女たらしが往く実力至上主義の教室   作:俺は社畜

40 / 44
40話 いざ審議へ…

 

ーーーー綾小路Sideーーーー

 

 

「それでは審議を開始します。」

 

 

 

生徒会書紀の橘茜の言葉により審議が始まる。

 

この場には審判員として生徒会会長と書紀、被害者側としてCクラスの小宮、近藤、石崎、担任の坂上先生。加害者側としてDクラス須藤、弁護で堀北、綾小路、担任の茶柱先生がいる。

 

 

「まずこの場は決していち学園の審議だと軽く思わないで下さい。まず証人になる1年Cクラスの3名及び1年Dクラス1名は手元にある『宣誓書』をよく読み記入の上、以下の文を順に宣誓するようお願いします。」

 

 

『証人は、尋問に先立って宣誓をします。宣誓では、良心に従って真実を述べ,何事も隠さず、偽りを述べない旨を誓います。』

 

 

 

………、えらくしっかりした審議だな…。

これは九条が確実にCクラスを追い詰めるために仕込んだやつだろうな。

 

 

 

あまりに偽証に対しての念押しがあるので、俺は九条がよりCクラスにダメージが入るよう生徒会に手引きしていると悟った。

 

4人はそれぞれ宣誓書に記入と宣誓文を読み席につく。

Cクラスもまさか監視カメラもなく、ただ目撃情報をせっせと集めてまわるDクラスに証拠があるわけがない。と思ってるのだろう…。余裕の表情で宣誓文を読む。

 

 

 

「それでは、以降の発言に偽証が発覚した場合は相応の処分となりますのでご注意願います。」

 

 

 

そして、審議がはじまった。

 

 

 

「ではこれより、先週発生しました、暴行事件について審判要員として生徒会、及び事件の担任教員・関係者を交え審議を執り行いたいと思います。進行は生徒会書紀、橘が務めます。よろしくお願いします。」

 

 

橘書紀による挨拶から始まり、まずは簡単に事件の概要についての説明が入る。

 

両陣営はそれをただただ口を挟むことなく聞いていた。

 

 

 

「小宮さん近藤さんのバスケット部員2名は、須藤さんに呼び出され特別棟に行った。そこで喧嘩を吹っかけられ、須藤さんから殴られた、と主張していますが改めて経緯の説明をお願いします。」

 

 

 

それから話は具体的な質疑に入る。

橘先輩の問いに対して、Cクラスが席を立つ。

 

 

 

「はい。まず僕たちは須藤と同じバスケ部に所属しています。そんなある日、彼から呼び出されました。日頃彼は僕たちの事を見下すような発言をします。彼はバスケが上手いですからね…。その呼び出しもどうせ僕たちに対する嫌味か何かだと思いました。そして彼の呼び出しに応じ、特別棟へ行ったのですが、案の定嫌味でした。そして僕たちは「それは違う。」と少し反論したところ、彼から暴力を浴びせられた。というのが今回の出来事です。」

 

 

 

小宮は淡々とあった事を話す。

 

 

 

「っ、てめぇ「やめなさい。」…チッ。」

 

 

 

須藤はCクラスの言い分があまりに食い違うため、思わず声をあげようとするが堀北に静止される。

 

 

 

……堀北、あいついつの間に須藤を制御できるようになったんだ?

 

 

 

堀北の一声を聞き入れる須藤の姿に俺は感心と疑問が湧く。

 

 

 

「……、ではなぜ石崎さんが一緒にいたのですか?」

 

 

橘書紀は続けてそう問いかける。

 

 

 

「それは……、須藤は暴力的な面があるのは有名ですから、こちらも万が一のためについてきてもらっただけです。」

 

 

 

「そうですか。ありがとうございます。では少し具体的なところも確認させて頂きます。須藤さんにはどういう発言をされたのでしょうか?」

 

 

 

「彼は僕らに対して嘲笑し「お前らがいるとバスケ部のレベルが下がる。」的な言葉や「下手がうつるから辞めろ。」との言葉を浴びせられました。」

 

 

 

Cクラスの言葉に、相変わらず須藤は殴り掛かりそうな顔をしているが、堀北が目で静止している。

 

 

 

「それに対して反論したところ、暴力を振るわれた、ということですね?」

 

 

 

「そうです。」

 

 

 

「それでは3人に伺いますが、具体的に何処にどう攻撃をされましたか。また反撃や防衛はしましたか?」

 

 

 

それに対して3人はそれぞれ、腹や腕、腿や顔に複数回は殴られたと主張した。

その上、反撃は一切せず、顔を隠すや須藤の腕を掴みに行くといった防衛行動はとったと述べた。

 

 

 

「わかりました…。ではお座り頂いて結構です。」

 

 

「続いて須藤さんからの経緯の説明をお願いします。」

 

 

 

次にこちら側の主張が始まった。

 

 

 

「まずこいつらの言ったことは何一つ本当の事を言ってねぇ。あの日、俺は小宮と近藤から特別棟に呼び出されたんだ。日頃からこいつらは俺を目の敵にしてる節があった。丁度俺がレギュラー候補になる話も出たし、そのあたりの話もするのかと思い、少しでもバスケがやりやすいよう解消するならと思って、呼び出された場所に行ったんだよ。無視したら今後のバスケするのに邪魔になるかもしれねぇしな。そして特別棟に行ったんだが石崎のやつもいた。それから俺に対して、「不良品」だの「バスケ部を辞めろ」だの「Dクラスの落ちこぼれ」だの誹謗中傷をただ言ってきやがった。流石にアホらしくなった俺は、そこから立ち去ろうとしたところでこいつらが手を出してきやがった。これが事件の真相だ。」

 

 

 

「…そうですか。ちなみに須藤さんはどこか殴られたなどはありますか。それから反撃などは行いましたか?」

 

 

 

「…………殴りかかられはしたが、ほぼ避けた。当たったのも掠ったくらいで痕は残ってねぇ。………………………反撃はした。」

 

 

 

須藤も手を出したことは分が悪いと感じているのか、少し尻すぼみになる。

 

 

 

「反撃はどの程度行ったのでしょうか?」

 

 

 

「それぞれ身体に一発ずつだ。もしかしたらもう一発くらいしたかもしれねぇがそこまで覚えていない。ただ少なくとも、顔には手を出してねぇことは覚えている。」

 

 

 

「それは嘘です。彼はほぼ一方的にこちらを殴り続けました!」

 

 

 

小宮が、その言葉に、反論する。

 

 

 

「今は須藤さんへの質疑です。反論は後ほど伺います。」

 

 

 

橘書紀がすかさず注意を入れる。

 

 

 

「さて、質問に戻ります。須藤さんはその後、学校や担任などにその後報告は行わなかったみたいですが……、それはなぜですか?」

 

 

 

「………、その時は別にこんな大事になるなんて全く考えてなかったんだ…。向こうから手を出されて俺はただの正当防衛・被害者だと思っていたからだ。…………ただその後、クラスの奴から俺のその考えについて指摘を受け、今は少し後悔してるよ……。あの時報告さえすれば、こんなことにならなかったかもしれねぇってな…。」

 

 

 

……、案外九条の言葉が刺さっていたらしい…。単なる脳筋ではなかったようだ。良かったな…九条……。

 

 

 

そして、生徒会から須藤への質疑が終了する。

 

 

 

「双方共の経緯をお伺いしました。揉め事があった、その事実は間違いないと思いますが、食い違う点が見られます。

・呼び出した方

・先に手を出した方

・暴力の内容

どちらかが偽証している可能性が高いと思われます。ここからは双方より証拠の提出や質疑に移りたいと思います。それぞれ、挙手を行ってから発言をお願いします。」

 

 

 

早速、堀北が手を挙げる。

橘書紀より許可が出て、堀北は発言をはじめる。

 

 

 

「先程あなたたちは、須藤くんに呼び出され特別棟に行ったと言いました。わざわざ嫌味を言われると考えておきながら会いに行ったのですか?」

 

 

 

「仮に無視して行かなかったとすれば、それでまた恫喝などされると思ったので行きました。」

 

なるほど…。理にはかなってそうだ。

 

 

「では、石崎くんをよんだのは万が一のためと言っていましたが、1対3は少し過剰ではないでしょうか?」

 

 

「須藤くんの暴力的な噂や体格の大きさ的に、用心に連れて行くのはおかしくないとおもいますが?」

 

 

「つまり、暴力を振るわれる可能性もあると、思っていたんですね。」

 

 

「そうです。」

 

 

「石崎くんは中学時代は喧嘩が強かったと有名だったそうですが、彼を選んだのはそういった理由だったんですか?」

 

 

「喧嘩が強い、というのは確かに有名な話でそれも一理ありますが、普通に頼める友人としてついて来てもらいました。」

 

 

 

……中々Cクラスも尻尾を出さない。発言にも特に矛盾はない。堀北はどうするのだろうか?

 

 

 

「では、暴力になる可能性もある、そのために用心も連れて行った。その上で実際事件が起きたにも関わらず、なぜただ一方的に襲われたのでしょう?」

 

 

 

「………言っている意味がよくわかりません。」

 

 

 

「石崎くんは須藤くんと同じく春頃に少し揉め事を起こした、との情報がありました。そんな人物がただ殴られるだけで済ませるでしょうか?ましてはスポーツをしている2人と喧嘩慣れしている1人。あまりに不自然じゃありませんか?」

 

 

 

堀北は淡々と不自然な点をCクラスに確認していく。

Cクラスからしても、しつこく聞かれるこの状況に少しずつイライラしてきているのが見て取れる。

 

冷静さを欠かせにいっているらしい…。

 

 

 

「ただこちらに喧嘩の意志がなかっただけですよ。そりゃしたいと思う方がおかしいのでは?それこそ須藤のように。」

 

 

 

「なにっ、てめぇ!」

 

 

 

思わぬ飛び火に須藤もヒートアップしてくるが、堀北が目で静止する。

 

 

…………クッソ…。

 

 

 

須藤………、お前なんか弱みでも握られてるのか……?

 

 

あまりに従順な須藤に俺は首を傾げる。

 

 

 

「それから、あなた達の怪我についても聞きたいのですが……、それは本当に須藤くんによる怪我なんでしょうか?」

 

 

 

「何いってんだ?そうだと言ってるだろ?」

 

 

 

「いえ………、3人の怪我について見させて貰いました。石崎くんは目元の痣や身体にもいくつかあります。他の2人についても同程度の打撲痕が見られます。それなのに見てください。須藤くんの手を。…………………あまりにきれいじゃありませんか?」

 

 

 

須藤の手に注目が向く。

 

 

 

「彼らは言いました。それぞれ複数回は殴られた、と…………。3人だと少なくとも10回ほどは殴ったことになります。それにひどい痣ができるほどの………。普通これほどの怪我を負わせる程度殴ると殴る側にも痕跡が残るはずです。それなのに須藤くんには何一つありません。もし物で殴りつけた、とかなら分からなかったですが、彼らは確かに殴られた、と言ったのです。」

 

 

 

堀北の攻めにCクラスはどんどん顔が赤くなってきている。

 

 

そんな中ついにCクラス側が痺れを切らした。

 

 

 

「なんだよ。こっちは怪我を負って、そっちは無傷。何度も言ってるだろ!それに須藤は日常から態度は悪い、喧嘩もする。そんな状況でなんで俺たちが疑われんだよ! 一方的にそっちから喧嘩を吹っかけてきたんだ!それ以上もそれ以下もねぇ!」

 

 

その状況に堀北は待ってましたと冷静に質問を続ける。

 

 

 

「では、なぜあなたたちを特別棟という普段使わない場所に呼び出したんでしょうか?」

 

 

「そんなの決まってんだろ!あそこは放課後なんかまず人がいねぇし、監視カメラもねぇか……………ら……。」

 

 

 

小宮は途中で急に口を閉じる。

そこに堀北が追撃を開始する。

 

 

「小宮くん。どうしてあなたはあの場所が監視カメラがないと知っているんですか?」

 

 

 

「知ってるとわりーのかよ。ただ特別棟の監視カメラがないことは有名なんだよ!」

 

 

「なるほど…。ただあそこはまだ私達1年生には馴染みが少ない場所です。私もあそこに監視カメラがない、と知ったのはこの事件が起きてからです。それをさも普通に知っていた。…………それは、須藤くんを貶めるのに都合がいい場所だから予め調査していたから、では無いのでしょうか?」

 

 

堀北は核心に迫る質問をする。

獲物を捕らえるような目でCクラスを見る堀北。失言をした小宮は特に顔を青くする。

 

 

そんな時、Cクラスの担任である坂上が声をあげる。

 

 

 

「堀北さん、と言いましたか……。それは些か飛躍し過ぎではないでしょうか?」

 

 

「あなたが今、言ったこと。それは結局Dクラスから見た願望でしかありません。確かに防犯カメラの無いところで事件は起きました。こちらは3人で会いに行きました。だからなんだというのでしょう…?こちらは3人怪我をした事実、そちらの生徒とこちらの生徒3人が特別棟で会ったという事実、そちらは報告すらもせずにいた事実。それは変わりようもない事実です。それを棚に上げて少しでもDクラスが有利になるような点だけを言われましても…、Cクラスとしては鼻で笑うしかありませんよ?」

 

 

 

…、せっかく堀北が詰めにかかっていたのに嫌なタイミングで大人が出てきた。

 

勢いよく話していた堀北も思わぬ指摘に勢いを殺され、反論の言葉が出てこないようだ。

 

 

 

「そもそもなぜDクラスを貶める必要があるのでしょう?まだ1年も序盤、それに事件時点ではDクラスはクラスポインゼロ。こちらは約500。わざわざ陥れるような行為をしてまでこんな事件そもそも起こすはずが無いじゃないですか。」

 

 

 

坂上の主張は止まらない。

 

堀北には決定的な証拠が無い以上、不審点を口述でねじ伏せていくしかなかった。ただ今それは厳しい状況になりつつある。

 

さあ……、どうする…堀北…。

 

 

 

「……………、確かに起きた事実だけ見れば須藤くんに疑いが向く…。それは確かにそうです。実際、Dクラスでもそういう空気も流れました…。」

 

 

 

堀北はポツポツと話し始める。

声色は弱々しく、Cクラス側もその事実に口元が緩み始めている。

 

 

 

「だけど、やはりこの事件には不審点が多すぎる!特別棟という特殊な場所での事件、予め監視カメラの有無を知っているCクラス、3人という過剰戦力、全く怪我が無い須藤くんの手。学校側は白黒つける必要があるのは重々承知です。ただ今回の事件に限ってはDクラス側としては間違いなくCクラスによる事件だと考えております。その事を考えていただき、判断して頂きたいと願っています。どうぞ、よろしくお願いします。」

 

 

 

そう堀北は締めくくり、生徒会へ頭を下げる。

 

 

 

「……………、他に何かある方はいらっしゃらないでしょうか?」

 

 

 

堀北の演説に橘書紀はタイミングだと考え、締めに入ろうと声をかける。

 

流石にこの堀北の言葉の後に続く者は出ず、質疑、尋問は締め切られる。

 

 

 

「それでは…………、会長。」

 

 

 

橘書紀は中央に座る生徒会長に目を向ける。ここまで、堀北会長は一言も発することなくただこのやり取りを傍観していた。

どのような判断をするのか………。

 

 

 

「ここまでのやり取りを聞かせてもらった。再度確認となるのだが…………、須藤、小宮、近藤、石崎………。お前たちの発言に嘘偽りは本当に無かったんだな?」

 

 

堀北会長の鋭い視線が四人に向けられる。

 

 

そのオーラと視線にたじろぐ四人だが、全員「偽りはない。」と改めて主張した。

 

 

 

「そうか…………。その言葉…、責任持てよ。」

 

「橘。そこのパソコンにこのUSBを差して映像を流してくれ。」

 

 

 

堀北会長はおもむろにUSBを取り出すとその中の映像を流すよう橘書紀に命ずる。

 

 

 

ここに集まったメンバーは何が始まるのか、周りに目を配らせ始める。

 

 

 

「……兄さん…。何をしようとしているの?」

 

 

横で堀北も困惑した表情だ。

 

 

 

 

 

 

俺は一人これから流れる映像、そこからの判決まで思い浮かべながら橘書紀の準備する方を眺めていた。

 

 

 

 

 

 




狂犬を制御する堀北。いい絵になると思う。
堀北がすでに兄さんと関係改善したせいであまりに有に………。おかげでこの審議、綾小路と茶柱さん空気に…。
ごめんなさい…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。