女たらしが往く実力至上主義の教室   作:俺は社畜

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32話 マイペースは強力なスパイス

 

 

唐突に寝間着で俺の部屋に訪れた真澄に対して、俺はどこから突っ込めばいいのか頭の中でパニックに陥っていた。

 

 

 

「…………、真澄?泊まりに来たの?」

 

 

 

「そうよ。…………なにか問題?」

 

 

 

さも当たり前のように答える真澄。

 

流石にこの格好の真澄と伊吹さんや椎名さんを引き合わすのは問題しかない気が……。ただ追い返すのは論外だし。

 

 

 

俺はただひたすらに解決策を模索する…。

 

 

 

「………大丈夫よ。今日は眠りにきただけだから////」

 

 

 

何を思ってか真澄はそんなことを口にする。

 

…………………、だめだ。彼女達と引き合わせたら修羅場の未来しか見えねぇ…。せっかく心を許してくれてる伊吹さんや椎名さんの軽蔑する視線が見える。

 

 

 

「……、真澄。実は今来客中でさ。一緒に寝るのはOKだから、来客帰り次第連絡するからちょっと自分の部屋で待っててくれないか?」

 

 

 

苦し紛れに俺はそう提案する。

 

 

 

 

 

「……………………………………女でしょ?」

 

 

 

何故こういう時の女性の勘って鋭いのだろうか…。

 

 

 

「そうだよ。心配かけたから真澄同様に話をしていたんだ。」

 

 

ごまかす訳にもいかないので正直に答える。

 

 

 

「別に私は気にしないわよ。私は将のベッドでくつろいでおくから…。」

 

 

 

ここ数日、何をしでかすか分からない真澄だが幸いにも女性を部屋にあげていることには寛容のようだ。

 

ただ、その格好なのが問題なのよ……。

 

 

 

そうこう話しているうちにかなり時間が経っていたらしい………。

 

部屋の方から椎名がひょっこりと顔を覗かせる。

 

 

 

「九条君?何か問題でもありましたか?」

 

 

 

椎名さん。ちょっとプライベートなので出てこないで………。ちょっとマイペースすぎだよ。

 

 

 

「………へぇ。可愛らしい子じゃない。」

 

 

 

真澄は椎名をじっと見る。

 

空気はどんどん淀んでいく…。

 

 

 

 

 

「…………彼女は何故パジャマなのですか?」

 

 

 

そんな空気お構いなしにぶっこむ椎名。

 

流石に俺も心臓が持ちそうにない。

 

 

 

「ここに泊まるのよ。」

 

 

 

真澄、さぞ当たり前のように言わないで。多分椎名さんとか普通の子は異性のところに泊まるなんて普通は思わないのよ……。

 

 

 

「まあ、お泊り会というやつですね。それは楽しそうです。さぁさぁ、部屋にあがってください。」

 

 

 

だが俺の心配をよそに椎名は満面の笑みで真澄に声をかける。

真澄も呆気にとられたように「え、えぇ…。」と部屋に入る始末。

 

 

 

もう、どうなってもいいか…。

 

俺は考えることを放棄した。

 

 

 

 

 

部屋では真澄と伊吹による第2ラウンドが開始されたが、椎名に任せて俺はもう考えることをやめている。

 

 

それに、伊吹さんも真澄の行動を否定しているがあなたもここで一晩過ごしたことあるからね?次の火種になりかねないので言わないが……。

 

 

 

やり合う2人だが、椎名のマイペースさにやられ徐々にクールダウンしていく。

 

 

 

「ふん。まあこいつが女たらしなのは見てて分かってたわよ。流石に同衾するのはあり得ないけど…。」

 

 

 

おっしゃる通りです……。

※既に複数の同衾を行っている。

ただ女性側の意識が問題だと俺は思います……。

 

腕を組み不機嫌そうに伊吹は俺を見る。

 

 

 

「………、なぜ伊吹さんは不機嫌なのですか?お泊り会とは良い友人関係を築けていることだと思うのですが…。」

 

 

 

しかし、椎名は不思議そうに俺に問いかけてくる。

 

 

 

……、椎名さんはそのままでいてね。ただ今回はノーコメントで………。

 

 

 

「あっ、なるほど!伊吹さんもお泊り会をしたかったのですね!ならば九条君。伊吹さんもぜひお仲間に入れてあげてください!」

 

 

 

「なんでそうなるのよ!!!」

 

 

 

椎名のとんでも発言に伊吹は思わずツッコむ。同衾を想像したのか顔は真っ赤になっている。

 

 

 

「嫌よ。今日は私のものなんだから。」

 

 

 

真澄も真澄でそう言う。

 

いや……、俺は真澄のものではないのだが…。

 

真澄は自分のものであることを誇示するかのように俺に抱きつく。

 

 

 

「あんた何やってるの?九条も受け入れてんじゃないわよ!」

 

 

 

「抱擁はオキシトシンが分泌され、非常に幸福感を得られると聞いたことがあります。神室さんもそれを実践してらっしゃるのですね。」

 

 

 

伊吹は引き続きツッコむ。

この中だとツッコみは君しかいないよ…。

椎名は椎名で何やら抱擁について語り目を輝かせている。

多分椎名さんが思っている理由ではない。

 

しかし椎名さんは何を思ったのか、真澄が俺の左半身に抱きついている反対側にギュッと抱きついている。

 

 

 

「なるほど。これは中々良いものですね。満足感や高揚感がとても高まりますし、なんだが身体がぽかぽかします。」

 

 

 

無自覚に胸を押し付けて密着してくる椎名。

 

 

 

「九条…………。あんた…………。」

 

 

 

伊吹は俺を軽蔑した目で見てくる。

 

 

いやいや伊吹さんや………、これ俺が悪いの?明らかに椎名さんのマイペースさの暴走だと思うのだが…。それに椎名さん無自覚なのかそんなに押し付けないで下さい。なんだかんだあって俺の理性のハードルは昨日から下がりっぱなしなのよ……。

 

 

真澄も負けじと密着してくる。

 

 

あぁだめだ。収拾がつかない!

俺は2人を引き剥がしにかかる。

しかし非常に強力なようで全く離れそうにない。

 

 

 

「伊吹さん。たすけて!」

 

 

 

思わず伊吹さんに救助要請するが、

「勝手にいちゃついとけばいいじゃん。」といじけてこちらを見向きもしない。

 

 

 

 

なんとか時間をかけて引き剥がした。

彼女達のその細い腕のどこに先程の力が備わっているのだろう……。不思議である。

 

伊吹は引き続きいじけているようで明後日の方向を向いている。

 

 

 

 

「九条君。伊吹さんにも同じことをしてあげて下さい。このままじゃ彼女だけ仲間外れですから。」

 

 

 

とんでもないことを椎名さんは提案してくる。

 

 

 

「さぁさぁ。」

 

 

 

俺の背中をグイグイと押す椎名さん。

やめてくれ。俺がぶっ飛ばされるんだよ。

 

少しずつ伊吹との距離が近づいてくる。

俺はセクハラはしません、との意思表示で両手をあげて耐えている。

幸い伊吹さんからの蹴りは炸裂していない。ただじっとしている。

 

 

 

「…………、何。あんた、私は二人と違って嫌なのかよ。」

 

 

 

キッ、と睨んてくる伊吹さん。

 

 

…………えっ、なんか反応が違う。

 

 

伊吹さんの反応に俺は伊吹さんを2度見する。前髪で目元は隠れて見えないが、唇を噤んでいる。

 

 

まさかのオッケーらしい………。

 

 

 

そう気づいた俺は、ギュッと伊吹さんを包み込んだ。

 

なんだか心を許してくれなかった保護猫がはじめて自分の手から餌を食べてくれたようなそんな爽快な気分になった俺はひたすら抱きしめ、頭を撫で回す。

 

 

伊吹さんの顔は見えないが、体重は俺の胸に預けている。

 

 

 

「あらあら。中々情熱的ですね。私も次お願いします。」

 

 

 

「……………、私を放置するなんて…、後で覚えときなさい…。」

 

 

 

後ろから不穏な声が聞こえてくるが考えないようにする。

とにかく今は伊吹さんを愛でてあげないと!(使命感)

 

 

 

 

暫く伊吹さんを堪能した俺は俺の腰を突く真澄によって静止させられた。

 

 

夢中になっていたようだ……。

これは仕方がない!

 

 

 

真澄からのジト目が少し怖いが俺は自分の中て完結する。

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから椎名にも同じように抱きしめたり、真澄にネチネチ言われたりしたが、なんとか修羅場にはならなかった。

 

伊吹は抱きしめてから終始大人しくなっていたが、チラチラと目線は感じていた。

 

 

 

椎名が「私もお泊り会やってみたい。」と急に発言しだした時は焦ったが丁寧にお断りを入れ、基本的には同性とやるもの、と教えてあげた。

目の前に異性間でお泊りする奴らがいるせいでずっと首を傾げていたが一旦説得は成功したらしい。

 

「それならば伊吹さんのところに泊まらせてもらいます」とウキウキで伊吹さんの手を掴み、椎名さんらはそのまま嵐のように帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

急に二人が帰ったからか、部屋は妙に静けさを感じる。

 

真澄は少し不機嫌なのかベッドに寝転がり携帯をいじっていた。

 

 

 

ただ、俺はもうこういう時の真澄への対処法は知っている。かまってあげる。それに尽きる。

 

 

 

うつ伏せで携帯をいじる真澄の横に同じようにうつ伏せになる。

 

 

 

「真澄?もう二人だから遠慮しなくていいんだぞ?」

 

 

 

「……………、別に。」

 

 

 

うーん。ちょっと拗ねてるらしい。

 

 

 

腕を真澄の肩にまわし、そっと身体を寄せる。

 

 

 

「……………、別にあの2人を気にしてるわけじゃない。私は将のしたい事の邪魔はしたくない。」

 

 

 

真澄はゆっくりと話し始める。

 

 

 

「だけどやっぱり嫉妬しちゃう自分もいるの。「私だけを見て欲しい」。そんな自分が醜く思って………。」

 

 

 

彼女は彼女なりに色々と考えているらしい。

 

というより暴走する事実こそあるが真澄、めちゃくちゃ良い女じゃん……。

独占欲はだいたいの人間にあるし、強弱はあるが一般的な感情ではある。教官も大人数を満たしてあげることと対にあるこの感情とどう向き合うかが非常に難しい問題だとおっしゃられていた。独占欲を超える何かを満たしてあげる必要があるが、真澄は自分で独占欲を認めた上で許容しようとしてくれているらしい……。

 

椎名さんや伊吹さんがいた手前、そんなところも見せれずに、いざ二人きりになるとナイーブなところが出てきたのだろう。

そんな真澄は優しく包み込んであげるに限る。

 

 

 

「そんなこと考えてくれてたんだ。真澄はほんと出来た女性だよ。色々俺のために考えてくれてありがとう。今からは真澄の独り占めだからさ、俺も真澄のことしか考えないから。」

 

 

 

 

 

そこからは、ストッパーが外れたように甘えてくる真澄がいたとか……。

 

 

 

 

 

あまりに甘い空間なため、内容は割愛することとする……。

 

 

ブラックコーヒー…………イヤ…センブリチャクダサイ……。

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあそろそろ寝るか。」

 

 

 

気がつくと23時もまわって、俺は寝ることを提案する。

昨日もそんなに眠れてなかったし…(意味深)、今日は少し早いがゆっくり寝たい。

 

 

 

そんな俺の思いをよそに真澄はおもむろに自分の枕を縦に振り出す。

 

ゴソゴソ ゴソゴソ

 

 

すると枕カバーから何やら箱が…………、

 

ポトリ

 

 

|ω・`)ノ ヤァ セ○ミ 0.01

 

 

 

 

 

……………………………、マスミサン、ネムリニキタノデハ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー伊吹部屋ーーーー

 

 

 

「そういえば、伊吹さん。神室さんの枕カバーの中から何やら0.01と書かれた箱が見えたのですが……、あれはトランプか何かでしょうか?」

 

 

 

 

 

「なっ/////////!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 




思い悩む真澄、せっかく良い女ムーブするが結局暴走は止まらない模様。
大天使ひよりさんはマイペースに限る。

みなさん、感想・高評価ありがとうございます。
前話後書きのお気持ち表明のせいか評価投票がグンと増えたようで……、皆様のあたたかさをしみじみと感じております。
なんか乞食みたいな感じなってて申し訳ないとも………。
本来もう少しペースを落として投稿していく予定でしたがため置き無くなってもいいや、と溜めてる分はとりあえず出していくことにします。ただ感想を見る頻度とかは落ちるかもしれませんのでご了承下さい。
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