転生したので前世の知識で生徒達と遊ぶことにする 作:popoponpon
ゲーム開発部の部室。そこで魂が抜けたように燃え尽きて灰になっているモモイの姿があった。
「モ、モモイが燃え尽きています……」
「セミナーの作業がそれだけハードだったんだね……後ノア先輩とユウカ先輩の講義とかも」
「戻ってきた時には疲れ果ててゲームをやる気力すらなく眠る生活だったからね……今日はいいの?」
「モモイが燃え尽きてるせいで仕事が進まなくなったら本末転倒だから一日だけ休みを入れるって」
セミナーで行われた地獄のような毎日に、すっかり精神が燃え尽きたモモイ。それだけ、先日の一件における事の重大さを骨身に刻まれたようである。
「……まあ、ユウカ先輩達が良いって言ってるし今日ぐらいいっか……モモイもゲームを見れば復活するでしょ」
「はい!今日もゲームをしましょう!モルフォ、良いのはありますか?」
「うーん、エグゼかゼロか……」
「じゃあゼロでいいんじゃない?」
「そういえばユズはやってたっけ」
モルフォはケースの中からカセットを取り出す。それを見たアリスが首を傾げる。
「これがユズがやっていたゲームですか?」
「うん、もう結構前なんだよね……懐かしいなぁ」
「面白そうです!」
アリス達がやろうとしていたのは、ロックマンゼロ。その中でもロックマンゼロ3という、ロックマンゼロシリーズの後半にあたる作品である。ユズは既に全作品プレイ済みであったが、1と2ではなく3からやることになったのは、プレイ難易度としては3が一番簡単だからという理由である。
「……そうです!折角ですし、ケイがプレイしてはどうですか?」
『わ、私ですか?しかし……アリスがやりたかったのでは』
「アリスは構いませんよ?それに、ケイにももっとたくさんのゲームを楽しんでもらいたいですし!それに……アリスはゲームからたくさんの事を学んだんです。きっとケイにも、色んな大事なものが見つかるはずです!」
ケイが周りを見る。ユズとモルフォはもちろん、ミドリと灰になりながらも頷くモモイの顔を見てからコントローラーを握る。
「……わかりました。では……」
「ちなみにこれ、3ってことは過去の話もあるんだよね?」
「うーん、確かに過去作をやっていた方が楽しめるといえばそうだけど、単体でも問題ないといえばないかな?」
「そうだね。一応過去のあらすじもあったはずだし」
モルフォとユズが軽く話をしている中、ケイがゲームをスタートさせる。すると、二人の言った通り、1と2のあらすじがオープニングとして流れてくる。眠りから目覚めた伝説のレプリロイド、ゼロはシエル達レジスタンスと共に、ネオ・アルカディアを支配するコピーエックスを撃破。それによってネオ・アルカディアの恐怖こそ去ったものの、深刻なエネルギー不足に悩まされてしまったレジスタンス。シエルは新たなエネルギー研究に全力で取り組み、新たにエルピスと呼ばれるレプリロイドが司令官となる。しかし、エルピスは強さを求めるあまり、かつて世界を滅ぼしかけた力、ダークエルフを解放。激しい戦いの後、ダークエルフの力を手に入れ暴走するエルピスを倒すことにこそ成功したものの、そのダークエルフはどこかへと飛び去ってしまう。そして、二か月後。ダークエルフを巡る新たな戦いが始まろうとしていた。
「レプリロイドって?」
「この世界に出てくるロボットのことだね」
新たなエネルギーが生み出されたことで問題が解決し、ネオ・アルカディアと戦う理由がなくなろうとしていたレジスタンス。ゼロを筆頭に彼らは、ダークエルフの反応がしたという宇宙から降ってきたという謎の宇宙船を調べに来ていた。だが、ネオ・アルカディアが警戒線を張っており、ゼロがルートを確保するために先導するという流れでステージが開始する。
「へー、結構スピーディだね」
セイバーとバスターというシリーズではお馴染みの武器を使い、攻略を開始していく。また、今作のゼロは過去作とは違い、武器のレベルを上げることでアクションを解放する、という要素がなくなっており、最初からセイバーの三段斬りやチャージショットが解放されている。加えて、始まった時点では所持していないものの、これまで融合することでしか使用できず、ステージクリア後の採点項目で減点を喰らうせいで高得点を狙う場合は事実上使い道のなかったサイバーエルフが、サテライトという形で装備可能になり、減点されることなくその恩恵を受けられるという改善点も存在している。
「成程……」
アクションに慣れるようにバスターやセイバーにどういうアクションがあるのか確かめながら進めるケイ。途中でネオ・アルカディア四天王のハルピュイアに立ち去るように促されつつも仲間たちをレジスタンスベースに返し、単独で奥まで向かうことにするゼロ。そしてボス戦までたどり着くと、そこには巨大な大剣を持つ、ネオ・アルカディアを追放された謎のレプリロイド、オメガを前にやられそうになる四天王のファーニブルとレヴィアタンを発見、ゼロが現れたことと、満身創痍の体では戦闘が続行できないため彼にオメガを託す形で撤退。
「……いきなり大物なんですが?しかも、ゼロを呼んでいたってなんか不穏な……」
「あー、そういえばそんな流れなんだよね……」
そして始まるボス戦。とはいえ、最初のボスということもあり、攻撃パターンは両腕を分離させて縦軸と横軸から三個ずつ連結した輪っかを放つ、という優しいものだ。さくっとチャージ攻撃を当ててケイはオメガを撃破。そこにハルピュイアも加勢し、オメガを破壊しようとするのだが、そこに謎の老人バイルが出現し、オメガはネオ・アルカディアの新たな仲間だと告げる。
「うわぁ、悪そう」
「っていうか思いっきり追放されてるじゃん……まあ主人公がレジスタンス側だしそりゃあ治安維持組織側が敵になっちゃうのか……でも、四天王とはなんか仲良いね?」
「仲がいいと言うか……まあ過去に色々あったしオメガはちょっと事情があるからね……」
バイルは100年前に追放された存在で、明らかに謎の装置のようなもので延命されているかのようにも見受けられる。さらにバイルは、死んだはずのコピーエックスを復活させたのだという。この混沌とした世界から人間を守るため。そのためにオメガを回収し、ダークエルフを探すのだと。だが、バイルの生み出したダークエルフとオメガのせいでかつて多くの人間が死んだこと、そしてエネルギー問題も解決しそうなこの時期に人間を危険に晒す真似はやめてほしいと進言するも、エックスに逆らうことはできず、その意見を呑み込まざるを得なくなってしまう。
「……」
「ケイ、大丈夫?」
「ロボットの話だからやっぱり気にしてるんじゃない?」
「あー……」
「大丈夫です。これはゲームだとわかっていますから。ただ……大分胸糞が悪いですね。この男は……いえ、悪人であることを隠さないだけマシですけども」
レジスタンスベースに帰還したゼロは、ネオ・アルカディアより先にダークエルフを見つけ出すために新たな行動を打ち出すことになる。そして新たな武器であるリコイルロッドとシールドブーメランを入手。特にリコイルロッドというトンファー型の武器はチャージショットで相手を押し出したり、物を動かしたり、また、地面に打ち付けることで高く跳ぶことが可能になるという、ロックマンゼロ3におけるスピード感を演出するのに一役買う武器でもあり、この後のミッションで戦うことになるバイルナンバーズと呼ばれる敵達との戦いでも大きな戦果を挙げることになる。
「そういえばあの扉みたいなのってなんなの?」
「サイバー空間だね……入ると点数が5点減点されるから、最後のボスが出てくるサイバー空間以外は入ったことなかったなぁ、一応入ればサイバーエルフが死なずに効果を使えるようになるよ」
「で、あれば不要ですね」
また、今作のゼロは武器、そしてチャージショットに付加される炎、雷、氷の属性チップの他に、ヘッド、ボディ、レッグの三ヶ所に様々な恩恵を与えられるチップを装備することができる。これにサイバーエルフのサテライトを加えることで一気にカスタマイズ性も上がるのだ。それだけでなく、ミッションクリア時にAランク以上をキープすることで、EXスキルと呼ばれる強力な技を入手できる。バイルナンバーズを撃破し、着弾すると爆発するバーストショット、氷の斬撃刃を放つ斬鋭弾を入手していく。これらもやはり、優れた能力を持っており、使い勝手がいいものが多い。
「……しかし、迷いませんねこのゼロという人物は」
「うん、格好いいよね」
「……?まあ、恰好いいのは否定しませんが……?」
ケイの言葉に食い入るように反応してきたユズに、思わずケイは驚いてしまう。そういえば自分の前にユズはやっていたことを思い出し、その時にハマったのだろうと。そんな中、あるミッションにてベビーエルフと呼ばれる、ダークエルフを母と慕う双子のサイバーエルフと遭遇する。ベビーエルフたちは、ゼロを見て100年前にも母親をいじめた、偽物のくせにと意味深な台詞を口にしていく。
「……偽物?そういえば、オメガと戦った後にもカラダがどうとか……」
『もしや、ゼロというのは……』
嫌な予感をひしひしと感じる中、ステージのボスであるカマキリをモチーフとしたレプリロイド、デスタンツ・マンティスクを切り捨ててベビーエルフを追いかける。だが、既にベビーエルフはバイルと共に姿を消してしまっていた。ネオ・アルカディアでは復活させられたといっても完全にバイルの操り人形と化したコピーエックスとバイルの手によって嫌な方向へと変わりつつある中、ハルピュイア達四天王はその幹部の座を降ろされてしまう。遂に権限もバイルに奪われ、ネオ・アルカディアは事実上バイルの支配下に置かれてしまう中、オメガを搭載した巨大ミサイルが発射されたことをレジスタンスが突き止める。
「オメガって一番最初に戦った?あの時はあんま強い感じしなかったけど……」
「まあ、最初だからってのはあるけど……なんか、いかにもってデザインではあったし……」
ミサイルの目的地はダークエルフの現れた居住区だと判明し、ミサイルを止めるべくゼロは突き進む。六回目のミッションともなれば、完全に手慣れたものであり、瞬く間にミサイルの下に到達。しかし、ミサイルの発射を止めることはできず、ゼロはミサイルに乗り込んでミサイル諸共オメガを仕留めようとする。道中でベビーエルフの妨害を退けるも、彼らに時間を稼がれたことでミサイルを止めることに失敗してしまい、オメガ、ダークエルフ、ベビーエルフの合流を許してしまう。オメガはダークエルフを取り込むと、その体を金色に染め上げ、ミサイルの爆発に耐えることこそできたもののダメージが少なくないゼロへと襲い掛かろうとする。
「なんか、まずくないですか?」
「って、あっ、緑のレプリロイドが!」
だが、傷だらけのゼロを救いに来たのはなんとハルピュイアだった。だがオメガの前には歯が立たず、ハルピュイアと共にゼロはレジスタンスベースに転送されることになる。
「……やばいことになってきちゃったね……」
『ケイ……』
「……あまり、いい気分じゃありませんね。何もかも、このバイルの手の内みたいで」
さらに、レジスタンスベースにネオ・アルカディアから降伏を呼び掛けられる。しかしシエルは、それはバイルが更なる恐怖を生み出すためにシエルが生み出した新たなエネルギー、システマ・シエルを必要としているだけであると看破、その降伏勧告を跳ね除け、真の平和のために徹底抗戦を宣言することになる。そんなレジスタンスをコピーエックスは完全にテロリストと認定、人間諸共始末すると言い出す。
「……人間だから手加減してたってどういうこと?」
「このゲームの世界だと人間とロボットの身体能力の差がありすぎるせいで、ロボット側に人間を傷つけてはいけないっていう制約が課せられてるんだよ。でも、イレギュラーはその制約を無視できるようになってるわけ」
「……それだけ聞いているとかなりイレギュラーはむしろ本来の姿のように思えますが」
「まあキヴォトスだったらそうなんだろうけどね……例えばだけど、ケイが本気で先生の腕を握ったら……まあ、骨は潰せるでしょ?もしかしたらケイも意図してなくても不意にそういうことが起こるかもしれない。でもこの制約があれば、ロボット側が気付けない事態にも対応してくれるようになるってこと」
「……人とロボットの溝を埋めるためのもの、ですか」
ロックマンシリーズではロボット三原則と呼ばれるものが適用されている。その内容は、第一条、ロボットは人間を傷つけてはならない。また、危険を看過して人間に危害を及ぼしてはならない。第二条、ロボットは第一条に反しない限りで、人間の命令に従わなくてはならない。第三条、ロボットは前掲一条及び二条に反しない限りで、自己を守らねばならない。というものだ。これらは、キヴォトスの生徒とロボットを比較すると実感しにくいものの、その対象が先生とロボットとなれば、高すぎるロボットの性能側にセーフティをかけ、互いに歩み寄りやすくするためのものだと理解できる。
「……いや待ってください。エックスは普通に始末すると。これじゃあ……」
「イレギュラーだね……」
ユズの発言に、思わず唾を飲む。正常が異常となり、異常が正常となる。既にネオ・アルカディアは理想郷とは程遠いものになってしまったのだと。そのネオ・アルカディアからレジスタンスを壊滅させるべく出撃された部隊とそれを率いる刺客達を撃破したゼロは、逆にネオ・アルカディアへと乗り込み、バイルの操り人形と化したコピーエックスとの決戦に挑むことになる。
「オメガは控えてるけど、敵のトップ……でも、なんか微妙じゃない?」
「うーん……ぶっちゃけ1の頃の方が……いやでもあれ第二形態込みの話だっけ……?」
「まあ本物だったらもっとね……」
「え?」
コピーエックスは様々なアクションと属性攻撃を使うボスなのだが、ボスの強さという観点では残念ながら、1をクリア済みであるモルフォやユズから見ればもちろん、アクションゲームも慣れてきたケイからすれば決して強敵というわけではなかった。だがそれも、コピーエックス撃破後に現れた、サイバーエルフとなった本物のエックスの出現と共に納得することになる。
『エックスが、コピー……』
「……誰が本物で、誰が偽物なんでしょうか」
コピーエックスが死亡するや否や、その映像をネオ・アルカディア全体に公開したバイルは、コピーエックスに代わる支配者として君臨する。本物のエックスは、100年前の妖精戦争をバイルはまた引き起こそうとしているのではと危惧し、ゼロにあるメッセージを残して消える。
『大事なのは、カラダではなく心なのだと……』
「心……」
言いたいなぁ、とうずうずするユズの膝に手を置いて彼女を制止しながら、モルフォは話に見入るケイの様子を見守る。バイルの今後の動向を、そしてこれまでの行動を知るため、レジスタンスは動くことになり、その中で新たなバイルナンバーズとも戦っていくことになる。
「……それにしてもさ、人っぽい姿から戦闘形態になる演出いいよねこれ」
「あー、わかる。というかお姉ちゃんいつの間に復活したの」
「さっき……」
いつの間にか復活して色を取り戻したモモイの言葉に賛成するミドリ。バイルナンバーズには白を基調とした衣装を纏った人間の姿と、レプリロイドの姿の二つが用意されており、ゼロと戦う時にはレプリロイドの姿に戻って戦うのだ。その演出もまた、敵ではあるものの魅力を感じさせるものであった。
そして、バイルについて調べていく中でダークエルフについての情報も得る。元々、イレギュラーを元に戻すマザーエルフという存在だったのだが、バイルの改造によってレプリロイドの意識やプログラムを書き換えることが可能な存在になってしまったこと。妖精戦争ではバイルによって作られた、ダークエルフと共に組み合わせることで強力な力を発揮するオメガと共に投入されたこと、バイルはその責任を取って追放されたことなどが記されていた。それにより、バイルがより警戒すべき存在だと明らかになる。
「いやまぁ、ここまで来れば何となく予想はしてたけど……やっぱり本人だったね」
「でも、オメガとダークエルフを揃えて何しようとしてるんだろ……妖精戦争の再現?」
「まあ、碌でもないことをしようとしているのは確かだけど……」
『ミッションを進めて、バイルの野望を止めるしかありません!ケイ!』
「わかっていますよ」
最後のバイルナンバーズを撃破し、遂に全てのEXスキルを入手。いよいよ決戦も近づいてくることがメタ的にもわかってくる中、修理を続けていたハルピュイアが目覚める。とはいえ、傷は完治しきっておらず、まだ戦うこともままならないのだが、レジスタンスと歩むことはできないとし、人間の為に戦うとその場から消えてしまう。ハルピュイアなりの正義を貫こうとする姿に考えさせられる中、ゼロが見つけてきた妖精戦争に関するデータの修復が完了し、遂に概要が明らかになる。
それは、過去に行われたイレギュラー戦争と呼ばれる大戦の中でサイバーエルフが大量に使われた時期を指しており、ダークエルフとベビーエルフの使用によってレプリロイドの力を増幅させ、同時にコントロールできるようになったことでかつてない最悪規模の戦争となったのだ。時間こそたった四年で終結したものの、レプリロイドの九割、そして人間の六割が死滅したという。その情報を知ったことで、バイルはこの時の再現をしているのではないかとシエルは推測する。
「……九、割……」
「人間が半分以上って……いや、それ……洒落になってなくない?」
「……1だとエネルギーが少なすぎてレプリロイドが処分される有様だったからね……」
「結構ディストピア感強いんだよねこの世界。これでも当時と比べればまだ、ってだけで」
その壮絶な被害にケイたちが唖然となる中、バイルはなんと、通信を通じて世界中のレプリロイドを操ると言い始める。レジスタンスにいたレプリロイドたちが次々と操られ、バイルの意のままにされる中、ゼロはシエルを守ろうとする。だが、そこにエックスが現れ、レジスタンスのメンバーからダークエルフの影響を排除する。
「……あれ?エックスはサイバーエルフだからわかるけど……なんでゼロは動けてるの?」
「それもこの後わかるかな……」
「一体、何が……」
エックスからバイルの居場所を告げられたゼロは、今度こそ決着をつけるためにバイルの下へと向かう。ラスダンのシリーズ恒例ボスラッシュを乗り越え、遂にラスボスであるオメガの下に辿り着く。だが、そこでバイルから明かされたのは、自分は体を機械によって改造させられ、不死身にされても尚、まだ人間であるという事実だった。人間こそが支配者であると言うバイルをただのイレギュラーだと吐き捨てるゼロに、バイルはオメガをぶつける。最初の頃とは異なり、剣を使うなど、その攻撃パターンも変化しているものの、あくまでベースは最初に戦ったものがベースとなっているせいか、あまり強くは感じられない。が、
「やっぱり第二形態あるよね!」
「これは……」
ダークエルフの力を解き放ち、右に巨大なセイバーと右肩にゼロのような顔、左にキャノンと左肩にエックスのような顔を持つオメガの第二形態。とはいえこの姿は、奥のセイバーは使われることはなく、攻撃もパターンこそ変わったもののまだ対応可能な範囲だ。そしてHPも妙に低く、オメガはあっさりと倒されてしまう。
「……あ、あれ?」
『HP低いですね……つまり第三形態が!?』
「……ここは?」
だが、その戦いによって床が崩壊し、地下にあった研究所に落とされる。そこは、かつてゼロが封印されていた場所であり、そこでバイルは衝撃の事実、レジスタンスが見つけたゼロは偽物であり、その目の前に立つ、ゼロと瓜二つの姿をしたオメガこそが本物であると告げる。何故、本物ならバイルに従っているのかと問いかけたゼロに、極限まで力を出せるように改造した血に飢えた破壊神であると答え、偽物を始末するべく襲い掛からせる。
「ゼロが偽物で……オメガが本物ってこと?」
「……例え体がそうであっても……少なくとも私は、破壊神なんて選んだこのオメガは好きになれません……ね!」
「そうだよ!大体、ゼロかどうかってそれこっちが決めることじゃん!」
二人のゼロの戦い。これまでの戦いが小手調べであったかのように、明らかにパワーアップして強敵となったオメガが相手ではさすがにケイも初見では攻撃を回避しきれないところも多く、サブタンクと呼ばれるHPを回復させるアイテムを切るなど、最終決戦は激闘となる。だが、戦いの末に遂にオメガを撃破。さらに復活したファーニブル、レヴィアタンも加勢する形でネオ・アルカディア四天王が駆けつけ、ゼロを援護。そこにエックスが現れ、百年前にも、同じように自分とゼロがオメガを倒し、眠りについたのだという。それは、ゼロの体はコピーでも、その心は紛れもなく本物であるということ。
「大事なのは、カラダではなく心なのだと……成程、こういう意味ですか」
『心……そうですよね。本当に大事なのは、ゼロをゼロ足らしめるのは心なんです!』
「はい!これで、終わりです!」
そして、ケイはオメガに最後の一撃を放つ。その一撃によって、オメガは完全に破壊される。だが、この戦いによって限界を迎えたエックスは、後をゼロに託すように消えていき、ゼロはレジスタンスベースで目を覚ます。シエルや仲間達に囲まれながら、ゼロが顔を上げると、そこには完全に浄化され、マザーエルフへと戻り、自由を取り戻しどこかへ消えていく姿があった。
『あなたが何も気にしてないってわたし…知ってるけど…』
『?』
『あなたのカラダがたとえ…コピーであったとしても…あなたの心があなたであるかぎり、あなたは、ゼロ…ゼロ以外…何者でもないわ…』
それを見送ると、シエルはゼロにそう告げる。ずっと共にいた彼女の言葉を聞いたゼロは、彼女に背を向けながら、静かに口を開く。
『シエル……ありがとう…』
『ゼ、ゼロ…!』
『オレは、オレでしかない…オレは……ゼロだ』
そう、静かに、だが力強く、己の存在を証明するかのように宣言したゼロの言葉を最後に、ロックマンゼロ3の物語は幕を閉じる。今だにバイルの脅威こそ残っており、その決着は次回作に回されたものの、前作から引き続いたダークエルフ、そして今回登場したオメガに纏わるゼロの因縁を終わらせることができたという意味ではまさに綺麗な終わり方をした名作と言えるだろう。
「こ、これで終わりかぁ……」
「うぅ……見てるだけなのに凄い面白かったね」
「……ええ、凄く、面白くて……凄く、恰好よかったです」
「だよね!」
ケイの手を握りしめながら興奮した様子を見せるユズ。もうエンディングを見た以上は我慢する必要もないということなのだろう。
「次、私にやらせてやらせて!」
「あ、私もやりたい!」
「今度はアリスもやってみたいです!」
「あ、はは……順番にね」
そしてゼロの戦いに感化されたのか、モモイ達もわくわくした様子を見せる。その光景を見て、モルフォとユズも楽しそうに笑うのだった。