そう、不定期に定期投稿を繰り返す作者だ……。
5日目ですね。モチベが続く限り頑張ります。
やくおさん、感想ありがとうございます。
モチベーションにつながるので感想、評価などしていただけると頑張れます。
一瞬にして、演習場は戦場へと変貌した。
広場に降り立つヴィランたちが嘲笑を浮かべて迫ってくる。
「ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
「先生、侵入者用センサーは!」
「もちろんありますが……!」
八百万さんの問いに13号先生が応えるが、反応はない。
「現れたのはここだけか、学校全体か……何にせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうこと出来る個性がいるってことだな」
と、轟くんが冷静に分析する。
校舎から離れた隔離空間。そこへ少人数が入る時間割。
これは行き当たりばったりの奇襲ではない。用意周到に画策されたテロだ。
「13号避難開始! 学校に連絡試せ! センサーの対策も頭にある敵だ、電波系の個性が妨害している可能性もある。上鳴、おまえも個性で連絡試せ」
「ッス!」
相澤先生が迅速に指示を飛ばす。
「先生は!? 一人で戦うんですか!?」
緑谷くんが悲痛な声を上げるが、相澤先生はヴィランの群れを見据えたまま、短く返した。
「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号、任せたぞ」
その背中が、広場へと飛び出す。
みんなが慌ただしくなる中、僕が気になっていたのは水難ゾーンから漂う気配。
「司令官、この感覚は……!」
「うん、多分だけど……ヴィランの『悪意』に反応して深海棲艦が湧いたんだ!」
「碧海くん、何やってるんだ! ここは相澤先生に任せて俺達は速く避難を!」
飯田くんの声に我に返り、僕は吹雪と共に走り出した。
背後では、相澤先生が数多のヴィランを相手に、たった一人で戦端を開いている。
しかし、出口の門へと辿り着こうとしたその瞬間、目の前の空間が闇に侵食された。
「行かせませんよ」
逃げようとした僕たちの前に、巨大な黒い靄が立ち塞がった。
そこから覗く黄色の瞳が、冷徹に僕たちの退路を断つ。
「初めまして。我々は敵連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは……平和の象徴オールマイトに息絶えて頂きたいと思ってのことでして」
丁寧な言葉遣いとは裏腹に、そこには絶対的な殺意が込められていた。
「本来ならばあそこにオールマイトがいらっしゃるはずなのですが……何か変更あったのでしょうか? まあ、それとは関係なく……私の役目はこれ」
「その前に俺達にやられることは考えてなかったか!?」
言葉が終わるよりも早く、爆豪くんと切島くんが跳んだ。
凄まじい爆発と衝撃が響き、靄が吹き飛ぶ。だが、男は平然とした声で「危ない危ない……」とそれを回避すると、その黒い身体をより一層、巨大なカーテンのように広げた。
「そう……生徒といえど優秀な金の卵。さて──散らして、なぶり殺しにして差し上げます!」
視界が、どろりとした闇に塗り潰される。
僕は咄嗟に吹雪の手を強く握った。
「司令官、しっかり掴まっていてください!」
「分かってる! 吹雪、絶対に離れないで!」
強烈な浮遊感と、空間そのものがねじ切れるような不快感が全身を襲う。
視界が漆黒に染まり、平衡感覚が消失する。
どろりとした闇が肺にまで入り込んでくるような、生理的な不快感。僕はただ、隣にいるはずの吹雪の手を離さないよう、指先に全神経を集中させていた。
「……っ!」
次の瞬間、肺を押し潰していた圧力が消失し、強烈な光が網膜を焼く。
急激な重力の回復。僕の体は、はるか上空から叩き落とされるようにして放り出されていた。
「ワープ……!? あの黒いモヤの個性か!」
「司令官ッ!」
すぐ側で吹雪の声が響く。彼女は空中で見事に体勢を立て直すと、落下しながら僕の腰を強く抱き寄せた。
「吹雪、下は……!」
「水です! 衝撃に備えてください!」
視界いっぱいに広がる、不自然なほどに澄んだ青色。
USJの水難ゾーン。
巨大な造波装置を備えたその広大な人工池へと、僕たちは一直線に落ちていく。
ドォォォンッ!!
凄まじい衝撃と共に、冷たい水が僕の全身を包み込んだ。
タクティカルスーツが水を吸って急激に重くなる。鼻の奥を突く塩素の匂い。
泡に巻かれ、上下の感覚すら曖昧になる中、僕の腕を掴む強い力が僕を水面へと引き上げた。
「……っ、げほっ、ごほっ!」
水面に顔を出し、夢中で空気を吸い込む。
隣では吹雪が、自身の服を濡らしながらも鋭い視線で周囲を警戒していた。
「司令官、ご無事ですか!?」
「ああ、なんとか……。吹雪こそ、大丈夫か?」
「はい。水は私たちの戦場ですから。……司令官、どうやら歓迎されているようですよ」
吹雪の言葉に、僕は濡れた前髪をかき上げて周囲を見渡した。
僕たちが落ちたのは、水難ゾーンの中心付近。少し離れた場所には、難破船を模した巨大なオブジェがそびえ立っている。
そして、その水面から無数の頭が突き出していた。
「来た来た! ガキが二人落ちてきたぞ」
下卑た笑い声を上げながら、十数人のヴィランたちが僕たちを囲むように泳ぎ寄ってくる。
水棲系の個性を持ち、水の中での戦闘を得意とするヴィランたち。彼らにとって、このゾーンはまさに自分たちの独壇場なのだろう。
「ケロ。碧海ちゃん、大丈夫?」
不意に背後から声をかけられ、振り返ると、そこには見事な着水を見せた蛙吹さんが浮いていた。
「蛙吹さん……! 無事だったんだね」
「ええ。でも、状況はあまり良くないみたいね」
蛙吹さんは冷静にヴィランたちを観察しながら、僕たちのすぐ側まで泳いでくる。
水の中という不自由な環境で、水棲系のヴィランを相手にするのは自殺行為に近い。
その上、問題なのが──
「司令官、やはりいます!」
ザバァ、と巨大な水柱がヴィランの後ろに立ち、その中から異形の存在──深海棲艦が出てくる。
「よぉ、中々立派な個性持ってんじゃねぇか。お前もやるか?」
ヴィランの1人が、親しげに話しかけた。
「よせ! 今すぐそいつから離れたほうがいい!!」
「ああ?」
必死な警告も虚しく、男の背後で深海棲艦は口を大きく開け──バクンと一口、男を噛みちぎる。
「あ……がっ……!?」
絶叫すら、満足に上がらなかった。
先ほどまで下卑た笑いを浮かべていたヴィランの身体が、紙細工のように容易く引き裂かれる。
鮮血が、人工海の青い水をどす黒く染め上げていく。
「な……んだ、あいつ……。俺たちの仲間じゃねえのかよ!?」
仲間の惨死を目の当たりにした他のヴィランたちが、一気に青ざめて後ずさる。
しかし、異形の影──駆逐イ級は、その青白く、不気味に輝く瞳を次の獲物へと向けた。
奴らにとって、そこにいるのが『ヒーロー』か『ヴィラン』かなどという区別は存在しない。
ただ、この世界に満ちる生者の輝きを、底知れぬ憎悪で塗り潰すことだけが、奴らの本能なのだから。
「ひ、ひいぃっ! 来るな、来るんじゃねえ!!」
ヴィランが、必死に水を操って逃げようとする。
だが、水面を滑る深海棲艦の速度は、生身の人間が太刀打ちできるものではなかった。
「吹雪!」
「分かっています、司令官!」
僕の叫びに、吹雪が即座に応える。
彼女は水面を強く蹴ると、僕と蛙吹さんの前に立ち塞がるようにして、その手に握った連装砲の砲口を固定した。
「いっけぇー!!」
ドォォォンッ!!
空気を震わせる轟音と共に、12.7センチの砲弾が放たれる。
放たれた一撃は、ヴィランに喰らいつこうとしていたイ級の頭部に直撃し、黒い煙を上げてその巨体を仰け反らせた。
直撃を受けたイ級が、耳を劈くような金属音の絶叫を上げた。
頭部の一部を砕かれ、黒い煙を噴き出しながら水中に沈んでいく異形。だが、一隻を退けたところで状況が好転したわけではない。むしろ、噴き出した黒い霧のようなものが水面に広がり、辺りの空気をさらに重苦しく変えていく。
「な、なんだよこれ……! あいつら何なんだよ!」
生き残ったヴィランたちが、怯えきった声で叫ぶ。
仲間に喰らいついた化け物と、それを一撃で弾き飛ばした吹雪の火力。どちらも彼らの想定を遥かに超えていたのだろう。
「ケロ。碧海ちゃん、今のうちにあの船へ移動しましょう」
蛙吹さんが冷静に告げ、難破船のオブジェを指差す。
彼女は吹雪の放った砲撃の威力に一瞬だけ目を見開いたが、それ以上の追求はしてこなかった。今は何よりも、この混乱した水域から脱出することが先決だと判断したらしい。
「分かった。吹雪、蛙吹さんを援護して!」
「はい! 蛙吹さん、私の艤装に捕まってください。一気に加速します!」
吹雪が蛙吹さんの脇を抱えるようにして保持すると、艤装の機関が唸りを上げた。
水面を滑るというより、文字通り跳ねるような爆発的な加速。僕も吹雪の背中にしがみつき、激しい水飛沫を浴びながら難破船へと突き進む。
「……ッ!? 待て、逃がすかよ!」
パニックから立ち直った数人のヴィランが、水中から魚のような速度で追いすがってくる。
しかし、その追撃を阻んだのは、僕たちではなく深海棲艦だった。
ボコボコと水面が盛り上がり、新たに二隻、三隻とイ級が浮上してくる。
奴らにとって、逃げる僕たちも、それを追うヴィランも、等しく殲滅すべき生者でしかない。
「あ、がぁっ!? やめ……!」
背後で再び上がる悲鳴。
ヴィランたちが自分たちが引き連れてきたはずの悪意の化身に喰い荒らされる光景を、僕は奥歯を噛み締めて無視した。
「着きました! お二人とも、上へ!」
吹雪の誘導で、僕たちは難破船の甲板へと駆け上がった。
そこは数メートルの高さがあり、水中にいるヴィランや深海棲艦からは物理的な距離を置くことができる。ひとまずは安全な足場を確保できた形だ。
「ふぅ……。ありがとう吹雪ちゃん、助かったわ」
「……吹雪、状況は?」
「……最悪です、司令官。私の電探に、さらに反応。駆逐艦だけじゃありません。あれは──軽巡ヘ級ですッ!」
吹雪の言葉と同時に、難破船の周囲に水柱が上がった。
ヘ級が放った主砲の砲撃が、オブジェのすぐ脇に着弾したのだ。衝撃で船体が大きく揺れ、足元が不安定になる。
「ケロ!? 船が壊れるわ!」
蛙吹さんの叫ぶ通り、難破船は本物の砲撃に耐えられるようにはできていない。さらに追い打ちをかけるように、次弾が船体中央に直撃し、僕は開いていたハッチへと吸い込まれるように船倉の中へと転がり込んだ。
「司令官ッ!」
「大丈夫だ、吹雪はそこを死守して!」
暗い船内。外では吹雪が必死に砲戦を繰り広げる音が響き、船体が不気味に軋む。
このままでは、遠からずこの場所も沈められる。
焦燥の中、埃っぽい船倉の奥で、僕は一つの光を見つけた。
それは、ただの鉄屑に見える。けれど、僕の提督適性が、その欠片から溢れ出す強烈な海の声を感じ取っていた。
(……これは、艤装の欠片?)
埃っぽい船倉の奥底で、その欠片は静かに息づいていた。
それは、一見すればただの錆びついた鉄塊に過ぎない。しかし、僕が指先を触れた瞬間、耳鳴りとともに世界が反転した。
鼻腔を突くのは、重油の混じった潮風の匂い。そして幾千もの波濤を越えてきた鋼鉄が放つ、荒々しくも冷たい熱量。
欠片から溢れ出したのは、かつての海が持っていた記憶の奔流だった。
大正の世に産声を上げ、5,500トン級軽巡洋艦の先駆けとして、荒れ狂う北の海から熱帯の陽光までを駆け抜けた不屈の鋼。
14センチ単装砲が放つ咆哮、そして夜の海を切り裂き進む、36ノットの俊足。
この世界の個性などという枠組みでは決して測ることのできない、純然たる兵器としての自負と、それを包み込むような深い慈愛が、僕の脳内を埋め尽くしていく。
視界が青緑色の光に染まり、船倉に溜まっていたわずかな水が、意志を持ったかのように渦を巻き始めた。
激しく、しかし流麗に。その奔流は虚空から鉄の骨組みを編み上げ、リベットの1本1本に至るまでを、この現実世界へと再定義していく。
「──軽巡洋艦! 球磨!!」
僕の提督適性が、欠片の中に眠る魂の核心へと到達する。
鋼鉄の鎧が実体化し、激しい火花とともに彼女の身体へと統合されていく。
それは一種の神事にも似た、神聖なまでの再誕の儀式だった。
爆発的な光の粒子が吹き荒れ、船倉の壁を激しく叩く。
光の渦が収束し──そこには、栗毛色で頭の天辺に一房の愛くるしいアホ毛を携えた一人の少女が、凛として立っていた。
背負うのは、時代を切り拓いた5,500トン級の誇り。
ランドセルのように纏った艤装には、先端がぷっくりと膨らんだ三本の煙突が並び、そこから陽炎のような熱気が立ち昇っている。
アームによって接続された14センチ単装砲の一基が、主人の動きに合わせて滑らかに旋回し、水上偵察機を射出するためのカタパルトが、重厚な金属音を立てて固定された。
さらに、両足の装甲外側には連装型魚雷発射管が重々しく装備され、いつでも必殺の雷撃を放つ準備ができていることを示していた。
彼女はゆっくりとまぶたを持ち上げると、野性味を帯びた、しかしどこか悪戯っぽい瞳で僕を射抜いた。
「クマー。よろしくだクマ」
どこか気の抜けるその挨拶は、深山を流れる清流のように澄んでいながら、戦場を支配する軍艦としての重みを孕んでいた。
というわけで、4人目は意外に優秀な球磨ちゃんでした。
クゥ~マ~、クマ、クマ♪
引き続き出してほしい艦娘は活動報告の方で募集しております。
感想ですと、どうもアンケート行為となり利用規約に引っかかる可能性があるみたいで……。
駆逐、空母、戦艦、軽巡……次は誰にしようかな?
作者はバランスと好みを天秤にかけると全力で好みを取る人間です。
どちらの作品に興味があってこの小説を読んでいますか?
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ヒロアカ
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艦これ
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両方知らない
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両方知っている