女たらしが往く実力至上主義の教室   作:俺は社畜

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8話 交渉

学校は3日目になった。

 

 

俺は朝礼を終え、教室から出た茶柱先生に放課後に時間をとってもらうようお願いし、了承を得た。

 

授業は本格的に始まっていた。しかし、いきなり須藤がイビキを立てて寝ていた。ただ教師はそれに対して特に注意することなく授業が進行している。

それをみて一部の生徒がコソコソと雑談を始める。教師は特に注意をしない。さらに他の生徒がつられるように話し出す、携帯を触る、寝る。最初こそ駄目なことだ、と自制していた他の生徒達だが徐々に「周りもやってるから…」「注意されないし…」との考えに陥ったのだろう。3日目が終わる頃には、既にクラスのおよそ3分の1は授業そっちのけで各々のやりたいように過ごしていた。

 

俺は一応、一度は注意を呼びかけた。特に雑談に関しては真面目に授業を受けている子たちの邪魔になるからだ。別に授業を受けずに成績が落ちようが知ったこっちゃない。しかし、その注意に対して…、

 

「お前、良い子ぶってんじゃねぇぞ。」

 

と返されるのみだった。救いようのない奴はどの世界にもいるのだな…、と思った俺はそこからは注意することなく授業を受けた。

 

休み時間には、注意したことについて

「わざわざ憎まれ役を買ってくれてありがとう。」

と櫛田から声をかける一幕もあった。

 

彼女の気配りには心が洗われる。櫛田マジ天使。

 

 

 

 

そうしているうちに放課後になった俺は終礼が終わるとともに教室を出て、職員室に向かった。

 

さて…、どうなることやら…。

 

 

 

 

 

職員室に入ると既に茶柱先生は待っていた。

 

 

「来たか九条。ここに座れ。」

 

茶柱先生のデスクの横には椅子が用意されていた。

 

 

「失礼します。」

 

 

俺はその椅子に座る。デスクの配置もあって俺と茶柱先生は腿が触れそうなほど距離が近かった。正直、10代にこの刺激は毒だと思う。

 

そんなことを考えていた俺だが、これからポイントを分捕るのだと気持ちを切り替えて茶柱先生に向かい合った。

 

 

「まずは、茶柱先生。時間を作って頂きありがとうございます。」

 

 

俺はそう切り出した。

 

 

「実は先生に確認したいことと交渉したいことがありまして…」

 

 

「ほぅ……、良いぞ。言ってみろ。」

 

 

俺が話し出すと、茶柱先生はおもむろに足を組む。腿まで見えているタイトスカートに黒のストッキング。その格好で足を組む姿に俺は少し思考を乱されるが一つ息を吐き、呼吸を整えると…、

 

 

「まずは、少し本質とは外れますが今日の授業中々騒がしかったのですが、教師として注意などは取らないのですか?」

 

 

まずは軽く世間話から始める。

 

 

「この学校は、生徒の自主性を重んじるからな。こちらからは特に注意することや矯正することは無い。」

 

 

そう茶柱先生は答える。

 

 

「なるほど…。そういう方針なのですね…。因みに授業態度によってポイントが下がることってありますか?」

 

 

俺は唐突に核心に迫る質問を突っ込む。

茶柱先生はいきなりの質問に思わず表情を変える。

 

 

「…なんのことだ?」

 

 

そう一言呟く。

 

 

「いえいえ、来月のポイントが下がるのは嫌だなあ、と思いまして…。」

 

 

俺はそう畳み掛ける。茶柱先生はどう返答しようと迷っているのか無言を貫く。

 

 

「ですので、明日にポイントの変動についてみんなに共有しようと思うのですが…」

 

 

「…まるでポイントが変動することに疑いがないような言い方だな…。」

 

 

茶柱先生は、少し眉を潜めながら呟く。

 

 

「えぇ、ある程度自信はありましたが、先生の表情をみて確信を得ました。」

 

 

そう述べる俺に茶柱先生は「はぁ…」とため息をつく。そして…

 

 

「あぁ、その通りだ。クラスごとに評価を下して毎月のポイントは変動する。」

 

 

諦めたように茶柱先生は言った。

 

 

「九条。入学早々にこのシステムについて気づいたのは、お前が初めてだ。あと他の生徒には他言無用で頼む。この情報は本来5月に入って初めの朝礼時に公表される決まりになっている。」

 

 

茶柱先生は俺にそう頼み込む。

その言葉に俺は視線を強めた。

 

 

「なるほど…。しかし茶柱先生。別に俺がその決まりを守る必要はあるのでしょうか…?」

 

 

「…何?」

 

 

俺の言葉に茶柱先生は顔をしかめる。

 

 

「いや、この情報は俺が実力でたどり着いたものです。それをどう使用しようがそれはこちらの勝手では?」

 

 

「…………何が望みだ?」

 

 

茶柱先生は俺がこの情報を交渉材料にしようとしている事に気がついたようでそう問いかける。

 

 

「この学校は実力が全てで、それを評価するんですよね?ならばこの情報を広めない代わりにそれなりの対価があっても良いと思うんですよ。」

 

 

俺の言葉に茶柱先生は目を細めた。

 

 

「………はぁ、確かに実力を評価するのがここでの決まりだ…。お前は何を望む…?」

 

 

茶柱先生は観念したのか俺にそう尋ねる。

俺としては、思ったよりかなりあっさりと交渉に応じたことに拍子抜けしていた。

 

えらく素直に応じたな…。ならば遠慮なく言わせて貰おうか…。

 

 

「そうですね…。1年生は合わせて160名いますから、俺を除いた159名へ対して口止めとなります。一人あたり10万ポイントとして全員で1590万ポイントでどうでしょう?」

 

 

正直、めちゃくちゃな額を言っている自覚はあるがとりあえず希望額を伝える。

 

 

「流石に論外だ。そうだな…50万ポイントでどうだ?」

 

 

茶柱先生は速攻でその提案を拒み、俺の提示額の30分の1程度を提示した。

 

 

「いやいや。それこそ論外でしょう。クラスのあんな騒いでいる生徒でさえ10万ポイントも評価されてるんですよね。でもまあ…仕方ないですね…。そちらの考えも尊重しましょう。1000万ポイントでどうでしょう。」

 

 

俺は提示額を引き下げつつも強気な姿勢を貫く。

 

 

「100万だ。」

 

 

茶柱先生も提示額を釣り上げるがあまり妥協するつもりは無いらしい。

 

 

「話になりませんね。では交渉決裂ということで…」

 

 

俺は埒があかないと席を立つ。冷めた顔をするのも忘れない。

 

その場から立ち去るように歩き出す俺の腕を茶柱先生は掴む。

 

 

「300万だ…。これ以上はこちらも譲歩出来ない…。」

 

 

茶柱先生はそう奥歯を噛み締めるように呟く。

 

 

「仕方ないですね。今回はそれで手を打ちましょう。」

 

 

流石にこれ以上は厳しそうだったので、俺はその提案を許諾する。

 

俺は再び席に戻る。

 

「ただ…、こちらもかなり譲歩したのでいくつかやって頂きたいことがあるのですが…。」

 

 

茶柱先生は俺の言葉に身構える。

 

 

「そんな対したことじゃないですよ笑

ポイントを保管する別口座を2つ開設して欲しいのとあと茶柱先生の連絡先が欲しいですね。」

 

 

そのお願いに先生は少し怪訝そうな面持ちで俺を見る。

 

 

「別に悪いように使う訳じゃないですよ。ただ個人的に先生と連絡を取りたいだけですって。」

 

 

俺は冗談っぽく先生に笑いかけながら答える。

 

少し間を置いて、茶柱先生は一つ大きくため息をついた。

 

 

「分かった。認めよう。ただポイントの送金に関してはこちらも手続きがある。数日は見て欲しい。」

 

 

そういうと、先生はパソコンを起動させ、一枚のファイルを開いた。

見たところ、契約書のようだ。

 

そこから、俺と先生は内容を確認しながら、契約書を作成しそして署名した。

 

その後、新たな口座と先生の連絡先をもらい、俺は職員室をあとにする。

 

 

清隆には、すぐに結果を伝えたが、「そうか…。」との薄い反応しか帰ってこなかった。

清隆の部屋に凸してやろう、とも思ったが流石に3日連続はどうかと思い、俺は大人しく部屋に戻った。

 

 

部屋に戻った俺は、早速茶柱先生にメールを送った。挨拶メインだったとはいえ、全く返信が来る気配は無かった。

 

 

 

むしゃくしゃしたので寝る前にも茶柱先生におやすみメールを送ってみたが、やはり返信は無かった。

解せぬ。

 




茶柱先生みたいな格好の教師が現実にいたら大変だと思うのは私だけじゃ無いと思うんです。

引き続きよろしくお願いします。
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