あなたは美食家である。   作:なにぬぬこ

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美食屋、悲劇に見舞われる。

四獣襲来の日。

人間界中心部に向けて避難指示が出されている中、あなたは相も変わらずグルメ卸売り市場の拠点で惰眠を貪っていた。

 

周囲の卸売り商たちもここを離れて久しく、避難と同時にありったけの食材も持って行ったため美食で暇を紛らわすこともできない。

四獣の脅威もよくわからないが、早く去ってほしいものだ。

まぁあなたが追い返してもいいが、美食四天王すなわちトリコらが迎え撃つらしいので任せられることは任せておく。

 

噂によると四獣の捕獲レベルは100を超えるらしい。

ペットのいない現状、朦朧嵌めや出血を受ければあなたも万が一、なんてことになりかねない。

そもそもあなたは美食屋ではあるがエレアでピアニストなのだ。

直接戦闘は苦手な部類である。

 

…スヤ。スヤ。

窓から差し込む暖かな日差しを受けながら昼寝をする。

こうして王様ベットにくるまっているとノースティリスが懐かしい。

向こうでは無限にやりたいことが溢れて慌ただしい生活を送っていたので、こうして暇になる時間なんてなかったのだ。

 

一晩中、どころか丸一年釣りを行った日々もあったな…ぴち金コイ耐久など遠い昔のようである。

と物思いにふけっていたところであなたの家の東側、すなわちグルメ界側から凄まじい殺気を感じとる。

空気が重く粘つくように変化する。

 

「…まだまだ惰眠を貪りたかったんじゃが。」

 

流石にこれだけの殺気を向けられていながら寝ていられる程あなたは呑気ではない。

手早く王様ベットを回収し、ペットのウミミミズもどきを寄生させる。

と同時に家屋が破壊され、爪?による斬撃がやってくる。

速度はそれほどでもないので避けられそうだが、敢えて攻撃を受け飛ばされようと考える。

視界が悪い家屋の内部で戦うよりも広い場所の方があなたとしても戦いやすい。

 

「のわー!」

 

前言撤回。

目論見通り吹き飛ばされ、家屋からは離れられたが止まる様子がない。

それもこれもあなたが【痩せる】料理ばかり食べていたうえ体型維持のエンチャントを付けているからこんなに飛ばされるのだ。

なんたってあなたの体重は1kgしかない。

…やっぱり攻撃を受けない方が良かった気がする。

 

どんどん飛ばされ止まる様子を見せないあなたに対し、姿を見せた猫型の四獣は猫科らしい軽やかかつ素早い動きであなたに追撃を行う。

 

すこし速度が落ちてきたと思ったらまた弾き飛ばされ。

反撃を行う隙も無くただただ吹き飛ばされる。

あなたはしばらく空中散歩を楽しんだ。

 

 

途中壊されていく戦車を横目にしばらく飛ばされたとき、突然あなたは優しく何かに受け止められた。

振り返って確認するまでもない。

やたら筋肉質な大男、トリコである。

 

「ずいぶん軽いな、エリン。ちゃんと食べてないんじゃないのか?」

 

「寝起きに運動させられたんでの。で、あやつはどうする。我は勝てる気せぬぞ。」

 

「あぁ、俺がやろう。西のほうに小松とリンがいる。そこなら安全だろう。」

 

小松とリンとはこの間のグルメサンタで知り合った者たちのことだろう。

確かに近くに気配を感じる。

このままここにいてもトリコの邪魔になりそうだ。

あなたはお言葉に甘えて退避させてもらおう。

 

「では、任せたぞー!」

 

「おう。…さぁて、やるか!」

 

 

小松とリンに合流してしばらく。

あまりこの二人とは会話したことがなかったが二人ともずいぶんと人がいい善人のようだ。

免罪符でカルマをコントロールするあなたにはまぶしい存在である。

なんでも今は四獣の捕獲レベルが送られてくるのを待っているようである。

実際に戦った(ただぼこぼこにされただけ)あなたからして少なくともすくつ化されている気配は感じない。

すなわち200レベル以下ではなかろうか。

二人は100程度であると聞いているそうだが。

 

「そういえばボクエリンさんのことあんまり知らないんですけど、確か別の世界から来られたんでしたっけ。」

 

「然り。ただここしばらくはイルヴァに戻っておらんな。戻れるのかどうかもわからぬし。まぁ帰る当てがない訳ではないがの。」

 

「それはなにか理由があるんですか?帰るのに危険が伴う、とか」

 

「いんや。ただこの世界のほうが美味なるものの種類が多いからじゃな。美食屋としても料理人としても当分この世界におる理由としては十分じゃろ。」

 

ノースティリスの狂人には理解できないだろうがこの世界の住人なら、食に恵まれたこの世界のものなら理解してくれるはずだ。

手に染み付いた高級食材の匂いからして小松も料理人であろうし。

 

「ボクとしてはエリンさんの世界の食材、料理も気になりますけどね。というかエリンさん料理できたんですか!?」

 

「旅するシェフと呼ばれておったぐらいにはの。」

 

「あ、二人とも。お兄ちゃんたちからも捕獲レベル転送されてきたし。え…ウソ!?」

 

リンの手元を覗いてみると手元にはレベル132、と表示されている。

まぁそんなものだろう。

ペットがいればただの雑魚だが今はウミミミズもどきしかいないので普通に強敵だ。

 

「ちょ、ちょっと会長のメッセージもう一度確認しなきゃだし!ゼブラが途中で消したから」

 

 

 

「あ、そうそう二つ言い忘れとったが…実は四獣は4匹ではない。1匹じゃ。

つまりそいつらは本体の手足にすぎん。毎回強さは異なるがだいたい100ってところじゃろ。

それより大事なのは……」

 

他にもメッセージは続いていたが黒幕云々とあなたには関係のなさそうな話だ。

あなたはカンニバリズムの狂人とは違うのだから。

それよりトリコと戦っているあの猫は手足にすぎないのなら本体とやらは一体どこにいるのだろうか。




投稿遅れてすみません。
ElinのスクリプトMODを作ったりその解説動画を作ったりしてました。
…Elin関係のことやってたからさぼりではない、ヨシッ!

良ければyoutubeでなにぬぬこと検索してみてください。
また、steamワークショップでも公開してます。
InvestFixとWeather LockってMODです。こちらも機会があればご利用ください。
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