妖精的日常生活「風と共に歩む者」   作:水凪亜炭

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この作品はかつてあった「妖精さんの本だな」というサイトで提唱された「妖精的日常生活」というシェアワールドに基づく作品のリニューアル版です。
サイト消滅後、提唱者のジャージレッド氏と連絡を取りましたところ「シェアワールドの設定は有効であり、それを踏まえてもらえば他サイトへの投稿は構わない」との返事を頂きました。

シェアワールドの設定アーカイブ
https://web.archive.org/web/20070127115940/http://www.keddy.ne.jp/~jersey-r/toukoukitei_tebiki.htm

当時数多くの投稿があった「妖精さんの本だな」の中でも、かなり異色な作品となっていた拙作ですが、楽しんでいただければと思う次第です。

以下、シェアワールドのアウトラインとなる設定文です。

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200X年、突如として人間が妖精と呼ばれる羽を持った小人に変化してしまうという事件が発生する。
その事件は一件では済まず世界各地で観測され、日本でも世界で4例目となる妖精化事件が発生し、その後も続々と被害者が出たことにより社会問題化することになった。そして被害者達からの聞き取りによって、被害者の肉体が異世界にいる妖精と魔法によって交換されている事が判明する。(相互換身用召喚魔法というらしい)
その目的が妖精達を侵略するナニカと戦える存在を呼び出すことで、人間以外ではナニカと戦えなかったこと。わざわざ肉体交換という方法をとっている理由が人間を魂ごと呼び出すことが出来なかったので、魂の器として召喚する妖精自身の体を送り出す必要があったこと。そして鍵となるのが夢の中で会った妖精に自分の名前を教えることで肉体交換に同意した事になってしまうことが判明する。
これらが分かってからは、あらゆるメディアや教育現場にて妖精と夢の中で出会っても名前を教えないよう宣伝が組まれ、世界的には被害者が減ることに。

しかし訪問販売や電話勧誘であってもついつい話を長々聞いてしまう事が多いNOと言えない日本人。
妖精側も巧妙に好奇心や同情を誘う話術を年々身につけた事から、ついついポロッと会話の中で自分の名前を教えてしまう被害者が続出。そんなわけで日本は事件発生から数年後には妖精人口が最も多い国になってしまう。

これは、そんな日本にて妖精の召喚を受けちゃった、とある人物の物語である。


妖精的日常生活「風と共に歩む者」最終話 ~風に響くトッカータ~

 

チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チッ、チ・・・・・・・・・・・

普段は気にもならない時計の音がやけに耳障りに部屋に響きます。

私はベッドの上に起きあがって膝を抱えました。

 

「・・・・・・もう1時かあ。」

 

いつもならもうとっくに寝ている時間ですが、今日は考え事があってどうしても寝付けません。

私はオーナーと先生から言われた話を思い出していました。

 

ーーーーーーーーーー

 

「コスモスウィンドのことだが、引退させようと思っている」

 

・・・いま、なんて?

コスモスウィンドが、引退?

呆然としている私に向かって先生が話しかけて来ます。

 

「今日のレースを見ていて思ったのだが、コスモスウィンドは競走馬としての旬を過ぎつつあると思う。その証拠に今までと同じようなレース運びが出来なくなっているだろう?」

 

「これだけの成績を残した馬だ。ヘタに走らせて成績に傷が付くよりも引退させてやった方が名誉も守れる。皐月君にとっては大事な馬であり翼だということはわかっている。だけど無理して走らせて使いつぶすようなことはしたくないんだ」

 

田邊オーナーも引退を勧めます。

 

コスモスウィンドを引退させる?

彼は私の翼で・・・でも田邊オーナーの馬だし・・・そりゃいつまでも現役でいられるとは思わなかったけど・・・

あまりに唐突な話に頭の中を考えがグルグル回ります。

 

黙り込んだ私に田邊オーナーが話しかけます。

 

「ここで無事に引退させたら彼の子供達に君を乗せる楽しみも出来る。わかってくれないか?」

 

「・・・ちょっと考えさせてください」

 

私はそう言って宿舎の方に逃げるように立ち去りました。

 

  ・

  ・

  ・

 

私は自室のベットの上に座ったまま考えます。

 

コスモスウィンドは私にとって最初の翼。

妖精の私に騎手を続けられる可能性を開いてくれた大切なパートナーです。

でも、本来の持ち主は田邊オーナーで妖精になった私が騎手を続ける手助けをしてくれた恩人です。

コスモスウィンドも元気なうちに種牡馬になれば、より多くの子供を残すことが出来ます。

そしてその子供達にまた乗る楽しみもあります。

 

私はいろいろ考えて自分を納得させようとします。

でも・・・どうしても感情が・・・

ずっと変わらずに続いていくと思っていた日常・・・

それが崩れるきっかけが、こんなにも近くに潜んでいたなんて。

 

いえ、違いますね。

私は気付きたくなかったんだ。

コスモスウィンドを降りなければならない日が来ることを・・・

私は抱えた膝に顔を埋めました。

 

翌朝厩舎の仕事を手伝おうと起きた私はよほどひどい顔をしていたのでしょう。

厩務員の柳谷さんから「手伝いは良いから休め!」と言われてしまいました。

フラフラと部屋に戻った私はまたベッドに座りました。

 

「・・・」

「皐月さん?大丈夫ですか?」

「・・・小谷さん?」

 

小谷さんが部屋に入ってきたことにも気が付かないぐらいボーッとしていたみたい。

 

「顔色が良くないですね。調子が悪いならお医者さんに行きますか?」

「いえ、単に寝不足なだけです」

「あら、なにか考え事でもしていたんですか?」

「ちょっと・・・でも大丈夫ですから心配はいりません」

「朝ご飯食べれそうですか?なんでしたら軽めの物を持ってきますけれど」

「あ、お願いします」

「はい、少し待ってくださいね」

 

小谷さんはカットフルーツとミニクロワッサンを持ってきてくれました。

モソモソと食べていると少し気分が良くなってきます。

お腹がふくれると気分が上向きになる人が多いと聞くけど、私もそうみたいです。

 

「ごちそうさまでした」

「はい、おそまつさま。よかった少し元気が出たみたいですね」

「すみません、いつも心配ばかりかけて」

 

 

私はもう一度コスモスウィンドの引退について考えます。

 

たしかに山根先生と田邊オーナーの言い分はわかります。

コスモスウィンドはここまででも充分な戦績を上げていました。

これ以上無理することもないでしょう。

天皇賞の惨敗を考えたら、ここで身を引いた方が彼のためでもあります。

 

でも、彼が走る姿を楽しみに来ているファンがたくさんいるのに、そう簡単に身を引いても良いのでしょうか?

コスモスウィンドが走っている姿で元気づけられたというファンレターも貰っていますし。

 

いつまでも走れるわけではない事はわかっています。

少しでも長く一緒にいたい。

そう願うのは私の我が儘なんでしょうか?

 

・・・なんだかコスモスウィンドの顔が見たくなっちゃった。

 

部屋を抜け出しコスモスウィンドの馬房までいくと、コスモスウィンドが顔を出してきます。

 

(どうした皐月?今日は休みだろう?)

「ごめん、ちょっとコスモスウィンドが見たくなってね」

 

コスモスウィンドが頭を寄せてきたので、かるく撫でながら話しかけます。

 

「ねえ、コスモスウィンド。あなたがレースを辞めなければならないときが来たら、どうする?」

 

(いきなりなんだ?僕は君の翼だから、君のそばを離れる気はないぞ)

 

「でも、あなたにはその血を子供達に伝えていかなければならないという仕事がある。私もずっと一緒にいたいけど、それは難しいでしょうね。それに私もあなたの子供達を競馬場で思いっきり走らせてみたいって夢があるし」

 

(・・・君がそんなことを言い出すって事は、僕の引退が検討されているのか?)

 

「うん・・・」

 

私は先生とオーナーの話、そして今日のレースで感じたことを話して聞かせます。

 

(・・・当たっているよ。確かに僕はもう以前のような力はなくなってきている。天皇賞でもどうしても足が前に出なかった)

 

「でもね、ファンの人たちにはあなたのレースを楽しみにしている人たちがたくさんいる。その人達に出来るだけのレースを見せてあげることも必要じゃないかなと思って・・・それになりより私があなたと少しでも多くのレースを走りたい」

 

そう言った私をジッと見つめたコスモスウィンドが話し出しました。

 

(では走ったとして未練は残らないのか?)

 

「え?」

 

(僕にだってまだまだ走ってみたいレースもある。だけどそれはいつやめても同じ事だと思う。だとしたら自分が納得出来る走りを出来る間に思いっきり走ることが僕らにとっての幸せだと思うんだ)

 

「・・・」

 

(幸い僕は君というパートナーを得てこれまで思い切って走ってくることが出来た。この幸運に感謝している)

 

「それは私もだよ」

 

(それに君はファンが楽しみにしているのは僕のレースといったけどそれは違う)

 

「え?」

 

(最初はたしかに僕のレースを見に来ていただろう。でも今のファンは君の頑張りを見てきた人たちだ。僕と一緒に成長した秋葉皐月という騎手のレースを楽しみにしているんだよ。だから君と僕のレースだよ)

 

「コスモスウィンド・・・」

 

(僕が一緒に走れなくなっても、君が僕から学んだことを活かしてくれればみんな喜んでくれるさ。そしていつか自分の子供達に皐月が乗ってくれると嬉しい)

 

私はコスモスウィンドの頭を黙って撫で続けます。

コスモスウィンドも黙って撫でられていますが、やがて呟きました。

 

(無理をすればまだ走れるとは思う。だけど自分が今までしてきたような走りはもう出来ないだろう。レース自体を楽しんでいられる今が潮時かもしれないな)

 

「うん・・・」

 

(心残りがないわけじゃない。だけど、それはいつ引退しても同じ事だろう。幸い弟が君の翼になってくれた。だから君の事は次の世代に任せることにするよ)

 

「うん、そうだね」

 

結局自分では決断出来ずにコスモスウィンドに後押ししてもらわなきゃいけなかった。

だけど、こんなに大事なことを私だけで決めることは出来ません。

やっぱり相談しに来て良かった気がします。

 

「いままでありがとう、コスモスウィンド。あなたは最高のパートナーだった」

(こちらこそ、君に乗ってもらって光栄だった)

 

 

事務所に戻った私は山根先生と田邊オーナーを前に昨夜の返事をしました。

 

「コスモスウィンド引退勧告、受け入れさせてもらいます」

 

「・・・そうか、すまん、辛い決断をさせてしまって」

 

「いえ、いつかは必ず来ることです。それが今日になっただけで先延ばししても仕方がないことですから」

 

「しかし、もう一戦ぐらいなら走らせることも出来たのだが、本当によいのかね?」

 

田邊オーナーがそう聞いてきます。

 

「ええ、たしかに未練がないとは言いません。ですがそれを言ったらいつになっても引退させられません。それに丁度いいタイミングでもあるんですよね」

 

「なにがだね?」

 

「ミストウィンドという新たな翼を得ましたから。今後は彼を育てていくことに集中したいです。コスモスウィンドと違って早熟馬ではないみたいなので、来年からが楽しみですよ」

 

「なるほど、そういうことならばこちらも異論はない。コスモスウィンドの引退手続きを始めさせてもらうよ」

 

「よろしくお願いします」

 

決断してしまえば後は先生とオーナーの仕事です。

私は私の出来る事をやるだけです。

 

 

 

さて、コスモスウィンドの引退が決定しても、それだけにかまけてはいられません。

 

今週末にはブラディーメアリーのエリザベス女王杯があります。

他に騎乗依頼もあることですし、手を抜くことは出来ません。

それにコスモスウィンドが抜ける分の穴を埋める新たな翼も見つけないといけませんしね。

 

(・・・皐月?あんたなにボーッとしてるのよ?)

 

あっといけない、調教付けている最中なのによそ事考えていた。

 

「ごめんメアリー。ちょっと考え事していた」

 

(調教中によけいなこと考えないでよ。あんたが集中してくれないと意味がないんだから)

 

「うん、ごめん。ちょっとコスモスウィンドの引退が決まったのでボーッとしてた」

 

私は素直にブラディーメアリーに謝ります。

なんだかコスモスウィンドの引退が決まって気が抜けているところがあるみたい。

気を引き締め直さないと。

 

(・・・あいつ、引退するの?)

「うん」

(そう・・・)

 

そういって黙り込んだブラディーメアリーは黙々と調教を受け続け、しばらくして口を開きました。

 

(皐月、エリザベス女王杯は勝ちに行くよ)

 

「え?」

 

(あいつはあんたを乗せるライバルだからね。

 あいつがいなくなっても大丈夫だって事を見せつけてやる。

 そうしたら、あんたも安心してあいつを引退させられるでしょ)

 

素直じゃないというか、ひねくれた言い様に思わず含み笑いをしてしまいます。

 

でも、確かにそうですね。

今までコスモスウィンド以外ではGⅠに勝っていません。

ここで勝っておくとコスモスウィンドも安心して引退出来るでしょう。

エリザベス女王杯、ブラディーメアリー自身のためにも勝ちたいです。

 

ライバル馬はいろいろいますが、ブラックウィドウ、コノハナサクヤ、ファストティターンの3頭は強敵です。

これらに先着しなくちゃいけません。

さてどういう作戦を取りましょうか?

 

「メアリー、あなたはどんな走りをしたい?」

 

(決まってる。あたしはいつだって一番前を駆け抜けていきたい!)

 

聞くまでもなかったと苦笑させられます。

でもいつだって自分達に出来る一番いい走りをすること。

これが勝利への近道です。

それに駆け引きをするのはあまり好きじゃないですしね。

 

「メアリー、私があなたをフォローする。だから思いっきり逃げるよ」

(もちろんよ!)

 

  ・

  ・

  ・

 

そしてやってきた週末、いよいよエリザベス女王杯に向かいます。

 

いつものように騎乗、馬場入場、返し馬と進み、ゲートインが始まります。

ブラディーメアリーは2枠3番からのスタートで逃げが得意な私たちには良い位置です。

 

 

【バシャーン!!!】

 

 

一斉に飛び出す馬達の中からブラディーメアリーが先頭へ抜け出していきます。

 

『ブラディーメアリーが飛び出した!グングン後続を引き離します!』

 

さて行きますか。

まずは先頭に立ったブラディーメアリーを予定どおり逃げさせます。

ペースを合わせて3馬身ほど後方から付いてきたのはコノハナサクヤとファストティターン。

 

「メアリー、このペース維持出来る?」

(もちろん!)

 

ハイペースを保ったまま走り続ける私たちは後続に差を詰めさせないままコーナーを回っていき、淀名物の登り坂に入ります。

 

『淀名物の坂に突入したブラディーメアリー!このペースで大丈夫なのか?!』

 

一気に坂を駆け上ったブラディーメアリーの呼吸が荒くなってきています。

それを確認しながら下りに入ったところで後ろを見ると、後続の2頭は3馬身差を保ったまま付いてきています。

さすがと言うべきでしょうが、ここからが勝負です。

 

「メアリー、ペースを落として呼吸を整えて!」

 

今回狙ったのは序盤からハイペースで引っ張っていく作戦。

ただしそのペースは平均勝ちタイムをハロンごとに割ったもの。

つまりコスモスウィンドが菊花賞で取った作戦の再現です。

 

さらに今回は逃げ馬や先行馬に有利な作戦が取りやすいコースという味方が付きます。

淀の坂は高低差が激しいことで有名です。

ここの下りはスピードも乗りますが、同時に脚への負担も大きいのでペースがとりにくいんです。

そのため積極的に追いかけてくる馬がいない間にペースを落としたまま悠々と逃げる事が出来ます。

 

「どう、呼吸は整った?」

(充分よ!)

「じゃあ行くよ!」

 

淀名物の外回りのコーナーに突っ込んで一気に加速していくブラディーメアリー。

そして馬体を合わせるように競り上がってくるコノハナサクヤとファストティターン。

私たちの再ダッシュを見て後続がペースをあげてきますが、淀名物の急な外回りコーナーのせいで充分にスピードが上げられません。

 

最終コーナーを回って後ろの馬群を尻目に走る私たち。

そのままゴールへ突き進みます。

後方から牧瀬さんのブラックウィドウが一気に追い上げてきますがもう届きません。

勝負は完全に3頭に絞られました。

 

「いけ!!メアリー!!」

 

私が手綱を振るうとブラディーメアリーがさらに脚を伸ばします。

横一線になって競り合う3頭の中からコノハナサクヤがまず脱落し、続いてファストティターンがジワジワと下がっていきます。

私たちはファストティターンを半馬身ほど突き放したままゴールラインを駆け抜けました。

 

『ブラディーメアリー!見事な逃げ切りで一度も先頭を渡すことなくエリザベス女王杯優勝です!』

 

「やったよ!メアリー!」

 

私はブラディーメアリーにウィニングランをさせながらスタンドに向かって手を振ります。

スタンドから返ってくる大歓声が心地よいです。

コスモスウィンド以外でのGⅠ制覇ということもあって感慨深いものがあります。

喜びをブラディーメアリーと分かち合おうとして、ゴールして以来メアリーが黙ったままなことに気が付きました。

 

「? どうしたの?勝ったのに嬉しくないの?」

 

(なんかね~、ここまで来れたのが夢みたいな気がしてね。あたしは去年の今頃はまだ条件戦をうろうろしていたのに、こんな大舞台で勝てるなんて)

 

「メアリー、夢じゃないよ」

 

(うん、ありがと、あたしあんたを選んで良かったよ)

 

「それは私の言う事よ。パートナーに選んでくれて本当にありがとう!」

 

(これからも一緒にいてくれる?)

 

「ええ、あなたが引退するそのときまで」

 

メアリーと話していると、ブラックウィドウに乗った牧瀬さんが近づいてきました。

 

「おめでと皐月ちゃん。この前の天皇賞と違って、あなたらしいレースだった」

 

「ありがとうございます」

 

「また一段と騎手として成長したわね。でもここで満足したらダメよ。どうせなら超一流の騎手になって見せなさい!」

 

「はい!」 

 

私は牧瀬さんと話をしながら計量所に向かいます。

 

拍手で迎えてくれる丸山オーナーに挨拶をして計量して違反がないことを証明。

ブラディーメアリーのエリザベス女王杯優勝が確定します。

 

その晩の祝勝会は丸山オーナーにとってもGⅠ初勝利ということもあって、盛大なものになりました。

 

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あ、頭が痛い・・・

 

今朝の私は二日酔いに悩まされています。

昨日はまたジュースと間違ってチューハイを飲んでしまったので、朝の手伝いに行こうと思ったら「いいから寝てろ!」と言われるぐらいひどい状態みたいです。

 

「皐月さん、大丈夫ですか?」

 

「・・・ダメです。世界が回っています。地動説を考えた人は酒に弱かったんだ、きっと」

 

様子を見に来た小谷さんにそう応えます。

 

「あらあら、お水持ってきましたけど起きれます?」

「あ~、すみません」

 

なんとかフラフラと起きあがって水を飲みます。

うん、今は水が一番美味しい気がします。

少し落ち着いたけど、もう少し寝てないとダメですね、これは。

 

「ふう美味しい。もう一杯もらえますか?」

「はい、どうぞ」

 

もらった水を飲みながら昨日のエリザベス女王杯の事を思い出すと顔がにやけます。

 

「嬉しそうですね、昨日のレースのことでも思い出しているんですか?」

 

「あ~そうですね。いろいろ昨日のエリザベス女王杯にはかけてましたから」

 

コスモスウィンド以外でのGⅠ初勝利、エリザベス女王杯の初制覇、私がコスモスウィンドから得てきたものの再確認。

いろいろな事を一度につかめたレースでした。

 

「小谷さん、お水ありがとうございました」

「どういたしまして。もう少し寝ていた方が良さそうですね」

「そうですね、もう少し寝させてもらいます」

 

ベッドに横になって目を瞑るとあっという間に眠りに引きずり込まれます。

 

それからどれぐらい時間が経ったのでしょう?

部屋の外が何となく賑やかなことに気が付いてふと目が覚めました。

まだ、少し頭の痛さが残っていますがだいぶ気分は良くなったみたいです。

 

少しボーッとしていたらドアがノックされ、山根先生の声がしました。

 

「秋葉、起きてるか?」

 

「はい、起きています」

 

「入ってだいじょうぶか?」

 

「大丈夫です」

 

部屋に入ってきた先生は困ったような顔をしています。

 

「なにかあったんですか?」

 

「ああ、それがな、ちょっとややこしい話になってしまって。詳しいことを話したいんだが事務所までこれるか?」

 

「ええ、多少頭痛は残っていますけど話をするぐらいなら大丈夫です」

 

「じゃあ着替えたら事務所まで来てくれ」

 

そういって部屋を出て行く先生。いったい何事でしょう?

私は小谷さんに手伝ってもらって顔を洗って身だしなみを整えると事務所に向かいました。

 

事務所に入ると山根先生や田邊オーナやJRAの役員さん、さらにファン倶楽部会長の南野さんや見たことのない人もいます。

なにか物々しいですねえ?

私が挨拶をして席に着くと田邊オーナーが話しを始めました。

 

「皐月君、これからいうことを落ち着いて聞いて欲しい。」

 

はい、なんでしょうか?

 

「君にもう一度コスモスウィンドに乗って走って欲しい。」

 

はい???

予想外の事を聞かれてフリーズする私をおいて話が続けられます。

 

「実はジャパンカップに参戦する予定の外国馬のオーナーや騎手が君とコスモスウィンドを出せと言っているんだ」

 

「は???」

 

「彼らが今回ジャパンカップに来た目的は『君達と走りたいから』らしい」

 

・・・有り得ませんって、それ。

日本国内でGⅠを3勝しているとはいえ国際レベルから挑戦されるような活躍はないですよ?

 

「あの、過大評価されて恐縮なんですが、コスモスウィンドはもう引退することを受け入れていますし、私ももう無理させたくはないんですが」

 

「私もそのつもりだったのだがメンバーを知って気持ちが揺らいでしまってね。君の率直な意見が聞きたいんだ」

 

「メンバー?いったい誰が来たんですか?」

 

「エムロード。凱旋門賞優勝馬だよ」

 

!!!

 

「凱旋門賞馬が!?」

 

「ああ、その通りだ。他にもスティルハート、ブルーフォール、ローズガーデン、チェインメーカーなどが集まってきている」

 

うそでしょう?

ケンタッキーダービー、香港カップ、ドバイワールドカップ、イギリスダービーの優勝馬じゃないですか!

豪華メンバー過ぎます。いったいなにが起きてるんでしょう???

 

「いったいなんでこんな豪華メンバーに?」

 

「それはこっちから説明を」

 

ファン倶楽部会長の南野さんが話を続けます。

 

「去年活動を始めたときに人間のメンバーにファン倶楽部のHPを作ってもらったんだ。妖精のメンバーはパソコンに近づけないけど、活動を広くアピール出来るって事ではインターネット以上に便利なものはないからね。

 最初はそうたいしたアクセスではなかったんだけど、菊花賞に勝ったあたりからアクセスが増えだして海外からも問い合わせが来るようになったんだ」

 

「海外、からですか?」

 

「うん、今じゃ海外にも支部サイトがあるんだよ」

 

「いったいなんでそんなに・・・」

 

「前にも言ったよ。僕らは『君が困難に遭ってもくじけずに立ち上がって進む姿に魅せられたんだ』と。そしてそれは国も言葉も人種も関係なかったらしい」

 

「・・・」

 

「本当なら海外のファンは君達が海外挑戦しに来てくれることを期待していた。

 だけど妖精である君が海外に出るのはいろいろ障害がありすぎて難しい。

 だったらこっちから最強メンバーを日本に送り込んでしまえってのが今回のメンバーが集う原動力になったんだよ」

 

「冗談ですか?」

 

「本気だよ。

 これは今まで僕たちに夢を送ってくれた皐月さんとコスモスウィンドへのファンからのお返しです。本当ならサプライズプレゼントにする予定だったんですけど、コスモスウィンドが引退するという話を聞いて慌てました。

 私たちとしてもこのまま引退して欲しくないんです。どうかこのプレゼントを受け取ってもらえませんか?」

 

・・・恐るべきファンパワーに唖然として、私は口を開けたまま固まってしまいました。

 

「そういった経緯もあってコスモスウィンドの引退を田邊オーナーから申し入れられてこちらも慌てました。

 黙ってこんな事を進めていたことは謝まらせてもらいます。コスモスウィンドが引退を決意しているのはJRAとしては残念ですが止めることは出来ない。

 ですが、ジャパンカップの一戦だけでいいから、もう一度走ってくれないでしょうか」

 

JRAの役員さんが頭を下げています。

 

ここまでお膳立てされて断る気にはなれないのですが・・・

 

「ごめんなさい、返事は明日まで待ってもらえますか。コスモスウィンド自身にやる気がなければ無理ですから」

 

コスモスウィンドの意見を聞かずに私だけで決めることは出来ません。

私は事務所を後にして部屋に戻りました。

 

 

 

「むうう・・・・・・」

 

私はベッドに転がったまま考え込みます。

 

私が妖精になって一年半あまり。

本当にいろんな出来事がありました。

道は平坦ではなく、くじけそうになった事もあります。

でもそんなときにまわりのみんなと馬達に支えられて躓いても立ち上がって進む事が出来ました。

 

そんな姿をファンのみんなも見守ってくれていることは知っていましたが、まさかそれが海外にまで広がっているというのはさすがに予想外です。

 

馬達と共に夢中で駆け抜けてきた文字通り夢のような時間。

それがファンのみんなにも夢を与え、積もり積もってこんなにも大きな形で私達に還ってくるとは・・・

このプレゼントを受け取ってファン達の前で最後の夢を紡ぎたい。

そんな気持ちが沸々とわき上がってきます。

 

でも、今のコスモスウィンドがジャパンカップに出たとして良いレースが出来るでしょうか?

出る以上は無様なレースはしたくないです。

 

しかも相手はジャパンカップ史上最強ともい言える豪華メンバー

ですが、もし彼らを押さえてレースをすることが出来るのなら・・・

事実上世界最強の称号をもらえる事にもなります。

 

コスモスウィンドの引退にふさわしい花道が用意された。

これは素直に喜んでも良いのではないでしょうか?

それに私は今までコスモスウィンドに騎手として育ててもらった恩があります。

今度はその力を使って私がコスモスウィンドをフォローする番です!

 

「よし!」

顔を叩いて気合いを入れるとコスモスウィンドの馬房まで走りました。

 

 

(どうした?なにかえらく意気込んでいるようだが?)

 

「コスモスウィンド、もう一度だけ私と走ってくれる?」

 

(・・・いったい何事だ?)

 

私は先ほどの出来事を話して聞かせました。

 

(つまり、僕たちを名指しで海外から挑戦者が来ているという事か?)

 

「そういうこと」

 

(・・・一度引退を決意した気持ちは今も変わっていない。未練はすっぱり断ち切りたいというのが僕の気持ちだ)

 

「うん、そうだよね」

 

(だがその気持ちが揺らぐほど魅力的な話ではあるな)

 

私は黙って考え込むコスモスウィンドをじっと見守ります。

 

お互いなにも言わずにどれほどの時間が過ぎたでしょう。

コスモスウィンドが顔を上げ私を見つめました。

私をコスモスウィンドの瞳に決意が光っているのが見えます。

 

(以前のような走りは無理だとわかっているな?)

 

「うん」

 

(敵もロードグリーンと同格かそれ以上の力を持った怪物だらけだとわかっているな?)

 

「うん」

 

(そいつらを相手にするからボロ負けするかもしれないこともわかっているな?)

 

「あなたが育てた私がフォローしてみせる」

 

(いいだろう。君と僕に出来る最後のレースとしてふさわしい走りをして見せよう)

 

「うん、もう一度だけ一緒に夢を紡ごう!」

 

本来であれば全盛期の力をもって走りたかった。

だけどレースにおいてすべてが万全ということは難しいです。

今は本来有り得なかったビッグチャンスに感謝したいと思います。

 

翌朝、私はジャパンカップにコスモスウィンドの引退レースとして参加することを告げました。

 

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コスモスウィンドがジャパンカップで引退するという報道は世界を駆けめぐったようで大騒ぎになっています。

JRAや事務所には取材がひっきりなしに訪れていますし、テレビでも特番が組まれたりと賑やかです。

 

私も取材を受けたりCMの撮り直しをしたりと大忙しです。

今日もテレビ特番でジャパンカップ招待馬の騎手の人たちとの対談収録を行っているところです。

 

『秋葉騎手、世界の一流騎手と競走馬を迎え撃つに当たっての気持ちはいかがですか?』

「正直戸惑っています。私たちより強い馬も騎手もいるのに本当にいいのかと。

 ですが失望させないように精一杯走らせてもらいます」

 

『注目しているのは?』

「全員です。国際レベルのレースは初めてですから」

 

『ジャパンカップでの作戦は決まっていますか?』

「それは秘密です。でも私とコスモスウィンドの出来る最高の走りをすることはお約束します」

 

『ありがとうございました。

 さて、はるばるジャパンカップに来てくれた騎手の皆さんに秋葉騎手とコスモスウィンドの印象をお聞きします』

 

【目の前で見ると非常にチャーミングですね。その小さな体であれだけの激しい走りをしているのに驚かされます】

【人馬一体という言葉があるが、まさにその通りの走りだね。これまでのレース映像を見ているだけで一緒に走ってみたくてウズウズしたよ】

 

通訳を介してインタビューが進んでいきます。

このまま和やかに対談が進むかと思った時でした。

 

凱旋門賞馬エムロードの騎手、ダヴィットさんの発言で会場が静まりかえりました。

 

【彼らに興味などありませんよ】

『・・・・・・え~と、それでは何故ジャパンカップに?』

【一部ファンがうるさかったのでサービスで挑戦機会を与えた。それだけです】

『それはコスモスウィンドと秋葉騎手への挑戦状ということでしょうか?』

【挑戦?笑わせないでください。これはセミナーです。コスモスウィンド以外の馬にも敵はいません】

 

会場に来ていたファンの人たちが騒然となります。

席を立って警備の人ともみ合っている人もいるし、このまま行くと暴走しちゃう!

なんとかこの場を納めなきゃ!

 

でも、どうやって?

今の状況を考えると・・・これしかないか。

私は覚悟を決めると口を開きました。

 

「セミナーとおっしゃいましたね。ではせいぜい胸をお借りしますが後で泣きを見てもしりませんよ」

 

言っちゃった。

世界最強コンビに挑戦状をたたきつけてしまいました。

 

顔が引きつりそうになるのを誤魔化してダヴィットさんを睨み付けると鼻で笑われました。

ムッとして眉間に皺が寄った私は凄い顔をしているのではないでしょうか。

騒然となっていた会場が二人の間の緊張感にのまれたのか静まりかえっています。

 

【せいぜい頑張るんだな。最後までついて来れたら認めてやろう】

「その言葉、覚えておきます。ぜったいに後悔させてやるんだから!!!」

 

  ・

  ・

  ・

 

「ああああ!やっちゃった!」

 

事務所に戻った私は頭を抱えて落ち込みます。

 

場の雰囲気に巻き込まれたとはいえ、なにも世界最強コンビと喧嘩しなくてもいいじゃないですか!なにをやっているんですか私は!!!

 

「まあ、あの場は仕方ないんじゃないでしょうか?それにどうせなら本気で相手してもらった方が嬉しいでしょう?」

 

小谷さんがお茶を用意しながらそう言います。

 

「それはそうなんですけど」

 

「はい、とりあえずこれでも飲んで落ち着いてください」

 

小谷さんが入れてくれたお茶を口に含むとジャスミンの甘い香りが漂います。

その香りに身を浸しているとささくれていた気分が落ち着いてきます。

 

「ふう、もう一杯もらえますか」

「はい、どうぞ」

 

お代わりのジャスミンティーを飲みながら考えます。

 

挑発に乗ってしまったような形で喧嘩を売ってしまいましたが、かえって好都合かもしれません。遊び半分で相手して欲しくないですし。

本気の世界最強馬と戦えるのなら願ってもないことです。

よし!がんばるぞ!!!

 

そう決意して燃えている私に、いつのまにか事務所に来ていた牧瀬さんが声をかけます。

 

「あ~、なにか燃えているところすまなけど、小野寺先生がお呼びよ?皐月ちゃん。」

「あ!」

 

いけない、もう調教の時間だ!

今週末はイシノシズクのマイルチャンピオンシップがあるのに、この騒ぎで調教任せっぱなし。

せめて最終調教日ぐらいは乗りたいとお願いしていたのに忘れてました!

 

「すみません、いってきま~す」

 

今はコスモスウィンドのことよりイシノシズクのレースに集中しないと!

 

ーーーーーーーーーー

 

『あ~~~!!!イシノシズク、ゴール前で失速!優勝はエミノクルス!2着にハギノウメッシュ、イシノシズクは3着に終わりました!』

 

イシノシズクのG1初挑戦は3着に終わりました。

途中までは勝てそうだったんですが脚が持ちませんでした。

でも課題がはっきり見えましたから、今後が楽しみです。

 

「おつかれさま!よく頑張ったね!」

 

(・・・ゴール前で失速しちゃった・・・)

 

「まあ、GⅠ初挑戦だったから仕方ないよ。緊張にのまれずにいい走りが出来たじゃない」

 

(うん、僕もここまで出来ると思わなかった)

 

「課題も見えたし、次は勝てるように頑張ろう!」

 

(うん!)

 

計量所に戻ると小野寺先生と石井オーナーが拍手で迎えてくれます。

 

「よく3着まで持って行ったな。掲示板に載れれば御の字だと思っていたのに」

 

「ちょっとダッシュ位置が早かったかもしれません。そのせいかゴール前で力抜けちゃったのが残念でした。次はみっちり調教して勝ちます!」

 

「楽しみにしているよ。」

 

  ・

  ・

  ・

 

マイルチャンピオンシップの翌日、ジャパンカップへの最終登録馬が決まりました。

 

日本組はコスモスウィンド、ロードグリーン、グラスシャープ、ケイセイミキサー、ヤマノヒビキ、アポカリプス、ヤシロヒメ、スキップジャックの8頭。

海外組はエムロード、スティルハート、ブルーフォール、ローズガーデン、チェインメーカー、ヤムゼイ、クーフリンク、ハバナカフェ、ウルフヘッド、サンチェイサーの10頭。

合計18頭立てでのレースになります。

 

私は出場が決まった馬のビデオを見て検討を続けました。

一頭ずつ見ながら検討をしていきますが、コスモスウィンドに出来るベストな走りが出来れば充分勝てる相手です。

問題は今の私たちにベストな走りが出来るかってことですね。

 

前回の天皇賞で全力を出し切れなかった事が幸いして、コスモスウィンドの体調が良いのが救いです。今回は引退レースということもあって、先のレースを考えずに全力で走れるというのも好材料です。

 

そんなことを考えつつ最後に回していたエムロードのビデオを見始め、呆然となりました。

 

「・・・・・・本当に最強だ」

 

あの番組収録の日にダヴィットさんが言っていたのは嘘じゃない。

本当にエムロードの走りのレベルは今までの馬達と違っています。

 

どのレースを見ても力を出し切らず、帝王の走りといわれる永遠の一馬身を保って勝ち続ける姿は余裕たっぷり。

スタートで先頭に飛び出せなかったレースでもあっさりと前に出てしまう脚力。

追い込んできた馬に合わせてダッシュも自在にこなして決して前を譲らない。

こんなの相手にどうしろというんですか・・・

本来なら油断しているところに奇襲でもかけたいところです。

 

今のコスモスウィンドの走りでは、すべてにおいて上を行くエムロードの走りには勝てません。

ここまで作ってきたレースイメージが崩れていきます。

 

最初から負け覚悟で走る気はありません。

走るからには勝てる可能性を見つけるのが私のすべき事です。

 

でも、今のコスモスウィンドに新しい走りをするような余力があるでしょうか・・・

 

 

 

翌日からジャパンカップに向けてコスモスウィンドの調教を始めましたが、一晩経っても勝てるイメージがわきません。

 

(皐月?いったいどうしたんだ?全然集中出来てないぞ?)

 

「ん、ごめんね。ジャパンカップのイメージが出来なくってどう調教したらいいのか迷ってるの」

 

(君がイメージが出来ないとは珍しいな?相手はよほどの強敵なのか?)

 

「うん、間違いなく今までで最強の敵。このままだと初めてレースに負けることを前提に出ることになっちゃう」

 

私はエムロードのことを話して聞かせます。

 

(そんなにか・・・)

「うん、認めたくはないけど、全盛期のコスモスウィンドでも勝てない」

 

負けることを前提にレースなんてしたくありません。

出る以上は僅かでも良いから勝てる可能性を見つけたい。

でも今は全然先が見えません。

 

(気が入らないまま調教をしても仕方がない。今日は上がろう)

「うん、そうだね。もう一度明日までにイメージを作り直してみる」

 

今度のレースでは私がフォローしないといけないのに、コスモスウィンドに気を遣わせてしまいました。

 

調教を切り上げて事務所でエムロードのビデオを見ていると、牧瀬さんも調教から戻ってきます。

 

「ただいま~。なんのビデオを見ているの?」

「エムロードのビデオです」

 

「ああ、あの。ビデオで見た感じ、強いの?」

「強いです。世界最強と言い切るだけのことはありますね」

「ふ~ん。ちょっと一緒に見させてね」

 

そういって一緒にビデオを見だした牧瀬さんはしばらくして口を開きました。

 

「な~るほど、これは強いわ」

「そうなんですよね。正直どうしたらいいか全然わからくなっています」

 

「ん?レースの作戦が決まらないの?」

「ええ、エムロードに勝てる可能性がある走りがイメージ出来ないんです」

「それで難しい顔してビデオを見ていたのね」

 

そのまま目を閉じてなにか考えていた牧瀬さんが話し出します。

 

「ねえ皐月ちゃん、自分たちのレースのビデオは見ている?」

「いえ?あまり見ていませんけど」

 

「じゃあ見てみると良いわ。自分のレースを見直してみると案外良いヒントが見つかるかもよ?」

 

そういえば自分たちの勝ったレースをきちんと見たことはないですね。

負けたレースは検討のためによく見てるんですけど。

勝ったレースってどんな走りしているんでしょう?

 

私は今までの自分たちのレースビデオを見てみます。

 

最初の方は人間だった頃に乗った皐月賞ステップレースのスプリングステークス。

懐かしさに少し涙腺がゆるみます。

 

次は初GⅠ制覇をした皐月賞。

先行してコーナー途中から抜け出してスピードが乗った脚で粘りきるというスタイルが確定しています。

 

そして札幌記念から迎えた菊花賞。

このころはコスモスウィンドが全盛期だったこともあって、圧倒的なスピードとスタミナで抜け出していくレースをしています。

 

そして年が明けて3月の日経賞では逃げを選択し、最初から最後までレースペースをコントロールして勝っています。

宝塚記念は駆け引き抜きのスピード勝負で押しきりがち。

そして今年の札幌記念は先行からの抜け出しで勝っています。

 

こうしてみるとスピード勝負になると圧倒的な走りをしていますねえ。

特に宝塚記念はトップスピードだけなら全盛期と遜色ないです。

でもスピードだけじゃ・・・ん?

 

なにかが引っかかります。

 

もういちど、今度は勝ったレースも負けたレースも見直してみます。

やっぱりそうだ!

それなら走り次第で勝てる!

 

「牧瀬さん、見つけました」

 

「ん、いけそう?」

 

「はい!アドバイスありがとうございました!」

 

 

翌日は朝からコスモスウィンドの調教を始めました。

今の美浦には調教を取材したいという申し込みがたくさん来ています。

ですが私はコスモスウィンドに新しい走りを調教するために報道をシャットアウトしてもらいました。

今回ばかりは余裕がないからです。

 

(たしかにこの戦法なら勝ち目が見えるな。だがわかっているのか?もし上手くいかなければボロ負けは必至だぞ)

 

「もちろんわかってる。それでもこの方法でないとあなたの力を引き出せないと思うから」

 

(わかった、やろう。しかし、まさか僕にこんな走りが残っているとは気が付かなかったよ。やっぱり君は最高のパートナーだ)

 

「ありがとう。でも無駄口叩いてる暇はないよ。調教で無理する必要はないけどイメージはしっかりつかんでもらうからね」

 

調教の疲れを残さないためにも、走りの本格調教は今日と明日が最後。

なんとかしてみせます!

 

-----------

 

そうして迎えたジャパンカップ。

競馬場は異様な雰囲気に包まれています。

 

朝からいくつか条件馬の騎乗を引き受けているのですが、いつもとは違うピリピリした雰囲気です。

声援もなにか控えめというか、まるで嵐の前の静けさとでもいうのでしょうか?

不可思議な感じがします。

 

「なに首かしげとるんや?」

「あ、柘植さん、どうもです。なにか空気が変じゃないです?」

 

「あ~まあいろいろあるからな」

「?」

「ほら、秋葉がこのまえダヴィットから喧嘩ふっかけられたろうが?あの一件がファンの間に広まったらしくってな」

「え?でもあのシーンは放送されませんでしたよ?」

 

「会場に来とったファンから漏れ広まったみたいや。人の口に戸は立てられんってことやね」

「あちゃ~・・・」

「まあそんなわけで、コスモスウィンドの引退レースを楽しみにしとったファンが殺気立っとるんや」

 

そういうことだったんですね。

納得しました。

 

「んで、あいつらに勝てる見込みは?」

「あります。柘植さんはどうですか?」

「ま、無いとは言えんな」

「曖昧ですね?」

「まあ、ロードグリーン最大のライバルの引退レースや。失望させるようなマネはせんから安心しいや」

「楽しみにしています」

 

 

柘植さんと別れた私は着替えをすませます。

メインレースまであと2レース。

目を瞑って気を落ち着けます。

 

「皐月さん。そろそろ控え室に移動ですよ」

 

小谷さんから言われて目を開けると控え室側に移動していく騎手達が見えます。

 

控え室では海外招待選手などに囲まれて談笑して過ごしますが、ダヴィットさん1人だけが離れたところに座っています。

その姿は孤高の騎士とでも言うべき凛とした空気があって誰も寄りつけない感じがします。

本当にあの番組で私と喧嘩した人なのでしょうか?

 

控え室を出て騎乗を待つ間も私はダヴィットさんを観察しますが、彼はこちらを一度も見てくれません。

やっぱり言葉どおりライバルとしては見てくれてないんだろうなあ。

ちょっと寂しいですけど、それならレースで見直させてやります!

 

『とま~れ~』

 

さあ出番だ!

 

「秋葉、俺からこの手綱を渡すのは今日が最後になる。精一杯後悔しない走りをしてくれよ」

「勝って帰ってきますよ」

 

厩務員の柳谷さんから手綱を渡してもらい、腰を落ち着けて羽を出します。

 

パドックを回りながら周りを見ます。

これがコスモスウィンドの背から見れる最後の機会だと思うと感慨深い物があります。

フェンスにくくりつけられた横断幕の一枚一枚に書き込まれたメッセージ。

来てくれたファンの人たちの表情。

それらを覚えていたいと思います。

 

やがて始まる馬場入場。

私たちが乗り込むとスタンドから大声援が起きます。

それに答えて軽く手を振りながら返し馬をして脚と馬場の状態をチェック。

芝の状態は乾いていて荒れもなし。

良い状態でレースが出来そうです。

 

「コスモスウィンド。脚の状態は大丈夫ね?」

(もちろんだ)

 

待機場を回りながらレースの開始を待ちます。

 

やがてファンファーレと共にスタンドから手拍子が起き競馬場が拍手に包まれました。

 

いよいよゲートイン。

私たちは中程の7枠。

いよいよコスモスウィンドの最後のレースがスタートします。

 

 

【バシャーン!!!】

 

 

横一線に出て行く馬達。

そして真っ先に飛び出していくアポカリプスをあっさりと外から出てきたエムロードが抑えて先頭を走っていきます。

そしてそれに馬体を合わせるように前に出て行ったのはロードグリーン?

まさか先頭に出てエムロードを押さえ込むつもりでしょうか?

その様子を見ながら私はコスモスウィンドをゆったりと最後尾に下げていきます。

 

『これは?!ロードグリーンが前に、コスモスウィンドが最後尾に!いつもとは全く違う予想外の展開!』

 

「焦らないで様子を見るよ」

(ああ)

 

私たちは最後尾から先頭を行くロードグリーンとエムロードを見つめます。

その走りはビデオで見たとおり余裕たっぷりです。

 

「でも、今のペースならいける」

 

呟きながらコスモスウィンドに少しだけペースを上げさせます。

 

コーナーを回り終えてバックストレートを走りつつまた少しペースを上げて前との差を詰めていきます。

柘植さんがロードグリーンを前に出して巧みにレースペースをコントロールしていますが、エムロードは淡々と着いていくだけ。

なにか1人で走っているみたい?

 

やがてバックストレートが終わって3コーナーに入ります。

コスモスウィンドにまた少しペースを上げさせたのでだいぶ前との距離が詰まってきています。

ここからだとエムロードとロードグリーンの競り合いがよく見えます。

 

ですが、エムロードはロードグリーンを淡々とつついている感じで全然焦りが感じられません。

やっぱり強い、世界最強を名乗っているだけあります。

でもその後ろ姿を見ていると・・・

 

「なんとなく寂しい走りだね」

(ああ、そうだな)

 

思わずそんな事を呟いた瞬間、なぜかダヴィットさんとエムロードの事が理解出来てしまいました。

 

彼らは今まで一度だって本気で走れる相手がいなかった。

「最強故の孤独」を抱えて走ってきたんでしょう。

だから本気かかってくれる強い相手を求めてあんな挑発をしたのだとしたら・・・

柘植さんはそれが理解出来たから無理を承知でロードグリーンを競り合わせているんだ。

 

「寂しいね」

(ああ)

「だけど、その孤独は今終わる」

 

私は手綱を握りしめます。

 

「いって!コスモスウィンド!!!」

 

コスモスウィンドが最終コーナーを加速しながら回ります。

そして直線に入ってトップスピードに乗った私たちはグングンと前を追いつめていきます。

 

『先頭ロードグリーン!続いてエムロード!後方は誰もついて来れないか?

 いや、コスモスウィンドが飛び出した!すさまじい脚で追い込んでくる~!!!』

 

コスモスウィンドはスピードだけならどんな馬にも負けない物を持っています。

そしてその天性のスピードを生かして逃げや先行を行うのがこれまでの必勝パターンでした。

ですが逃げや先行を選んだ場合、レース全部で全力を出すには脚が持ちません。

結果としてあくまである程度抑えたペースでレース全体を割り振って戦ってきました。

かといって一瞬の全力で勝負する差しや追い込みをするにはダッシュ力がないという欠点を持っています。

結果としてこれまでのレースで最高速を出した事はただ一度もありません。

 

ではどうやってレース中に一瞬の最高速を出すか?

そう考えたときに今回の作戦が決まりました。

ダッシュが出来ないならレース全体を通し最高速度までペースアップする。

これが答えです。

もちろん普段からこんな走りは不可能。

今回が最後のレースだから出来る一発技です。

 

最終コーナーまで使ってペースアップをしていき、直線で最高速に乗った私たちは風のようにエムロードとロードグリーンに迫ります。

スタンドから起きる大歓声に柘植さんがこっちを見て笑い、ダヴィットさんが驚いたような表情をします。

 

エムロードがダッシュをかけてロードグリーンを交わします。

ですが最高速に乗った私たちの方がスピードは速い!

 

最強の脚で逃げるエムロード。

最速の脚で追いあげるコスモスウィンド。

 

両雄譲らずゴールまで残り1ハロン。

後は馬達の勝負です!

 

「いっけえええええええええええええ!」

 

私の叫びに乗るようにコスモスウィンドが最後の脚を振り絞り・・・エムロードを差しきりました。

 

『優勝はコスモスウィンド!冠名にふさわしく風のような脚を見せつけて差しきりました!!!』

 

大歓声が競馬場を包み込みました。

私はコスモスウィンドにだく足を踏ませながら労います。

 

「ありがとう、コスモスウィンド、最高の走りだったよ。最後に無茶させたけど脚は大丈夫?」

(ああ、大丈夫だ。だがさすがに疲れたよ)

 

「ごめんね。 戻ったら鬣を梳いてあげるから」

(ああ、楽しみにしているよ。それに疲れたけど最高の気分なんだ。本当にありがとう)

 

スタンドに手を振りながらそんなことを話していると柘植さんとダヴィットさんが近寄って来ました。

 

「Je suis désolé de vous avoir sous-estimé les gars. Je veux m'excuser.」

わ、待って、わたしフランス語なんてわかりません!

 

「「君達をあなどって悪かった。謝罪させて欲しい」そう言ってるで」

 

「柘植さん、フランス語わかるんですか?」

 

「海外遠征何度もしているからな」

 

「J'ai entendu dire que Cosmos Wind prenait sa retraite aujourd'hui. C'est dommage parce que je pensais avoir enfin trouvé quelqu'un avec qui je pouvais courir sérieusement.」

 

「「今日でコスモスウィンドは引退だと聞いた。せっかく本気で走れる相手を見つけたと思ったのに残念だ」だそうや」

 

「柘植さん、ダヴィットさんにこう伝えてもらって良いですか。

 コスモスウィンドは今日で引退します。だけどその子供に乗って今度はこっちがいつか必ず挑戦しに行きます。

 だからまた最強の馬に乗って待っていてくださいと」

 

柘植さんは口笛を吹くとダヴィットさんにメッセージを伝えてくれました。

それを聞いたダヴィットさんが手をさしのべてくれます。

私がその指先を握ると軽く上下に動かします。

 

会釈して胸を張って去っていくその姿は、敗れてなお世界最強の称号にふさわしく堂々としています。

あれだけ批判していたファン達もその姿に魅せられたのか、エムロードとダヴィットさんの名を呼びながら拍手をしながら見送ります。

 

そして続いて秋葉コールが始まりました。

ウィニングランをしていなかったなと思い出したわたしはコスモスウィンドにスタンド前を走らせます。

ファンの大歓声を受けた最後のウィニングランが心地よく風を送ってくれました。

 

これでコスモスウィンドの競馬場での戦いは終わり。

寂しいけれど、これでお別れです。

 

これから私は稀代の名馬であるコスモスウィンドを下りて、騎手として独り立ちしていかなければなりません。

コスモスウィンドはその血を残していく戦いが待っています。

 

私達は歓声を受けながらターフを後にしました。

 

  ・

  ・

  ・

 

年末の有馬記念に合わせて引退式を行ったコスモスウィンドが生まれ故郷の浦河に戻る日が来ました。

私は小谷さんの肩に乗って馬運車に乗り込むコスモスウィンド見守ります。

 

「元気でね。いつかきっと会いに行くから」

(ああ、土産話を楽しみに待っている)

 

別れの挨拶はあっさりしたものですが、お互いにこれからの戦いの健闘を祈ります。

 

次に会うのはお互いに誇れる仕事をしたとき。

そんな想いを目で交わして見送ります。

 

馬運車が小さくなっていくのを厩舎のみんなと見送って、私は声を張り上げました。

 

「さあ!みんな仕事だよ!」

 

コスモスウィンドと私が紡いだ夢はまだ終わっていません。

彼の子供達がここにやってくるその日まで、眠っているだけです。

 

きっとやって来る未来へ向けて私は駆け出しました。

優しく力強い風がやってくることを信じて。

 

 

 

Fin




完結です。

最終話はコスモスウィンドの引退から起きる騒動の中、主人公が一人の騎手として独り立ちしていく様を書いてみました。

ラストシーンがあっさりしすぎているという意見も出るかとは思います。
ですがコスモスウィンドが引退しても皐月は走り続けます。
独り立ちしたプロ騎手として凛と見送らせてもらいました。 

さて、以下はシリーズ全体としての後書きになります。

 

「妖精的日常生活」の存在を知ったとき。
それは衝撃の出会いでした。
作品一つ一つが面白く、シェアワールドとしての魅力に満ちあふれ、お互いに意見を交わし合っている熱気が感じられました。

私もその熱気に当てられ、このシェアワールドで一つの話を書いてみたいと思って書き出したこのシリーズ。
結果としてはシェアワールドと言うよりパラレル話になってしまった気がしますが、それはご勘弁を。

以下、思い入れのあるキャラクター達へのコメントです。

*秋葉 翔/皐月
 物語の最後まで語り手として頑張ってくれました。
 正直たった一人の視点から書くには大きすぎる話で、途中で視点を切り替えて書こうかとも思ったのですが、結局最後まで一人の視点で書き通させてもらいました。
 当初はTS要素を抜きにて書こうかと思ったのですが、皐月賞から名前を取る設定を思いついてTS要素を加えることになりました。
 主人公が物語を通して成長していく様を書くのは本当に楽しくもあり苦しくもありましたが、書いていて魅力的なキャラクターだったと思います。
 ちなみに騎乗時は座っているときはぺたんと女の子座りして、レース中は膝立ちになっているというのを作中で表現し忘れてました。

*コスモスウィンド
 モデルにした馬は3頭いまして、セイウンスカイ、メジロマックイーン、タマモクロスがそうです。
 書いている途中でメジロマックイーンとタマモクロスが急逝し、セイウンスカイは種牡馬としてふるわず凹まされたのも思い出になっています。
 物語の中では14戦11勝を挙げるという名馬ですが、実はレースの度に全力で走ってしまうのでレース間隔を詰めることが出来ないとい裏設定がありました。
 結局その設定が生きたのは3歳時のジャパンカップ回避だけでしたが登録間隔自体も伸ばし気味にしていました。
 稀代の名馬として物語を引っ張ってくれました。

*シャロンウィンド
 当初は牝馬戦線で活躍してくれる馬として書くつもりだったのですが途中で8話の事故対象馬に。それもせいぜい引退勧告程度ですませる気だったのですが、話を書いているうちに予後不良になってしまいました。
 ちょうどタマモクロスが亡くなった時期だったので、精神的にどん底だった状態で書いたのが悪かったかなと思います。
 物語の中では主人公を一番成長させた馬でした。

*ホホエミミセテ
 4話の主役として、重い話を受け止めてくれました。
 主人公を成長させただけではなく、5話での見せ場で活躍する馬として割と美味しいポジションにいた馬かもしれません。

*イシノシズク
 当初は中長距離路線のコスモスウィンド、短距離マイル路線のイシノシズクとして話を展開していく予定が、結局出番を削りまくってしまいました。
 晩成馬の設定で、むしろ物語後に活躍していく馬として書いていますから影が薄いのはある意味当然だったかな。

*ブラディーメアリー
 有名なカクテルから名前をもらったこの馬は、皐月への発破役として要所で活躍してくれました。
 物語の主役には一度もなりませんでしたが、ある意味皐月と一番相性が良かった馬です。
 書いていてすごく楽しいキャラクターでした。

*牧瀬 薫
 召喚のきっかけやら助言助力役として活躍してくれました。
 姉さん肌で皐月との掛け合いもノリが良く、書きやすいキャラクターでした。
 困ったときの牧瀬さん。作者にとって便利キャラでしたね。

*柘植 豊
 だいたいの人が分かるとは思いますが、元々の設定はJRAの某花形騎手です。
 ただし中身は完全に別者として書かせてもらいました。
 ライバルとして助言者として様々な場面で活躍してもらいました。
 9話の話はもうちょっと早いタイミングで書いてみたかったんですが、結局あそこまで引っ張ってしまったのが残念。皐月の追っかけをするために可能な限り開催を合わせていたので、皐月の勝利数が伸びなくなる原因だったりしますが、本人達は楽しんでいるのでまあ良しです。

*佐藤 成子
 主人公の相方としてちょこちょこ登場させていた彼女。
 主人公をTSさせなければ奥様として活動してもらう予定でした。
 登場頻度は少なめですが、物語の中では重要なポジションのキャラとして活躍してくれました。

その他キャラでお気に入りも一杯いますがこの辺で。

最後になりましたが、この作品の原型となった妖精的日常生活をシェアワールドとして公開してくれたジャージレッドさん、そしてここまで読んでくださった皆様に感謝と敬意を。
ありがとうございました。
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