていた。
話はもう半分以上終わっており、クライマックスに差し掛かる前からのいい所取りである。
中身は殆ど見ているので、新鮮味もへったくれもないがつい見入ってしまいレンジが鳴ってもCMに入るまで席から立てなかった。タッパーに入っている煮物と安くなっていた総菜をツマミにして、酒を開ける。
再びCMに入ったタイミングで、ハサミで粘着テープを剥がしていく。
そのまま剥がした時に残る跡がどうしても嫌なタチで、今回のは特に丁寧に開封する。
複数箇所でしっかり止められたツメを抜いた時にCMが明けたので、汚れない様に少し避けてから晩飯を再開した。
そういえばカルパスも買ったなと思い出して、箸を咥えたままで袋を漁る。
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部屋の主が床に就いた部屋には電化製品の独特の音と寝息だけが響いていた。
仕事の疲れが溜まっていたのかアルコールが回っていた事もあり、ぐっすり眠っている。
駄菓子の袋が散乱している机の上で、カーテンの隙間から漏れる月明かりで照らされているフィギュアが一際異彩を放っている。
その造形は見事なもので今にも動き出しそうなそれは、散らかった閑散として室内ではやや浮いている。
主人が眠りに着いた部屋でフィギュアが、誰が触れたという訳でも無いのに揺らめいた様に見える。
錯覚だったのだろうか一瞬の事だった為、幻覚だったのかもしれないかと思い始めた時に
次の異変が起こる。彼の姿が卓上のそれと同様に少しの間ぶれた。
あまり手入れをするタイプではないのか、忙しく処理を行う時間も取れないのだろう体毛が多く、鍛えている訳では無いが筋肉質なその脚から毛が抜け落ちたかと思うと、内側へと収縮するかの様に脚そのものが小さくなっていく、成人男性としては一般的であったろうそれはシミ1つもない赤子の様なつやつやとした肌へと変貌を遂げた。
抜けた毛に違和感を覚えたのかこの奇妙な変化の対象である彼は無意識の内に足を掻くが、その手に引っ掛かる物はなく、柔らかくきめ細かな肌を撫でるだけであった。
依然として彼の身体には変化が起き続ける。下半身だけがまるで別人の様になってしまったが、伝播する様に両腕が細くなっていく。肌に乳白色の斑点が浮かぶと徐々に元の色とまだら模様の割合が逆転していく。
彼の元の肌が消えた頃には、互換性の無い人形の脚や両腕を無理やり付け替えた様な不自然な身体になってしまっている。
二の腕は細く、とても重い物は持てないであろう華奢な物へと変わり果ててしまった。
成人男性としての要素は残るは頭部と体幹であるがそれも変化しつつある。
髪が脈打つように揺れたかと思うと、毛根から変色し始める。
ごく一般的な黒色だった髪が、あまりに現実離れしたオレンジへと染まっていく。
社会人になってからは碌に手入れもされておらず、キューティクルが剥がれ切った髪の毛だったものが
枝毛1つも無い生糸の様な髪になり、さらさらと零れる様な頭髪へと変貌する。
髪質の変化と共に、まるでビデオを早送りするかの様にぐんぐんと伸びていき、スポーツ刈りで耳にも抱えらない長さであったのに一分と経たない内に、肩に掛かるか掛からないか程度のミディアムボブぐらいの長さになる。
その色は卓上にあるフィギュアと余りにも酷似していた。ここに至って漸く確信を持てるだろうか。
彼の身体は先刻に手に入れた戦利品のフィギュア、美甘ネルのものへと変化していると。
だが彼の意識は依然として夢の中である。仮に意識があっても抵抗出来たかは定かではないが。
同時に変化は顔貌へも及ぶ、猫目であった目元は吊り上がり、勝気な印象を与えるものになる。
睫毛も伸びると同時に、上向きにカールが掛かっていく。眉毛が下から伸びる新しいものに押し上げられて、抜け落ちると髪と同じオレンジに染まり、化粧された様な整った形になる。
頭部そのものがぐぐっと押さえつけられていく様に縮んでいき、輪郭が小さくなっていく。
フェイスラインはスマートになり、面影が微塵も感じられなくなり小動物的な印象を与える顔へと変化した。
乾燥していたのか罅割れていた唇が、潤いを取り戻したかと思うと透明感のあるぷにぷにした触感になる。
彼の顔はシミ1つも無い肌に成り果てたが目元に特徴的な黒子が浮かび上がる。
ほのかに赤らんだ顔は中庸的なものから誰もが整った顔立ちと言う様なものへと変化した。
最早彼の面影が無くなり、卓上のフィギュアと異なる箇所が胴体及び下腹部を残すのみとなってしまった肉体は
幾何かの時計の針の音の後、無慈悲な程に変化は進行していく。
やはりというか変化が胴体に及ぶと体躯の収縮が著しくなる。一呼吸を置くごとに見えない何かによって押し込む様にして小さく、細身になっていく。収縮するごとに肌が先んじて変化していた四肢と馴染む様に色を変える。
ちゃんと内臓が詰まっているのか不安になる程に薄くなった身体ですぅすぅと寝息を立てる彼は、傍から見ればただの少女にしか見えないだろう。しかし彼が彼である所以たる部位は未だに健在である。
だが一箇所だけ変化を逃れられる訳もなく、徐々に周囲から変化していく。
特に手入れされる事もなく、縮れ放題だった陰毛が徐々に薄くなっていくとやがて見えなくなってしまう。
抜け落ちた後から薄っすらとこれまたオレンジ色の産毛が生えてきて、一本として残らず挿げ変わってしまった。
交際は疎かそういった行為とは無縁だった彼の性器は一度もその役割を果たさないままにその生涯を終えようとしていた。陰茎が短くなっていくと同時に陰嚢もその姿を消していく。内側へ、内側へと潜り込む様に変化していき最終的には全てが体内へと入り込んでしまった。
その裂目から徐々に女陰が形成されていき、気づけば彼、いや彼女の男性器が女性器へと置き換わっていた。
外側からでは確認出来ないが、膣口の奥に未成熟なものだが子宮が形成されていく。
これ程の変化が起きてもなお彼女は少しくすぐったそうに身を捩らせるだけで微睡の中だ。
不幸なことに彼女は自身の変化に無自覚なまま朝を迎えるのだろう。
いや自身が変わりゆく恐怖に晒されないという点では幸福とも言えるのだろうか。
望んだ偶像と境界が滲んでしまった彼の身体は一人の生命体からフィギュアの模造品へと成り果てた。
もはや卓上のフィギュア以下の存在へと変貌した彼女は何も知らずにただ微睡の中で微笑んでいた。
美甘ネル及びブルーアーカイブファンの皆様、誠に申し訳ございません。