女たらしが往く実力至上主義の教室   作:俺は社畜

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新規参戦キャラ2名の小話。
ちょっと重めなのか続いたので甘めのエッセンスを…。


23話 5月のとある日常

ーー治療しなきゃーー

 

5月の初め

放課後、勉強会へ顔を出し図書室へ寄った帰り、辺りは少し薄暗くなっていた。

 

5月には入ったが、日がなくなるとまだ少し肌寒く感じる。

 

 

ん?

 

 

目の前から一人の生徒が歩いて来るのが見えた。

ただ歩いているだけならば気にも止めなかったが、歩き方が気になった。

少しその生徒を観察して、俺は断定する。

 

 

怪我してるな…。

腿は赤く腫れている。

あと左腰辺りと脇腹、それから右肩辺り。

 

 

 

俺はその生徒に声をかけた。

 

 

「君怪我してるね。保健室へ行こう。」

 

 

「………何あんた?」

 

 

急な呼びかけに相手の子は奇怪な目をこちらに向けてくる。

 

 

「急にごめん。俺は1年Dクラスの九条。君、腿・腰と脇腹、それと肩痛めてるでしょ?」

 

 

「……はあ?」

 

 

まあ急に言われたらこんな反応なのだろう…。にしてもドライだ…。

 

 

「あんた、そもそもこの時間はもう保健室空いてない。」

 

 

えっ、そうなん…。

 

 

「よし、じゃあ俺の部屋に行こう!最低限、応急処置の道具は揃ってる。多分」

 

 

「はあ?なんでいきなり知らない男の部屋なんか行かなきゃならないんだよ。」

 

 

相手の子はそう言って困惑している。

 

 

そんなこと知ったこっちゃない。もしアザでも残ったら大変だ。せっかく綺麗な肌をしてるのに!

 

 

「知ったことか。それよりも君の綺麗な身体に痕が残ることの方が問題だ!さあ、行くぞ!」

 

 

そういうと俺は彼女の腕を掴む。

 

 

「っっ!離せ!」

 

 

彼女は俺に対して蹴りを繰り出す。

 

それを俺はヒョイと、避けると彼女を横抱きにする。

 

 

「はいはい。暴れない。怪我人は大人しくね。あと、ハイキックするならちゃんと見えないように下履いとかないと。」

 

 

「っな!!!!!////」

 

 

そこからも彼女は暴れていたが、綺麗にいなす。

 

 

 

 

あっという間に俺の部屋へ着くと、俺は彼女をベッドへ優しく下ろす。

 

 

「………っ、あんた……こんな辱め…許さない………///」

 

 

「それよりも治療が先。早く処置しないと痕が残るよ〜。はいじゃあ腿から!」

 

 

何やらこちらを威嚇しているようだが有無を言わせず俺は治療を始める。

 

 

「なっ、どこ触ってんだ!」

 

 

中々恥ずかしがりやさんみたいだ。ただ治療が優先だ。

 

 

「抵抗しない。せっかく綺麗な肌、痕なんか残したくないでしょ?」

 

 

手早く、治療をすすめる。

せっかく綺麗な肌をしているのに腿は既に赤黒くなってきていた。

さっさと治療しないと。

 

 

「別に気にしない、別に痕ができるくらい。」

 

 

そう、彼女は抵抗するが俺は聞き流しながら、手を緩めない。

 

 

「次、はい肩見せて〜。ほんとなんでこんなに怪我してるんだよ…。」

 

 

何を言っても聞かないと諦めたのか、彼女は少しずつ、言うことを聞きお願いする通りに動くようになる。

おかげで治療もスムーズに進んだ。

流石に腰辺りを治療するのは、少し恥ずかしかったのか抵抗されたが、献身的な言葉が効いたのか最後にはちゃんと治療させてくれた。

名前とかも教えてもらい、Cクラスの伊吹澪と彼女は名乗る。

 

案外、素直な子だったらしい。

 

 

「それにしても。こんな複数のアザ…、多少転けるなんかじゃできる傷じゃないよ。もしかして暴行か?」

 

 

俺は、そう彼女に問いかける。

 

彼女は少し黙り込むが、一つため息をつくと答え始める。

 

 

「………、そうだよ。」

 

 

「何故?」

 

 

「うちのクラスでリーダーを名乗り出す奴が出てきた。そいつのやり方が気に食わなかったから文句言いに行ったらこれ。」

 

 

えぇ…、どこの独裁国家だよ。

 

 

「学校に報告はしないのか?」

 

 

「それじゃあ私が、逃げたみたいじゃん。それに監視カメラなんかには映ってない。」

 

 

彼女は負けん気が強いらしい。

 

 

「そのアザだけで十分証拠になるぞ。」

 

 

「あたしが嫌なの。」

 

 

それから、伊吹の愚痴は止まらなかった。

暴行を加えたのは龍園と山田アルベルトと言うらしい。他クラスの様子を確認した時に見かけたがあのゴツかったのが山田アルベルトだろう…。龍園はどいつかまだわからんが…。いや…にしても体格差…。伊吹さんもよく立ち向かったな。

 

 

まだやりあったアドレナリンが出てるのか、はたまたやられたことを思い出してなのか、伊吹の興奮に話は留まるところを知らなかった。

 

なので、俺は夕食をつくると提案し今は一緒に食卓を囲んでいる。

 

「なんで、こんなに上手いんだよ…。」

 

と言いながら食事がっつく伊吹さんは子犬のようだ。

 

そんな伊吹さんを微笑ましく眺めていたら、

 

「何よ!あげないよ!」

 

と言う始末。犬かな?猫かな?

 

 

つい数時間前には、男の部屋なんて…と警戒心MAXだったはずがご飯を食べ終え俺のベッドでくつろいでいる。

 

今なら顎の下を撫でたら、ゴロゴロとでも言い出しそうな勢いだ。

 

 

「伊吹さん。まだこれからも龍園達に立ち向かうつもり?」

 

 

くつろいでいる伊吹さんに俺はそう問う。

 

 

「は?当たり前。」

 

 

伊吹さんは当然のように答える。

 

 

やっぱりそうなるよなあ…。

 

 

「龍園がどんなやつか知らないが少なくとも山田アルベルトはやめとけ…。身体いくつあっても足りなくなる…。」

 

 

俺はそう忠告する。

 

 

「は?私じゃ無理だっていうの?」

 

 

「うん。あまりに体格、質量が違いすぎる。それに伊吹さんって正攻法で戦うでしょ?伊吹さんの実力はさっき見たけどかなりあるのは分かる。ただあくまでそれが通用するのは同性や素人に限る。けど実力もあって体格差もあるとなると搦手でも使わないと勝率はほぼゼロだよ。」

 

 

「なら実力を証明するまでよっ!」

 

 

 

俺の言葉が気に食わなかったのかベッドでくつろいでいる体勢から俺に向かってまた蹴りを繰り出す。

 

かなり喧嘩っ早いらしい。たださっきも言ったが、せめて下は履いといてくれ…。案外可愛い下着を履いてるのが丸見えだ。

 

俺は呆れたようにため息を吐き、伊吹の攻撃をひょいとかわす。余裕そうな態度が不服なのかさらに伊吹は連続して攻撃を繰り出す。

 

埒があかないので、俺は伊吹の攻撃を交わすと反撃に出る。両腕を掴みそのままベッドへ押し倒す。

 

 

「伊吹さん…。君は分かってるはずだ。君では彼らには勝てない。」

 

 

俺と伊吹の顔は目と鼻の先にある。

 

 

「じゃあ、何もせず見ておけって言うの!?」

 

 

伊吹はそう反論する。

 

 

「別に何もするな、とは言ってない。ただ身体じゃなく頭を使えと言っている。

それに、俺は伊吹さんには傷ついてほしくない。」

 

 

女性にも手を出すやつだ。これ以上盾突いてももっと傷つくだけだ。それに好戦的な伊吹さんのことだ。幾ら傷つこうと止めないだろう。そうなるいつか取り返しのつかないレベルになるかもしれない。そうはなってほしくないのだ。

 

 

「なっ////なんなのよあんた。」

 

 

伊吹は思わず目をそらす。

 

 

「伊吹さん。君にはもっと自分の身体を大切にしてほしい。その身体は君だけのものじゃないんだ。(親とか)」

 

 

「はあ!?何言ってんの!?(勘違い)」

 

 

伊吹さんは顔を真っ赤にさせる。

 

 

「とにかく、自分をもっと大切に扱うこと。じゃないとその度俺が伊吹さんの身体中を治療することになるよ。」

 

 

半分冗談だが半分本気でもある。こう言っておけば流石に伊吹さんも恥ずかしいだろう。

 

 

「へ…変態!!!」

 

 

羞恥顔の伊吹さんに「変態」と頂きました。うんご褒美だ。

 

あと忘れないでいただきたいのは彼らは今ベッドの上で男が女を押し倒しており顔が目と鼻の先という構図なのである。事案ですね。

 

 

 

 

 

 

そこからは、龍園の愚痴から移行して俺に対する罵倒が始まった。やれ初対面でその距離感はおかしいだの、やれその図体でなんでそんな料理が上手いだの、やれ発言がキモいだの言いたい放題だった。

 

俺はごめんね〜、と流しながらその話を聞いていたのだが、伊吹さんは徐々に声の威勢は落ち着いていきそのまま俺のベッドで眠りについた。

 

 

 

 

えぇ…、この子不用心にもほどがあるだろう…。連れ込んだのは俺だけど初対面の男部屋で寝るか普通?手を出されても文句言えないぞ…。まあ俺は紳士だからそんなことしないけど…。

 

 

と言いながら俺はパシャリと伊吹さんの寝顔の写真を撮る。

 

起きてると不機嫌そうな顔をしているが、寝ていると中々幼い顔立ちをしている。

 

 

 

 

俺は紳士(二度目)なので伊吹さんに掛け布団をかけると、風呂へ入り普段のルーティンをこなすと床に伏して眠りにつく。

 

 

「おやすみ伊吹さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、まだ日が昇り出す少し前、俺は目が覚める。

 

ベッドを見るとまだ伊吹さんが寝息を立てている。

俺は起こさないようにそっと起きると朝のルーティンをこなしていく。

いつもは少しジョギングに出てから食事の準備をするのだが今日は伊吹さんがいるので先に食事の準備をする。

 

生活音が耳に入ったのか、ベッドの方がゴソゴソと動き始める。

 

 

「〜〜〜〜んぅぅぅ。」

 

 

なんとも言えない声を出し目覚める伊吹さん。まだ寝ぼけているようだ。

俺はそんな伊吹さんの目の前にいく。

 

 

「よく寝てたね。おはよう伊吹さん。」

 

 

数秒の間が空いて……伊吹さんは目の前の状況を把握したようだ。

 

 

「…………………………、はあああああああ!!!!!!」

 

 

うん、朝チュンってやつだね。(違う)

 

 

伊吹さんは現実逃避なのか布団にうずくまってしまった。

 

 

「伊吹さん。それ俺の布団だけど…。」

 

 

俺の言葉に伊吹さんらおずおずと顔を覗かせる。顔は真っ赤になっている。

 

 

「うぅぅぅ…。しんじらんない…。」

 

 

そんな伊吹さんに構わず俺は声をかける。

 

 

「伊吹さん。朝ごはん用意してるから食べよう。」

 

 

ジト目でこちらを睨む伊吹さん。その場から動こうとしない。

 

 

「あっ、もしかして朝ごはん食べない派?」

 

 

「そんなこと言ってない。」

 

 

どうやら食べるらしい。

そこから俺達は朝ごはんを食す。

何か言いたげだが、ただもくもくと朝食を食した。

 

食べ終わると伊吹さんは、そそくさと部屋から出ていった。まだこの時間だと誰も外には出ていないだろう…。多分勘違いされるようなことはない。

 

出る間際にボソッと「ありがと…。」と伊吹さんはこちらに呟いた。めちゃくちゃキュンと来たので「またいつでもおいで。」と言っておいた。

 

 

 

 

 

また連絡先も交換したので、とりあえず挨拶と昨日の寝顔を送ったらまた荒ぶったのは後の話…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー暖かくなりました。虫がいますねー

 

 

 

 

休日の朝早く、俺は外に出てランニングを行っていた。

プリントを自作したり中々内職が多いのでいい気分転換になる。

それに5月も中旬となり緑も青々としてきている。中々いい眺めだ。

 

そんな中、茂みの中にうつ伏せで横たわっている生徒がいるのを俺は発見した。

 

 

なんだ!?事件か!!

 

伊吹の件があったので俺は暴行事件でもあったのかとすぐ駆けつける。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

俺は横たわっている生徒に声をかける。

 

だが、よく見てみるとその生徒は右手に虫眼鏡、近くには虫かごがあり何か観察しているようだった。

 

 

その生徒は俺の声にムクリと起き上がりこちらに振り向く。

 

「なんですか……。あなたは……。……………っっ!!!まさか私の味噌煮込みうどん一族が狙いですか!あげませんよ……。」

 

 

???この子は何を言っているのだろうか…?

 

 

青紫色の髪に両サイドをおさげにした可愛らしい女子生徒がこちらを見つめている。俺はこの子の言っている意味が何一つ分からず困惑するが、とりあえず邪魔をしたのだろうと悟る。

 

 

「あぁ…、何か観察してたのか…。ごめん。地面に伏してたから急病患者か何かかと勘違いしてた。」

 

 

俺の言葉に彼女は黙りこちらを観察する。

 

 

……………

 

 

 

……………

 

 

 

……………

 

 

 

……………

 

 

 

「フッ。」

 

 

えっ、なんの間?、で俺鼻で笑われた?

 

 

俺の困惑は止まらない。とりあえず彼女の身の回りを観察すると虫かごには蟻が数匹入っていた。

 

 

 

 

 

 

………えっ、トゲアリ!?

 

 

 

「…なんでこんなとこにトゲアリがいるんだ…?」

 

 

俺は思わず声に出してしまう。

 

トゲアリとは日本では絶滅危惧種に指定されており、主に広葉樹の根元に存在する。

そう、ここは海の上の埋め立て地である。広葉樹なんてものはない。何故生息しているのか…謎でしかないのだ。

 

 

しかし俺の声に彼女は急に目を見開かせる。

 

 

 

「おぉぉぉ…。あなたは同士でしたか。失礼しました。ついこの美しき味噌煮込みうどん一族への刺客かと…。私は森下藍と言います。同士よ。共に味噌煮込みうどん一族の繁栄を。」

 

 

失言だったと俺は後悔する。なんか目をつけられたらしいしやっぱり言っている意味が理解できない…。

 

 

「ハハハ。俺は九条将です。Dクラスです。はい。トゲアリ…凄いですね。まさかこんなところにいるんですね…。」

 

 

とりあえず話を合わせる。

味噌煮込みうどんには触れないでおく。

 

「同士九条将。あなたも感じてください。この地の声を……。聞こえるでしょう。一族の繁栄の声が。」

 

 

うん。分からん。

 

 

「そして今日ここであなたと私は出会った。これは運命です。あなたの手のシワの数から今までに食べたキノコの本数まで、ぜひとも語り合いましょう!さあ!」

 

 

俺は森下に腕を捕まれるがままに彼女の部屋に連行された。

 

 

 

 

 

 

そこから先はあまり覚えていない。

ただ彼女特製の変な色のドリンクを飲まさせられたことは覚えている。

 

「これで私達は一心同体です。」

 

とのことらしい。一体何を飲ませたんだ…。

 

 

 

 




さて伊吹、森下を登場させました。
伊吹が九条と夜を過ごした第一号となるとは…、まさかの刺客。
あと森下ってキャラがいまいち定まらないのですが、これで良かったんですかね?

あとやっぱりアンチヘイト要素入れたら賛否は分かれますよねー。どうするかはまだ構想中ですが評価下げきってから懐柔ってルートの方がドロドロの感じがして良くないですか?(異論は認める)まあ清廉潔白な恋愛もいいんですけどねー。

一応、注意としましては、ただただいちゃいちゃさせるだけじゃなくて、敵対など要素にはきっちりやり返しはあるのでそのへん考慮してもらえると助かります。
敵対しても後々いちゃつきルートに行く可能性もありますし、フェードアウトするかもしれませんし…、歪な関係に落とし込むかも…?まあ私のやりたいようにしますので…。
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