転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
「……いやぁ、面白いなこれ!!」
「……まあ、最初はなんでサッカーでこんなことになってるの?って思ったけど……まあ存外悪くはないんじゃない?」
「……ふふ」
「先輩達も楽しんでくれて何よりですわ!!」
その日、百花繚乱の詰所には先生とユカリ達の姿がいた。彼女達四人がパソコンの大画面越しに見ているのは、以前ユカリが見ていたイナズマイレブンだ。あの後、レンゲらにこのアニメの話をした所、レンゲが強く興味を抱いたこと。そしてナグサが「アニメって聞いたらアヤメが反応した……見よう」とかなり乗り気になったことでユカリが先生に頼んで続きを持ってきたのだ。ちなみにこの話を聞いたモルフォがアヤメに言った方がいいのでは?と聞くと、
『お願いだから黙ってて!なんか絶対ややこしいことになりそうだから!……ところでこのゲーム、なんでサッカーじゃなくてダンスやってるの?』
と割とガチめな反応をされたことで先生にも残念ながらまだ情報は共有されていない。なおセイア曰く「娯楽に浸かり始めた証だよ。もう沼から上がれないね」とのことである。
「……ていうかいきなり宇宙人が来たって」
「ジャンル変わりすぎじゃない……?」
イナズマイレブンFF編において影山の陰謀に負けず日本一を掴んだ雷門イレブン。次の話から始まる驚異の侵略者編、最初に見せられたのはなんと隕石が地球に投下するという明らかにサッカーとは……?と言いたくなるような光景。当然のようにユカリ達が困惑していると、決勝戦終了後の円堂達の様子に移る。妹のいる病院に向かった豪炎寺が遂に眠りから覚めた妹との再会を果たし、友達の西垣がいる木戸川中に報告に行くと別れた一之瀬と土門以外の面々が談笑しながら戻ろうとした時。雷門中に謎の黒いボールが落下し、校舎が跡形もなく破壊されてしまう光景を円堂達は目撃する。
「……はい?」
「……え、同じアニメ見てるのよね?」
「そ、そのはず……」
円堂達が破壊された雷門中に戻るも、目の前の惨状に困惑してしまう。だが、そこにはイナズマイレブンがおり、宇宙人とのサッカーに敗北したと語る。そして円堂達の目の前に、黒いサッカーボールと共に異様な風貌の少年たちが現れる。彼らはエイリアという星からやってきた星の使徒であり、サッカーで彼らを倒さなければこの地球に人類は存在できなくなると語る。それを聞いた円堂達は紆余曲折あって宇宙人と試合をすることになる。豪炎寺達三人を欠いたメンバーで戦うも、そこで円堂達は圧倒的な実力差を思い知らされることになる。
「……一応前の話で大会で優勝してなかったっけ?」
「……全然太刀打ちできてないんだけど……いいの、これ?」
この星の流儀に合わせると言い、ジェミニストームとチーム名を名乗った宇宙人。キャプテンである緑髪の少年、レーゼは染岡の放つドラゴンクラッシュを軽くトラップすると、円堂が反応すらできないシュートをゴールに叩きこむ。その後も点差を広げられ、豪炎寺が途中から戻ってきても状況は変わらず。圧倒的な点差で敗れた雷門中は怪我が酷く入院する者まで出てくる始末。そんな中、入院せずに済んだメンバーは戦うことを決意。響木と校長は、移動用のイナズマキャラバンと新たな監督、瞳子を紹介し、円堂達は全国を巡って仲間を集め、史上最強のイレブンを作る旅に、合流してきた一之瀬と土門と共に出発することになる。
「……いや、本当に侵略者じゃない、何故かサッカーが戦いだって認識してるけど……」
「スポ根物どこ……?」
「あ、はは……」
キキョウとレンゲの感想に先生は苦笑を漏らすしかない。一応先生も先んじて視聴し楽しんでいたが、こういう感想になるよなぁと思ってしまう。本編ではエイリア学園を倒すため、雷門中は総理大臣が宇宙人に攫われた奈良へ向かい、紆余曲折ありつつも新たなMFである総理大臣の娘、財前塔子をメンバーに加えジェミニストームとの二度目の試合に挑む。だが、途中からキーパー以外全員フォワードという常軌を逸した瞳子の指示がなされ、それによって円堂はエイリア学園のシュートに無理矢理慣れさせられるという成果こそ得るも、結果は惨敗。
「また負けてしまいましたわ……」
監督の常軌を逸した指示によって前回を越えた大敗を喫する雷門。染岡が納得いかない様子を見せるも、鬼道は結論を出すのはまだ早いと言い、あれは前半で体力を使い果たした自分達を怪我から守るためかもしれないという。実際、後半にディフェンスを上げたことで少なくともフィールドでダメージを受けたり怪我をした人はいないと。今日の試合を捨てることで次の試合につなげる。監督の意図を理解し雷門中の士気が上がったのも束の間。
『豪炎寺君。あなたにはチームを離れてもらいます』
「「「「え?」」」」
なんと監督は豪炎寺にチームを去れと言ってしまう。当然円堂達からは異議が出るも、監督は頑なにその判断を覆さず豪炎寺は去ってしまう。
「これって……」
「気付いているのか、いないのか……」
「……」
視聴者から見れば、豪炎寺がシュートを撃つシーンに妹や謎の男たちのカットが入っていたため、妹を人質に取られて通常のプレーができないようになっていることは明らかだった。しかし作中人物からはわかっても不調かどうかしかわからない。監督は豪炎寺の身に起こったことを知っているのかいないのか。それがわからず四人の瞳子を見る目線はどうしても厳しいものになっていく。
(……二周目だからわかるけど、やっぱり余裕がないな……)
「……なんつーか……重い!青春が……ない……」
「……まぁ、わからなくもないわね……なんかこう……一気に雰囲気が変わったというか。一気にシリアスが増したというか」
「宇宙人相手に二連敗……これ本当に勝てるんでしょうか」
「……豪炎寺が皆の前からいなくなって……うっ」
ジェミニストーム相手の二連敗だけならばともかく、豪炎寺の事情を知らない雷門メンバーから監督へ不信感も相まって雰囲気は悪くなっていく。ナグサ達もダメージを受ける中、円堂は再び豪炎寺がチームに戻ってくることを信じ、情報を受けて北海道にある白恋中へと一行は向かっていく。そこで彼らが出会ったのはマフラーを巻いた少年、吹雪士郎。物静かな雰囲気に整った顔つきの少年ではあるが、ヒグマを倒したり積もった雪をボールの一蹴りで道を作り出す等、確かな実力を持つという彼。
「一応エースストライカーを新たに入れるってことで来たんじゃなかったっけ」
「どう見てもエースストライカーみたいな熱い感じじゃありませんわ」
「……なんていうか……こんな感じ?」
いまいち言葉にできず、レンゲがナグサを指差す。ナグサは一瞬首を横に傾げていたが、やがて理解したように手をポンと叩く。
「ああ、確かに見た目は似てるかも」
「いや似てないって……まあ、黙ってれば雰囲気が静かなのは似てるといえなくもないけど……」
そして交流もそこそこに白恋中と練習試合を行うも、なんと吹雪はDFだったのだ。その実力は高く、染岡から氷の必殺技、アイスグランドでボールを奪い取る。そして試合が進んでいくと、吹雪の雰囲気が変わる。緑色の目が突然オレンジ色に染まり、豹変。荒々しいプレーで前線へと駆け上がり、必殺技のエターナルブリザードを放つ。それはなんと、円堂のゴッドハンドを凍らせて砕き、ゴールを奪ってしまう。
「ゴッドハンドが……」
「いややっぱ全然違うわ」
「そ、そこまで言わなくても……」
だが、この試合は吹雪の実力を見るだけでなく新たな戦術、シュートブロックが開拓される。壁山のザ・ウォールと塔子の塔を生み出す必殺技、ザ・タワー。この二つでシュートを受け止めることでコースを逸らしたり、威力を軽減したり、また、円堂がマジン・ザ・ハンドを使うための時間を稼ぐといった様々な恩恵をもたらすのだ。そして試合の結果、吹雪が加入することになる……のだが。染岡は不服な様子であった。
「うわぁ、染岡の奴結構不満だな」
「……でも、仕方ないのかも。豪炎寺は豪炎寺で吹雪じゃないし……」
豪炎寺の代わりとして吹雪を加入させることに不満げな染岡。それを円堂は説得し吹雪を受け入れる。そんな中、エイリア学園が白恋中に来ることが明らかとなり、円堂達は雪中の特訓を行ったことで円堂達は、ジェミニストームと互角に戦えるようになる。さらに新たな必殺技、フレイムダンスを習得しボールを奪う一之瀬、ワイバーンクラッシュを放ち、宇宙人相手の初ゴールを奪い取る染岡、壁山と塔子のシュートブロックでジェミニストームの最大の必殺技、ユニバースブラストを止め切った円堂の活躍。そして、染岡に注意を向かせて吹雪にボールを渡し、エターナルブリザードで決勝点を吹雪がもぎ取ったことで、遂に雷門イレブンはジェミニストームを打ち破る。
「か、勝った!」
「……ここまで八話ぐらいかかってるのよね……長かったわね」
リアルでいえば期間にしてジェミニストームを破るまで二ヶ月程になる。ユカリ達は一気見だが、それでもこのカタルシスだ。キヴォトスの外でこれを見ていた人たちはもっと凄いことになっていそうである。
(……でも、まだ終わってないんだよね……)
「……って、え!?」
「イプシロンって……」
そして、まだ物語は終わらない。なんとジェミニストームはセカンドランクチームであり、今度はファーストランクチーム、イプシロンが出現。ジェミニストームを粛清すると姿を消した彼らに、円堂達はまだ戦いが終わっていないという事実を認識するのだった。
「……しかもこいつら、言うだけあってジェミニストームより普通に強いんだけど……」
イプシロンが襲撃するという京都に向かった雷門。そこでイプシロンと試合した雷門はイプシロンのキャプテンであるデザームから再戦を約束され、イプシロンは姿を消す。さらにいたずら小僧、小暮を引き入れることになり、染岡が負傷して離脱してしまうといったアクシデントもありつつ大阪にある遊園地に辿り着く。
エイリア学園の本拠地があるらしいという情報を元に向かったのだが、地下にあったのはイナビカリ修練場をもしのぐトレーニング装置の数々。それを使っていた大阪ギャルズというチームからリカという女の子が新たに加入して味方が増え、雷門イレブンは更なるレベルアップをこの施設で行う。だが、その中でも吹雪だけは寝る間も惜しんで練習を続ける、二つの人格が言い合っているかのようにぶつぶつと呟く不穏さを見せ始めていた。
「……吹雪も吹雪で不穏ですわ……」
「だなぁ……これ大丈夫なのかね」
そして迎えたイプシロンとの再試合。特訓の成果を見せる雷門にイプシロンは驚愕し、デザームが愉しそうに笑みを浮かべる。豹変した吹雪が一人、先走る形で暴走を始め、その必殺シュートはデザームのワームホールに吸い込まれ、止められてしまう。
「いやまあ、そりゃ必殺技の一つぐらいはあってもおかしくないわよね」
「でも今のところは……」
前半戦が終わり、後半は吹雪にDFからFWへ切り替えるカウンター戦術を用い、その要になることを要求する瞳子。鬼道は吹雪への負担が大きすぎると苦言を呈するも、吹雪は構わないと言う。だが、既に人知れず、吹雪の精神は確実に変調を起こしていた。
『……点を取るんだ……僕が、取らなければ……』
吹雪の過去が垣間見える。幼い頃の士郎はアツヤという弟がおり、DFとFWの二人の兄弟。そして父から告げられた、二人揃えば完璧という言葉に二人は一緒に世界一を目指そうと手を握りしめ合う。直後、雪崩が二人と両親の乗る車を襲い―――
『FWも……DFも……ちゃんとやらなくちゃ……完璧に……!』
「……今のアツヤって」
後半戦。吹雪は二重人格であり、FWとして出ているのがアツヤだと明示されるのだが、今の吹雪は人格のバランスを完全に崩しており、プレーにも影響を及ぼし始める。そんな中、イプシロンに遂に先制点を取られてしまう。雷門が点を取り返すため必死のプレーを続ける中、吹雪はスタンドプレーを止めない。だが、シュートの威力は撃つたびに増していき、遂にエターナルブリザードがワームホールを打ち破り得点、アツヤは歓喜のあまり咆哮を張り上げる。遂に同点まで押し戻した雷門イレブン。だが、
『ドリルスマッシャー!』
なんと、デザームはワームホールを越える必殺技を隠し持っていた。試合は引き分けで終わり、イプシロンは再び戦う時を楽しみに消えてしまう。試合こそ引き分けだったものの、最後の最後で対決に負けた吹雪の精神は大きくヒビが入っていたのだった。
「……そしてここで新たな必殺技、と」
引き分けた円堂達の次の目的地は、大介が残した裏ノートが存在する陽花戸中。福岡まで足を運んだ円堂は究極奥義を知り、さらに陽花戸中のキーパーであり円堂に憧れる立向居と出会う。なんと彼は円堂に憧れてMFからキーパーに転向、さらに円堂を真似てゴッドハンドを習得したというとんでもない逸材だった。
「……あの技って真似て覚えられるものなの?」
「……いやでもできちゃってるし……できるんだろうな……いやなんか凄くないか?キーパーって被ってるから入らなさそうだけど」
そればかりか未完成ではあるがマジン・ザ・ハンドまで覚え始める才能の塊。陽花戸中との束の間の楽しい時間を過ごしていたが、円堂はヒロトという少年のチームと試合をする約束をする。そして翌日。現れたのは新たなるエイリア学園のチーム、ザ・ジェネシス。円堂達はヒロトが宇宙人であることに動揺しつつも試合をすることになる。
イプシロンで終わりだと心のどこかで思っていた雷門イレブンの中に不安が浮かぶ中始まるザ・ジェネシスとの試合。だが、その身体能力はイプシロンをも上回っており、マジン・ザ・ハンドがただのノーマルシュートに破られてしまう。それを皮切りに点差は瞬く間に広がっていく。
「これは……」
そしてその瞬間が訪れる。ヒロトことグランの放つ必殺シュートを頭部で受け止めてしまった吹雪は意識を失ってしまう。もう試合は終わったとザ・ジェネシスは去り、吹雪が運ばれた病室で、遂に吹雪の過去が完全に明かされる。吹雪には死亡した弟、アツヤがいた。だが事故によって家族が全員死亡した吹雪には、アツヤの人格が生まれていた。これまでエターナルブリザードを撃っていたのは、アツヤの人格で。だが、二つの人格が一つの体にあるのは、本来繊細なバランスで成り立つもの。特に、事故のショックで生まれた人格とくれば猶更だ。エイリア学園との戦いでそのバランスを崩した吹雪は、遂に限界を迎えて倒れてしまったのだ。
「「「「……」」」」
思わず秋が瞳子に分かっていてチームに入れたのかと糾弾する。瞳子ははっとした様子で悲しそうな目を一瞬見せるも、すぐに表情を引き締めると、勝つためだと言い切り病室を出ていく。しかし、あの人と同じことをしているのかもしれない、と瞳子は自嘲するように言葉を漏らす。
「……まじかよ……」
だが、ザ・ジェネシスとの戦いの敗北は、吹雪の精神の崩壊はきっかけに過ぎなかった。エイリア学園との先の見えない戦いに疲れ始め、この敗北で風丸も限界を迎えてチームを離脱してしまう。そして栗松もなくなり、雷門イレブンとして共に戦っていた二人がいなくなってしまったことで遂に円堂も精神をやられてしまう。
「……」
完全にお通夜ムードの中、顔を見合わせる四人。このままでは円堂すら使えないと判断され、チームから外されてしまいそうになる。
『……諦めない……!』
仲間達の言葉も届かなかった円堂の心を揺らしたもの。それは、どれだけシュートを撃たれ、打ちのめされても、未完成のマジン・ザ・ハンドを完成させようとする立向居の姿。そして遂に彼がマジン・ザ・ハンドを完成させたその姿を見て、円堂も思い出す。自分が苦労の末にマジン・ザ・ハンドを完成させた時の事を。そして諦めないことを。心の弱さを吹っ切り、もう迷わないことを決めた円堂は、再び雷門のキャプテンとして復活する。そして、円堂を復帰させた新たな仲間、立向居を加え、不穏な雰囲気を見せつつも目覚め、表向きは立ち直った様子を見せる吹雪も復帰。そんな彼らの下に、炎のストライカーの情報が入る。それが豪炎寺だと判断し、円堂達は次の目的地、沖縄へと向かうことになる。
「仲間はすっかり減っちまったけど……立ち直ってよかったな」
「はい!ここから反撃開始ですわ!」
「……といっても、イプシロンとの決着すら完全にはついてないわけだけど……」
「……豪炎寺、か」
沖縄に辿り着いた一行は綱海と出会い、沖縄での特訓を経て遂に円堂は究極奥義の一つ、正義の鉄拳を完成させる。そこに現れたのは更なるパワーアップを遂げたイプシロン改。綱海を引き入れ、円堂達はイプシロン改との最終決戦を始める。そんな中、沖縄で出会った人物の一人、土方はフードを被った謎の人物を連れて観客席に向かっていた。
(あの人物は……)
正義の鉄拳でイプシロン改の必殺技を打ち返し反撃開始。吹雪は再びアツヤを表に出し、一人でゴールを奪おうとする。そんな吹雪を雷門メンバーは、吹雪が決めたのならばとことん付き合うと走り出す。だが、吹雪の放ったエターナルブリザードを、デザームはドリルスマッシャーで弾くと、その手応えにデザームは訝しむような表情を見せる。だがそれは、あまりの強さからではない。むしろその逆。点を取らなければ、完璧にならなければここにいる意味がないと、悲痛な思いを滲ませながらシュートを放つ吹雪のシュートは、ワームホールにすら止められ、遂に片手で止めてしまう。
「え!?」
「片手で……」
『この程度とはな……お前はもう必要ない!』
落胆したようにデザームはボールをフィールドの外へと放る。それを見て、吹雪としても、アツヤとしても必要ないというその言葉に吹雪は完全に精神を壊し、ベンチに下がることになってしまう。そして吹雪を欠いたことで防戦一方になってしまう中、デザームが動く。デザームがFWとポジションを入れ替えるとグングニルを発動。その一撃は正義の鉄拳を打ち破り、雷門のゴールを奪ってしまう。そして円堂にデザームは告げる。本来のポジションはFWだと。
「まだこんなに力の差が……」
「吹雪がいればまだ……でも」
「……あんまり、無茶を言うのはよくないよ」
後半戦に入り、正義の鉄拳が破られるも仲間達も体を張って止める。それにより、何とか二点目を阻止するも、全員が満身創痍となって倒れてしまう。立っているのは円堂だけ。円堂だけでは止められないグングニルだったが、立向居の必殺技への感想や、究極奥義に完成無しという言葉から、その神髄に気付いた円堂は、この土壇場で必殺技を進化。それによってグングニルを弾いてみせる。
『これが常に進化し続ける奥義……!正義の鉄拳だ!!』
まさかグングニルが弾かれるとは思わず、驚くデザーム。しかし、イプシロン改から点を取ることはできない、そう思われたその時だった。遂にコートに現れたその少年が、自らの正体を明かす。
『豪炎寺!!』
「やっぱり豪炎寺だったな!」
(いやまぁ目つきとか……いや今は止めておきましょう)
豪炎寺は妹をエイリア学園の協力者に人質に取られており、チームからの離脱を余儀なくされていたのだ。しかし、やっと妹を解放し、何の憂いもなくなったことで遂に戻ってくることができたのだ。豪炎寺の出現により、彼を知る面々を筆頭に、再び闘志が蘇る。そしてフィールドに立った豪炎寺は、いとも簡単にパワーアップしたファイアトルネードで同点に戻す。それを見たデザームは再びキーパーに戻り、豪炎寺との勝負に挑む。だがデザームのドリルスマッシャーは、豪炎寺の新必殺技、爆熱ストームによってこじ開けられ、決勝点を奪い取られてしまう。
「か、勝ちましたわ!豪炎寺も戻ってきて……」
「ああ……良かった……良かったなぁ」
(……こうやって何でもうまくいったらよかったんだけど)
豪炎寺が復帰したことで喜ぶ雷門。だが、まだエイリア学園のチームは残っている。ザ・ジェネシスとの決戦に打ち勝つため、チームの攻撃力をアップするためにも円堂はリベロへと転向。代わりに立向居がキーパーに入り、究極奥義ムゲン・ザ・ハンドを習得するなど着実に戦力を強化し、遂に一行はエイリア学園の本拠地があるという富士山の麓へと向かうことになる。各々が様々な思いや葛藤を抱きながらも、最後の戦いに向かう覚悟を決め集ったメンバー達。史上最強イレブンは衝撃の事実を知ることになる。
「……ハイソルジャー……って」
今回の事件の黒幕は吉良星二郎。彼は瞳子の父親だった。五年前、地球に落ちてきたエイリア石を解析し、人間の潜在能力を引き上げることを可能とした星二郎はハイソルジャーを作ることを計画。しかし総理にその計画を撥ねつけられたことをきっかけとし、星二郎は彼がサッカー好きであることを踏まえ尤も分かりやすい方法でハイソルジャーの力を見せつけてやろうと。それが、ジェミニストームやイプシロンが行った破壊行為の数々だったのだ。そう、宇宙人の正体はエイリア石によって強化された人間だったのだ。
「……いやいや、なんかもう事が大きくなりすぎてない……熱いけどさ」
「今更ね」
世界を手中に収めんとする星二郎。これ以上彼の好きにさせないため、そしてサッカーを取り戻すために円堂達は最後の戦いに挑む。グランが率いるザ・ジェネシスは、エイリア石ではなくエイリア石で強化されたハイソルジャーを越える人間達。つまり彼ら自体は純粋な人間であり、エイリア石を破壊しても彼等の能力が落ちることはない。ザ・ジェネシスとの戦いの中、精神を崩壊した後も様々な出会いと経験を経て、遂に復活した吹雪。そして遂に彼は気付く。完璧になるということはアツヤになることではなく仲間と一緒に戦うこと、一つになることなのだと。マフラーを捨てた吹雪の中にあった二つの人格は、完全に一つとなり、本当の吹雪士郎となる。
『これが完璧になることの答えだ!ウルフレジェンド!!』
狼の咆哮と共に放たれた必殺の一撃がネットを揺らす。それからはシーソーゲームが続いていく。ザ・ジェネシスがスーパーノヴァで得点すれば、雷門がデスゾーン2で取り返す。ザ・ジェネシスが使う最強の必殺技スペースペンギンで三点目を奪えば、雷門もまた豪炎寺と吹雪の合体技クロスファイアで取り返す。そして、立向居が進化させたムゲン・ザ・ハンドでスペースペンギンを止めると、十一人の心と力を合わせた最後のシュート、ジ・アースを放ち、遂に雷門は決勝点を掴み勝利を手にするのだった。
「か、勝ちましたわ……」
「……最初は青春どこいったって思ってたし途中やばかったけど、やっぱなんだかんだで熱いな!」
「まあ、規模が大きくなりすぎたとは思うけどね」
「……確かにね、でも、面白かった」
決着がつき、円堂達の考えを理解したグラン、いやヒロト。そして負けたザ・ジェネシスの姿を見て憑き物が落ちた星二郎はようやく正気を取り戻し、自分達の過ちに気付くと、過去を語り始める。本当の息子を失い、その捜査を警察はまともにしてくれなかったこと、そんな折に親亡き子供達のための施設を瞳子に言われて作り、そこで幼い子供達と共に過ごすうちに心の傷は癒えていったこと。そんな中、エイリア石と出会ったことでその魅力に取りつかれ、子供達を巻き込んで復讐をしようと考えるようになってしまったことを。自分の事を明かした星二郎が自首し、エイリア学年の子供達も保護。これによって遂に一連のエイリア事件は解決するのだった。
「……先生?なんかまだ顔が浮かないけど」
「え?キキョウ、そう見える?まあ、あはは……そ、それよりどうだったかな?面白いアニメだと思うけど……」
「はい!ちょっと重いかな?って思うところもありましたが、身共は最後まで楽しかったですわ!」
「はは、確かにな……結局染岡とか最後まで復帰しなかったけど」
「まあ吹雪の事を考えたらFWを復帰させるわけにはいかないでしょうし……なんていうか、容赦のないアニメだったわね。敵も味方も色々な意味で……」
「うん……吹雪は容赦なかったね……ここまでやらなくてもってちょっと思っちゃった」
エイリア学園との戦いが終わり、雷門中に戻る途中。イナズマキャラバンの故障を修理するため休んだりボールを蹴りあったりしながらゆったりとした時間を過ごす雷門中を見ながら、四人はそれぞれの感想を言い合う。すっかり楽しんでくれたようで何より、そう思いつつも、キキョウに指摘された部分について今は誤魔化せたことにほっとする先生。何故なら、
(……まだ、残っているんだよね……)
風丸達は星二郎の付き人であった研崎によってエイリア石による洗脳を受けて洗脳され、ダークエンペラーズとなって襲い掛かる。雷門対雷門というかつての仲間との最終決戦があったからだ。またしても落とされる四人を見ながら、先生はこの戦いの結末はどうだったかを思い出すのだった。