隼人と部室でまったりするだけ
普段大人しい女の子が、自分だけに見せてくれる笑顔は尊い(断言)
放課後・麻雀部室
テスト期間中のある日のこと。部活動が休みの中、渋谷尭深は部室のソファーで佇んでいる。何故部活が休みなのに部室にいるかというと、誰もいない部室で集中して勉強するためである。この理由なら、先生に疑問を持たれず問題なく鍵を借りられる。さて……と鞄から教科書やノートを取り出すが、机に置いたまま開かない。もちろん今からテスト勉強をするのだが、本当の目的は他にある
其処へ、周りを気にしながらゆっくりとドアを開け、待ち人が入ってきた
「すまん、遅くなった」
「ううん、大丈夫」
定番のやり取りをしながら、念のため鍵をする。何故かというと……2人きりになりたいからだ。つまり、テスト勉強という名のプチデートである。尭深の隣に座り、隼人も教科書類を準備する
「お待たせ。始めようか」
「うん……♪」
……
「ん~……。今日はこんなもんかな?」
「うん。お疲れ様。じゃあ、お茶淹れるね」
「あぁ、ありがとう」
彼女が慣れた手つきでお茶を淹れている様子を眺める。ものの何分もないことだが、こういう時間も良いものだと感じる
「どうぞ」
「ありがとう」
お茶を受け取った隼人だが、すぐには飲まず、水面にフーフーと息を吹きかけている
「ゴメンね、熱い?」
「ん~まぁ、俺が猫舌過ぎなだけさ」
「ふふっ……♪」
「どした?」
「ううん。一生懸命フーフーしてるのがかわいくて♪」
「ハハッ。そっか」
笑い返しながらそっとお茶を口に含む。まだ少し熱いが、飲めないほどではない
「ふぅ……。美味しい。落ち着く……」
「良かった……♪」
隼人の様子に安心した尭深も、続いてお茶を飲む
「ふぅ……。美味しいね♪」
「うん……♪」
今日も上手く淹れられた、と満足気な横顔が愛おしい。言葉はないが、この穏やかな時間を一緒に共有したい。そんな2人は、まるで長年連れ添った老夫婦のようでもあり、高校生らしい初々しさもある
お茶を飲み終えて間もなく、視線が合った2人はピッタリと寄り添うように座り直した。腕が触れ、手と手が触れ……指を絡めて、手を繋いだ
「手、繋いじゃったね……///」
「そ、そうだな……///」
照れながらそう話す尭深を見ると、こちらも恥ずかしくなってくる。付き合って間もない2人。学校の、しかも普段なら人が多くいる部室でという状況がドキドキ感を加速させる
(でも、もうちょっと、良いかな……?)
「……///」
「……!」
尭深が隼人の肩に頭を乗せる。返事をするように隼人も頭を寄せ、尭深の手をギュッと握った
「……♡」
「……♪」
「尭深って、結構大胆なんだな」
「うん。自分でもビックリした。でもね……」
「?」
「隼人くんと2人きりだから、かも……///」
「ッ///」
(やっぱり大胆だ///)
(照れてる隼人くん、かわいいな♪)
「隼人くん」
「ん?」
「私ね、今とっても幸せ……♡」
「うん。俺もだよ、尭深……♪」
……
あっという間に下校時刻。とても静かな校舎の中をゆっくりと歩く。どうせ誰もいないなら……と再び手をつなぐ
「えへへ……♪」
「尭深……///」
(やっぱり今日は、積極的だな///)
校舎を出て、他愛のない話をしながら駅へと向かう
「駅、着いちゃったね」
「うむ……」
もっと一緒にいたいが、ここで潔く帰らないといつまでも帰れなくなりそうだ
「名残惜しいけど、また明日」
「うん。明日ね……♪」
「なぁ尭深」
「なに?」
耳元の顔を寄せ、そっと囁いた
「……好きだよ」
「!! もう……///」
「いや~つい……///」
「でも……」
隼人の手を取り、彼の瞳を真っすぐ見据えて……さっきのお返しだ
「私も、好きだよ……♡」
「!?!?」
(なんかもう、色々と心臓がヤバい……///)
(うぅ……。凄い恥ずかしい/// けど、やっぱり幸せだなぁ……♡)
2人の幸せな日常は、明日からも続く
おしまい
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