Fate/Next   作:真澄 十

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 予告していた通り、一部から要望のあった資料集です。
 人物、サーヴァント、武器についての設定を記載しています。


設定集

 注意:多大なネタバレを含みます。本編を先に見ることをお勧めします。

 なお、原作キャラについての説明は割愛しています

 

◆◇人物編◇◆

 

【名前】八海山 澪

【読み】はっかいさん みお

【性別】女性

【年齢】21

【魔術】同一化魔術・反射反応魔術

【その他】大学生・セイバーのマスター

 

【魔術詳細】

同一化魔術:

 間接的とはいえ、アカシックレコードに触れることのできる強力な魔術。しかし、この魔術の特性ゆえに「既に亡くなった人物」の情報しか読み取ることができない。膨大な情報の海から特定人物の情報のみを取得し、それを自己の中で再現する。いわば、故人になりきることが可能である。

 ただし、再現可能であるのは精神面のみである。肉体面の再現は不可能であるため、単純に身体能力に秀でた故人を再現しても意味は薄い。技術面の再現は、それに身体能力上での制約が無いのであれば可能。つまり、何らかの故人を再現した際に、体力は澪のそれだが知識と技術は故人のそれとなる。

 この魔術の最大の弱点は「自己の希薄化」である。他者を自己の中に再現するということは、自分の中に他者が存在し始めるということに他ならない。いわば一種の多重人格である。例えるなら、真水の中に墨汁を垂らすようなものだ。同一化魔術の場合、水と墨汁は後から分離が可能だが、完全には分離しきれない。水は次第に墨汁に近いものとなり、いずれ「少し薄い墨汁」になってしまう。つまり、自己の意識が消失してしまうのである。

 これを防ぐには高度な精神操作や精神防衛の魔術を同時に使用する必要があるが、澪にその技術は無い。

 

脊髄反射魔術:

 人体には危険から身を守るために脊髄反射という機能が備わっている。例えば針の先に触れたとき、人間は痛みを感じた瞬間には針から指を遠ざけようとしている。この反応は脳を仲介せずに行なわれるため、人体で最も早い反応速度を誇る。

 注意すべきは、脊髄反射は脳を仲介しないという特徴ゆえに、恣意的な反応は不可能である。しかし脊髄反射魔術は、あらかじめその反応を追記・変更しておくことで任意の行動が可能となる。先ほどの例では、「指を遠ざける」のではなく「針を遠ざけさせる」という反応に変更することができる。

 これは戦闘において、「矢が飛んできた」と認識した瞬間には既に回避を行なっているという行動も可能となる。また、この魔術は第六感にまで及ぶため、「殺気を感じた」という程度でも反応することが可能。

 この第六感までおよぶという特性を活かしたのが探査魔術である。殺気や敵意というものを知覚することで、一種のレーダーの役目を果たす。また、知覚方法も様々で、視覚や聴覚、嗅覚などといった情報に置換して認識することが可能。嗅覚の場合、「何か良くないものだ」と認識した場合、悪臭として知覚する。

 

【備考】

 第五次聖杯戦争におけるキャスターに両親を殺害された過去を持つ。聖杯戦争には、その過去を思い出したことが原因で参加することとなる。一種の私怨によるものだったが、それを正当化していたことにセイバーに諭された。現在は祖父母の援助で一人暮らしをしている。

 聖杯戦争を通じ、何度も自分を助けてくれたセイバーに恋心を抱くようになった。絶対に叶わない愛だと知っているからこそ、彼女は自分からそれを打ち明けることは無かった。

 澪は本人の魔術特性を『送受信』であると表現したが、実は少々異なる。その特性は自らの肉体への『埋め込み』である。つまり、自分の体に新しい機能を追加、あるいは既存の機能の変更こそが正しい特性である。

 同一化魔術も脊髄反射もその特性より生まれたものである。この特性は新しいパスの生成などでも強い効果を発揮するため、澪は勘違いをしていた。

 また、八海山は幾度と名を変えた歴史があり、その中で海外の血が混ざることもあったため忘却されてしまったが、その歴史は実に深い。魔術師としての始祖は稗田阿礼。

 聖杯戦争のなか、セイバーに惹かれていった。容姿もさることながら、彼の後悔や信念を知るうちに恋慕の情を抱くようになる。

 

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【名前】稗田 阿礼

【読み】ひえだ の あれ

【性別】女性

【年齢】不明

【魔術】森羅写本

【その他】古事記の編纂者・故人・八海山の始祖

 

【魔術詳細】

森羅写本:

 稗田阿礼は「見聞きしたことを絶対に忘れない」という伝説があるが、それはこの森羅写本の特性に起因する。これは見たこと、聞いたことを全て記録する固有結界である。

 生前、優れた魔術師(陰陽師)と共にアカシックレコードを垣間見た。稗田阿礼とその友人はその際に死亡。稗田阿礼はアカシックレコードのバックアップとして世界に取り込まれることになった。その所為で彼女の肉体は滅びたが精神だけが現世に留まり続けている。

 なお、現在の森羅写本に保存できるのは『既に亡くなった人物』の情報のみである。

 稗田阿礼は長い時間をかけて世界の一部となった森羅写本に穴を穿つ。稗田阿礼の子孫ならば森羅写本にアクセスできるよう試みたが、それが自発的に出来たのは数人。ここ百年では一人もできなかった。澪が出来たのは才覚ではなく、偶然にも濃い血が発現したためである。

 この森羅写本にアクセスするのは術者の精神のみである。森羅写本は無差別な情報の海であるため、よほど強い心を持ったものか、精神防衛の魔術を行使しないと自我を失いかねない。その為、よほどのことない限り稗田阿礼の意志でこの森羅写本に子孫を引き込むことはしない。また、森羅写本にアクセスした際には彼女に出会える可能性は高い。

 

【備考】

 八海山家の始祖。戦闘こそできないが、紛れもない英霊である。彼女は八海山家の再興を願っており、そのため見込みのある子孫が現れたときに助力しようとする。ただし、成長を促すだけであり、問いは出すが答えは与えない。

 稗田阿礼は暇つぶしがてら森羅写本を通して子孫とその周辺を見守っている。そのため第五次聖杯戦争のことも多少知っている。

 八海山澪が持っていた本は彼女が記したものの写本だが、それには森羅写本にアクセスする方法が書かれていた。また、この本自体が森羅写本の通行手形の役割を持つ。しかし長い年月とともに、暗号の解き方が忘却されてしまう。あまりに難解であるため、忘却されてしまってからは誰も解けなかった。

 

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【名前】アリシア・キャラハン

【読み】ありしあ・きゃらはん

【性別】女性

【年齢】9

【魔術】不可

【その他】先天性の膠原病・アーチャーのマスター

 

【備考】

 生まれ落ちたときから重度の膠原病を患っている。膠原病は疾患群の名称であり、様々な居変を身体に起こす。彼女の場合、紫外線に当たると皮膚に重度の炎症と発熱が起こる。

そのせいか、魔術師である両親からは見捨てられている。ただし入院費用だけは工面して貰っている。これは温情ではなく、いずれ魔術実験の被験者になってもらおうという意図のもとである。

アリシアは長時間紫外線を浴び続ければ、一時間と経たずに死に至る可能性が高い。この病気の厄介なところは治療法が確立されていないことである。また、膠原病を患った場合、多くは短命である。

日光に当たれないため酷く色白である。そのためアーチャーからは「白い手のイゾルデ」と称された。また、まともに日光に浴びたこともなく、大した運動もしたことがないため非常に虚弱である。彼女にとっての娯楽は読書しかなく、日中でも常に本を読んでいる。夢にあふれた物語を好み、もっぱら英雄譚やファンタジーの類を愛読する。一方で、スパイものやミステリーにも手を出している。

作中では語られていないが、彼女がアーチャーを召喚したのは両親の意図によるものである。いわば、彼女の両親は自らの娘を実験体にし、聖杯戦争の真偽を確かめようとしたのだ。今まで両親の顔すら知らなかったが、始めて両親からの手紙が届き、アリシアは喜んだ。その手紙の通りに儀式を実行した結果、彼女はアーチャーを召喚したのである。

 

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【名前】スカリエッティ・ラザフ・コンチネンツァ

【性別】男性

【年齢】42

【魔術】基礎的なものならば可能

【その他】享楽主義者・ランサーのマスター

 

【備考】

 魔術師の家系の次男坊。コンチネンツァ家は名門でも名家でもないが、それなりの実力はある。後継者は兄であったため、魔術の知識は乏しい。本来は聖杯戦争に参加する筈ではなかったが、長男を殺害し聖遺物を奪取し、ランサーを召喚した。しかし本人が戦闘に参加する意志はまるでない。あくまでサーヴァントに任せる腹積もりである。ちなみに妻も子も居ない。

 ちなみに、彼の兄は聖人ロンギヌスが身にまとっていたとされる衣服の切れ端を入手していた。旧知の魔術師が保有していたものを譲り受けた形である。聖堂教会でも同様のものを保有しているが、その魔術師が所持していたものは教会の持つそれとは神格が圧倒的に劣るもの。しかしサーヴァントの召喚には十分であったようだ。

 

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【名前】サーシャスフィール・フォン・アインツベルン

【性別】女性

【年齢】推定25歳

【魔術】錬金術・治癒魔術

【その他】ホムンクルス・ライダーのマスター

 

【魔術詳細】

錬金術:

 アインツベルンの魔術は錬金術であり、彼女もまた錬金術を扱う。錬金術の応用は多岐に渡り、医学、薬学、物質科学などが主な応用分野となる。彼女は物質操作を戦闘に応用している。これはアイリスフィールが用いた錬金術と同様のもので、針金を操作し編み込むことであらゆる形状を象ることができる。猛禽、巨大な拳、義足、大盾、槍状の先端を持つ触手などを実際に使ったが、実際はさらに多様なものに変化可能。

 

治癒魔術:

 対象の負傷を癒す魔術。彼女のそれは突出して秀でているわけではないが、軽傷程度ならば癒すことができる。重傷になると完全な回復は難しい。

 

【備考】

 アインツベルンの急造ホムンクルス。急な聖杯降臨に合わせて作ったため、細部に問題がある。その一つが寿命、すなわち活動可能時間の短さである。聖杯戦争中はかろうじて生きられるが、その後の保障は全くない。また、アルコール等の分解機能も未熟であり、酒の摂取は禁物である。そのような理由もあり、サーシャスフィールに聖杯としての機能は備わっていない。

 ホムンクルスとして誕生したのは1年ほど前だが、精神年齢と肉体年齢は二十代半ばほどである。ただ、一部の身体的機能に限れば六十代後半であると言われても不思議ではない箇所がある。特に腎臓、肝臓、胃、腸の機能は不完全であり、正常に機能している臓器は脳ぐらいしかない。

 しかしながら、戦闘能力は今までのどのホムンクルスよりも秀でている。魔術・身体能力のどちらも尋常ならざるものである。魔術面でいえば、聖杯から満足なサポートがなくともサーヴァントを実体化させることが可能なほどであり、肉体面では十キロをゆうに超えるハルバードを片手で軽々と振り回すほど。

 ライダーと共に闘ううちに、彼に恋心を抱くようになった。体の非常に弱い彼女にとって、心身ともに屈強な彼に憧憬の念が芽生え、それはしだいに恋慕へと変わった。

 

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【名前】景山 悠司

【読み】かげやま ゆうじ

【性別】男性

【年齢】27

【魔術】不可

【その他】フリーター・空き巣常習犯・アサシンのマスター

 

【備考】

 多大な借金を抱えたフリーター。借金の返済に窮し、金策のために空き巣に手を出している。盗みの才能があったのだろうか、何度も犯行を重ねているが一度も見つかったことがない。警察は昨今の連続空き巣事件を追っているものの、犯人の面相すら分かっていないのが現状だ。

 サーヴァントの召喚には、七年前に川の岸で偶然拾った空の薬莢。これは衛宮切嗣が七年前にキャスターのアサシンを狙撃した際、回収できなかった薬莢である。また、サーヴァントの召喚自体も偶然である。

 聖杯戦争の期間中は自室に籠っている。これはアサシンが絶対に外を出歩くなと言いつけているためであり、本人も素直にそれに従っている。とはいえ、本人の同意があると言っても、軟禁状態なのは変わらない。一応、昼間の明るい時間なら多少の外出は許可されているが、彼自身が面倒事に関われば死ぬであろうことを自覚しているため、それすらしようとしない。

 聖杯戦争が終結する直前、即ち士郎と切嗣が闘う直前、切嗣から別れを告げられた。結局、元の生活に戻ったが数日後に逮捕される。

 

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【名前】冬原 春巳

【読み】ふゆはら はるみ

【性別】男性

【年齢】35

【魔術】不可

【その他】代行者・聖杯戦争監督役代行

 

【備考】

 先任の聖杯戦争監督役がキャスターによる凶行で死亡したため、その代行を任された。また、激しい禁欲のため、最終的に性同一性障害になるに至った。いわゆるオカマである。とはいっても、筋骨隆々の肉体をそう簡単に隠せるはずもなく、見た目は男性寄りになっている。

 代行者の武器として黒鍵が挙げられるが、彼はその扱いを苦手としている。使えないわけではない。彼はボクシングスタイルでの拳闘を得意としており、位の低い吸血鬼ならば縊り殺すほどの戦闘能力がある。しかし、群体への変身が可能な者や、そもそも体が何かしらの集合体である者とは相性が悪い。彼の戦闘方法はあくまで一対一の状況で進化を発揮する。

 彼の切り札として、聖パウロの遺骨を練り込んだ指輪がある。これは低級の魔術を霧散させる力があるものの、上級の魔術にはお守り程度の力しかない。また、これのせいで程度の低い治癒魔術を弾いてしまうというデメリットも存在する。

 彼は教会へ絶対の忠誠を誓っている。本人の意図に反しようとも、教会の指示には絶対に従う。彼の神への盲信が為せる所業である。教会に従うことで神のために働けるのであれば、例え自分の命すら投げ出すだろう。

 自他共に認める辛党。辛党とは「辛いものが好き」という意味ではなく、「酒好き」を表わす言葉である。度数の高い酒ならば大抵のものは好む。度数の低い酒も飲むが、酔う前に腹が水で満たされてしまうため、あまり好きではないらしい。

 

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【名前】遠藤 楓

【読み】えんどう かえで

【性別】女性

【年齢】21

【魔術】不可

【その他】澪の友人

 

【備考】

 澪の友人の一人。心優しく、大人しい性格。大学では澪と美希といつも一緒にいる。ときおりレズではないのかと噂されるが、実は一つ年上の彼氏がいる。ただし、本編中にその設定は全く活かされなかった。というより、彼女自身の出番もほぼ皆無という有様である。

 サークルには所属しておらず、有り余る時間を家庭教師のバイトで潰している。ただ、大した趣味もなく、金を使う遊びもしないので残高は増え続けている。

 ちなみに、当然のことながら彼女は魔術師ではない。しかしその資質は僅かながら存在する。サーヴァントほどに強力な霊魂であれば、見ることは無理でもその存在を感じ取るだろう。

 

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【名前】小久保 美希

【読み】こくぼ みき

【性別】女性

【年齢】21

【魔術】不可

【その他】澪の友人

 

【備考】

 澪の友人の一人。活発で破天荒な性格。ソフトボール部に所属している。男勝りな性格か、異性よりも女性に好意を寄せられることが多い。楓と同様、彼女自身にもレズ疑惑があるが、その設定は本編で全く活かされなかった。ちなみに彼氏はいない。

 魚や肉が好物。珍味の類を特に好む。酒も好むがさほど強くはない。そのくせ調子に乗りやすい性格が災いし、部の飲み会では真っ先に潰れる。彼女自身は美人の類に入るため、送り狼になろうとした猛者もいたが、それら全てが彼女に好意を寄せている女性達に阻まれている。

 

 

◆◇サーヴァント編◇◆

 

【クラス】セイバー

【マスター】八海山 澪

【真名】ローラン

【性別】男性

【属性】秩序・善

【筋力】 A  【魔力】 B

【耐久】 C+  【幸運】 A

【敏捷】 B  【宝具】 A

 

【クラス別能力】

対魔力:A

A以下の魔術は無効化。事実上、現代の魔術で彼を傷つけることは不可能。

 

騎乗:B

大抵の動物を乗りこなしてしまう技能。幻想種(魔獣・聖獣)を乗りこなすことはできない。

 

【保有スキル】

直感:B+

戦闘時、高い確率で先の顛末を察知するスキル。

未来予知の領域には一歩届かない。

 

カリスマ:C

軍団を高い士気と統率力で用いるスキル。武将としては十分。

一国の王になるにはもう少し高いランクが必要になる。

 

戦闘続行:B+

生還する能力。程度によるが、重症を負っても数十分から一時間であれば存命可能。「不死身である」と周囲に称されたことで付いた因子。

 

【宝具】

最後に立つは我のみぞ(オリファン):A+

(対城宝具:レンジ1~999)

 人が造り出した神の炎の模造品。通常は角笛の形をしているが、その実それは炎で編まれた器物。真名解放の後に笛を吹くことで発動可能。解放されると、周囲全方位に渡って神の炎を噴出する。

 無差別性ではおそらく右に出る宝具は無いと思われる。唯一効果の対象外となるのは所有者のみである。ある程度効果範囲の指定は可能だが、最低でも半径50メートルは火の海となる。

 また、この炎を見た者や触れた者を塩の塊へと変質させる効果を持つ。通常、解放した状態では一般人すら塩に変えることは出来ないが、草木や無機物などであれば塩化させることが可能。炎を集中させればサーヴァントでさえ塩化させ得る。

 

封印:狂える炎熱(オルランドゥ):C

(対人宝具:レンジ1)

 オリファンの炎を何かに封印することを可能にする宝具。オリファンの無差別性を排除し、ある程度の汎用性を持たせる為に編み出された術式。しかし、一度オリファンを解放させた状態でしか使用できないため、無差別性が完全に排除されたわけでない。

 デュランダルに封印することで、オリファンの塩化効果を最大限に発揮させることを可能とする。事実上、この宝具はデュランダルが無ければ使用不可能である。なぜなら、不壊の効果を持つ宝具と対で使わなければ、封印させる器物そのものが塩化してしまうからである。逆に言えば、塩化されても構わないのならばなんにでも封印することが可能。

 この宝具を使用する代償として、術者は自分の理性をも炎と一緒に封印しなければならない。結果、術者のクラスは自動的にバーサーカーへと移行する。その際の凶化スキルはD相当となる。

 

【備考】

 フランスの英雄叙事詩である『ローランの歌』に登場する人物。架空の人物ではなく、実在した英雄である。彼は叔父であるシャルルマーニュ王(大帝カール)から聖剣デュランダルを授かった。

それと同時期、聖堂教会には|再征服運動≪レコンキスタ≫の機運が高まっていた。神の国エルサレムを奪還するため、神学者はその正当性を示す何かを欲していた。そして出た一つの結論が、かつて背徳の街を焼き滅ぼしたと言われる神の炎である。これさえ手にしたならば、十字軍の行動は神の意志によるものであると主張できるためである。そしてそれは成り、当時きっての騎士であったローランにそれを託した。それがオリファンである。

聖杯にかける望みは、かつてのロンスヴォーの血戦のやり直しである。あの戦いで無謀な行動をとってしまったローランは、かつての友であるオリヴィエを戦士させてしまった。それを酷く悔い、そして自身の信じていた正義の在り方に疑問を覚え、自分の無思慮さを恥じた。もしも血戦をやり直せたのであれば、きっと自分の正義を知ることができるであろうと信じていた。しかし聖杯では過去の改竄が叶わないと知り、せめて『今度こそ友を守る』という願いを成就させようとしている。そのため、澪と友人になりたく、現代の娯楽を知ろうとしていた。澪と出会った当初はふざけた態度で澪の気を引こうとするが、その必要も無くなってからは至って真面目な態度となる。

 最終的に、澪には友人としての情ではなく恋心が芽生えることになる。

 

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【クラス】アーチャー

【マスター】アリシア・キャラハン

【真名】トリスタン

【性別】男性

【属性】秩序・善

【筋力】 B  【魔力】 B

【耐久】 B  【幸運】 C

【敏捷】 C  【宝具】 A

 

【クラス別能力】

対魔力:D

一工程による魔術を無効化する。

効果としては魔除けの護符程度なので、人間の領域のスキルといえるかもしれない。

 

単独行動:B+

マスターからの魔力供給が無くなったとしても現界していられる能力。ランクBは二日程度活動可能。

プラス補正により、魔力の温存次第ではさらに一日程度の活動も可能。

 

【保有スキル】

千里眼: C

純粋な視力の良さ。遠距離視や動体視力の向上。

高いランクの同技能は透視・未来視すら可能にするという。

 

陣地選定: B

自分に有利な陣地を選定し、地の利を最大限に活かす能力。

ランクBは有利な位置関係を維持する限り、アドバンテージを決して失わない。

 

【宝具】

|無駄なし必中の流星≪フェイルノート≫:B

(対人宝具・最大捕捉人数1・レンジ1~100)

 因果律の逆転により、必ず命中する矢を放つ。命中箇所は任意で設定可能。

その矢の形状により貫通力は凄まじく、半端な防御では確実に貫かれる。Aランク相当の防御手段でも、投擲に対する補正がなければ防御は困難。

 ただし回復阻害などの付加能力は持ち得ない。

 さらに、遠方の敵には使用できず、射程はおよそ100メートルである。

 

【備考】

 円卓の騎士の一人、サー・トリスタン。円卓の騎士の中でもロマンスに生きた英雄である。トリスタンはランスロットやモードレッドとも親交が深かったと言われている。

 フェイルノートという名称は、実のところ出所が不明である。出典が明らかな名としてArc qui ne faut(アッキヌフォ)というものが挙げられる。Arcとは弓を表す言葉だが、罠の名であるとの伝承も存在する。また、フェイルノートは「狙った獲物を決して外さない」という名称があるが、これがトリスタンの能力に依るものなのか、フェイルノートの能力に依るものなのかは不明だが、どうやら宝具の能力に依るものだったらしい。

 彼の物語は「トリスタンとイゾルデ」という演劇で有名である。しかし、その伝承は様々である。イゾルデという女性が二人いるとされる場合もあり、片方は金の髪のイゾルデ、もう片方は白い手のイゾルデと呼ばれることが多い。だが、いずれの伝承においてもトリスタンは悲恋かつ悲運の人生を辿ることとなる。

 彼は聖杯にかける望みは無かった。強いて言えば、イゾルデと結ばれることである。しかしアリシアのサーヴァントとして召喚され、彼女の境遇にいたく同情し、彼女の病気を癒すために聖杯を欲するようになる。

 

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【クラス】ランサー

【マスター】スカリエッティ・ラザフ・コンチネンツァ

【真名】ガイウス・カッシウス

【性別】男性

【属性】中庸・善

【筋力】 B  【魔力】 B

【耐久】 A  【幸運】 E

【敏捷】 A  【宝具】 EX

 

【クラス別能力】

対魔力:C

第二節以下の魔術は無効化する。大魔術や儀式呪法などを防ぐことはできない。

 

【保有スキル】

聖眼:A

神の血を目に受けたときに得たスキル。魔眼とは異なる。外界からの視覚に対する干渉をほぼ無効化する力をもつ。

視覚によって外界へ干渉する魔眼とは対極にあるといえる。魔眼に対しても強い耐性を発揮する。

 

戦闘続行:A

死を遠ざける力。瀕死の状態でも戦闘を続行するスキル。

彼の宝具によって、もたらされたスキルである。

 

【宝具】

神の血を受けし聖槍(ロンギヌス):EX

(対人宝具・レンジ1~2・最大捕捉人数1)

 絶対の回復能力をもつ槍。彼の自己治癒も、この宝具による副産物である。

 持ち主に「世界を制する力を与える」という伝承があり、ランサーはこれによって全体的な補正がかかっている。もともとの彼はさほど戦闘能力は高くない。

 非開放時には、持ち主の傷を自動的に癒す力(リジェレネーション)しか持ち得ない。

 開放時には、致命傷であっても瞬時に回復する力をもつ。これは外傷に限らず、病や呪いの類すらも退ける力がある。また、使用する対象は自分に限らず、開放時の槍で刺したならば例え敵であっても癒すことができる。

 

【備考】

 盲目の百卒長。イエスの死を確認するためそのわき腹を槍で突いたとき、盲目の瞳にその血が散った。その瞬間、彼の目には光が戻ったという。

 古代では囚人の死を確認するとき、そのわき腹を突いたという。わき腹を突いたときの出血によって、死亡確認をしたとされる。その役目を負ったのが、ガイウス・カッシウスである。後に聖ロンギヌスと称され、聖人となった。ロンギヌスの槍という名称は有名であるが、これは「聖ロンギヌスがイエスのわき腹を突いた時に使用した槍」という意味である。槍はもともと官給品であり、何の変哲もないものであったが、神の子の血を受けたことにより神聖の因子を持つに至った。

 これらの出自から分かるように、本来ならば聖堂教会側の英雄である。つまり、彼にとって魔術師とは唾棄すべき存在に他ならない。スカリエッティ本人の性格もあり、彼との相性は最悪であった。明確に衝突することをランサーは避けていたが、いつ殺し合ってもおかしくなかった。

 ランサーはマスターさえ恵まれていれば、おそらく最終局面まで残っていたであろうサーヴァントである。即死さえしなければ、即座に傷を癒す力は驚異的であり、彼自身の戦闘能力もライダーやセイバーに匹敵するものである。だが、相応に魔力を消費するので乱用はできない。

 やはりランサーはマスターで悩まされるべきだろうという悪意の生贄である。

 

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【クラス】ライダー

【マスター】サーシャスフィール・フォン・アインツベルン

【真名】張遼

【性別】男性

【属性】混沌・善

【筋力】 A+  【魔力】 E

【耐久】 B  【幸運】 B

【敏捷】 A  【宝具】 B

 

【クラス別能力】

・対魔力:B

発動における詠唱が三節以下の魔術を無効化する。大魔術・儀礼呪法を用いても傷つけることは難しい。

 

・騎乗:A

騎乗の才能。かつて慣れ親しんだ獣に似た姿であれば、魔獣・精霊種でも乗りこなすことができる。

彼の場合は、馬に似た姿であればどんな生物であろうと操れる。天馬や一角獣であろうと乗りこなすだろう。

 

【保有スキル】

・矢避けの武芸:B

矢が飛び交う戦場で培った技術。加護ではなく、修練により培った経験。

投擲物による攻撃に対して、高確率で迎撃および回避を成功させる。ただし、超遠距離もしくは広範囲の攻撃には効果を発揮できない。

 

・仕切り直し:C

戦闘から離脱する能力。

一撃離脱の戦法には重宝する。

 

・軍略:B

多人数戦闘における戦術的直感能力。自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。

 

【宝具】

・騎兵の軍こそ我が同胞:ランクB

(対馬宝具・レンジ1・最大捕捉人数1)

ライダーが聖杯戦争でも騎兵を用いて戦うために得たスキル。

ライダーが名を与えた馬は宝具のカテゴリに昇格される。ランクは平均してC相当。馬の能力や性格によって個体差が生まれる。なお、宝具となった馬は毛並みが変化し、蹄には炎熱がエンチャントされる。

また、微弱ながら宝具馬に対して自動治癒も持つ。平均的な魔術師の治癒魔術よりも劣るが、自然治癒とは比べ物にならない。

 

遼来益(リョウライライ):ランクB

(対人宝具・レンジ1~20・最大捕捉人数1)

ライダーと対峙したものの深層心理に恐怖を根付かせ、それによってステータスの低下を引き起こす。自身の感情を制御するスキルや宝具などで緩和することが可能。よって狂化したサーヴァントにはあまり効果をもたらさない。

「泣く子も黙る」という言葉の元となった言葉。ランクBとはいえ、白兵戦においては絶大な効力を発揮する。元のステータスの高さとこの宝具の効力を鑑みて、生前から現在までを考慮しても彼に白兵戦で適う相手は少ないに違いない。

 

・黒兎:ランクC+

ライダーの愛馬となった馬。好戦的で、多少の負傷ならば物ともしない。黒い毛並みが特徴的。

 

・白兎:ランクC+(C)

サーシャスフィールの愛馬。戦いを好まず、大人しい性格をしている。そのため、本来は黒兎と並ぶ実力をもつのだが、その実力を発揮できていない。白い毛並みが特徴。

 

【備考】

 三国志に名を馳せる名将。字を文遠という。元は董卓の配下であったが、董卓が呂布に暗殺された後は呂布の配下となる。また、呂布が曹操らによって処刑された際に降伏し、以後は曹操に仕える。

 彼は関羽と深い親交があった。袁紹と曹操が決選した官渡の戦いでは、劉備の将である関羽と共に先鋒を務めたという。その中で、青龍堰月刀の扱いを覚え、それを愛用するに至る。いわば、彼との友情の証である。青龍堰月刀でなくとも、大抵の武器は巧みに操れる。

 彼の戦闘能力は関羽に匹敵するものであり、為政者であり武神と称えられた関羽とは対照的に、悪鬼のごとく語られた。その伝説を象徴するものとして、遼来々(あるいは遼来遼来)という言葉がある。これは、ぐずって泣き止まない子供であっても、こう言えば恐ろしさのあまり必ず泣きやんだというものである。これが「泣く子も黙る」の語源となった。彼の最後は病気によるものであったが、病床についたままであっても孫権を震え上がらせたという。

 演義よりも正史のほうが彼の戦いぶりを強烈に描いているという珍しい存在である。仕えた主君がいずれも苛烈な人物であることも、彼の伝説を肥大させる一因であるだろう。

 聖杯戦争において、サーシャスフィールを愛するようになる。可憐な女性でありながら、男性よりも強い鋼の心を持つその姿に惹かれた。

 

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【クラス】キャスター

【マスター】間桐臓硯(間桐慎二)

【真名】ゲオルク・ファウスト

【性別】男性

【属性】混沌・悪

【筋力】 E  【魔力】 A

【耐久】 D  【幸運】 B

【敏捷】 E  【宝具】 A+

 

【クラス別能力】

・陣地作成:B

魔術師として有利な陣地を作り上げる。工房の作成が可能。

 

・道具作成:A

魔力を帯びた道具を作成できる。いずれは不死を可能にする薬を作ることもできる。

 

【保有スキル】

・精神汚染:C

精神がやや錯乱しているため、他の精神干渉系魔術を低確率でシャットアウトできる。

このレベルであれば意思疎通に問題は無い。

 

・知識探求:B+

未知に対する欲求。未知のものに出会っても短時間で混乱から立ち直り、それを理解する。

また、自分が扱う魔術体系の魔術であれば、低確率でそれを習得できる。

 

【宝具】

留まれ、お前は美しい(グレートヒェン):A+

対界宝具・レンジ1~999

キャスターとその宝具を対象にする宝具や魔術を無効化する。特に宝具に対する耐性が高い。魔術に対する耐性も低くはないが、完全に無効化するのは難しい。また、真名開放して使用するタイプの宝具に対してはキャスターも真名解放する必要がある。常時開放型の場合は、こちらも解放する必要がない。

欠点として、キャスターとその宝具を対象にしないものについては全く効果を発揮できないことが挙げられる。つまり、マスターをこの宝具によって守ることはできない。また、これの発動にも魔力を消費しているため低級の魔術に対しては使用することは有効ではない。

 

腐臭を愛する大公(メフィストフェレス):B+

対軍宝具・レンジ1~50

死者の肉体を蘇生させ、そこに人口の魂を封印することで擬似的なホムンクルスを生み出す。復活した死者をキャスターはメフィティス(悪臭の意)と呼称していた。メフィティスは思考というものがほぼ完全に失われており、キャスターの命令に従うだけの人形と言っても過言ではない。

不完全ながら命のエリクシルの理論を応用しているため、封印された魂が現存する限り不死性を有する。肉体が破壊されようとも即座にそれを修復する。

しかしその魂が剥がされた場合にはただの死体に戻ってしまう。

 

【備考】

 ゲーテによる「ファウスト」の元となった人物。錬金術のみならず、死霊術にも精通している。彼は自己の尽きぬ知識欲のために、悪魔メフィストフェレスと契約した。その代価として、メフィストフェレスは賭けをもちかける。メフィストフェレスはこの世全ての知識を与え、ファウストが満たされたと感じた瞬間、「留まれ、お前は美しい」と言う。もしそれを口にしたとき、ファウストは死に、メフィストフェレスに魂をやらなければならない、というもの。

 ファウストはその力により若返り、グレートヒェンという女性に一目ぼれをするが、彼がワルプルギスの夜から帰ってくると、彼女は赤子殺しの罪に問われ処刑されていた。そこから彼は狂いだす。死霊術に手を染め、グレートヒェンを復活させるために魔術に没頭するようになる。錬金術において命を構成する物質される、命のエリクシルを追い求め、それにより彼女を復活させようとした。だが、悪魔の知識を以てしてもそれは叶わない。

 というのも、悪魔は知識を得るための手段は与えるが、知識そのものを即物的に与えることはなかった為である。

 ある日、研究と人生に疲れたファウストは、屋外から聞こえる鍬や鋤の音を聞く。その音から、かつて彼女とすごした平穏の日々を思いだし、つい契約完了の言葉を口にする。しかし、最終的にその魂はグレートヒェンの祈りによって救われた。

 聖杯にかける望みは、もちろんグレートヒェンの復活である。例え、その目的のために何人が犠牲になったとしても、もはや彼には他人の命など目に映ってはいない。

 非常に分かりやすい悪の姿とも言えるが、彼はただ最愛の人と再開したいと望んだだけである。手段はともかく、その思いは純粋なものである。純粋さゆえに狂ったとも言え、解釈によっては哀れな人物である。手段を選び、多少の理性を残していればセイバーや士朗たちと和解する余地もあったかも知れない。

 

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クラス】バーサーカー

【マスター】遠坂凛and冬木市(マスター不在時)

【真名】モードレッド

【性別】男

【属性】混沌・狂

【筋力】 B   【魔力】 A

【耐久】 B  【幸運】 B

【敏捷】 C  【宝具】 B+

 

【クラス別能力】

狂化:C

幸運と魔力を除くステータスをアップさせるが、言語能力を失い、複雑な思考ができなくなる。

 

【保有スキル】

簒奪:A

マスターより魔力を強奪する能力。マスターが魔力供給をカットしようとした際に、それを阻害することが可能。Aランクだと、もはやマスターは自身の魔力さえも自由にできない。ただ、魔力供給カットの阻害であるために、魔力供給が行われていない状態からの簒奪は行えない。

スキル発動の判定はサーヴァントの意思に準拠する。

狂化の影響でうまく扱えていないが、強い怨念をぶつけるべき相手を前にしたときには、無意識のうちにこのスキルによってマスターから魔力を奪うだろう。

 

扇動:B+

話術によって他者を味方につける能力。狂化によって失われている。

国政・知略において有利な補正が与えられる。また、大義名分を掲げれば一国をも覆す兵を手にすることが出来るだろう。

また、挑発によって敵の理性を損なわせることも可能である。逆に、敵を懐柔し味方につけることも不可能ではないが、成功率は低い。

 

【宝具】

我が母の命により(オーダー・オブ・モルガン):ランクC

(対人宝具・レンジ1~20)

決してその兜を脱いではならない、という母モルガンの命令。彼にとって母の命令は絶対であった。

背丈ならず、声、顔までアーサー王と同一の彼がキャメロットに、ひいては円卓の騎士となるには顔を兜で隠すほか無かった。長きに渡って顔と出生を偽り続けた伝承から生まれた宝具。

全身を黒い濃霧で覆い隠し、そのステータスの一切を隠蔽する。当然マスターもそのステータスを知ることが出来ない。またこの宝具の発動中は、彼の真名に至るあらゆる事象に妨害が発生する。具体的には、彼と縁のあるサーヴァンとが現れたとしても、その正体を感づかずに行動することが可能。一種の認識阻害の呪いとも言える。

 

王位を約束した剣(クラレント):ランクB+

(対人宝具・レンジ1)

これを持つものが王位を得ると言われる剣。所有者は自身が存在するエリアそのものを味方として与えられ、地形効果による補正の恩恵を最大限に受けられる。マスターが不在でも国、あるいは土地をマスターとして据えることで魔力供給を可能とする。

この効果は『我が母の命により(オーダー・オブ・モルガン)』の効果と重複できない。王は万民の前で雄姿を晒さねばならない。自らの姿を隠したまま王になることは不可能である。それを可能とするのは、ギリシア神話におけるロバ耳の王、ミダースのみである。

 

命を賭して革命を(フォー・レヴォリューション):ランクB+

(対人宝具・レンジ1)

格上の相手を必ず討ち滅ぼすという信念。不屈なる下剋上の意思。

相手サーヴァントのステータスのいずれかがこちらを上回っていた場合に自動的に発動。いかなる場合にもこちらのステータスが低下することは無く、余剰に魔力を消費することでそれに応じたステータス補正を得られる。補正を受けられるのは相手に劣る項目のみであり、相手と同じランクにまで引き上げるのが限界である。また、引き上げた分に応じたダメージ判定が毎ターン発生する。仮に全ステータスを2ランクアップさせたとすると、10ターンほどの行動が限界であろう。

ステータス低下阻止の効果は魔術・宝具の効果だけでなく、負傷による戦力低下にも影響する。死の瞬間まで戦意を失うこともなく、無傷の状態と変わらない戦闘能力を発揮できる。また、精神に介入する類の魔術・宝具もCランクを下回る場合には無効化される。

この宝具最大の弱点として、自らより劣る敵に対しては全くの無力であることが挙げられる。その際には、ステータス低下防止の能力すら失われ、負傷や魔術・宝具の効果によるステータス低下が発生しうる。

 

【備考】

アーサー王から作られたホムンクルス。アーサー王のコピーであり、モルガンによって作られた。

円卓とその椅子にはマーリンによって魔術が施されており、「前にその席に座っていた者よりも劣る者、また王に忠誠を誓わない者」が着席したとき、椅子が暴れてその者を振い落すと言われている。円卓に着席できた彼が、なぜアーサー王に謀反を起こしたのかは諸説あるが、円卓の騎士として戦ううちに心変わりしたというのが通説であるようだ。

 彼は自らの出自を知り、深く悲しんだ。人ならざる身として生きることに苦痛を覚え、アーサー王に自らの子として認め、次期の王として認めて欲しいと懇願する。しかし、アーサー王はこれを退ける。モードレッドはこれに悲しみ、「人の心を持ち合わせない」アーサー王を深く憎むようになる。それが、かの「カムランの戦い」を引き起こした。カムランの丘で戦ったモードレッドとアーサーは相打ちとなる。モードレッドは斬り伏せられ、アーサーは瀕死の重傷を負い、その後死亡する。

 彼はこれらの経緯から、王や騎士は「自らの傲慢で人々を惑わせる悪」と考えるようになり、これらを深く憎んだ。此度の聖杯戦争においてはバーサーカーとして召喚されたが、対峙した者が王や騎士の類であると見ると見境なく襲いかかる。おそらく、凶化してなくとも同様の行動を取ったであろう。

 凛に召喚されたのは、かつてアーサー王と契約した経験があるため。アーサー王と契約した時点で彼とも縁が生じることとなり、モードレッドは「王の後を継ぐ」という出自の影響で優先的に召喚される。むろん、聖遺物の類があればそれが優先される。

 また、クラレントの影響でマスターが不在でも行動できるという稀有な存在でもある。クラレントは王位簒奪の象徴として扱われることが多いが、それはクラレントを手にしたモードレッドの行動であり、剣そのものの効果ではない。理性あるサーヴァントならば特に問題は起こらなかっただろうが、バーサーカーであれば一般人を殺戮する危険すらあった。しかし、生前のモードレッドは騎士道に溢れた者であり、元より一般人を殺戮する考えが無かったため、それは杞憂に終わる。結果として、凛たちと敵対するに留まった。他のバーサーカーならば危険であっただろう。

余談だが、本作を作った後に発表された作品で、本来は女性であることが明らかになった。本作で召喚されたのは、男性としての側面であるという後付けをここに記しておく。言い訳乙。

 

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【クラス】アサシン

【マスター】景山悠司

【真名】エミヤ キリツグ

【性別】男性

【属性】中立・中庸

【筋力】 C   【魔力】 C

【耐久】 D  【幸運】 D

【敏捷】 E(A) 【宝具】 C+

 

【クラス別能力】

気配遮断:C(A)

サーヴァントとしての気配を絶つ。暗殺を繰り返すことで身に付いた呼吸法。

宝具の恩恵でランクを底上げすることが可能だが、アサシンのサーヴァントとして優秀とは言いがたい。

 

【保有スキル】

無我:C

私欲を断ち切る。致命傷かそれに順ずる負傷でない限り、戦意を喪失することはない。

また、精神に対する干渉への抵抗力にボーナスが付加される。

 

【宝具】

固有時制御(タイム・オルタ):C

(対人宝具・レンジ1)

固有結界を自己の中でのみ展開させる。それによって自身の固有時間への干渉を行い、時間の加速及び減速を可能にする。

加速時には敏捷へ、減速時には気配遮断への大きなボーナスが付加される。

だが宝具展開後に僅かながらも自身へのダメージ判定がある。これは歪ませた固有時間が普遍時間とのズレを修正しようとすることに起因する。実際の肉体は無いものの、加減速ともに三倍速までが限界である。しかし三倍となると反動が大きく、頻繁な使用は避けねばならない。

界王拳は2倍までにおさえておけ、いいな。と界王さまが仰っています。

 

【備考】

第四次聖杯戦争にて、聖杯の中身より「絶対に赦さない」と呪いを受けた人物。死後は聖杯に囚われ、この世界の血の歴史を見せ続けられた。「お前の願いは成就しない」という聖杯からの強烈な意趣返しの犠牲である。

正規の英霊ではないが、存在としは英霊に近いため、聖杯戦争にも呼ばれる可能性はある。此度はアサシンとして呼ばれた。本来、アサシンはハサンの血族しか召喚されないが、正規の英霊ではないためアサシンの枠に落ち着くことになる。

英霊としての力は乏しく、近代兵器と智謀策略によって闘い抜くしか道はない。単純な戦闘能力のみに限れば、サーシャスフィールの方が明らかに上である。

彼は聖杯に「この世の平和」を求めていた。平和を求めるあまり、現実との軋轢により正義を半ば捨てた人物。平和のためならば、あらゆる犠牲を許容し、その罪は自らが背負うという正義を持つ。ある意味では事後犠牲の塊である。

この願いは第四次聖杯戦争が終了した時点で捨てられることとなるが、聖杯としては彼がまだ正義と平和を求めていなければ復讐が出来ないため、第四次聖杯戦争から以降の記憶を抹消した。しかし此度の聖杯戦争における最終局面にて、記憶を取り戻し、士郎に自らの命を絶たせる。

また、記憶は完全に無くなったわけではなく、ほんの僅かに残っていた。しかしそれは自覚できるほど確かなものではないため、結果として士郎とも闘うこととなる。だが最終局面まで手を出さなかったのは、その僅かな記憶が「手を出してはいけない」という直感じみたものとして彼の行動を抑えていたためである。

戦闘能力も低く、無比の宝具を持たないにも関わらず、信念と智謀策略によって聖杯戦争の(一応の)勝者となった。

 

 

◆◇登場武器編◇◆

(サーヴァントが持つ宝具は除く)

 

害なす焔の杖(レーヴァテイン)

北欧神話に登場する魔剣。士郎のそれは伝承等から作り出した完全な贋作である。本来、レーヴァテインは「害なす魔の杖」という意味だが、偽者という意味を込めて士郎はこう呼ぶ。

伝承から作り出した剣であるため士郎のイメージが弱く、本物よりも数段劣る。

本物は「レーギャルン」という箱の中に封印されており、シンマラとその番犬によって守られている。

もしも本物が世にでていたら、抑止の守護者であっても世界の崩壊を止められないだろう。何故なら世界を滅ぼすことを約束した剣であるからである。

 

・無銘:青龍偃月刀

ライダーが持つ青龍刀。実は彼の持っていたとされる特定の武器は存在しない。

後にあらゆる者が彼の英雄譚を記述し、彼に様々な武器を与えるが、その武器の名は一定しない。どうやらよほどの鈍らでない限りはどんな武器でも扱えたようだ。

この青龍刀にも銘はあったのだろうが、歴史に残されていないという関係上銘が失われている。

青龍偃月刀は装飾が複雑であるため量産が困難であり、またその重量から扱える人物も限られる。重量は軽く見積もっても十数キロは下らない。そもそも武器として扱われていたのかも定かではなく、儀礼や演舞用の刀剣であったのではないかとの説もある。

 

・ハルバード

サーシャスフィールの持つ武器。槍と斧を合わせたような形状をしている。用途は、突く、叩く、引っ掛けると様々だが、それゆえにそれの習得にはかなりの修練を必要とする。これが活躍した時代であっても、主に装飾や儀礼としての役割が大きかったようだ。

実戦では馬上の相手を引きずり下ろすことに効果を発揮したようだ。鉤爪(フルーケ)で相手を馬上から引き倒すという用途において猛威を振るったらしい。

イリヤの付き人、リズの持っていたものはとても馬上での戦闘に耐えないため、それとは別物である。ある程度の軽量化がなされ、造形も単純なものになっている。だが、それでもアインツベルンの錬金術の粋を集めた一品であるのは間違いない。

 

大通連(ダイツウレン)小通連(ショウツウレン)

 鈴鹿御前という鬼の姫が持つ刀。またの名を立烏帽子。この鬼は天竺第四天魔王の娘といわれており、「年の頃は十六、七。天女の如き美しさ。揚柳の細身に十二単、濃い紅の袴姿」といわれており、相当の美人であったようだ。

 当時の征夷大将軍に恋をしていて、その征夷大将軍である田村草子という人物の依頼で立烏帽子は大嶽丸という鬼を討つ。この二振りはその大嶽丸を最初に討つ際に奪い取ったもの。鬼を前にして鞘から剣が解き放たれ、宙を舞ってこれを斬ったといわれる。

 「人外切り」という属性をもち、「浮遊・飛翔」の特殊効果を持つ。しかしそれゆえに人に対しては効果を発揮できない。人外に対しては命中率と攻撃力にプラス補正がかかる。これは神性を持つものに対しても有効である。

 

負けずの魔剣(クラウ・ソラス)

ケルト神話の神、ヌァダの持つ魔剣。鞘から放てば光と火炎を放ち、必ず敵を仕留めるという。

興味深いのは、必勝の剣ではなく「不敗の剣」であると記されていることである。それはつまり、相打ちは防げないということであろうか。

ちなみに、「負けず」の「まけん」であるからといって駄洒落ではない。断じて違う。

 

戦いの火炎(グンロギ)

北欧、ゲルマンの伝承で、「ギースリのサガ」にでてくる剣。担い手はスケッギという男であった。「グンロギの剣は唸り、サクサの島はどよめく」と吟じられており、どうやら相当の力を持つ剣であったようだ。

 

煌く剣(リットゥ)

バビロニアの伝承、マルドゥーク神の炎の剣。この炎の剣リットゥは、智天使ケルビムとともにエデンを守るために置かれた剣の炎(ラハット・ハヘレヴ・ハミトゥハペヘット)の原型のようである。

エデンとは基督教の伝承に登場する、アダムとイヴが追われた失楽園のことである。

 

焼夷手榴弾(サーメート)

作中で登場したものはAN-M14焼夷手榴弾。実際に米軍で使用されているものである。一見するとスプレー缶のようであるがそれが破裂すると辺りに焼夷材(テルミット)と硝酸バリウム、少量の硫黄などの混合物を撒き散らす。それがテルミット反応を起こし、一気に燃焼を起こす。

約二秒間に渡り華氏四千度の熱量を発するが、これは鉄をゆうに溶かす温度である。実際は対人の兵器として用いられることは(殺傷範囲が狭いため)稀で、単純に攻撃目標を燃やしたいときに使う。そもそも、火炎放射器が非人道的であるとされているのに、これを人に使用することは外道としか言いようがない。

 

三鈷剣(サンコケン)

「魔を絶ち、煩悩や迷いを砕き、人を守る」という剣。人を救うために、人から悪を切り離す。三鈷杵というものに剣がついた形状をしている。仏教における不動明王の持つ武器。不動明王は「衆生を救うまでは、ここを動かじ」といって火生三昧(かしょうざんまい)と呼ばれる炎の世界に座し、民衆を教えに導きながらも人間界の煩悩や欲望が仏界に波及しないよう聖なる炎で焼き尽くすと言われる。

ちなみに三鈷杵は『金剛杵』の、いくつかある形状のうちの一つ。本来の金剛杵はその漢名どおり、金剛(ダイヤモンド)でできており、雷を操る。しかし剣を付加し、不動明王が持つことによって属性が変わったようだ。

 

片手半剣(バスタードソード)

その名の通り、片手でも両手でも扱える剣である。

ときおり「バスターソード」という架空の剣(身の丈を越すほどの巨大な剣)と混合されるが、本来は前述の通り片手でも扱えるほどの長さと細さしか持ち得ない。この誤りはBastard(雑種・私生児)とBusterd(破壊者)という似通った言葉によるものだろう。正しくは前者の雑種という意味である。

鋼鉄の製造技術が伝わった14~16世紀のドイツで作られた。雑種の名を冠することにも諸説あるが、「片手剣」と「両手剣」の中間に位置するからだといわれている。

 

・AK47(アブトマット・カラシニコフ)

7.62mm弾を使用する自動小銃。アサルトライフルに分類される。

言わずと知れた、ロシアが産んだ名銃。現在においても中東で流通している。対人において高い殺傷能力を有したことから、主に市街戦で使用されている。構造が大変優れており、改良を施した後継機が多く存在する。また、あらゆる国で製造されていることでも有名であるが、その中には少なからず模造品が含まれている。

切嗣はこの銃をイタリアマフィアから入手した。イタリアマフィアは今もなお中東に市場を持つと言われているが、真贋定かではない。少なくとも、切嗣と取引したマフィアは中東で使用された武器を買い取ることで糊口を凌いでいたようだ。

 

・ドラグノフ狙撃銃

7.62mm弾を使用する自動小銃。スナイパーライフルに分類される。

こちらも知名度の高い狙撃銃。カラシニコフと同様にロシアが産んだ傑作。カラシニコフを参考にして作られているため、カラシニコフと共通のものを使用できる。弾丸の調達が困難であったため、切嗣は弾丸の互換性を考慮してこの銃を選択した。遠距離での精密射撃よりも市街戦での連射性を重視した狙撃銃であることも一因である。かつてのロシア軍は、カラシニコフの射程を補うために分隊につき一丁のドラグノフを支給したと言われる。

また、有効性はともかくとして、一部のドラグノフには着剣機構が備えられたものもあったらしい。これもカラシニコフ用のものと共通である。

西側の狙撃銃と比較して、軽量であり運搬性に優れていることも特徴として挙げられる。

 

・手製閃光手榴弾

マグネシウムリボンに着火装置を付けただけの簡単なもの。マグネシウムは燃焼すると激しい光を放つため、これを切嗣は閃光手榴弾の代わりとして用いていた。本来ならば手榴弾も用意したいところであったが、爆発物までは密輸できなかったため、手製の閃光手榴弾をいくつか作成していた。

日中であっても効果があるが、夜間では特に絶大な威力を発揮する。瞳孔が開いた目にマグネシウムの閃光を浴びせれば、わずかな時間ではあるが敵の視力を完全に奪うことができるだろう。ただし自分の目を焼く可能性もあるため、使いどころは考える必要がある。

 

・指輪

聖パウロの遺骨を混ぜ込んだ銀の指輪。「わたしたちはさまざまな議論を破り、神の知恵に逆らって立てられたあらゆる障害物を打ちこわし、すべての思いをとりこにしてキリストに服従させ、そして、あなた方が完全に服従した時、すべて不従順な者を処罰しようと、用意しているのである」という聖句が細かく刻まれている。だが細かすぎて、肉眼で読むことは難しい。シングルアクション程度の魔術では、この指輪に触れた瞬間に霧散する。一種の魔除けのお守り。

冬原はこれを用い、凛を追い詰めた。

 




 もし記載漏れや、追記して欲しい情報等ありましたら感想欄にてご連絡ください。
 追記にて対応したいと思います。

 これでFate/Nextは完全に終了です。
 ありがとうございました!

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