オーバーロードに野生のラスボスが現れたの竜王RPするプレイヤーが居る作品   作:野生の生蛇

30 / 30
第30話

 

「<魔法三重化(トリプレット)魔法最強化(マキシマイズマジック)現断>(リアリティスラッシュ)!」

 

 モモンガは攻撃力最高位の<現断>(リアリティスラッシュ)を放ち、ザイトルクワエに命中させる。

 三発の空間を切断する刃はザイトルクワエの太い六本の触手の内一つにあたり、半分程斬る事に成功する。

 そしてそれだけHPも削れる。

 

 反撃とばかりにザイトルクワエがモモンガに触手を振り落とすがそれはアルベドが弾く。

 

「HPはレイドボス級だが防御力は九十レベル程度か……」

 

 これならばなんとかなりそうだ、とモモンガは一安心する。

 百レベル級のレイドボスならば今の戦力では勝ちようがないが、九十レベルならばまだ勝ち目はある。

 

 蒼褪めた乗り手(ペイルライダー)がアタッカーとなり、タンクのアルベドが防ぐ。

 随所随所でモモンガが魔法を行使し、ザイトルクワエの攻撃を妨害する。

 

 そういった戦闘が続く事五分。ザイトルクワエが再び腹の口を開け、種の攻撃をしようとした瞬間──暴風が吹き荒れる。

 思わず身をよじる風だ。弱きモノならば吹き飛ばされてしまう風。

 

 何処から風が、とモモンガは顔を向け──そこに居た者にあごの骨を外した。

 

「りゅ、竜王ラードゥン?!」

 

 其処に居たのは黒竜の王だ。

 全長百七十メートルという圧倒的な巨体。

 首は十に別れ、それぞれが独立して動いている。

 鋭いかぎ爪を持ち、巨体を支える翼ははためく。

 

 圧倒的強者として君臨する竜の王が現れた。

 

「ふん。前倒したと思ったが、しぶとく生き残っていたか」

 

 竜王の首の一つ、一番右の首が呟く。

 竜王は依然ザイトルクワエを討伐しに動いたことがある。

 トブの大森林を制圧する為に来た際、ここにいたピニスンに存在を教えられ、討伐したのだ。

 

「煩わしい。我らの手をそう何度も使わせるな」

 

 たまたまラードゥンはワールドアイテムであるワールド・アイでトブの大森林を見ていたから気づけた事態だ。

 でなければこんなにも早く竜王は来ない。

 ラードゥンは竜都ヤマタノオロチに居たが飛行能力を持ってすれば十分もかけずに到達できる。

 

 モモンガはアルベドを呼び、ラードゥンの射程から逃れるために転移魔法を使ってラードゥンの背後に転移する。

 

「ラードゥン──殿! そのモンスターは炎を吸収する!」

 

 モモンガは取り合えず敬称を付けてラードゥンを呼ぶ。

 その言葉に反応し、一番右の首が振り返る。

 

「そうか。では別の属性の吐息(ブレス)で潰すとしよう」

 

 右から九番目の首が口を大きく開け、吐息(ブレス)を放つ。

 放たれるのは黒色の吐息(ブレス)、闇属性の吐息(ブレス)だ。

 

 吐息(ブレス)によって新生ザイトルクワエのHPがごりごり削られる。

 だがザイトルクワエも吐息(ブレス)の直撃を受けるだけではない。その触手を以てしてラードゥンを締め上げんとする。

 六百メートルの触手からすればラードゥンの巨体も小さい物だ。もはやデカいのが多すぎてサイズ感がバグってくる。

 

 ラードゥンはその爪と牙を以てして襲い掛かる触手を斬り伏せる。百レベルの竜ならば容易に可能だ。

 

「煩わしい!」

 

 今度は右から八番目と六番目の首が口を開く。

 放たれるのは闇と負属性の吐息(ブレス)だ。

 

 二つの吐息(ブレス)により、ザイトルクワエのHPは削られ──ついに絶命した。

 

吐息(ブレス)三発でレイドボスをやるのか……相変わらず馬鹿げた強さだ)

 

 だが、対処はまだしやすい。

 ザイトルクワエのように巨体だと回避できないが、モモンガ程度のサイズならば転移魔法で避けれるし、<石壁>(ストーンウォール)等で障害物を出せばいい。

 アルベドならば一時属性体制を得る特殊能力(スキル)と防具によって一撃死はしないだろう。削れるとしても二割程度だ。

 

「さて、そこの仮面をつけた奴」

 

 ラードゥンがくるりと空中で振り返り、モモンガに顔を向ける。

 

「トブの大森林を調査しに来た冒険者だな。来てくれて感謝する。元凶らしきモノは我らが討伐してしまったが、既定の報酬は出すから安心するがよい」

「それは……どうもありがとうございます」

 

 モモンガは考える。不意に訪れた竜王との対話のチャンスだ。これを逃す手はない。

 だが、何を以てして会話するか。それが問題だ。

 不意の遭遇過ぎてまだ何も対策を考えていない。

 

「ところで、その強さを見るにプレイヤーか?」

 

 不意にラードゥンの一番右の首がそんな言葉を口走った。

 そのことにモモンガは疑問を抱いた。

 

(俺の事が分かっていない?)

 

 モモンガの姿は有名だ。

 普段使いするゴッズ装備一式を纏った姿はウィキにも乗る程に有名だ。あの姿こそがモモンガだ、と知られている。

 装備品を目印にPKしに来る者は多数いる。その為にわざと装備品を変えて冒険に出ることは日常茶飯事だ。

 これはちょっとまずいな、とモモンガは危惧する。まずは己の事を知ってもらわないと困る。

 

「その通り。私はプレイヤーです。ユグドラシルから来た者です。私の名はモモンガと申します。隣の者はアルベドというNPCです」

 

 モモンガは丁寧に自己紹介をする。

 

「モモンガ? ふむ。どこぞで聞いた名だ。その装備品もよく見れば何処かで見た気が……」

「私の事は有名でしょう。ギルド、アインズ・ウール・ゴウンのギルドマスターです」

 

 その言葉にラードゥンは納得がいった、と顔を明るくする。

 

「そうか、あのDQNギルドの! ──失礼。DQNというのは不適切だったな」

「いえ。お気になさらず。そう言われてもしょうがない事をしているので……ところで、少々話したい事があるのですが」

「ふむ。いや、ちょっと待て」「NPCが居るという事は──」「支配者足りうるな」「うむ。こちらも話したいことが出来た」

 

 ラードゥンの首が幾つも話、モモンガは少々混乱する。お前ら全部の首に人格あるんかい、と。

 面倒だな、とモモンガは更に危惧する。相手は一人、懐柔できるかもしれないと思っていたがまさかの十人だ。これは手こずすかもしれないと。

 

「我らもまた話したいことがある。我らの拠点であるヤマタノオロチにいずれ招待しよう」

「いえ。出来れば私のギルド拠点であるナザリック地下大墳墓に来ていただきたい。そこで詳細な話を──」

「ふむ。そうか。であればそちらに赴くとしよう。何時が良い?」

「……出来れば三日後が良いかと」

「わかった。では三日後にこのグローリーホールに訪れるとしよう。我らはまだ仕事があるのでこれで失礼する」

「そうですか。では、また三日後に」

「うむ。では!」

 

 ラードゥンはそう言うと翼を広げ、空の彼方へと飛んでいった。

 

「……いきなりのエンカウントとは。疲れた」

「お疲れ様です。モモンガ様」

 

 はぁ、とモモンガは疲労無効のはずなのにため息を吐いた。

 

 

 




これまでニートだったのですが就職したので投稿頻度クソほど落ちてます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

クレマンティーヌを愛でるだけ(作者:鵲一号)(原作:オーバーロード)

1から100までタイトル通り。▼オーバーロードの中ではクレマンティーヌが一番好きです、というもの好きのための短編。


総合評価:1896/評価:8.35/短編:8話/更新日時:2026年05月23日(土) 15:34 小説情報

転生したらORTだった件(作者:装甲大義相州吾郎入道正宗)(原作:転生したらスライムだった件)

転スラ世界に迷い込んだのは、型月作品最強種のORT…に転生した主人公。これなら無双出来ると思いきや、リムルやその仲間って普通にそのレベルじゃない? 敵対したら勝てるのこれ? なんて疑問を持ちつつ彼は己の無法ぶりを自覚していない。


総合評価:5155/評価:7.99/連載:4話/更新日時:2026年01月17日(土) 11:57 小説情報

【五感を支配する魔法『■■■■■■■■■』】(作者:柿の種研究部)(原作:葬送のフリーレン)

▼過労で倒れ、病院に運ばれて入院した男はベットで就寝したはずだったが▼気づいたら何故か山々に囲まれた草原で目を覚ました▼それもなんとあのオサレ名言製造機である藍染惣右介の姿で▼喜ぼうとしたも束の間、額には角が生えており、葬送のフリーレンの世界だと察すると、この後の展開に絶望した▼しかしある魔族(同種)との出会いで目標が明確になり、そのために魔法を研究すること…


総合評価:1317/評価:7.82/連載:4話/更新日時:2026年04月13日(月) 23:04 小説情報

初期配布式神が魔虚羅だった。(作者:柴猫侍)(原作:呪術廻戦)

俺は先に逝く()▼精々頑張れ()


総合評価:2393/評価:8.65/短編:1話/更新日時:2026年02月07日(土) 12:00 小説情報

魔都? 多分グルメ界とか裏のチャンネル(作者:柚子檸檬)(原作:魔都精兵のスレイブ)

イザナミ「知らん……何あれ……怖……」


総合評価:761/評価:8.59/短編:4話/更新日時:2026年04月17日(金) 22:51 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>