戦闘狂が行く理想郷   作:烏鷺

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誤字報告毎度ありがとうごさいます。気を付けていても出てしまうので助かります。そして、感想もありがとうごさいます。


黒狗、大志、熱・其ノ参

「さぁて、夜襲のリュカオーンちゃんはどんな毛並みなのかしら〜?」

 

本来の目的を達成する傍らで気になっていた事を知ることが出来る。今のAnimaliaはその喜びで飛び跳ねそうな様子だった。

 

しかし、離れたところでリ(・)ュ(・)カ(・)オ(・)ー(・)ン(・)の(・)様(・)子(・)を見ている俺達は余裕の態度と帝王としての覇気を魅せ続けるユニークモンスターに違和感を覚えていた。

 

「さてさてぇ〜行くわよぉ!」

 

そして、Animalia達クラン『SF-Zoo』が夜襲のリュカオーンに近づいた時、偶然か必然かエリアから『光』が消えた。

 

「「!!」」

 

エリアを覆った『違和感』に最初に気がついたのはリュカオーンに餌と認められたユウヒとサンラク。

 

2人は反射的に空を見あげていた。

 

「ユウヒくんどうしたの?」

「サンラクさんどうしましたか?」

 

ユウヒとサンラクの異変にそれぞれ隣にいたペンシルゴンとサイガ-0が気がつく。

 

「いや…」

 

「空が…」

 

ペンシルゴンとサイガ-0に答える様に2人はそう呟く。そして、遅れてリュカオーンの前に立つAnimaliaも『違和感』に気がついた。

 

「空に何か…いる?」

 

『空』から感じる『違和感』に感覚でそう呟いた。

 

「暗い?」

 

そして、俺の肩に乗り俺につられて空を見上げたミュウラがそう呟いたのを聴いて俺は思(・)い(・)違(・)い(・)を(・)し(・)て(・)い(・)た(・)事を察した。

 

(今、このエリアは月光が無い…。月が雲で隠されている。完全な闇……ッ)

 

「そういう事かよ…」

 

俺はずっと『夜襲のリュカオーン』の『夜襲』を夜(・)に襲(・)っ(・)て(・)く(・)る(・)から『夜襲』なのだと思っていた。だが違った。

 

「そうか…」

 

俺が確信を得たと同時にサンラクの呟きが聞こえて来た。恐らく俺と同じく答えに気づいたのだろう。

 

そうだ。『夜襲』は夜に襲ってくるから夜襲なのでは無い。襲うのは夜(・)の(・)暗(・)闇(・)そ(・)の(・)も(・)の(・)。

 

襲(・)い(・)来(・)る(・)夜(・)闇(・)こ(・)そ(・)『夜襲のリュカオーン』。

 

瞬間、地面が爆ぜた。俺とサンラクが初めてリュカオーンと遭遇した時と同じように。Animaliaがいた地点を中心に地面が砕かれ土煙が舞った。

 

「な、何!?今の…!」

 

「攻撃か!?」

 

突然起きた爆発に『SF-Zoo』のメンバー達が動揺して声をあげる。

 

「ありえない!リュカオーンは今、園長(リーダー)の呪術で動け…な…い…」

 

そして、土煙が晴れ『SF-Zoo』のメンバーは言葉を失った。何故なら彼らを率いていたAnimaliaは夜(・)襲(・)の(・)リ(・)ュ(・)カ(・)オ(・)ー(・)ン(・)に(・)喰(・)わ(・)れ(・)半身をその口元から零していたのだから。

 

「うそ…なんで…」

 

「どういう事…」

 

「なんでリュカオーンが…も(・)う(・)一(・)体(・)い(・)る(・)の(・)よ(・)!?」

 

そう、Animaliaの呪術によりリュカオーンはまだ地面に伏せている。だが、Animaliaはリュカオーンに喰われている。今、俺達の目の前にはリ(・)ュ(・)カ(・)オ(・)ー(・)ン(・)が(・)2(・)体(・)い(・)る(・)。

 

「ユウヒくん!」

「サンラクさん!」

 

想定外過ぎる事態に『SF-Zoo』のメンバーは困惑し目に見えてわかる程統制が崩れている。そんな中、ペンシルゴンとサイガ-0は全てを理解したであろうユウヒとサンラクに声をかけた。

 

「あのリュカオーンは分身だ」

 

「あぁ、そしてあの分身は突(・)然(・)そ(・)こ(・)に(・)現(・)れ(・)た(・)」

 

俺とサンラクはペンシルゴンとサイガ-0に答えながらカッツォやミュウラにも話をしていく。

 

「リュカオーンの異名の『夜襲』は夜に襲って来るって意味じゃなかった」

 

「『夜襲』の真の意味は『襲い来る夜闇』。つまり、夜そのものがリュカオーンなんだ!」

 

「うそ…」

「そんな…」

「冗談だろ…?」

「それがリュカオーンの正体っ」

 

俺とサンラクの話を聞いた3人と1羽はリュカオーンに蹴散らされる『SF-Zoo』達を見ながらそう呟く。

 

この考えは間違っていないだろう。そうでないと最初に俺とサンラクの目の前に現れた理由の説明がつかないし、サンラクから聞いた足を破壊された攻撃のカラクリも解けない。

 

俺達は次々と潰されていく『SF-Zoo』のメンバーを見ながら改めてリュカオーン(最強種)の恐ろしさを実感していた。

 

そして、それは『SF-Zoo』のメンバーも同じだった。自分たちが全幅の信頼を寄せるAnimaliaが呪術で押さえ込んだにも関わらず喰(・)わ(・)れ(・)た(・)。

 

噛み付かれた、ではなく『喰われた』。

 

リュカオーンは自分たちの目の前で下半身を噛み砕いたAnimaliaを宙へ投げ残った上半身をその口の中へと収めそして咀嚼した。

 

既に統率を失ったメンバー達は右往左往しながら必死に逃げるか防御を固めている。しかし、そんな彼らを嘲笑うかのようにリュカオーンは姿を消すと影(・)か(・)ら(・)飛(・)び(・)出(・)し(・)プレイヤーを吹き飛ばした。

 

「影から影への瞬間移動!」

 

それを見たカッツォが声をあげる。

 

「なるほどな…」

 

そして、ユウヒは何か納得したようにそう呟いた。

 

「ユウ…もしかしてだが」

 

「あぁ、アレが本領なのかもな」

 

ユウヒの呟きを聞いたサンラクは確認するように声を出しユウヒは頷きながらそう応えた。

 

「『夜襲』…影移動…だからなのか…」

 

そして、ペンシルゴンもリュカオーンの本領に気がついていた。

 

「どういう事、なのでしょうか?」

 

「教えてくださいユウヒさん」

 

ユウヒ達の言葉にサイガ-0が首を傾げミュウラがユウヒにそう言う。カッツォはペンシルゴンと同様に何かに気づき目を見開いていた。

 

「さっき言った様にリュカオーンは夜闇そのもの。そして、彼奴は影から影への移動が可能だ。今、空に出ている月は地面を照らしているが月が雲で覆われるとエ(・)リ(・)ア(・)全(・)体(・)が(・)暗(・)闇(・)判(・)定(・)に(・)な(・)る(・)。リュカオーンはその中で闇と同化し連続での移動と強襲が可能なんだ……!!」

 

「「!!」」

 

俺のセリフにサイガ-0とミュウラは動揺した様子を見せた。それはそうだ。実際、俺も驚いている。夜襲のリュカオーンは夜にしか現れない。そして、夜で雲さえあれば確実に暗闇はやってくる。

 

天そのものを味方に付けていると言っても過言ではない。撃破するには空の状況そのものをどうにかするしかないという事だ。

 

「はははっ…ウェザエモンもそうだったけどユニークモンスターはクソみたいな能力だらけだね」

 

その事実にカッツォは呆れた様にそう言う。ウェザエモンを倒したからこその発言であり俺もサンラクもペンシルゴンもそして、リュカオーンと何度か戦っているサイガ-0もそのセリフには同感だった。

 

俺達がリュカオーンの能力と強さに魅入られている間に『SF-Zoo』のメンバーは叩き潰された。シャンフロでも屈指の、ドラゴンの攻撃にすら耐えるタンクは砕かれ、リュカオーンを縛った魔法使い達は無惨に踏み潰され蹂躙された。

 

「あっという間に『SF-Zoo』が全滅…どうしますか?」

 

このフィールドに残されたプレイヤー達は俺達のみ。Animalia達を蹂躙したリュカオーンはまだ消えていない。つまり、次は俺達という事。

 

「思いがけずあの犬っころに遭遇できた…」

 

「Animaliaちゃん達のお陰でずっと謎だったリュカオーンの能力も解った」

 

「そして此処にはウェザエモン(最強種)を討伐したプレイヤーが揃っている」

 

「あの犬っころを躾けるのにこれ以上の条件はない…」

 

サイガ-0の問いかけにサンラク、カッツォ、ペンシルゴンがそう言う。しかし、3人はそこから先を言葉にする事が出来なかった。

 

理由は単純だ。

 

此処にはサイガ-0が居る。

 

サンラクの言う通りリュカオーンに挑むに当たってこれ以上のメンバーはいない。しかし、此処でリュカオーンに挑めばユウヒとサンラクが秘匿しクラン『旅狼(ヴォルフ・ガング)』が切り札のしているユニークシナリオの発生フラグがサイガ-0(他のクランメンバー)に立ってしまう恐れがある。

 

ペンシルゴンは以前、ユウヒとサンラクに『2人が隠しているユニークの情報を知られる事はないように』と念を押した。コレはクランリーダーとしての判断であり、他の大派閥とメンバーの少ない『旅狼』が渡り合うための条件だった。

 

だが、ここに来てそれを破らなければならない事態に直面している。

 

3人の考えは共通していた。今この場を丸く収める方法は1つ。

 

『クラン旅狼のメンバーが手を抜いて戦いサイガ-0ごとリュカオーンに倒される事』

 

それが最善だ。しかし、サイガ-0はサンラク(クランメンバー)が協力をお願いして来てもらったプレイヤー、自分たちの都合で足を引っ張るなどゲーマーとしての品性が疑われる。

 

そして、悩み続ける3人の、特にサンラクの様子の変化にサイガ-0は気が付いていた。

 

(陽務くん…何か様子がおかしい…?)

 

サンラクは知らないがサイガ-0は楽郎と遊仁の同級生である斎賀玲である。秘めた女子の恋心だが、彼女は陽務楽郎に恋をしている。

 

彼女がシャングリラ・フロンティアをプレイしているのは彼女の姉である斎賀百がプレイしているからと言う理由ではない。

 

ゲーマーである楽郎とのお近づきのきっかけとしてプレイしているのだ。楽郎は気が付いていないが玲は楽郎がゲームソフトを購入する「ロックロール」で可能な限り楽郎を見ている。

 

店主の岩巻真奈から散々愚痴られる程に恋愛に関してダメダメな彼女だが、ゲームと言う宝物を目の前にした楽郎の楽しそうなキラキラした瞳を彼女は知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)のだ。

 

そんな彼女の目がもわかる。今、楽郎(サンラク)はリュカオーン(宝物)を前にしているのに全く楽しそうではない。

 

(『何か』が陽務くんの足を引っ張っている…?)

 

簡単にそう見極められる程に今のサンラクは意気消沈していた。

 

そして、玲がそう考えている中3人の様子にユウヒも気が付いていた。

 

強敵を前に喜びを露わにして挑むであろう兄(楽郎)と友(カッツォ)。そして、絡んで日は浅いが強敵を前に尻込みする性格ではないと思っているペンシルゴン(2人の悪友)。そんな3人が何時もの調子を出せずに固まっている。

 

(此奴ら…もしかして)

 

リュカオーンを前に固まるサンラク達にユウヒは彼等が何を考えているのかを理解した。そしてそれは自分も考えなくてはならない事。

 

 

 

 

 

 

だかしかし

 

 

 

 

 

「下らねぇ」

 

ユウヒは一言そう呟き兎月【満月】を握ってリュカオーンに向かって走り出した。1歩踏み出した瞬間にミュウラは肩から飛び降りる。ユウヒの戦闘を自分が近くで見る必要は無い。自分が肩に居る事が戦闘のノイズになる事をミュウラは理解していた。

 

走り出したユウヒはAnimalia達のリュカオーン捕縛作戦を見ている間に効果が切れた纏雷をリキャストタイムが終了した詠唱破棄で発動する。

 

あの時とは違うレベル99extendのステータスで纏雷を発動、AGIをフルに使って走る。そして、その背中を見たカッツォとペンシルゴンは

 

「はははっ!!」

 

「ふふふっ!」

 

声を出して笑った。

 

ユウヒの言葉通りだ。自分はなんて下らない事を考えていたのだろうか、リュカオーン(最強種)を前に足を引っ張る、わざと負ける。

 

関係ない。今が楽しければ、今強敵に挑めればそれで良い。

 

「待てやユウヒ!!何が『下らねぇ』だ!!」

 

ゲーマーとしての本質をさらけ出しカッツォは駆け出した。

 

「ほんっとに…しょうがないなぁユウヒくんは。それにカッツォくんも行っちゃったし…私も行こうかな!」

 

そして、ペンシルゴンはユウヒに「『下らない』って言った事後で謝ってもらお」と言う呟きを残して走り出した。

 




何気にリュカオーンに甘噛みされた状態でクランメンバーが倒されるのを見せられたAnimalia。他意はない。本当に

100話記念の番外何が良い?

  • 未来の陽務家の話し(弟)
  • 過去の陽務家の話し(家族旅行)
  • 過去の陽務家の話し(兄弟喧嘩)
  • R-18開拓
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