あと今回少しボロクソに言うところもありますのでご注意下さい。(懐柔するための布石なんだ……、多分。)
『櫛田に脅された。』
そう聞いた俺は、急いで清隆に電話をかけた。
『もしもし清隆?』
『あぁ。』
相変わらず感情が読み取りにくい声だ。
『あのメールどういうこと?』
『………、まず今日の出来事を聞いてほしい。』
そういうと清隆は話し始めた。
堀北さんに頼まれた清隆は櫛田を使って3バカを勉強会へ釣り上げたらしい。
そして、今日の放課後に堀北主体で勉強会が始まったのはいいが…、3バカがあまりに酷かったらしい。学力が低すぎるという意味で……。
集中力も保たずについに須藤が匙を投げ、それを堀北が糾弾。あろうことかバスケに対してもバカにしたらしい。
そこで収拾がつかなくなり勉強会は中止。解散。
堀北も3バカを切り捨てる方向に切り替え、サヨナラバイバイしたそうだ。
俺は思わず天を仰いだ。
堀北さんならやりかねない…、そう思った。あれだけ真っ直ぐな真面目タイプだ。やはり3バカと合う訳が無かった。堀北さんももう少し柔軟に対応できればいいのだが……。
さらに話は続く。
そこから清隆は一応巻き込んだ櫛田に謝罪を入れとこうと櫛田の跡を追ったらしい。そして櫛田を見つけたそうだが……、めちゃくちゃ堀北の悪口を言ってたそうだ。それもすごい剣幕で。
それを見ていることをバレて清隆は脅された……、というのが事の真髄らしい。
因みに脅しの材料に櫛田さんは清隆の手を自分の胸に押し付けたそうだ。
何やってんだ…。櫛田さん…。絶対内心テンパっただろ。
『それで、清隆は大丈夫なのか?』
『ああ、問題ない。』
清隆、それはどういう意味の問題ないなんだ………。まさか、もう櫛田さんは……。
『別にもう始末した、とかじゃないぞ。俺の障害にはなりえないと判断した。』
良かった。
それにしても櫛田さん…。流石に喧嘩売る相手がヤバすぎるよ…。
『とりあえずそういう事だ。』
そういうと清隆は電話を切った。
櫛田さん…、あまりに八方美人だから色々ためてないかとは思ってたけど思ったより重症らしい…。清隆が脅威判定しなかったから良かったが…、とりあえず気にはかけておこう。
俺は少し気分を変えようと玄関へ足を運ぶ。自販機でジュースでも買おう…。
「……ここまで追ってくるとはな」
自販機へ歩いていた時、ふと声が聞こえた。その方へ目を向け静かに覗き見るとどうやら二人、男子生徒と女子生徒がいた。
なんだ…?逢い引きか?お盛んなことだ…。
などと考えていたのだが、よく見ると堀北会長と堀北さんだったようだ。
「追いつくために来ました、兄さん。」
「追いつく、か………。」
堀北会長は落胆したように声に出す。
「Dクラスになったと聞いたが…、まだお前は自分の欠点に気づいていない。中学時代と何も変わっていない。」
「そんなことはありません! 私はAクラスに上がってみせます。そしたら──」
「無理だ。お前はAクラスには辿り着けない。実際、学校のシステムにも気づけず既にクラスポイントは0らしいな。そんなクラスでAクラスに上がるなど、この学校はお前が考えているほどそんな甘いところではない。」
「絶対に、絶対に辿り着いてみせます…。」
「本当に聞き分けのない妹だ。お前には無理だと言っている。」
堀北会長はただただ冷酷にそう告げる。実の妹を全く何の興味もないもののように見下ろす。
それでなお縋りつこうとする妹に堀北会長は妹の手首を掴み、そのまま壁に押し付けた。
「どんなにお前を否定し避けたところで、お前が俺の妹であることには変わらない。そのことが周囲に知られれば、恥をかくのはこの俺だ。今すぐこの学校を去れ。」
「で、出来ません……っっ。私は、絶対にAクラスに上がり、兄さんを納得させて見せます…!」
刹那、会長は彼女の腹部に空いた右手を打ち込もうとする。
反撃の意志もなく、ただ拘束されるがままの彼女はただ目を瞑る。
流石に不味いと感じ、俺は瞬時に会長の右手を拘束するために動く。
突然、右手を制御された堀北会長は鋭い視線を自身の拘束された右手に向ける。
「……何だ? お前は」
会長はまだ俺のことを認識していないのだろう。
瞬時に会長は妹を拘束していた左手を解き、俺の顎をめがけて振り抜く。
それを俺はまともに顔面で受ける。
ドゴッ………
「なっ。」
堀北会長は目を見開く。まあ顔面に打ち込んだ相手が怯むことなくただただ笑顔をこちらに向けているのだ。さらによく見ると見覚えのある顔でもあったのもさらに会長を驚かす。
「…!!!九条君!?」
堀北さんもこちらに気づいたようだ。
「堀北会長……。流石に血がつながった兄弟だとしても、暴力はいけませんよ…。」
「………九条だったのか…。すまない。」
会長は少し申し訳なさそうにそう答える。
それを堀北さんにしてあげろよ……。
「俺に謝るなら妹さんに謝ってくださいよ…。」
「それとこれとは話が違う。にしてもお前……、どんな耐久力している…。」
まともに顔面に食らってもけろっとしている俺に堀北会長は奇異の目で見る。
俺としては、別に本気で打ち込まれてないし致命傷になるところは避けたので特に問題はない。
「まあ、流石に顎はやばいんで少し避けましたけどね。」
「いや、そういう事ではないんだが……。しかし、鈴音。お前にも友達がいたとはな。しかも九条ときたか…。」
「………、彼はただのクラスメイトです。」
堀北さんに俺はまだ友達認定されてなかったようだ…。ぴえん。
「鈴音、相変わらずお前は孤高と孤独を履き違えているようだな。それから九条、お前がいれば少しは面白くなるかも知れないな。」
そういうと堀北会長は立ち去ろうとする。
「堀北会長。あっちから多分この一連のやり取り撮られてるようですけど、それは大丈夫なんですか?」
俺はおそらく気づいていなかった堀北会長にそう問いかける。
「………何?」
堀北会長は、鋭い目つきでこちらに振り返る。
まさか平穏を求めるお前がこんなややこしそうなところに足を突っ込んでくるとは…お前もこの土俵に上がってこいよ…清隆。
観念したのか、向こうの茂みから清隆がひょっこりと顔を出す。
「綾小路君…?」
堀北さんはとても驚いているようだ。
「…………、九条。お前裏切るなよ…。」
清隆が目線を反らす→俺が面倒ごとを押し付けられる。何回このやり取りをやってきた。確かに隠れ蓑にしてもいいとは言ったが…。ちょっとその仕返しだ。
「…綾小路か。」
「………、何故俺の事を…。」
「生徒会長として新入生の情報は把握している。お前みたいに奇怪な入試結果の生徒なら尚更な。」
ほら見ろ清隆。50点なんかに揃えるから生徒会長にも目をつけられてらぁ。
「それで、綾小路。お前その撮った映像はどうするつもりだ?」
「部屋で観賞用として………っ、ぶねぇ。」
清隆がなんか冗談を言おうとしていたが、会長は問答無用で清隆に襲いかかる。だが、流石清隆。その全てを綺麗にいなす。
「ほう、いい動きだな。立て続けにいなされるとは思わなかった。俺の動きをしっかり見極め、理解もしている。何か習っていたか?」
「ピアノと書道なら。」
会長の問いかけに綾小路はズレた回答をする。
ピアノと書道…。無表情でも案外ボソッと冗談を言う清隆…おもろいなあ…。
俺はそんなことを考えていた。
「……。幾らだ?」
おそらく会長は揺すってくると考えたのだろう。
「俺は別にポイントは困ってないんで…。強いて言うなら平和な学校生活を送りたい。」
清隆の提案は相変わらずのようだ。
「………。」
会長も少し困惑しているようだ。
「なら、俺を動かす権利を1回でどうだ。俺も生徒会長をする身だ。ある程度融通は効かせれる。」
清隆はその回答を気に入ったのか、自身の携帯を会長に放り投げる。
会長はそれを受け取るとすぐさま操作を行い、そして清隆に投げ返した。
そしてもう用がなくなったのか、その場を後にする。
俺も実は『堀北さんを押さえつける堀北会長』の写真を撮ったけど黙っておこう…。
場に残された3人には微妙な空気が流れていた。
「二人とも、最初から聞いていたの……?」
堀北はそう切り出す。
その問いかけに俺達は頷いて答える。
そこからまた静寂が場を包む。
清隆はそんな空気を嫌ったのか、「用事がある。」と言いそそくさと帰っていった。
再び静寂が訪れる。
はっきり言って帰ればいいのだが、なんとなくそんな空気じゃなさそうなのでその場に留まる。
「貴方たちには変なところを見られてしまったわね。」
そう堀北が話し始めた。
「堀北さんはえらく堀北会長を意識しているようだね…。」
「……………えぇ。尊敬しているわ。」
俺は否定するかと思ったが堀北は、存外肯定する。
「ぶっちゃけお兄ちゃん大好きだろ。ブラコンって言うのか?」
「急に何を言い出すのかしら!?」
唐突に想定以上に突っ込まれ、堀北はアタフタしだす。
「あれだけ出来たお兄さんだ。好きになるのも仕方ない…。」
「ちょっと待ってちょうだい。私がその………兄さんのことす……す、好きだと決めつけているようだけれど、決してそんなことはないわ。私はあくまで尊敬しているのよ。」
もう、その態度が好きって言ってるようなものだ。
「でも、私は兄さんに拒絶されているわ…。私が不甲斐ない妹だから……。」
堀北は急に態度を一変させるとそう否定の言葉を漏らす。
「本当に堀北会長は堀北さんの事を嫌ってるのかい?」
そんな堀北に対して俺はそう問いかけた。
「あなたも見てたでしょう?嫌われてるに決まってるわ。」
堀北は顔をうつむかせてそう答える。
「堀北さんは自分の不甲斐なさが嫌われている要因と考えているようだね…。じゃあ実際、君はどこが不甲斐ないと思ってるんだい?」
「……………。全て私は兄さんより、劣っているわ…。学力も運動も…、私は兄さんを追いかけてきた。でも何も兄さんを越せたことがなかった。」
そう堀北は言う。
兄さん兄さん兄さん兄さん………、堀北さんはほんと堀北会長しか見えていないのだろう…。それを堀北会長は危惧してるんだろうな…。それで突き放すような態度をとって過ごしているんだ。
ただ今俺が何か言ったところでここまで盲目だとどうにもならんだろう。
きっと堀北さんをどうにかできるのは堀北会長だけだ…。
「うーん。確かに堀北さんの言葉も一理あるのかもしれない。でも堀北さんは実際この学年ではトップクラスの学力を持っているのは事実だし決して劣ってるわけじゃない。目標が高いのはあるだろうけど、少なくともここまで努力したのもまた堀北さんだ。それは認めてあげないと……。って俺が言ったところで出会ってまだ1カ月ちょっとのやつがでしゃばるなってやつだね。でも俺の言葉も少しは気に留めておいてほしいのは事実だよ。」
長々と俺はそう話した。
なんだかんだ堀北さんもちゃんと聞いてくれているらしい。
気がつけば視線は俺の方を向いていた。
「それで、話は変わるけど…、勉強会が無くなったと聞いたんだけど…。」
俺は例の話題を堀北さんに聞くこととした。
「えぇ。想像以上に学力が無くてそれに何よりやる気も無い。そんな人たちに時間を割くだけ無駄だと判断したわ。九条君の言ってたように、それなら今のうちにいなくなってもらうほうが合理的だわ。」
彼らの態度に堀北はもう完全に切り捨てるようだ。
「でも堀北さん。君が須藤なんかは運動で得られるイベントで活躍する可能性が、他の二人もそういうイベントによって得うるメリットの方が大きい。そう言ったよね?」
「実際勉強会してみて悟ったのよ。この人たちはデメリットの方が大きくなる、茶柱先生が言っていたようにまさしく『不良品』よ。」
まあ俺としても確かにそう感じてる…。ただここで簡単に見捨てるのは3人というより堀北さんの成長にならないとも俺は思っている。それに堀北さんも省みるべきことがあると考えている。
そこで俺は堀北さんを煽ることにした。
「へぇ…。一回の勉強会くらいで無理って…、結局堀北さんの覚悟ってその程度なんだ。」
「なんですって……。」
「だってそうでしょ。自分でAクラスに行くために他人使って集めといていざ面倒見たらやる気ないからやっぱり私には面倒見れません、って……………甘ったれてるなぁ…。そりゃお兄さんも失望するよ。」
俺は盛大に地雷を踏み抜く。
「…聞いておけば、言いたい放題言うわね……。」
静かに堀北さんがこちらを睨みつけ、キレる。
まだ堀北さんは理解しないようだ。それならばわかるまでこちらも、言わせてもらうとする。
「あれだけの決意を聞いたんだ。そりゃ俺だって失望するよ。俺は堀北さんの決意を聞いて正直俺も頑張らなきゃって思ったよ。だから今日、勉強会不参加メンバーのうち10人くらいには勉強会の参加もしくは勉強をする約束はこぎつけたよ。それに比べて堀北さんは…、せっかく清隆や櫛田さんが集めてくれたのにそれを自分勝手な決めつけで止めて………、恥ずかしくないの?」
俺の言い分に堀北さんは何か言いたげだが、それでも俺の失望の言葉は止まらない。
「ほんと清隆や櫛田さんが一番の被害者だよ。堀北さんに振り回されっぱなし。結局そういうところだと思うよ。君がDクラスになった理由。学力とか数字で見える部分は良くても人間性が全然なってない。どうせ清隆や櫛田さんに集めてくれたお礼も言ってないんでしょ?そのくらい小学生でも分かるよ。君はあの3人を『不良品』と呼んだね。正直今の君にはそれを言う資格はないと思うよ。」
「じゃあ、どうすればいいのよ!!!」
俺の言葉に堀北さんは限界を迎えたのか大声で叫んだ。目には涙も浮かべている。その顔はどうしたらいいかわからないといった表情をしている。
少なくとも思い当たる節はあるのだろう…。ここまで言ったが別に俺は堀北さんを嫌っているわけではない。向上心は持っているし実際努力もしている。ただ少し驕ってる部分が分かりやすく彼女の質を下げていた。それをしっかり見つめ直してもらいたいものだ。
「………。お兄さんも言ってただろ。孤高と孤独を履き違えてると。まずその意味を理解すること。それから自分の弱さを理解し省みること。主観で全てを判断せず他者を尊重すること。最低このくらいは治せ。」
俺は簡潔にそう述べる。
「あと今回のことは、しっかり謝ること。特に須藤、清隆、櫛田さん。正直許してもらえるかわからないが誠心誠意謝れ。それから本当にAクラスに上がりたいならその上で勉強会を成功させろ。」
「今更、勉強会なんて………。」
あれだけ須藤を否定した後だ。乗り気にはならないだろう。
「君のAクラスへの熱意はそんなものなのか?」
「少なくとも君は5月の始めに茶柱先生の説明以降Aクラスへ上がるために自分なりに考えていた。それは本気だったはずだ。その上でまずはテストをクラスで乗り越える。そう結論づけた。その熱意を須藤らにぶつけてみればいい。」
「…………………。」
「俺は君なら出来ると思っている。少なくとも鈴音、君はDクラスを引っ張っていく一番の存在になると俺は思ってる。」
俺は堀北の目をじっと見つめそう宣言する。
そこから俺達は部屋にそれぞれ戻った。
堀北さんはその後も特に言葉を発することなく立ち去った。
俺の言葉をどう受け止めたが俺にはわからないがいい方向に転がってくれるよう祈るしかない。
それにしてもちょっと言い過ぎたかな…。
俺はちゃんと成長して欲しいんです!
そのためには時にはボロクソに言う必要もあると思う。
そう、全ては身も心も主人公にどっぷり浸かるための布石なのだ。
後悔はしていない。ただ少し気にはしている。
それからアンケートご協力ありがとうございます。
概ね予想通りでしたがひよりがもう少し伸びると思ってました。
あと真鍋に入れた同士よ……。CV富田美憂いいよね。
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