『薬理学理論』レポート課題4 小テスト
【問1】以下の文章の正誤を判定してください。
(1)
(2)グレープフルーツジュースは、薬剤代謝に影響を与えない。
(3)受容体のアロステリック部位に可逆的に結合するアンタゴニストは、非競合的阻害を引き起こす。
(4)コレラ毒素はGs共役型GPCRの活性化を直接阻害する。
(5)カルシウムポンプの機能が阻害されると、プロテインキナーゼCは非活性化する。
【問2】以下の文章の空欄を補充してください。
(1)薬剤代謝の多くは、肝臓の『 』という酵素によって行われる。
(2)人間の腸管において、グルコースを細胞に吸収する輸送体には『 』やSGLTがある。
(3)EFハンドモチーフと呼ばれるCa2+結合可能部位を持ち、Ca2+がここに結合すると、この蛋白依存的なキナーゼなどを活性化する。また、これはGq共役型GPCR活性化により、活性化される。この蛋白は『 』である。
(4)全身のグリコーゲンホスホリラーぜキナーゼが欠損している人は、血糖値(血液中のグルコース濃度)が『 』傾向にあり、この病状は糖原病Ⅷ型や糖原病Ⅸ型で見られる。
(5)腸管表面の細胞の腸管側にはATPを用いないSGLT(ナトリウムと共にグルコースを細胞内に取り込む輸送体)が存在し、腸管表面の細胞の腸管側ではない方には、ATPを用いてナトリウムイオンを排出するナトリウムポンプと呼ばれるものがある。ここから、細胞内のナトリウム濃度は細胞外よりも『 』と考えられる。
【問3】以下の問いに解答してください。
(1)プロテインキナーゼA(PKA)が活性化されると、血小板機能は低下する。また血小板機能が活性化されると、止血が亢進されるとする。以上の条件下でGs共役型GPCRを活性化した時、止血機能はどのような影響を受けるか。その過程も記述せよ。
(2)心臓の筋肉に存在するホスホランバンという物質には、カルシウムポンプの抑制機能がある。ホスホランバンは、活性化PKAによる非活性化を受けるとすると、Gi共役型GPCRの活性化はカルシウムポンプにどのような影響を与えると考えられるか。
提出者:リーシャ
『薬理学理論』レポート課題4
(1) ×
理由:部分アゴニストは完全には活性化させないものだから、活性化目的っていうのはちょっと違うはずです。阻害目的、というかほんのり弱めるイメージなはずです!
(2) ×
理由:グレープフルーツジュースは薬剤代謝を阻害するはずです。飲み合わせに気を付けようっていうお話がありましたから!
(3) ○
理由:アロステリック部位は本来のリガンドが結合する場所じゃないので、非競合的阻害になると思います!
(4) ×
理由:コレラ毒素はGsタンパク質を活性化するもので、阻害じゃないと思います! なので、二重に誤りですね。
(5) ×
理由:カルシウムポンプが阻害されると細胞内のカルシウム濃度が上がって、プロテインキナーゼCは活性化すると思います!
【問2】
(1) CYP
理由:習ったから!
(2) GLUT
理由:習ったから!
(3) カルモジュリン
理由:EFハンドモチーフというのはわかりませんが、Ca2+とかGq共役型とかからわかります! ついでに、依存タンパクはCaMキナーゼだと思います。
(4) 低下する
理由:グリコーゲンホスホリラーゼキナーゼが欠損すると、グリコーゲンホスホリラーゼの活性が落ちて、グリコーゲンからグルコースを作れなくなるから、血糖値は低くなると思います!
(5) 低い
理由:わざわざ大事なエネルギーを使うっていうことは、それだけ薄いところから濃いほうに持っていっているからだと思います!
【問3】
(1)
Gs共役型GPCRが活性化されると、Gsタンパク質が活性化します。
活性化したGsタンパク質はアデニル酸シクラーゼを活性化させます。
アデニル酸シクラーゼが活性化されると、ATPからcAMPが作られます。
cAMPが増えると、PKAが活性化されます。
問題文にあるように、PKAが活性化されると血小板機能が低下します。
血小板機能が低下すると、止血機能も低下します。
だから、Gs共役型GPCRを活性化すると、止血機能は低下します!
(2)
ホスホランバンはカルシウムポンプを抑制する物質なんですね。
Gi共役型GPCRが活性化されると、Giタンパク質が活性化します。
Giタンパク質はアデニル酸シクラーゼを抑制します。
アデニル酸シクラーゼが抑制されると、cAMPが減少します。
cAMPが減少すると、PKAの活性も低下します。
PKAの活性が低下すると、ホスホランバンの活性化が減ります。最後にホスホランバンが活性化されると、カルシウムポンプは抑制されなくなるので、Gi共役型GPCRの活性化は、カルシウムポンプを阻害すると思います!
提出者:ユラリア・ウィンターフィア
『薬理学理論』レポート課題4
【問1】
(1) 誤り
(2) 誤り
(3) 正しい
(4) 誤り
(5) 誤り
【問2】
(1) CYP
(2) GLUT(グルコーストランスポーター)
(3)CaM(カルモジュリン)
(4) 低下する
(5) 低い
【問3】
(1)
Gs共役型GPCRの活性化が止血機能に及ぼす影響は、以下の経路を通じていると考えられる。
Gs共役型GPCRが活性化されると、Gs蛋白のαサブユニットが解離し、アデニル酸シクラーゼを活性化する。活性化されたアデニル酸シクラーゼはATPからcAMPを産生し、細胞内cAMP濃度が上昇に繋がる。cAMPの上昇はプロテインキナーゼA(PKA)を活性化する。
ここで問題の前提条件では、PKAの活性化が血小板機能を低下させ、止血機能亢進が発生すると明記されていることより、Gs共役型GPCRの活性化は、最終的に止血機能の低下をもたらすと考えられる。
(2)
ホスホランバンのカルシウムポンプ制御機構とGi共役型GPCR活性化の影響については、以下のような経路で考えられる。
前提条件よりホスホランバンは心筋細胞に存在し、小胞体のカルシウムポンプを抑制する物質であり、またホスホランバンの抑制機能はリン酸化によって解除される。
Gi共役型GPCRが活性化されると、以下の経路が進行する。
Gi共役型GPCR活性化により、Gi蛋白のαサブユニットの解離が発生。これによるアデニル酸シクラーゼの抑制。アデニル酸シクラーゼの抑制が発生したことによるcAMP産生減少。cAMPの減少によるPKA活性低下。
PKA活性が低下することで活性化状態のホスホランバンの減少。従って、ホスホランバンによるカルシウムポンプ抑制の増強が発生する。
結果として、以上の経路を伝うことでGi共役型GPCRの活性化は、カルシウムポンプの活性を低下させ、細胞質内のカルシウム濃度上昇を招くと考えられる。
◇◆◆◇
ユラリア・ウィンターフィアは窓辺に立ち、王宮の書斎から広がる王国の風景を見つめていた。高く積み上げられた薬理学のノートと、散らばったメモが彼女の机の上に広がっていた。
「やはりこの学問は……厄介ですね」
彼女は呟きながら、先ほど完成させたレポートを見直した。王族としての公務の合間を縫って、総合学院で課される数々の課題に向き合うのは、想像以上に困難だった。
魔法陣学や魔法史学であれば、彼女は得意としていた。それらは叡知の累積と歴史的文脈を組み合わせるものであり、ユラリアの生まれ持った才能が活きる分野だった。しかし、それでは終わらない学問もある。薬物がどのように体内で作用するのか、その複雑な経路を理解するには、単なる暗記ではなく、思考力が必要だった。
まだ、そこまでの考察は要求されていないものの──近く、それが要求されるであろうことは明白であった。
ユラリアのスケジュールは過酷なものであった。
昨夜は王国の隣国との外交問題で遅くまで会議に参加し、その後わずかな睡眠時間を削って参加している講義の復習をし、それから大臣同士の税制に関する意見のすりあわせ──その根回しの準備をしていた。
そして、それらはユラリアにとって苦労ではなく当然のものであった。
王族としての立場を持っているということは、この上なく恵まれている。日々の食料に困窮せず、身なりを着飾ることが可能で、多くの常識的な願いは叶えられる。
その代償。その代わり、様々な公務や学業を行うのは、ユラリアにとっての義務であった。
最早誰も使わない古の日記の言い回しを覚え、宮廷に蔓延る独特で繊細な言葉の扱いを日常とすることも。
「それに、魔法の力を使って病を治す者たちの知識を理解する必要があります。現行の治癒魔法勢力と薬理学は……相性が良いとは言えません」
ユラリアは先週の公聴会を思い出した。彼女が王族として出席した医療議会では、新しい治癒魔法の導入について熱い議論が交わされていた。そこで彼女が感じたもどかしさは、専門的な知識の欠如から来るものだった。
議論されていた内容は、全て結果ありきだった。どの意見もサンプル数が少ない上に主観的なものが多く、王国全体で施行出来るようなものではない。
「受容体とシグナル伝達の仕組みは本当に複雑ですね。でも、理解せずにはいられません。少なくとも、あのお歴々に説明することが……いえ。最低限、
彼女は深く息を吐き、再び解答用紙に目を落とした。Gi共役型GPCRの活性化がカルシウムポンプにどのような影響を与えるか、という問題は特に難しかった。論理的な思考のステップを踏み、一つ一つの過程を明確に説明する必要があった。
そして、本来ならばそれぞれの過程で
講義においては、それら全てが提供される。だが、それでは証明ではない。ただの無意味な空想と変わらない。
彼女の頭の中では、先日の会議での出来事が繰り返し再生されていた。王国内の貧しい地域における食料不足と、それに付随する健康問題。更には治安低下に関する問題が改めて提起されていた。
そして、それらを提起することで自らの利を獲得しようとしているだけの輩も多かったが。
「知識がなければ、本当の意味で民を守ることはできません。魔法の知識だけでは不十分なのです。どちらも、最低限会得しなくてはいけません」
その思いが、彼女を深夜まで学院のテキストやノートと向き合わせる原動力となっていた。王族としての務めと学業の両立は、彼女の睡眠時間と精神力を確実に奪っていた。目の下には薄い隈が現れはじめ、侍女たちの心配の種になっていることも彼女は知っていた。
ユラリアの指先は教科書のページの上を滑るように動き、複雑な図表を追っていった。幼い頃から彼女は学問において優秀であることを期待されてきた。王家の長女として、知性と判断力は彼女に課せられた義務の一部だった。
窓の外では、朝日が王国を照らしはじめようとしていた。ユラリアは疲れた目を閉じ、自分自身と向き合う時間を少しだけ設ける。
彼女の心の奥底には、常に完璧を求める声があった。王族として、そして一人の人間として、自分は十分なのだろうかという
「時には自分の限界を認めることも必要かもしれません。しかし、学院の勉強で苦戦しているようでは、全く足りません」
彼女は深呼吸して、もう一度自分の解答を最初から確認する。日が昇りきれば、再び王族としての公務が待っている。隣国との通商条約の交渉、そして午後には王国の教育改革についての会議。
スケジュールを思い出すだけで、彼女の肩に重みが加わり、精神的な負担となる。
「でも、これらが無駄にはなることはないはずです。いつか必ず、この知識が役立つ時が来ます。それが、私の生きている間ではなくとも」
薬理学の理論は、単なる学問的な好奇心を満たすだけでなく、将来の人類にとっても役立つはずだった。
思考力を鍛え、論理的な理解を深めることは、王族としての自らの決断にも良い影響を与える。そう、信じていた。信じるほか、なかった。
ユラリアは時計の方へとちらりと視線を向け、それからレポートの見直しを再開する。彼女はまだ納得いくまで解答を磨きたいと思っていた。完璧主義にならざるを得ない彼女にとって、『十分に良い』という感覚はほとんどなかった。
「もう少し、あと一時間だけでも勉強を続けましょう。明日の公務のために少し睡眠時間を削っても、この理解を深めることのほうが重要です」
窓の外の星々は徐々に見えなくなっていく。
王宮の他の部屋では、少しずつに光が灯され、活動時間になっていた。