異世界から持ち帰った相棒をオタク沼に落とそうと思う(いせぬま) 作:ニキ/バハちゃん
それと明日更新難しいかもです、ご容赦を
1-3-O:親がフラっと現れると書いて親フラ
『……偏見だけどプレイリストにラブソング無さそう』
「ごふっ……今思い返してもダメージ重すぎるだろこの言葉」
ざくろ宅からの帰宅道中、インパクトがデカすぎて未だに反芻しているのはあまりにもあんまりなパワーワード。
時が経ちすぎラインナップが朧気な俺のプレイリストには、実際のところラブソングはそれなりに入ってはいる。……それが好きなアニメやゲームのOP、EDだから取り敢えず入れたという感じの物や、再生数やマイリス数が多いからと入れた物、人に勧められて入れた物等、曲を増やしていく過程で歌詞を読んだらそれがたまたまラブソングだったという物しかないのは兎も角として。
問いに対する返答は辛うじてNOとは言える。これの痛みの内訳は『そんなことを思われそうな人間』であると自身を定義されたことに対してだ。
"俺、プレイリストにラブソングが無さそうなイメージを会話で持たれたんだ……"という精神的ダメージが、ボディブローのように重く突き刺さっておるのだが? これ俺みたいな奴とのレスバにおける禁句にしよう、死人が出る。
「いやいやハニワあるし……全然ハニーワークスの曲とか入ってるし……あと小さな恋のうたとかあるし……全然Orangestarとか好きだし……」
女々しくもぶつぶつ反例を述べながら憶えた帰路を自転車でしゃーっと駆けていく。
それなりの時間を費やし辿り着いたアパートの門前。降り、駐輪場まで車体を押して鍵を掛ける。
主に考え事のせいで時間を食った。のろのろと走らせていたが故に大した汗はかいていないが、昼時を過ぎた腹はかなりの間ほったらかしにされ、絶賛飢えを訴えている。
「……そいやぁ7年振りでも普通に乗れるんだな」
いい加減家なので一度意識を切り替える。無駄にあの子を心配させる必要は無い、さっさと飯作って昼食にしよう。
こつこつと階段を登って自室の前へ。鍵を挿して解錠に取り掛かれば手応えは軽く、カチャリという音もしない。
……え? あの子出掛けたの? 別にいいけど鍵は気を付けるよう言わなきゃなぁと、気楽にドアを開けて…………見慣れない靴を視認した。
きちんと揃えられたエミのブーツの横。俺の靴とも違う、雑に脱がれた女性用の……パンプスって言うんだっけこういうの?
「お・か・え・りぃ〜?」
声がする。
それもとても聞き馴染みのある、されど久しく聞いていない、一瞬にして寒気が全身に迸るような声がする。
声音は柔らかではあるがどこか硬い。表情はにっこにっこなのにどこか怖気を感じる人間が発するタイプの、優しくも威圧的な例のアレ。
表情が引き攣っている自信がある。
疑問と戦慄と共にギギギ……と視線を下から上へ移していけば……人影が二つ。
一つはつい数時間前まで一緒に居た、只今死んだ顔で子鹿のように震えているエミ。
もう一つは……
「新くん? お母さん、ちょっとこの子の説明が欲しいかなぁ?」
実に七年振りの再開となる、腕を組み仁王立ちしている我が母だ。
……なんでぇ?(震え声)
用語:ハニワ
HoneyWorksの略。一体どんな曲入れてるんでしょうね?
用語:Orangestar
夏の季語