6月も末、
ストーカー事件の結果として、俺と愛里は250万ポイントずつを手に入れた。
共に応接室に通された当初、俺と愛里にはそれぞれ80万ポイントを提案された。
長々とそのポイント数の理由を述べていたが要約すると傷害事件、及びストーカー被害の慰謝料の相場から算出したらしい。
愛里はよくわからずに頷くBOTと化していたが、俺としてはもっと分捕るつもりだ。
何より慰謝料から算出自体はいいが、全寮制の学校としての監督責任・安全責任は考慮されていない。
それにここは国営の学校である。そんな中でのこのような事件外に出たらどうなるか……、じっくりねっとりと俺は説明して差し上げた。
徐々に顔を青くする学園側は結果として250万までポイントを釣り上げた。
ちなみにそのポイントの一部は学園上層部の減給処分から賄われるらしい。
こいつら生徒が相手だと思って下に見てたんだろうがそうは問屋が卸さないよ…。
ポイントが送金されるとすぐにそのうちの半分は波瑠加に送信した。だが、あまりのポイントに驚愕して波瑠加はすぐに全額返金してきた。
せいぜい数万ポイントだろうと思ってたらしく、今度欲しいものを奢る+一緒に買いに行くことで合意した。
その次の日
無事にポイントが入った俺は今は清隆と帰路についていた。
なんか、清隆と二人で帰るのは、久しぶりに感じる…。
「清隆は最近学校生活はどうなの?」
クラスでは話すことが多い俺たちだが、休日や学校以外に関してはあまり遊んだりしていない。せいぜい俺が部屋に凸しに行くくらいだ。
清隆は自ら誘ってくるようなタイプじゃなく、娯楽にも疎い、さらに俺は俺でだいたい休日や放課後は誰かといる。(ほぼ女)
清隆に常識を教えて、清隆の友達になる、と決めた俺だがどうも女の子優先気味だったらしい……。
「………、堀北主導の勉強会組で祝勝会をした。」
一瞬考えた清隆だが、そう答えた。
今は6月末、学校の末テストはほぼ1ヶ月前…。清隆を見るに出来事はそれだけ…………。(察し)
ごめんな……清隆………、どっか遊びに行こうな?
「清隆。何か行きたい娯楽施設とかないのか?」
「……………、女子達がよくカラオケというものを口にしているのを聞く。強いて言うならそれが気になる。」
きよぽんはカラオケがご所望らしい。
「良し!日程合わせて行こう!」
即座に俺は清隆を誘う。
「ほ、本当か?」
目を輝かせる清隆に、俺はもう少し清隆との時間も作ろうと心に決めるのであった。
夜、急遽愛里から会いたいと言われ俺の部屋に来てもらっている。
「実は…………、大変な現場に遭遇してしまって…。」
愛里が言うにはこうだ。
放課後、いつものように一人で写真の題材を求めて校内を徘徊していたらしい。
そして特別棟へ行ったらしく、そこでかなり時間を費やしていたそうだ。
そんな時だった。不穏な声が、聞こえてきたらしい…。一声で「言い争い」だと直感したそうだ。すぐに逃げよう、そう思ったらしいが特別棟を離れるにはその言い合う現場を通り抜ける必要があったらしく、断念した。そして同時に「この現場を抑えておくことで何か役に立つかも?」との気持ちが出てきたらしく、少し離れていたそうだが、その現場の映像をいざこざが終わるまで撮っていたそうだ。
「この学校は常に思考し続けること…。将君から学びました。私も何かしないと…、そう思ったら撮っていました………。」
考えて行動する。愛里はすごい成長している。ただ、愛里は可愛くて非力な女の子だ。俺とは違う。
「愛里………、まず無事で良かった。でも何でもかんでも危険なことに足を突っ込むことはしなくていいんだよ?」
とにかく、俺は彼女を労って無事で良かったと声をかける。
そして、映像を見せてもらった。
開始からすでに言い争いは始まっているが、中に見知った顔があった。
「…………須藤か。」
映像には須藤と他に3人の生徒がいる。その3人が須藤に挑発を繰り返す。
「バスケ部を辞めろ」
「Dクラスの落ちこぼれ」
「不良品」
須藤は言い返しもしていたが、「お前らなんか相手にするだけ無駄だわ。」と踵を返してその場から立ち去ろうとしていた。
………、意外だな須藤…。お前もっと喧嘩っ早い印象だったろう…。中間テスト期間から鈴音らと勉強会、今でも授業終わりには鈴音が話しかける場面をよく見る。
あと鈴音いわく、かなり肉で釣れるそうなので挑発に乗るな、とのお言葉をしっかり守っているのだろう。
男3人はそんな挑発を躱す須藤に焦ったのか、そのうちの一人が須藤に殴りかかる。流石に須藤もそれにキレ、3対1の殴り合いが発生する。
せっかく耐えてたのに………、まあよく耐えたほうなのか…。
須藤はそれぞれ一発ずつ3人の腹にパンチをお見舞いし、3人はうずくまる。
…1発KO?それにしては不自然な倒れ方だな…。やられた振りをしてるのか?
3人の倒れ方が不自然に感じるが、そして間もなく須藤も現場から離れる。
そこで映像は途切れる…。
「……愛里。このあとこの3人はどうなったかわかるか?」
「ごめんなさい。流石に怖くなっちゃって…………、少し場を離れてしまって…、暫くして戻った時にはもう誰もいませんでした。」
こいつらのこのあとの行動が気になったが………、
「とりあえず、愛里。この映像俺にも送ってほしい。それからもしかしたら来週にも何か問題になるかもしれない。」
「分かりました…。それで私はどうしたら良いでしょうか?」
「愛里はとりあえず無関係を貫いて良い。これだけで愛里は十分だ。後は俺に任せて。」
まだまだ対人関係には不安が多い愛里だ。もし、この事件が表面化して愛里が証人になっても愛里の負担になるだけだ。それに仮にポイントの動く事態になった時、俺が動いたほうがより確実だろう。というより勘だがおそらく、この事件は何か動いてる。愛里に危険な目にはあわせれない。
「そうですよね………。」
頼られないことが残念なのか、愛里は俯く。
「愛里。君は十分に頼りになってる。何も前線に出て何かやるだけが全てじゃない。愛里は愛里のできることから、それで十分役に立ってるんだよ?」
そんな愛里に俺は諭すように言い聞かせる。
それでも顔は少し晴れないようだが、なんとか納得はしてくれたらしい………。
7月1日
朝一番に端末のポイントは一切増えていなかった。
教室に入っても、ポイントが無いことで話題はもちきりだった。
あれだけ真面目に授業を受け、テストも大健闘していたのに………。
ほんな声が、あちこちから聞こえてくる。
俺や平田はそんな落胆する声を励ましフォローを入れる。
「何か手違いに違いない。」
「朝の朝礼一番にすぐ確認しよう。」
そう、クラス中を励ました。
チャイムがなり、先生が教室へ入ってくる。
「おはよう諸君。今日はいつにも増して落ち着かないな。」
そんな第一声が聞こえる。
「先生! 俺たち今月もポイント0なんすか!? 朝チェックしたら1ポイントも振り込まれてなかったんすけど!これだけ頑張ったのにあんまりっすよ!」
池が先生に声を上げる。
「なるほど、それで落ち着かなかったわけか。」
「俺たちこの1ヶ月、中間テストだって乗り切って、遅刻や欠席、授業態度だって改善しました。それでも評価は0なんですか!」
クラスメイトもヒートアップする池とおおよそ同意見なのか頷く。
「そう騒ぐな。今から説明してやるから…、まず話を聞け。」
そんなクラスに先生は宥めると、教室を見回した。
「確かにお前たちは頑張っていた。それは私も認めよう。お前たちが思っていることは学校側も理解している。」
「ではまず、今月のポイントを発表する。」
先生はそう言うと、紙を黒板に広げた。
『Dクラス 91』
各クラスのポイントが記載れる中、Dクラスにも0以外の数が記載されている。
その事実にDクラスからは歓喜の声があがる。
「よっしゃあああああああああ。」
「脱、極貧生活!」
「1日300ポイントは使えるぜぇ。」
「頑張って良かった…………。」
各々、そのポイントを噛みしめる。
「あれ? でもクラスポイント増えてんのになんで1ポイントも振り込まれてないんだ?」
歓喜から一転して、池は当然の疑問に行き着く。
この記載なら9100ポイントが振り込まれているはず、なのにポイントは全く振り込まれていない。
一体なぜ?どうして?、という疑問が彼らに伝染していく。
クラス中に伝播したのを確認すると先生は教室中を見渡し、すぐに答えを出した。
「少しトラブルがあってな、1年生全体のポイント支給が遅れている。だから悪いんだが、少しの間待ってもらうこととなった。」
その不満には当然不満の声があがる。
4月初め以来のポイントだ…。ほぼ3ヶ月ぶり。そりゃ不満の声はあがる………。
「そう責めてくれるな。イチ教師の私にはどうすることも出来ない。トラブルが解消したらすぐにポイントは支給されるはずだ。だから少し我慢してくれ。まあ……………ポイントが残っていれば、だがな。」
茶柱先生は最後に不穏な一言を放つ。
ただ、クラスはそんなことよりポイントが支給されることに浮かれ、だれもその発言に気づくことは無かった…。
その中で一人、茶柱先生の発言と先週末の出来事を照らし合わせる生徒がいた。
…………………察し。
まず日常編が普段月末ごとでしたが話の流れから前話にほりこみました。
そして清隆は1人の休日何してるのだろうかと気になったこの頃。
それから佐倉の成長は今のところ原作と一番乖離がありますね。九条の評価もうなぎのぼりですよ。