転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
百花繚乱の詰所。日付が変わり始める直前に未だに眠り続けるアヤメのいる部屋にナグサが入ってくる。ナグサは眠っているアヤメの顔を見て笑みを零す。
「アヤメは今日も寝ているね。楽しい夢を見ているのかな?私は……今仕事終わったところ」
以前、アヤメが反応したゲームやアニメ、音楽といった話をすることがナグサも多くなっていた。ユカリがゲーム開発部と関わったことがきっかけでその手のものに触れることも多く、ナグサもユカリやレンゲほどではないにしても触れたり触れなかったりしているような形だ。
「私は……新しい焼き鳥屋を見つけたよ。ってちょっと違うか……でも、知らなかった。アヤメがこういうの好きだったなんて……花鳥風月部にいた時に知ったの?あのシュロって子もなんかそういうの好きっぽそうだもんね」
シュロがゲーム開発部と作り出した最強一角ライオンGの話を思い出しながら語り掛ける。アヤメがこういうものに触れ始めたことに花鳥風月部は関係はないのだが、ナグサはそのことを当然知らない。と、
「あ……」
「!」
アヤメの口が動いたような気がした。それを見て、ナグサはアヤメの声を聴き逃さまいと耳に神経を集中して静かに待つ。すると、
「好き……これ……」
「……好き?アヤメ……?」
「私……好きだよ、モルフォ……」
「……え」
アヤメの口から衝撃の言葉が聞こえ、ナグサの身体が固まる。目が見開かれ、固まってしまった彼女は、震えながらアヤメを見る。
「なんで、なんで……?だってアヤメ、ほとんど……面識ないじゃん……ゲーム開発部の子と……どうして」
アヤメがぽろっと口にしたモルフォの名。アヤメはモルフォ、ひいてはゲーム開発部とはあの時戦った相手でしかないはずだ。その相手に対して好きとはどういうことか。何があったのか。これは絶対に確かめなければならない。震える手でスマホを手に取ると、まだ起きていることを祈って先生にメッセージを送ってみるのだった。
★
翌日。シャーレの居住区には先生、ナグサ、そしてモルフォの姿があった。ナグサの表情はかなり険しいものとなっており、モルフォは少し困惑したような表情を浮かべ、先生は疑問の色を顔に浮かべていた。
「えっと、先生。ナグサさんが緊急で確認したいことがあるので直接会いたいということでしたが……」
「えーと、その理由は私も聞いてないんだよね。ただナグサも凄い真剣な様子だったからただ事ではないと思ってね」
「うん、これはとても大事な事なの。だから正直に答えて」
「はい」
「モルフォ、あなたはアヤメとどういう関係なの?」
「……え?」
ナグサの質問にモルフォは困惑してしまう。それは、どこからアヤメのことが漏れてしまったのかという疑問から来るものであった。
(セイアさんがばらした?いやないと思うけど……)
この事を知っているのはアヤメとセイアだけだ。しかし、セイアがそのことを簡単に喋るとは思わないし、その相手がナグサともなれば学校も違う以上そもそも出会うこと事態よっぽどのことがなければありえないのだ。となれば残る可能性は一つ。それを確かめるため、ナグサに質問を投げかけることにする。
「とりあえずどうしてそう思ったのか教えてもらってもいいですか?」
「アヤメが寝言で言っていたんだよ……モルフォ、あなたのことが好きって昨日―――!」
「あ、それ別のこと言ってるので。あの人私の事別に好きとは思ってませんよ」
「べ、別の事?」
「そうですよ。私とアヤメさんは友達ですし。多分それ昨日の話の中でアヤメさんがぽろっと言ってたことが変な形で寝言になって出ただけでは?」
「……………………」
モルフォの言葉にスンとなり黙り込むナグサ。というか別の意味でフリーズしているように見えるが、モルフォとしてはとりあえずばれてしまったからには仕方ないので変に隠すことなく全部ぶちまけていく。なお、情報量の暴力でナグサは既に思考停止しかけているが。
(あの人、大分気を楽にしたのもあるのか、段々迂闊になってない?いやまぁ現実の方をどう気にしろっていう話ではあるけども)
やれやれと内心肩を竦ませると、二人にアヤメの夢の事を話していく。ただ、アヤメが遊びまくっていたという部分は彼女の名誉の為に隠しておき、あくまで精神的療養のために話し相手などをしているだけということにしておいた。これはアヤメのためでもあるが、セイアの方に飛び火するのもよろしくないという配慮だ。
「そっか、セイアもこの事を知っているんだね」
「ええ、こういう時は経験者に意見を募った方がよかったので。先生に言うかどうかは然程問題があるわけでもないのだからアヤメさんが回復して本人がいいと言うまでは放っておいていいんじゃないかってことだったので今まで言いませんでした。すみません」
「ううん、そういうことなら問題ないよ。それで、アヤメは今、元気かな?」
ナグサの様子をちらちらと確認しながら先生はアヤメの様子について聞く。モルフォは昨日の夢の様子を思い出す。和室でゴロゴロしながらゲームをやり、のんびり寛ぎながら遊ぶ。最近はモルフォがおらず、だが目が覚めたりした暇な時間は自分の夢の中の百鬼夜行を歩くようになっていたような話も聞いた。後なんか夢の中の百鬼夜行が前より拡張されてる気がする、とも言っていた。理由はわからない。
「ああ、前よりはかなり回復していますよ。昨日も喋ったりしましたし」
「良かった……ねえ、アヤメはゲームとかの話に凄い食いついてくるの。もしかしてだけど、夢の中で―――」
「…………それはまあ、私がゲーム開発部だからそういう話をするってだけで……そういえば……」
『あ、私好きかも!これこれ、ステージ無視してゴールできるじゃん!』
『後はそうだね……あ、これ好きだよ?青ヨッシー。というか大体こいつだけでいいよね?モルフォもそう思わない?え?甲羅がいるからマントの方がステージを選ばない?それもそっか……』
昨日の夢の中で楽しそうにゲームをやっていたアヤメの姿を思い出す。グラの進化やら便利なシステムやらに感動していた彼女の姿を思い出しながら、説明を続ける。
「……まあ、夢の中のアヤメさんは最初に見た時よりは気力も蘇ってきていますよ。ずっと寝ていてたまに喋ったりしていたのが段々余裕も出てきたので折角だからとゲームをやってもらってたんです。きっとナグサさんが聞いたのはその時のアヤメさんの反応なのでしょう」
まさかあれか?と思い当たる台詞を思い返す。寝言としてそれが出てくるレベルで現実にも戻りかけているならさっさと起きてしまった方がいいのではとも思うが、やはり当人にしか存在しない葛藤か何かがあるのだろう。そう思い込むことにしてナグサに改めて向き直る。
「ただこのことはこの場にいない人だとセイアさん以外には内緒にしてもらっていいですか?アヤメさんもいつ目を覚ますかどうかはわからないようですし」
「……わかった。それでもう一つ聞きたいんだけど……アヤメの所に行く方法は」
「ないです。というかできたんだったらアビドスで寝た時にナグサさんも一緒に引っ張られているでしょうし」
「そっか……」
「ただ―――何かの手がかりになるかもしれないし、ならないかもしれませんが」
「何かあるの?」
がっくりと項垂れながら寂しそうに呟くナグサ。その様子を見ていたが、やがてモルフォはナグサが何かに感づける手掛かりになればいいかもしれないと考えてある提案を持ちかけるのだった。
「昨日、アヤメさんがやっていたゲーム……やってみます?」
★
スーパーマリオワールド。それはSFCで登場したアクションゲームで、スーパーマリオブラザーズシリーズの四作目にあたる作品である。マリオとルイージはピーチ姫とバカンスのために恐竜ランドと呼ばれる南の島国に存在するヨースター島を訪れた所、ピーチ姫が姿を消してしまう。彼女を探していたマリオ達はヨッシーと名乗る奇妙なドラゴンと出会い、亀の姿をした化け物に仲間達が攫われてしまったという話を聞く。そんなヨッシーの頼みを受け、囚われたヨッシーの仲間達とピーチ姫を取り戻すべく、マリオ達の新たな冒険が始まり、その中で再びクッパと対峙することになる……というのが今作の大まかなストーリーである。
「……このゲームを、アヤメが?」
「そうですよ?難易度も丁度良くて楽にゆったりやれると思ったのでやってもらいました」
ゲームのセッティングを進めながら、カセットをじっと見ていたナグサからソフト本体を受け取る。先生はこの後はゲームをするだけなら問題ないかと思いオフィスの方に戻っていった。
「まあ、こういうのは実際にやってみた方がよくわかりますよ」
「……わかった」
モルフォからコントローラーを受け取り、モルフォが電源を点ける。カシャンという小気味いい音と共にテレビの画面にスーパーマリオブラザーズ3とはハードが変わったことで16bitの進化したグラフィックのオープニングが映り始める。
「……よし」
今作の基本的なシステムはアクション面に関しては3の頃と変わらないものの、3の時にあったパワーメーターがゲージとして表示されていないため、走った距離を覚えてダッシュに入ったかどうかをマリオを見て判断することになる。また、追加アクションとしてドリルのように回転しながらジャンプするスピンジャンプが搭載されており、これによって通常は踏むことのできない相手も踏むことが可能となり、さらに足元のブロックも破壊できるものであれば破壊が可能となる。他にも、甲羅などを持った際に上に投げたり、そのまま地面に置くこともでき、水中でも持てるようになる。加えて水中で物を持っている場合はそれがビート板のようになって浮力を得て高機動で移動できるようになる。
アイテムについても、パワーアップアイテムを一個ストックすることが可能となり、アイテムを取ると、それまで使っていたアイテムが枠にストックされるようになる。例えばスーパーキノコを採っている状態でファイアフラワーを取ればスーパーキノコの方がストックされるといった形になる。既にアイテムをストックしている状態で別のアイテムを取得するとストックが上書きされ、新たに入手したアイテムの方がストックされる。それだけでなく、ダメージを受けるとストックが自動的に落下するようになり、ダメージを受けなくてもいつでもストックしているアイテムを落下させることもできる。
「これ……最初行ける場所が二つあるけどどっちに行けば……」
「いけるところは自由にって感じですけども……」
ゲームを始めるとヨッシーのいえと呼ばれるステージの上にマリオが立っている。そこに入ると叩くとメッセージが出てくるブロックだけというちょっとした生活空間のある場所に入るのだが、そこで見れるメッセージはヨッシーが仲間を助ける旅に出たという記述だけ。
「まあ、順番にやるのが基本的には丸いと思いますよ。最初のワールドですし」
「あ、本当だ……コース1って書いてある」
最初のワールドはヨースターとう。ヨッシーのいえから行けるステージにはヨースターとうコース1とコース2があり、モルフォのアドバイスに従いまずはコース1に向かうことにする。
「……」
妙に気合を入れながら初めてのマリオを開始するナグサ。とはいえ一番最初のステージで苦戦する要素はほとんどない。今作に登場するドラゴンコインと呼ばれるヨッシーの顔の模様が入った大き目のコインを回収しながら進んでいると、謎のポール二本が立っている場所に辿り着く。そのポールの間にはロープのようなものが貼られているのが分かる。
「これは……?」
「中間ゲートですね。ステージ内でミスした時はこの中間セーブを通過していればここから再開できます」
「へー……じゃあこの横にある黄色い点線のは?」
「それはここをクリアするまで気にしなくて大丈夫です」
「……この花は?」
「ファイアフラワーでファイアボールが出せますね」
「……氷はないんだ……私は面が良いから氷属性の女なのに」
「アイスフラワーは今作にはないので……」
道中、黄色い点線で括られた謎の四角いブロックのようなものを見たり、ファイアフラワーの使用感を確かめたりしながら進んでいくと、やがてゴール前に辿り着く。だがそこはゴールゲートとなっており、中間ゲートのような白いロープが上下に動いているのがわかる。
「これは?」
「できるだけ高い所でそのロープに触れてみてください」
「えっと……20?なんか数字が出てきたけど」
その白いロープに触れてゴールすると、その高さに応じてゴールスターと呼ばれるものが手に入る。これらは累積していき、100以上になるとクリア後にビンゴ形式のボーナスゲームが始まる。ボーナスゲームでは揃えたビンゴ数に結果に応じて1UPキノコを手に入れることができ、うまくやれば一気に残基を増やすことが可能となるのだ。
「つまり今は関係ないってこと?」
「まあ、もうちょっと先ですね。とりあえず進められるところに行ってみてください」
最初のコースをクリアしていける所に行ってみる。そこにはかっぱやま きいろスイッチという、黄色いスイッチのあるステージがあり、そのステージの奥にあるビックリスイッチと呼ばれる大きなスイッチを押すことでクリアとなる。今作にはこのようなスイッチの宮殿と呼ばれるステージが他にもいくつかあり、それをクリアすることで、対応した色の点線だったブロックが実体を持つようになる。
「なんか沢山ブロックが出て行ったけど……これで何か変わるの?」
「黄色いブロックが出るようになるのでちょっとだけ攻略が楽になる部分が出ますね。後黄色ブロックからはキノコが出ます」
「へー」
黄色ブロックが使えるようになったところで続けてヨースターとうコース2へ入る。そこであるブロックを叩くと、そこから卵が現れる。その卵が割れると、中から緑色の恐竜のような生き物、ヨッシーが現れる。
「……ヨッシー?」
「恐竜ですよ」
「恐……竜……?なんか、可愛いような」
「可愛い恐竜ですよ」
「そ、そっか……ま、まあ愛嬌はあるよね、うん……どうすればいいの?」
「乗ってみてください」
ヨッシーはステージ中に見つけてその上に乗って一緒に進むことも可能となっている。ただし、ヨッシーに乗れるのは通常ステージだけであり、建物の中に入るステージでは同行してくれない。ヨッシーに乗っている時は通常のジャンプがスピンジャンプと同じ効果を持ち、さらに長い舌を出すことで敵を捕食したりアイテムを呑み込んだりできる。この時、甲羅などの場合は口の中に保持され、暫くすると呑み込み、その前に吐き出すこともできる。
「鳴き声も独特だね」
何回もでっていう!と聞こえる鳴き声を乗り降りしながら聞いていくナグサ。道中、フルーツや敵を沢山食べたことでヨッシーがキノコを産卵したりといった出来事もあったが無事にクリアし、ヨースターとうのステージを一つずつ順調にクリアしていく。そして、ヨースターとう最後のステージに差し掛かる。
「……城?」
「各ワールドのボスがいるステージですね。ちなみにこことかがヨッシーが持ち込めないステージとなっています」
「へー」
残念ながらヨッシーは途中のステージで被弾した際にマリオへのダメージを帳消しにする代わりに逃亡してしまい、谷底に落下してしまっていた。なのでナグサは目撃できなかったが、モルフォの言う通り室内でヨッシーを使うことはできない。とはいえ、このステージは金網が存在し、それにマリオが張り付いて移動する前半ステージと一定の間隔で落下してくる巨大な木のようなものを避ける後半ステージ、そしてその先のボスであるコクッパとの戦いの三構成となっている。
「溶岩の池への落とし合いって何……?」
城の中のメッセージブロックからコクッパとどう戦うのかを知って困惑する。そしてボスステージに入ると、溶岩の上で傾く。大き目の浮島の上でコクッパの一人、イギーと戦うことになる。このステージではマリオがイギーを踏んだり、ファイアボールを受けたりすると、浮島の傾きの方に落ちていく。
「あ、あー?そ、そういう……」
「向きに気を付けないと……あ」
「あっ」
傾きに気を付けて攻撃しないと、ファイアボールを喰らったイギーがマリオにぶつかってダメージを受けてしまう。モルフォが注意した時には時すでに遅しではあったが、二度目は気を付けて喰らわないようにする。幸い、今のうっかりミス以外は被弾することなく、イギーを踏みつけて溶岩の中へと突き落とすことに成功する。
「……でも溶岩に突き落とすなんて……うわお。派手だね」
「ちなみにクリアした城は再挑戦できないので気を付けてくださいね」
ボスを撃破した後、マリオが城を爆破するムービーと共にヨッシーの卵を救出する。そして次のワールドであるドーナツへいやへと向かう。そこはヨースターとうよりも広いマップであり、難易度の上昇を感じさせる。
「ドーナツへいや……なんか美味しそうな名前だね」
「まあドーナツですからね。それよりもここですよ」
「ここ?」
ステージに入ったナグサだったが、最初に飛んできた赤く点滅するマントの敵を倒すと、羽のようなアイテムが出現する。それを入手すると、ファイアマリオからマントマリオというマントを装備したマリオの姿になる。
「ふーん、こうなるんだ。えーと、これで?」
「マントで攻撃できます」
「うん」
「マントを使って落下速度を下げられます」
「うん」
「マントで空を飛べます」
「空を……え?」
マントマリオ最大の長所。それはダッシュしている状態でジャンプすることで空を飛べることだろう。その性能はすさまじく、試しにナグサがやってみたところ、ちょっと上昇する時の動きに癖はありつつもいつの間にか、
「うわ凄い飛んで……ん?鍵?」
「……まあここは割とわかりやすいとはいえマント使うと普通に見つかるんですよね隠しゴール……鍵は鍵穴に入れるとステージクリアの扱いになります。まあ大体隠しゴール扱いになるんですが」
「あ、そうなんだ」
鍵穴を用いる隠しゴールの場所に辿り着いてしまっていた。とはいえ、これは空を飛んでいたらいつの間にか辿り着いてしまっていてもおかしくないくらいにはあからさまな、ある意味隠しゴールのチュートリアルのような場所ではあったため、あまりおかしいことではない。
「一応、ステージは黄色いマスと赤いマスで分かれていると思うんですけど、赤いマスだと隠しゴールがあるんですよね」
「へー、じゃあこのひみつのコースにも?」
「そうですね」
そんなわけでいきなり隠しゴールの先のひみつのコースに辿り着くナグサ。そこは水中ステージであり、地上とはまた違った挙動に苦しめられたり、マリオを追尾してくる魚のような敵キャラに苦戦したりしていたが、
「一回ファイアマリオ拾ってきてからの方がやりやすいかもしれませんね」
「あれ使えるの?水の中だけど」
「使えますよ」
「使えるんだ……」
ファイアマリオで一体ずつ倒していくことで大分楽になる。そしてここでも鍵穴を用いた隠しゴールがあり、Pスイッチでブロックをコインに変換することで入れる隙間から鍵を入手して入ると、再び隠しゴールの先にあるお化け屋敷に辿り着く。
「お化け屋敷……?隠しゴールってあるの?」
「一部を除いて隠しゴールはありますけど……」
段々モルフォの表情が少しだけ微妙なものになっていく。それに気付かずナグサはドーナツへいやのかくれやしきへと入っていく。もうまともなゴールを探すつもりはないようでとりあえず隠しゴールを見つけようと考えているのだろう。テレサを始めとしたお化けを避けつつ進んでいき、道中でマップの行き来をするのに便利なスターの島という情報を手に入れてからは俄然やる気を出して進めていく。
「ここもPスイッチ……普通に考えれば、あからさまにコインで囲まれていた場所だけど。だから隠しゴールはそれ以外の……あ、スイッチ押してる間だけ出てくる地面……ここがきっと鍵に……ふふ、上へのツルが出たね」
(これは……)
隠し通路を見つけ出し、その先にいる巨大なテレサというボスを倒して隠しコースをクリアしたナグサ。すると、お化け屋敷から星のマスへと道が続き、そこに入るとなんと、ネイティブスターという島へ辿り着く。
「これがスターの島……各地へのショートカットってことだよね?」
「まあそうなんですが……」
「……あれ?クリアしたのに道が出てこない?」
「ここ隠しゴールしないと先へ進めないんですよ」
「そういうことなんだ……」
ネイティブスター最初のコースは鍵と鍵穴が分かりやすい所に置いてあったため、そこまで苦戦はしない。そしてコース2はなんと水中コース。そこで、青いヨッシーの卵を見つけることになる。
「この青いヨッシーは?」
「甲羅を口の中に含んでいると空を飛べます」
「そうなの?」
孵化したヨッシーの幼体に魚を食べさせて成長させて青いヨッシーを誕生させながらナグサが驚いたような表情を浮かべる。今作ではヨッシーの色によって特殊な能力があり、緑なら能力無し、青ヨッシーなら甲羅を含んでいると羽が生えて空を飛べる。黄なら着地で衝撃波が出て、赤なら炎を吐き出せるというものになっている。また、甲羅の色でも青、黄、赤を含むことでヨッシーの色に関係なくその能力を得ることができる。
「でもここには甲羅ないし……」
ここも隠しゴールは通常ゴールへ続く土管の下にあからさまな奥へ続くスペースがあり、その先のためわかりやすい。そしてコース3に。ここではジュゲムがおり、それを普通に倒すと雲が消えるのだが、
「明らかに上に続く階段があるからこのジュゲムをどうにかしないといけないんだけど……あ、そうだ。ここ持てるブロックの地面だからこれをぶつければ……」
(気付くの早いなぁ)
ブロックをぶつけて倒すことで雲が残るようになっている。その雲を使って上に行くことで更なる隠しゴールに行けるのだが、問題は次のコース4。というかここを越えられるとある意味一番まずい。
(一応緑と赤ブロックは解放されてないけど……青ヨッシーがいるんだよなぁ)
パタパタ達がいるコースを進んでいく。このステージはただそれだけなのだが、隠しゴールへの導線自体は非常に簡単で、通路の途中でスイッチの宮殿をクリアすることで実体化するブロックから行ける分岐路があるのだ。なので本来はこのスイッチを押す必要があるのだが……青ヨッシーの能力やマントマリオの能力で無視して突破ができてしまう。そして無事に鍵を入手してここもクリア。
「じゃあここはどこに……といっても今までは移動してもそのワールドは何もでき……あれ?」
(辿り着いちゃった……)
ここまで、開通したところから別のワールドに毎回飛んではいたものの、そこから先に行くことができないを繰り返していたナグサだったが、なんとそこにあったのは最終ワールドであるワールド7。しかもクッパの城の真横にスターロードが開通してしまっていた。
「……最終ステージじゃこれ」
「はい」
「……入れていいの?」
「攻略はできてるので正解ではあります」
「……じゃあセーブして入っちゃおうか」
一回お化け屋敷まで戻ってセーブしてからクッパの城攻略に入る。クッパの城はそれぞれ内装やギミックが異なる四つの部屋を選んで突破するを二回繰り返した後、ミラーボールを用いた明かりが制限された場所を進むというものになっている。ナグサは何回か失敗した後に最終的に金網を移動する部屋と見慣れたブルというフットボーラーみたいな敵の群れが出てくる部屋を突破、最後のギミックも越えて遂にラスボス戦であるクッパの下に辿り着く。
「……強そうだけど何とかなるかな?」
クッパクラウンというピエロのような空を飛ぶ乗り物に乗ったクッパが現れるも、ダメージを与える方法が思い浮かばない。ナグサが首を傾げていたが、ここでクッパがメカクッパというゼンマイ仕掛けのクッパのようなロボットを放り投げてくる。このメカクッパは踏みつけることで無力化し持つことができるようになるという特性があり、これをぶつければいいのだと理解したナグサはそれをクッパに投げつけていく。
「うん、あってた」
「これを投げつけていきながらクッパの攻撃を避けていくんです。ちょっと長くなりますよ?」
「望むところ。ここまで来たんだもんね」
(でも実質ワールド2か3ぐらいのクリア数なんだよな今の所……まあ楽しんでるみたいだしいっか)
クッパも炎を出したり鉄球を落としてきたり、クッパクラウンを直接ぶつけようとしたりとパターンはある程度変わるのだが、途中でピーチがスーパーキノコを出してサポートをしてきてくれたりと、実のところラスボスなのだがそこまで強いボスというわけではない。そんなわけで、
「よし、倒した!」
「おめでとうございます。だいぶあっさりでしたね?」
「うん、でも丁度良かったかな……いやこれラスボスだっけ……完全に忘れてた……」
「まあでも、倒せたんですから勝ちですよ!でもステージ自体はまだたくさんありますからそっちも楽しんでいきましょう!」
「……そうだね、そうしようかな」
無事にピーチを救出し、エンディングに入っていくマリオ達を見ながら、今回スルーしたステージの方も気になり始めたのかまたドーナツへいやの再攻略に戻っていきつつ、モルフォを時折見ながら笑みを零すのだった。
(アヤメ……会えないのが凄く残念だけど、こういうのをやってるなら……いつかきっと、起きてくれるよね……私も、行ってみたいな……)
なお、その日の夜に今回の一件を聞いたアヤメはばれたことについて頭を抱えていたもののさっさとスターロードを経由してエンディングを見たというナグサのやり方にとてつもなく微妙そうな顔をしていたのは別の話である。