転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「ねえねえモルフォちゃん」
「どうしたの、マキ」
この日、ゲーム開発部の部室にはゲームを一緒に遊ぶマキとモルフォの姿があった。少しだらしなさそうに足を伸ばしながら、協力プレイでステージをクリアして区切りがついたところでマキがモルフォにある質問をする。
「前にやったゲームあったじゃん。ハレ先輩も一緒にいたさ」
「えーと……ああ、あれか、ロックマンエグゼのこと?」
「そうそう。あれってさ、まだ続きあるって言ってたよね?」
それは、過去にハレが途中からやっていたゲーム、ロックマンエグゼであった。あのゲームにはまだまだ続編があることを思い出したマキは、そのことを確認したのだ。
「あるよ。やる?」
「やるやる!あれ面白かったからさ……」
「じゃあやろうか」
そう言うとモルフォはGCとソフトを準備し始める。そしてマキにコントローラーを握らせると、タイトル画面のロックマンエグゼ2がでかでかと画面に表示されていく。そしてマキがゲームをスタートすると、今回の悪の組織かと思われる存在らの謎の通信が流れる。1で主人公である熱斗とロックマン達が対峙した悪の組織、WWWを「あんな組織」と一蹴する底知れなさを示しつつ、場面はデンサンシティ、秋原町の秋原小学校終業式の朝に移る。この日、秋原小学校では夏休みを翌日に控えていた。
「……あれ?1の出来事って全部春の間に起こってるの?」
「……ああ、2の時間軸的に考えたらそういうことになるのか……」
夏休みに期待を膨らませる熱斗達。通知表の成績に熱斗はデカオと共に落ち込む一幕こそあったものの、熱斗とデカオ達はインターネットにできたというオフィシャルスクエアと呼ばれる電脳世界の町にナビを送り、市民ネットバトラーと呼ばれる資格を手に入れないかという話になる。帰宅後、母のはる香に捕まってオフィシャルスクエアに向かう前に今日の宿題をさせられるというアクシデントこそあったものの、無事にそれを終えて新たに様変わりしたインターネットに向かうことになる。
「あれ?なんか前回と違う?」
エグゼ1では、インターネットのエリアは表とウラ関係なく同じ背景や同じ道で代り映えすることがなかった。一応ウラと言われてはいても表と変わらないせいでウイルスのラインナップやナビとの会話を見てようやくわかる、みたいなことも多かったのだ。しかし2からはインターネットはエリア毎に背景が変わり、見ていてわかりやすくなっている。ロックマンが降り立ったデンサンエリアと呼ばれるエリアもその一つ。視覚的にワクワクする電子的な背景と道の中を歩いていくことになる。
「デンサンエリア、オフィシャルスクエア……一気にインターネットが便利になってるね?」
「そうそう、これで迷いにくくなったんだよね」
今後、6まで続く基礎だ。このエリア毎の表現の分け方のおかげでプレイヤーにとってもわかりやすくなっている。そしてオフィシャルスクエアに辿り着くと、そこはウイルスの出ない場所となっており、ロックマンはそこで市民ネットバトラーの試験を受けることになる。
「……でも市民ネットバトラーって言ってもサブライセンスなんだ?」
「まあ最初だからね」
「操作感はあんまり変わってないね。まあ当然っちゃ当然だけどさ。でもまさかHPが回復しないとは思わなかったよ」
前作では戦闘後、ロックマンのHPは全回復していた。それ故に序盤から容赦ないウイルスもいたりしたのだが、2からはロックマンのHPは自動で回復することがなくなっている。その影響もあってか、今作からサブチップと呼ばれる新たなアイテムが登場しており、これらは電脳空間で使用するとロックマンのHPを回復したり鍵のかかったミステリーデータを開いたり罠を解除したり、直前までに戦闘したウイルスやボスがまた出やすくなったりと様々な恩恵を与えてくれるのだ。
「よし……これでサブライセンス入手だね。そういえばこのレギュラーって何入れたらいいんだろう?」
そして2からの新要素としてレギュラーチップが存在する。今作以降、チップには容量が設定されており、レギュラーチップに設定できる容量以下のチップを一枚設定すると、戦闘開始時に必ずそのチップが最初のカスタム画面に現れるようになるのだ。そのため、どういうチップを入れるのかもまた腕の見せ所となる。
「まあ今はコードもバラバラだし……とりあえずいつでも使えるって意味ではアタック+10とかじゃない?」
「あー、確かに選べそうだよね。そういえばこの*っていうチップコードも面白いよね。前はなかったよね?」
「うん、今作からだね*は」
そして変化はバトルチップのコードにも表れている。今作から追加された*というコードは他に選ばれたコードに関係なく選択できる。Aコードのチップを選んでいる時に追加で*のチップなら選ぶことが可能となるのだ。
「あ、でも確かにこれ便利かも。10ダメージ上がるだけでも痒いところに手が届くし」
「なんかいいのが見つかるまではアタック+10を入れておけばとりあえず腐ることはないんじゃないかな」
そして無事、市民ネットバトラーのサブライセンスを入手。次は本物のライセンスを入手することが決まる中、最初の事件が起こる。なんと親友の一人、やいとの家のガス湯沸かしプログラムが異常を起こし、ガスが漏れ出てしまったのだ。家に閉じ込められ意識を失った彼女を助けてほしいとやいとのナビ、グライドから救助を要請された熱斗達はガスからやいとを救うため、熱斗達はやいとの家に向かうことになる。
「いきなりとんでもないことになってない?」
ガス湯沸かし器の電脳は、ガスを打ち出す大きな蛇口のようなものがあり、それを使って遠くに移動するというギミックがある。そのギミックを駆使しながら奥にいた犯人のナビ、エアーマンと戦う。風の力を操るナビだったが、さすがに一番最初のナビということもあり、まだまだ苦戦はしない。エアーマンを余裕をもって倒し、今作最初のボス戦を制することになる。
「よーし、勝った!」
「お疲れ、マキ」
「へへーん、これぐらいなら楽勝だよ」
モルフォとハイタッチをして笑うマキ。だが、この次のボスにマキは地獄を見ることになる。
「……強くない?え?まだ二体目だよね?」
「クイックマンはね……」
市民ネットバトラーの本ライセンスであるBライセンスを試験を経て手に入れ、皆でキャンプに行くことになるのだが、ダムの近くでキャンプをしていると爆弾が仕掛けられ、起爆されようとしていることが判明。熱斗はこの件を調査しに来ていた炎山と共に解決しようとする中、ゴスペルと呼ばれるネットマフィアのオペレーターである速見ダイスケとそのナビ、クイックマンとバトルすることになったのだが。
「全然攻撃が通らない!!」
クイックマンはエリア内を高速で移動し、攻撃を当てることが難しい。それだけではなく、攻撃のチャンスである立ち止まっている所を狙おうにも、クイックマンは攻撃を受けるとそれを弾いてしまい、無力化してしまう。そのせいでマキは何度もデリートされてしまったのだ。
「一応、攻撃を行ってる間なら当たるんだけどね」
「でもブーメランが速すぎて避けられないよ!」
クイックマンに攻撃を当てられるタイミングは二つ。それは攻撃モーション中と、高速移動中だけである。しかし、高速移動中に狙うのは現実的ではないため攻撃中に狙うのが基本となるのだが。クイックマンの攻撃であるクイックブーメラン自体が素早く、避けることすら難しい。さらにブーメランの名の通り、最初を避けても返ってくるせいでクイックマンを攻撃しようとする途中に被弾してこちらの攻撃を中断させられる、といった事態も増えてしまう。
「モルフォちゃん……なんかないのぉ?」
「えーと、今何持ってたっけ?」
「こんな感じ……」
「あー……そうだなぁ、ショックウェーブとメットガードでお祈りするとか、後はワイドソード……それとエリアスチールで怯ませてソードとか」
「ふむふむ」
マキと頭を並べながらフォルダを作り直していく。ショックウェーブ、そして相手の攻撃をガードしてショックウェーブを放つメットガードで相手のエリアをそこそこ長めに移動する衝撃波を出して高速移動中のクイックマンに偶然当たることを期待したり、相手がブーメランを最前線で投げた時に列をずらしてワイドソードで切るなどの対策を示していく。
「やったー!!」
「お疲れ様、いやークイックマンは強敵だったね……」
そしてフォルダを作り替えたマキは死闘の末にどうにかクイックマンを撃破する。そしてダイスケは敢え無くオフィシャルに逮捕され、事件は解決する。そして勝利の余韻を感じながらマキはこの日のプレイを終えるのだった。
★
数日後。この日は他のゲーム開発部の面々も見ている中、マキはエグゼ2の終盤をプレイしていた。
「……あっ」
「あれ、この反応は」
ウイルスバスティングを終え、リザルトに入るマキ。と、ここでロックマンに変化が起こる。だが、その変化を起こそうとしているロックマンの姿も最初の青いカラーリングのものから変わっており、赤色のボディに盾を右腕に装着した姿になっていた。だが、その姿が巨大化したバックパックを背負う水色の姿に変わっていく。その姿をアクアカスタムスタイルと呼称されるロックマン。その現象こそ、
「やった、スタイルチェンジだ!しかもカスタム画面のチップが八枚に増えるって!」
「シールドスタイルも強かったけど、こっちの方が便利そうじゃない?マキちゃん的には」
エグゼ2の最大の目玉システム、スタイルチェンジである。スタイルチェンジはロックマンの戦い方に適した姿にロックマンを変化させるというもので、プレイヤーの操作によって、バスターの威力が倍になりスーパーアーマーを獲得するガッツスタイル、ファーストバリアとシールドを使い相手の攻撃を防げるようになるシールドスタイル、カスタム画面で選べるチップが五枚から八枚に増えるカスタムスタイル、フォルダにナビチップを五枚から八枚まで入れられるようになるブラザースタイルの四つに、ヒート、アクア、エレキ、ウッドの四属性を掛け合わせた合計16のスタイルが選ばれるのだ。
マキは当初、ヒートシールドスタイルになっていたのだが、これはマキが初期のフォルダの主力としてメットガードを使用していたことで防御系チップが多用されていたことになっていたのが大きい。だがその後は豊富なチップを使って戦うことで見事にチップを多用するカスタムスタイルの条件を満たしていた。
「ロックマンの新たな姿……恰好いいです!」
「成程、これは戦いやすいでしょうね。プログラムアドバンスも組み立てやすいですし」
「よーし、この調子でゴスペルも倒しちゃえ!」
「任せてよモモ!」
新たなスタイルを得たロックマンは、ゴスペルの本拠地であるコトブキ町へと向かっていた。ゴスペルこそ、今作における悪の組織であり、ネットマフィアとして世界各地で活動、ニホンでもマザーコンピューターに侵入する、環境維持システムを凍結させて世界を大災害で滅ぼそうとするなどその暴挙には暇がない。だがゴスペルとの激しい戦いを繰り広げるロックマンはアジーナの国宝であるチェンジ.batを手に入れた後に父の手によって組み込まれ、スタイルチェンジに覚醒。その力もあって多くの強敵を退けてきたのだ。
「……それにしても、この町大丈夫なのかな。現実と電脳世界が融合って」
「ケイちゃん、できそう?」
「できそうって……まあ、これそのものは難しいでしょうね。おそらくは」
ゲームを見ていたユズとミドリの視線がケイに向けられる。ケイは肩を竦めると、さすがにこれそのものは難しいと語る。
「まあ、強引に再現する形に再構築はできる可能性はありますが……別にこれをする必要性はないでしょうし」
「やったらやったで完全に悪の居城だし……」
「アリスはちょっとこんなデザインは……」
そして物語の終盤、コトブキ町に存在するゴスペルの本拠地は超高層マンションだったのだが、そのマンションは電磁波異常のせいで電脳空間と融合しており、中ではサーバーが生えている異質な状況になっていたのだ。
「この先にゴスペルのボスが……」
ゴスペルの本拠地では電磁波の異常を修正しながら道を切り開き、上の階へと向かっていく。コトブキ町を包む電磁波異常はマンションの上へと向かえば向かう程に強くなり、熱斗は特別な防磁スーツを着込むことで通常の五万倍もの電磁波異常に耐えていた。先に本拠地で少しでも多くのウイルスをバスティングしていたというデカオ達市民ネットバトラーも装備の許容量を超える電磁波に限界を迎えたこともあり、熱斗は一人で上へと向かっていた。
「あ、この先はセーブできないから気を付けて」
「はいはーい」
そして遂に熱斗とロックマンは大量のサーバーに囲まれた部屋でゴスペルの首領と対峙する。漆黒のスーツに身を包み、電磁波で光り輝く黄緑色の長い髪や全身を見せる謎の人物と対峙した熱斗は、究極のナビを手に入れたと豪語するゴスペルの首領の野望を止めるべく、究極のナビをデリートするためにプラグインする。
「究極のナビってなんだっけ?」
「そういえばモモイって世界会議とかの部分見てなかったっけ」
ゴスペルと対峙した事件の中に、アメロッパというエグゼ世界に存在する国で行われるオフィシャル世界会議への襲撃があった。マザーコンピューターをゴスペルの刺客である忍者のようなナビ、シャドーマンから炎山、ブルースと共に守りきった熱斗とロックマンは特別に招待され会議に出席。そこでは究極のナビについての情報が共有され、その対策を講じようということになっていたのだが、会議の参加者に紛れ込んでいたゴスペルの刺客、クリームランドという国の姫であるプライドとナイトマンによってそのデータは破壊されていたのだ。熱斗達はナイトマンをデリートし、事件を解決に導くのだが究極のナビに関する手掛かりは失われてしまったのだ。
「……うーん、全然わかんない!」
「……って、あれ?」
ロックマンが究極のナビの下に向かおうとすると、その前にガッツマン、ロール、グライドが現れる。この三体のナビはデカオ、メイル、やいとそれぞれのナビであり、友達のナビが何故ここにと驚いていたが、なんと攻撃されてしまい、様子がおかしいことに気付く。それはゴスペルの統領がデカオ達が侵入した際に奪ったナビを調整したものだという。皆をデリートなんてできないというロックマンを見て、友情とは愚かだと嘲笑うゴスペルの統領。
「あわわ……」
「……って、え!?」
直後、どこかから飛んできた攻撃によって三体のナビが撃破されてしまう。だが、そこに現れたのは、なんと本物のロールたち。皆がここに侵入した際にコピーを取られていたのだ。さらに現実の方でもオペレーターたちが駆けつける。
「凄いです!皆の友情パワーです!」
だが、喜んだのも束の間、そこにブルースのコピーが現れ、ガッツマン達を一撃で切り伏せてしまう。ロックマンもガッツマン達に一方的に攻撃されて万事休すかと思われたその時。そこにブルースが現れ偽物を切り伏せる。現実世界でも炎山が現れ、援軍がさらに駆けつけてきたことに熱斗は喜ぶも、究極のナビフォルテが完成すると聞いて炎山が顔色を変える。
「え、なんかフォルテってやばいやつ?」
「あれ、そういえばどこかで……」
「アリス思い出しました!前作で最後に裏ボスとして出ていたナビです!」
(しかしバグ融合ですか…現実的に考えれば論外ですが、ゲーム的にはいけるのでしょうか?)
ゴスペルは元々大量のバグを集めており、そのバグを融合させることでフォルテという究極のナビを生み出そうとしていた。さらにフォルテの無限増殖も可能というとんでもない状態になっており、熱斗達は無限増殖する前にフォルテをデリートしようとする。そしてそこにいたのは、マントに身を包んだ漆黒のナビ。
「え、待って?前作だとかなりやばかったけど……」
「いやでも、このフォルダならいけるかも?」
「とにかくやってみるしかないんじゃない?」
「……よし、いくよ!まずはフルカスタムと……トップウ、スイコミ、ゲートマン……後はインビジブルも使って」
前作で最後の裏ボスとして出てきたフォルテはかなり強い。それだけでなくドリームオーラという一定数値を未満のダメージを全て無力化するという強力なオーラを常に張っていたのだ。なりふり構ってはいられないと、オーラこそないものの、確実に強力だろうと考えたフォルテを仕留めるため、フルカスタムを使ってカスタム画面に一瞬でいけるようにする。そして三枚のチップでゲートマジックと呼ばれる強力なプログラムアドバンスを作り出すと、それを発動。ロックマンの前に胸がゲートになっている人型のナビが出現し、ロックマンがその後ろから背中を叩くと同時にいろんなものがフォルテに襲い掛かる。そして一気に900ものダメージを喰らったフォルテは怯んでしまう。
「もういっちょゲートマジックだ!」
「……いや本当に強いかどうかわかりませんが!?」
「……いやまぁ、ここのフォルテはシナリオで絶対戦う相手だから前作と比べたら大分弱体化しているんだけどね……」
そして二回目のゲートマジックが無慈悲にもフォルテを粉砕する。このエグゼ2では中盤以降、強力すぎるチップやプログラムアドバンスが一気に増える。マキが使用しているフルカスタムやゲートマジックもその筆頭であり、のちの作品ではフルカスタムを一枚しか入れられないようにされているのに対して今作では五枚まで投入できるとなればその恐ろしさはよくわかることだろう。
「……って、嘘!?」
「大人じゃなくて、子供……!?」
フォルテが倒れた影響か、ゴスペルの首領のサイバースーツが消滅。その下から現れたのは、なんと男の子であった。彼はもう終わりだという熱斗達を拒絶し、サーバーパワーを引き上げて再びフォルテを生み出そうとする。だが、サーバーパワーを引き上げたことで現実でも異変が発生。熱斗よりも性能が低い防磁性能のスーツを着込んでいるデカオ達は撤退することになり、一人残った熱斗。しかし、少年でも制御しきれないサーバーパワーは熱斗も巻き込んで行動すらとれなくなってしまう。
「あわわ……これやばいんじゃ」
「いやもう大惨事じゃん!」
「電磁波異常がとんでもないことに……肉体より先に精神がイカれるでしょうが……まあゲームですからね……」
遂に復活したフォルテ。だが、我を失ったフォルテは巨大な獣の姿へと変化してしまう。ゴスペルと呼ばれる姿になった真の敵を前に手を動かすこともできず、オペレート不能に陥った熱斗に語り掛けるべく、ロックマンは兄、光彩斗として熱斗と心を繋ぐ。そして遂に二人はゴスペルとの最後の戦いに挑むことになる。
「これは負けられないよ、マキ!」
「うんわかってるって!……でも、ゲートマジック三回か……とりあえず一発……あれ!?」
HP2000という本来なら巨大な数値を持つゴスペル。前作のドリームウイルスの倍なのだから弱いわけがない。だが、開幕ゲートマジックをぶつけようとしたマキは、何かに防がれたかのようにノーダメージであることに気付く。
「これは……」
「うわ、こいつもクイックマンみたいな攻撃する時じゃないとダメージ当たらない系かぁ……まあ、それさえわかれば……」
ゲートマジックは一回は止められたが、まだこのデッキには四回分の弾が残っている。フルカスタムで全力で回し、インビジブルも重ねて被弾を隠しながらゲートマジックを当てていくマキ。その結果、ゴスペルはラスボスとは思えないほど簡単に倒されてしまう。
「……本当にこれでよかったのかな」
「ただただフルカスタムとゲートマジックが強かったとしか言えませんね……」
「これでもプリズムにフォレストボムを投げ込む奴は縛ってるんでしょ?」
「あれ本当に想定されていた挙動なんですかね……」
戦闘の内容はともかく勝利した熱斗は、完全にサーバーが沈黙し元に戻った部屋で意識を取り戻す。少年も意識を失っており、彼の傍らには一冊の日記帳があった。そこには、五年前の飛行機事故で彼の両親が死んでしまったこと、引き取られた親戚の下で辛い経験をし、両親の遺した遺産は彼を決して幸せにしなかったこと、壮絶な過去を経験した結果、人を信じられなくなり、寂しい日々を送っていたこと。唯一自分を裏切らなかったコンピューターだけが彼の味方になり、彼はこの世界に仕返しするためにゴスペルを作ったのだ。と、ここで少年が目を覚ます。その少年に熱斗は言う。やったことの罰を受けて、そして罪を償い終わったら、友達になろうと。その言葉に、少年は涙を流すのだった。
「……よかったですね」
「最後の最後でいきなり重いのをぶっこんできたね……」
「これで漸くエンディングだね。どうだった?マキちゃん的には」
「いや、楽しかった!強いチップも多いから爽快だしね。下手にデフレとかされて戦闘が不便になるよりは逆に強すぎる方がいいよね。良い感じの調整はプレイヤーの方でできるわけだし」
平和が戻り、もう一度熱斗達がキャンプをするエピローグを見ながらゲームの感想について語り合う。そして、遂にエンディングが流れ出すのだがそれが終わると。謎のエリアに存在するフォルテをデリートする謎の存在が現れる。その人物はなんとフォルテの姿をしており、デリートしたフォルテを紛い物と呼んで憤り、
『あのおいぼれ…人間め…コドモをあやつりどうしようとオレのしったことではない…だがことわりナシにオレのコピーをばらまくなど…ゆるせん。人間…そんざいかちのないヤツらめ…いずれわがさばきをうけるときがくる…』
そう呟きその場から姿を消してしまうのだった。
「今のって……」
「次回作への布石ですね!あれはきっと本物のフォルテです!」
「うわぁ気になるなぁ……でもさすがに今はいいかな、疲れた!お腹減った!」
ここで出てきたフォルテが次回作、ロックマンエグゼ3において重要な役回りを担うことになる。だが、それを知るのはまだまだ先だ。
「じゃあなんか食べにいこうか?」
「いこういこう!皆も一緒にさ!」
「いいねいいね!行こう!あそことかどう?」
「あっ、待ってください……アリス、そこにいてください」
「えっと、財布が確かこっちに……」
ゲームをクリアした余韻に浸りながら、マキは達成感と共に気持ちが盛り上がっているゲーム開発部の皆と一緒に部室を出ていくのだった。