2日目となった学校は早速授業とはならずガイダンスや自己紹介などが中心となった。
今は授業の流れなどの説明中だ。説明は聞き流しながら俺はとりあえずさっきあった自己紹介でのクラス全員の顔と名前、趣味などを頭に叩き込み、そして学校のシステムについて熟考していた。
朝と休み時間を使用してとりあえず2年の教室と雰囲気、1年の教室周りを周った。
そこで感じたのは、1年のクラスごとの雰囲気の違い、それから2年のA〜Dクラスにかけての机の少なさだ。1年と合格人数が違うとなれば、話は変わってくるが明らかに
Aクラス→Bクラス→Cクラス→Dクラスの順に座席数が少なくなっていた。全体数が1年生と違うとしてもクラスごとに人数が違うのは違和感しかない。
そうなると明らかに2年生では退学者が出ているとの結論に至る。
しかもDになるに連れ多くなっているのも気になる。とりあえず次は3年生の教室を見に行きたいが…
朝から少し疲れたので息抜きがてら次の休み時間はクラスメイトと絡むことにする。
チャイムがなりクラスはグループが形成されつつあり、複数人ペアがいくつか出来ていた。昨日の買い物やどうでも良いような雑談など多種多様の会話を楽しんでいる。
そんな中俺は、椅子に座って次の授業の準備を行っていた一人の生徒に声をかける。
『こんにちは』
後ろから突然の挨拶に、その子は肩をびくっ、とさせる。
「ぴゃっ!」
その可愛いらしい声と驚き方には小動物を思わせる愛らしさがあった。
『そんなに驚くとは思わなかったよ。ごめんね王さん。』
「あっ…えっ、中国語?」
王美雨は中国からの留学生である。
昨日からの自己紹介で彼女が中国からの留学生だと分かり、そこから俺は中国語でコミュニケーションをとろうと決めていた。
「うん。実は少しだけ中国にいた事があっていちおう中国語話せるんだ。せっかく覚えたのに日本じゃ使うことなくて…、自己紹介を聞いて久しぶりに中国語で話が出来る子がいる、ってテンションあがっちゃったよ。」
俺の言葉に王さんは目を輝かせる。
「そうなんですね!ごめんなさい!私もまさかここで中国語が聞けるなんて全く考えてなかったから思考が回らなくって…」
王さんもまさか母国語で話せるとは思っておらず、かなり興奮しているようだった。
『もし良かったらたまにこうして中国語で話してほしいな。』
『うん。私からもぜひお願いしたいよ。』
そう言うと王さんは興奮しっぱなしのようで、俺の手を両手で掴んでブンブン上下に振っている。
『そんなに喜んでくれて嬉しいよ。王さんって可愛い手してるんだね。』
俺は一心不乱に手を振る王さんにそう言うと王さんは、自分の大胆さにハッと我に返ったのか俺の手をパッと話すと顔を真っ赤にさせた。
『ご…ごめんなさい!興奮しちゃって!思わず手を握っちゃいました…。』
王さんはそういうと、恥ずかしいのか顔を俯かせる。
『全然。逆に役得だよ。君みたいな可愛い子にそんなに喜んでもらって俺はとても嬉しいよ。』
「はぅぅ〜……。」
王さんは、さらに顔を赤く染める。頭からは湯気が出てるようにも見える。
俺はさらにそこに追撃するかのように声をかける。
「それと自己紹介で言ってたけど、俺もみーちゃんって呼んでいい?」
「……はいぃぃ。ぜひお願いします。」
そう言うとみーちゃんは顔を机に突っ伏してしまった。そこからは声をかけても上の空だったので、俺は「じゃあまたよろしくね。」と声をかけて席に戻った。
みーちゃんの反応に元気を貰った俺は残りの授業や偵察も頑張ろうと心に誓うのであった。
そして、昼休みになり俺は3年の教室周りに訪れていた。
ここに来る前に清隆と少し意見を交わした。ここ(3年生フロア)では、退学をかけるイベントの有無や2年のDクラスにかけての人数が少なくクラスの雰囲気など総合的に鑑みて、少なくとも2年ではクラスごとに得るポイントが違うと考えた。したがってクラスごとによるポイントの差や能力差があるか、この2点を上級生から確認出来れば上出来との見解に至った。
まず各クラスを見て回ると2年生と同じく机の数は少なく、Dクラスにかけて数が少なかった。つまり清隆と立てた仮説の一つであるDクラスにかけて退学する人材(落ち溢れた生徒)が多くいることが現実を帯びたことになる。
そうこうして、各教室を回り終えあとは上級生との接触をどうしようかと考えていた時、後ろから声がかかった。
「おい。お前、1年だろう?こんなところに何のようだ?」
俺は後ろを向くと、二人の生徒が立っていた。一人はメガネを掛け、見るからに優等生っぽい様相。さらにスキのない佇まいは、おそらく相当やり手の武道家だと推測出来る。一方、向かって右側には両サイドにお団子を付けた紫ヘアーの少し幼さの残る顔をした女子生徒が立っていた。
「そうですね。1年です。ここには少しこの目で確認したいことがあったので。」
俺の言葉にメガネの男子生徒は目を細めた。
「ほぅ…、何が気になったか教えてみろ。」
俺は答えようとするが、いきなりだったので相手の名前すら聞いていなかったことに気づく。
「えっと…、すみません。名前を教えて頂いてもよろしいですか?俺は九条といいます。」
「ふっ…そうだな。名乗ってなかったな。すまなかった。俺は堀北学と言う一応生徒会長を務めている。」
「私は橘茜です。生徒会書紀をしています。」
二人は堀北、橘と言うらしい。てか堀北って…、雰囲気的にもあいつのお兄さんか?私、気になります。
俺は堀北会長に問いかけた。
「あのいきなり脱線してすみません。堀北会長って妹とかいたりします?」
俺の言葉に少し複雑そうな顔をする堀北会長。
「………。あぁ、いるぞ。そう聞くということはお前はDクラスか?」
堀北会長の言葉にやっぱりか…、と思い少し顔が緩む。
「そうですね。あとやっぱり堀北さんのお兄さんですか…。」
堀北会長は俺の言葉を聞き流すと、
「それにしても、Dクラスの九条か。お前は確か入試試験が満点だったと話題になっていたな。」
いきなり堀北会長にカミングアウトをされた。
「えぇ、満点ですか!」
その言葉に驚きを隠せない橘。
「俺も初耳なんですけど…。生徒会って入試の結果を見ることも可能なんですね…。と、それより気になることですよね…。ええと俺も丁度上級生に確認したいことがありまして…、少し考察も含めてお聞きして貰ってもよろしいですか?」
脱線した話題から俺は無理やり話を戻すと二人に質問した。
俺の言葉に二人は頷く。
「まず気になったのは机の数ですね。2年生3年生と見ましたがクラスによってバラバラ。その上Dクラスにかけて数が少なくなっています。」
俺の発言に二人は驚いたように目を見開く。俺はさらに続けて
「つまりDクラスにかけて退学者の数が多いと結論付けました。なぜそのような順になっているのか。それはDクラスにかけて退学しやすい生徒が多いということ。それと無料用品や上級生のクラスごとの雰囲気を見るにDクラスにかけてポイントが少ないとみました。他にも教師の説明やその他要因を踏まえて、お伺いしたいことは3つ。」
「1つ、ポイントの増減や退学者の出る何かしらのイベント・行事はあるのか。
2つ、クラスによっての毎月配布のポイントに差があるか。
3つ、クラス分けがある程度の能力順に振り分けられているか。この3つについてお伺いしたいですね。」
俺の言葉に堀北会長が答える。
「まるでポイント増減は決定していて来月1日に10万ポイント入らないのを確信してるかのような言い方だな…。」
「お前の質問に対する答えだが…、そうだな、その質問には答えられない。としか言えんな。」
堀北会長は鋭い目つきでそう答える。
そのポーカーフェイスに何も引き出せそうにないが、俺は後ろでアワアワしている橘先輩をみて、確信する。
「まあ、毎月10万入るなんて説明は受けてませんから…。あと橘先輩。ポーカーフェイスはもう少し覚えた方が良いですよ。俺としてはアワアワしてる先輩が凄い可愛くて好きですが、それは全て肯定してるものなので。」
俺の言葉に橘先輩は一瞬ハッとするがもう遅い。堀北会長もフッと口元を緩める。
今になって必死に無表情を演じる橘先輩に俺は堪らなく愛おしさを感じていた。
そうしみじみとしていた俺に、堀北会長は携帯を差し出した。
「九条。何かあったら俺に連絡してこい。あとここまで分析した褒美と先行投資だ。受け取れ。」
堀北会長はそう言うと、連絡先・続けて10万ポイントを俺の携帯に振り込んだ。
「マジですか…。有り難く頂きますが後で返してくれ、とかは止めてくださいね…。」
「そんなことするわけ無いだろ…。」
堀北会長は呆れながら呟く。そして一通り終えた俺と二人はその場で別れた。因みに橘先輩とも連絡先を交換して、去り際に茜先輩と呼んだらアワアワしてて可愛かった。
あと堀北会長に早速メールで
『教師に「学校内に買えないものはない」と説明を受けましたが、本当に何でも買えるんでしょうか?』
と送ったら、茶柱先生と同じく『言葉の通りだ。』と濁されたうえで何故か1万ポイントもくれた。堀北会長…それは正解って言ってるもんですって…。
みーちゃんとか茜先輩とかああいう守りたくなるタイプの娘っていいよね。
やっとタイトルっぽいことをやれたかなと感慨深く思います。
あと主人公は世界を回るにあたり複数言語は話せる様です。
※投稿主は中国語を少し習った時期はありましたがきれいさっぱり忘れました。自分の名前くらいしか中国語はできません。